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よみもの

英語のブランド名はカッコよい?

今日は自転車及び自転車パーツメーカーのブランド名について考えてみたいと思います。
まず、以下のブランド名には共通点があります。それは何でしょうか?

De Rosa
Rene Herse
MUSEEUW
Colnago
Pinarello
Mercier
Eddy Merckx
Louis Garneau
Lemond

皆さんわかりましたか? そう、答えは「人名」ですね。全て、ブランドの創設に関わった人の名前を冠しています。
では、以下のブランド名の共通点は何でしょう? ちょっと考えてみてください。

TIME
NORTHWAVE
LOOK
Catlike
ANCHOR
GIANT

上記のブランド名には、少なくとも二つの共通点があります。それは、

  1. 英語のブランド名である
  2. 英語圏の国のブランドではない

という点です。

TIMEとLOOKはフランスの、NORTHWAVEはイタリアの、Catlikeはスペインのブランドです。ANCHORは日本の、GIANTは台湾のブランドですよね。私は以前から、「TIMEとLOOKはフランスのブランドなのに、なぜ英語の名前なのだろう?」と疑問に思っていました。そして先日、フランス人の友人と自転車談義をする機会があったので、聞いてみました。するとその友人曰く、「英語のブランド名は、現代のフランスでは非常に重要。なぜなら輸出を第一に考えているから。フランス語の名称では、売れるものも売れない。発音しづらいだけでマイナス。イギリス人やアメリカ人にも簡単に認識できて、覚えやすく、発音しやすい名前である必要があるし、イタリア人やスペイン人にもわかるブランド名である必要がある。だから英語のブランド名は大事なんだ。」とのこと。

なるほど。しかしフランスにもプジョー(Peugeot)やメルシエ(Mercier)、ルネ・エルス(Rene Herse)といった思いっきりフランス語のブランドがある、あるいはあったではないか。そう問いただすと、「それはね、時代が変わったのさ。」と一蹴。

フランス人というと、一般には「英語が嫌いで、観光でフランスに行って英語で話しかけても返事をしてくれない」というイメージがあり、実際それはあまり間違っていないのですが、最近はむしろ積極的に英語で話しかけてきたり(こちらがフランス語しか話せない場合でも)、むしろ英語を話したい若者が増えてきています。これはまあ、日本と同じかもしれません。日本では西洋人をみかけると誰にでも英語で話しかける人がいますが、それと同じで、フランスでは非ヨーロッパ人やアジア人は、結構な割合で英語で話しかけられることがあります。

話が逸れました。
TIMEは、フランス語にすると「HEURE」になるでしょう。発音は「ウール」か「ウーア」が近い。LOOKは、複数の候補がありますが、「見る」または「見ろ」という意味だとすれば、「REGARDE」、発音は「ルギャルド」または「フギャルドゥ」が近い。確かに、これでは記憶しづらいし発音もしづらい。

でも、なんとなく寂しい気もします。個人的には、LA PIERREのように、フランスのメーカーならフランス語の名前のほうが、それらしくて好きです。

不思議なことに、イタリアの大手自転車メーカーでは、イタリア人創業者の名前を冠しているところがまだ大きい力を持っている点です。デローザ然り、ピナレロ然り、カンパニョーロ然り。フランスとの違いは何でしょう? よくわかりませんが、イタリア人はこの点、フランス人とはかなり違ったマインドセットを持っているのは、たぶん間違いないでしょう。もっとも、パーツメーカーでは、たとえばNorthwaveのように、英語のブランド名のところもあります(Northwaveはイタリアのメーカーです)。

まあ、フランスに限らず、グローバリゼーションが進む現代ではどこでも同じ。日本のアンカーも、台湾のジャイアントも英語です。だから悪いとかいう話ではありません。たぶん、これは単なる流行のサイクルです。恐らく、近い将来、日本的な名前の自転車メーカーや自転車パーツメーカーが増えることがあるでしょう。例えば、ARASHIROというフレームメーカーが出てきたりするでしょう。たまたまここ二、三十年、英語のブランド名が流行しているだけなんでしょう。

そうした視点から見ると、これはブランド名としてはかなり独創的だな、というものがいくつかあります。たとえばパールイズミ。これも半分は英語ですが、かなり変わった名前です。サーベロ。フランス語の「脳」を意味するCerveauと、「自転車」を意味する Velo とを組み合わせた造語です。こういうの、悪くないですね。

それに比べると、スペインのヘルメットメーカーなのに”Catlike”という名前だったりすると、私には違和感があります。もちろん、Catlikeのヘルメットはアントニ・ガウディの造形みたいで超独創的ですが、なぜ「猫みたい」という英語名なんだろう、と思います。なんかちょっと無理している感が強いですね。たとえて言うと、アルベルト・コンタドールの「勝利のドキューン!」ポーズみたいな(いや、Catlikeのヘルメット自体は、素敵だと思いますよ。蓮根みたいだけど・・・)

とりとめのない話になってしまいましたが、別に英語じゃなくてもいいんじゃないの、と私は思います。TOEIとかNITTOとかARAYAとか、かっこいい名前であると素直に思います。ミカシマとか、ヒラメとかシマノも良いですね。

スポーツサイクルと言語の関係は、なかなか面白そうです。ツール・ド・フランスという存在があるせいで、シクリスムにおいてフランス語は大きい力を持っていますし、自転車製作の伝統からイタリア語も強い、そして様々な国からやってくる選手たちは時に英語でコミュニケートする。

マヴィックのコスミック・カーボンというホイールは、こうしたややこしい事情を反映した名前なのかもしれません。COSMIC CARBONE というスペルですが、本来フランス語なら COSMIQUE になるはずですし、COSMICという英語を修飾しているのがCARBONE(カルボーヌ)というフランス語になっています(厳密には女性名詞である Roue (ホイール)を修飾している)。「COSMIC」という英語の製品名を持つホイールのカーボン版、それがMAVIC COSMIC CARBONEというわけです (Les roues Mavic Cosmic Carbones)。

もうなにがなんだかわかりませんね。
自転車の良いところは、乗りはじめるとこういう話し全部が果てしなくどうでもよくなる点ですね。
「乗っちゃえばどうでもよくなるんだから、名前なんか適当でいいんじゃないの。」

案外、メーカーの人もそんなふうに適当に考えているのかもしれません。

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著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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