海外の有名な自転車メーカーが日本の代理店に逆らえない理由とは

公開日: フレーム・完成車, ホイール, 雑記  

今になってはじまったことではありませんが、最近、海外の自転車通販ショップが日本向けの販売を中止・終了するブランドが増えてきました。フレーム・ホイール・バッグ・コンピューター。いろいろあります。皆さんも「あれっ?」と思われたことはあるのではないでしょうか。

昨今の円高基調が影響しているものと思われますが、最近、日本の複数の輸入代理店が海外自転車メーカー・自転車パーツメーカーに対し、「海外通販ショップが日本向けに販売しない仕組みをつくってほしい」と依頼するケースがかなり増えているようです。

この結果、何が起こるか。例えば、ヨーロッパのとても小さい国、例えばルクセンブルクという国に、日本でも人気の通販ショップがあったとします。例えばフランスの自転車メーカーに、日本の輸入代理店が、そのショップには商品を卸さないでほしい、と要求したとします。

すると、そのフランスのメーカーは、ルクセンブルグ内の輸入代理店への自社製品の供給そのものをストップすることが珍しくありません。つまり、日本の輸入代理店からの要望を優先し、日本の市場を守るために、ルクセンブルクという小国のマーケット・その地に住むサイクリスト全体を切り捨てるのです。

各国における販売価格と価格差の例:有名メーカーのフレームとホイールの場合

何故そんなことをしてしまうのか。その前に、ちょっと数字を見てみましょう。下の表は、ある欧州メーカー製高級ロードバイクフレームの主要各国における希望小売価格です。価格には諸税が含まれています。数字及び参考為替レートは調査時のものです。

あるイタリアメーカー製高級ロードバイクフレームの主要各国における希望小売価格

下の表は、ある欧州メーカー製高級ロードホイールの主要各国における希望小売価格です。これも諸税が含まれています。数字及び参考為替レートは調査時のものです。

あるドイツメーカー製超高級ロードホイールの主要各国における希望小売価格

同じ製品が、日本とアメリカで極端に高価になっていることがわかります。何故こうなるのでしょうか。「ヨーロッパ内での価格差が少ないのは当たり前に決っている。日本やアメリカにモノを運ぶには余計に輸送費がかかるのだから」という意見があります。

その意見は、少しは当たっているでしょう。しかし、同じくヨーロッパ大陸から遠い島国のオーストラリアを見てみましょう。日本とアメリカほど高くはありません。

輸入代理店は、自転車雑誌に広告を出したり、プロモーション活動にお金がかかる。ユーザーサポートや故障品の修理・交換対応をしなければならないし、為替レートの変動分を考慮して販売価格に安全マージンを乗せる必要がある、という意見もあるでしょう。それはその通りだと思います。

しかし、それは日本の輸入代理店だけがやっていることではなく、上の表中の世界各国の輸入代理店が等しく行っていることなのです。

つまり、ほとんど同じ条件で戦っているにも関わらず、日本とアメリカの販売価格だけが異様に高いのです。この理由は何でしょうか。

日本とアメリカは世界最大の自転車市場

複数の理由があるのですが、その中でも最大の理由は、日本とアメリカが「世界最大の自転車市場の2つである」いうことです。自転車関連製品が世界で最も売れる国・高い売り上げを誇る国は、イタリアでも、ドイツでも、フランスでも、ルクセンブルクでもありません。

それは日本とアメリカなのです。製品にもよりますが、トータルで見るとアメリカが世界1位の市場。日本が2位という感じです(これは自転車に限らず様々な分野でもそうなのですが)。

だから海外の有名な自転車メーカーは、日本とアメリカの輸入代理店には逆らえないのです。日本とアメリカの輸入代理店が、国内での販売価格をいくらに設定しても、文句は言えない。また、売れている分には文句を言う必要もないのです。

そして日本とアメリカの輸入代理店は、為替レート変動等の理由で収益が悪化すると、海外メーカーに対し「海外通販ショップが日本やアメリカに売るのをやめるよう、なんとかしてくれないか」と打診します。

これは言ってみれば、みな同じ厳しい条件でレースしているのに、日本とアメリカだけが親に泣きついて、あいつのタイヤをパンクさせてほしい、あいつのホイールを重いやつと交換してほしい、と懇願して勝負に勝とうとするようなものです。

切り捨てられる市場と失われるもの

この結果、輸入代理店は勝利します。ヨーロッパの小国ルクセンブルクでは、そのメーカー製品の全部、または一部が、供給されなくなります。ルクセンブルグの市場など、日本様やアメリカ様に比べると微々たるものだから、メーカーは平気です。

しかしルクセンブルクのサイクリストは、そのメーカーの製品を買うのに苦労するようになり、ブランドへの信頼を失います。自分で自転車を組み上げる高いスキルを持った日本のサイクリストも、これまでは外国から買えていたのに、その機会を奪われ、より高いお金を払う必要が出てきます。

なら、歴史のある超一流メーカーのロードバイクでなくてもいいや。コストパフォーマンスの高いGIANTの自転車を選ぶことにする。もう、ヨーロッパのメーカーは、たくさんだ。不当に高いし面倒臭い。そう思う人も出てくることでしょう(※GIANTは優良メーカーだと思います)。

さて、こういう状況の中で、明らかに損をしている人々がいます。まず、ヨーロッパの老舗メーカー。日本のサイクリストは親近感と信頼を失うでしょう。長期的に見ればブランド価値の毀損に繋がっています。他にも損をしている人々がいます。モニターの前でこれを読んでくださっているあなたもそうです。

20年前とは違い、このインターネット全盛の時代、上で紹介したような内外価格差は誰でも調べることができるのです。何かフェアでないことが行われているのは誰でもわかるのですが、こうした商慣行はずっと変わらないままです。

日本の輸入代理店が、日本国内での販売体制・サポート体制を充実させ、安定的に製品を供給し続けるために、それに見合った販売価格を設定するのは正当なことだと思います。しかし、自分で何とかできる、自分好みに自転車を組み上げたいという中級者以上のサイクリストから、選択の機会を奪ってしまうことは、果たして正当化されるのでしょうか。






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