カヴェンディッシュの異常な魅力を徹底解剖する

昨日のジロ・デ・イタリア第一ステージでマーク・カヴェンディッシュが勝ちました。皆さんご覧になりましたか。

マーク・カヴェンディッシュという男には、何か得体のしれない、異常な魅力がある。以前から私はそのように感じていました。

あの魅力はどのような要素から構成されているのか。これまで考えたことがなかったので、この機会に真面目に取り組んでみることにしました。

魅力1. 誰が見てもカヴェンディッシュだとわかるスプリント時の姿

カヴェンディッシュはスプリント集団の中で最も目立っています。全力スプリント中の彼の姿を想像してみてください。サドルから尻を上げ、下ハンを握って深く前傾し、白い歯をむき出しにして、まっすぐ前を向いて、猛烈なスピードでこちらに向かってきます。昨日のナポリゴールのスプリントで、彼と同じくらい顔が上を向いている選手は他にいませんでいた。彼の強さの秘密の一部がそこには隠されていそうですが、それは置いておくとして、スプリント時のカヴの姿は映像として強烈です。わかりやすく、忘れられない姿をしています。

魅力2. 常に苛々していて、チームメンバーとも口論する気性の荒さ

昨日のステージでもその姿は見られましたが、たとえ共に戦うチームメンバーにも、彼は感情や苛立ちを隠すことがありません。お前何やってんだ! ざけんなよ! みたいことを、右手の掌を大きく開いて、ジェスチャーと共に叫んでいる様子がよく見られます。言いたいことは言いたい時に言わせてもらう。たとえお前が仲間でもだ。そんなの当たり前だろ? 俺達は勝つことが目的なんだからな。そんな感じがします。かっこいいですね。

魅力3. 普通に考えてイケメンではない

一般的な意味で二枚目であるとは言えないでしょう。ある知人はカヴを見て「なんだこの農民みたいな田舎者は。顔が赤い」とまで口にして、笑いました。なんてひどいことを言うんだと思いましたが、恐らく多くの人がそう思うのでしょう。しかし、それでいい。いや、それがいい。 別にイケメンではないのに、いつも苛々していて、生意気で、誰がどう見てもカヴだとわかるフォームでゴールに飛び込んでくる。勝利が全てを正当化する。勝利した男は、勝利したというただそれだけの理由でカッコ良く見える。イケメンではない私達の多くにとって、カヴェンディッシュは希望の星です。

魅力4. オールラウンダーではない

カヴェンディッシュは全てが得意な男ではありません。山岳はからっきしダメで、グルペットの中でのろのろと登ります。時々足切りされそうになるくらい遅い。そして、それがいい。全てを無難かつ慎重にこなして総合トップに立つのは、アンディやブラッドレーでいい。俺達のカヴはそうじゃない。得意なことはただ一つ、スプリントしかない。そして、得意なスプリントにおいては、誰よりも激しく輝く。全てにおいて完璧とはとてもいえない私達の多くにとって、カヴェンディッシュは勇気を与えてくれます。「お前も何か得意なことがあるだろ。それ頑張れよ。な?」そんな感じです。

魅力5. 放送禁止用語も口にできる

カヴェンディッシュは時々、TPOを忘れます。全世界に放送されているインタビューの最中に、”ファック!” (くそっ!)などと言ったりします。昨日のナポリでの勝者インタビューでも、耳にイヤホンが絡まって「ファック!」と口走り、あわてて謝罪していました。恐らくプロトンの中でも、腹が立ったときはすぐ「ファック!」と口走っているはずです。気に入らない相手には「ファック・ユー!」と言っているはずです。人間関係を大事にする心優しい私達にとって、この自由な怒りの発露は、やはり輝いて見える時があります。なんて自由なんだ、と。

あなたもカヴェンディッシュになってみよう

これでカヴェンディッシュの魅力がだいぶ明らかになったと思うので、あとは実践あるのみです。連休明けに会社に出勤したら、あなたもカヴェンディッシュのように振舞ってみましょう。

まず定時が18時の場合、17:55分までは一切働きません。マイクロソフト・アウトルックに次々と入ってくるメールを読まずに既読にし、電話は一切取らず、「やってられっかよ、くそっ」と口走ります。ミーティングのアラートが鳴ったら、速攻で消して無視。俺はな、コンセンサス型じゃないんだよ。リーダーシップ型なんだ。そんな感じで17:55分まで過ごしたら、いよいよ仕事です。不意に背中を丸め、顔を上げて数十件の電子メールに電光石火の勢いで返信を開始します。メールのほとんどはあなたが昼の間ずっと返信をほったらかしにしていたため、同じ部署の仲間が途中まで既に対応してくれています。あとはあなたが「以下の件、了解です。」とか「以下の件、ありがとうございました。」などと書くだけで済みます。例外的に対応が面倒そうなものは全て同僚にフォワードしてしまいます。

そして18:00になったら端末からログアウト、すぐに帰宅の準備をします。もしそこに部長がやってきて「ちょっと残業を頼みたいんだが」と言ってきたら間髪を入れず

「ファック・ユー!」

と返します。

皆さん是非やってみてください。