UberEATSが変える食の機会 そして配達に適した自転車とは

今月になってはじめて食事の宅配サービス・UberEATS(ウーバーイーツ)を利用しました。非常に便利でおもしろいサービスなので、自転車乗りとしての視点も含めて思うところを書いてみます。

UberEATS

酷暑で売り上げ爆増のUberEATS

テレビ東京のWBS(ワールド・ビジネス・サテライト)が報じていたのですが、北米配車サービス大手のUberは配車事業の成長が伸び悩んでいるそうです。

その原因は各国によって異なる法規制。誰でもタクシー運転手になれる、といった感じのサービスを標準化し、世界規模で展開するのはなかなか難しいものがあるようです。

一方で食事の宅配サービス「ウーバーイーツ」部門は相当業績が伸びているようです。特に日本では8月になってから注文数が劇的に伸びているとのこと。

その理由は、酷暑です。

そのニュースを見た時、私自身この8月にはじめてウーバーイーツを利用した理由が「あー暑い。出かけたくない。でも家に食べるものがない。かと言って宅配ピザというのはつまらない…」というものだったので、なるほどーと興味深く思ったのでした。

腹減った… そういえば「ウーバーイーツ」っていうのがあったな。

街中で”UberEATS”と書かれたでっかい四角い箱を背負って走っている自転車乗りを、よく見かけるようになった…

そうか、一度使ってみようか?

と思い立ち、スマホアプリをダウンロード。配送先住所とクレジットカード情報を登録し、早速利用してみたのでした。

食べに出かけるより安上がりになることも多い

以後これまでに、マクドナルドやバーガーキング、吉野家、なか卯といったファストフード店のほか、大阪王将のような中華料理、そしてタイ料理などを注文しました。

食事の料金は各店とも店内でのイートインより若干高く設定されており、配送料はいちばん安いもので260円(距離によって決まる)、ただしマクドナルドだけはなぜか至近距離でも390円、お店がかなり離れているときで570円など、様々です(注:筆者は東京都区部在住です。配送料金はエリアによって異なるそうです)。

UberEATSの領収書

気温38度のような日にはそもそも外食に出かける気力がないのですが、そうでない日でもたとえばタイ料理を食べたいと思う時、アルコール飲料も飲むなら自転車に乗っていくわけにはいきません。また、飲まなくても繁華街に高価な自転車を放置しておきたくない、という気持ちがあります。

すると電車で1駅、2駅乗って食べに出かける時もあるのですが、地下鉄・東京メトロだと1駅でも片道170円くらいします。往復で340円。そしてその移動距離に含まれるかなりのお店が配送料260円で利用できたりするのです。

勿論、ランチタイムやディナータイムのようなピーク時や雨の日、夜遅い時間帯など配達員が不足している時は配送料が「割増料金」になることがあるのですが、それでも差額は極端に大きくなかったりします。

そして外食してアルコールも飲む時は、それなりに高くついたりするのですが、自宅で食べる時は冷蔵庫にある飲料を飲むので安く済みます。トータルでかなりお金の節約になることがあるのです。

さらに「時短」の効果もあります。1駅〜2駅離れた場所に食べに行く時、電車でも自転車でも往復で4〜60分ほどかかることが多いのですが、UberEATSの配達は(お店の距離にもよりますが)驚くほど早いです。

ウーバーイーツの画面

近所のお店なら10分以内に届くことも

近所の吉野家、みたいなファストフード店なら注文してから10〜15分くらいで届けられたりします。地下鉄で2駅離れたタイ料理店に頼んでも、30分もかかりません。大体20分以内には届けられます。

下はある日注文した「ガパオライスとグリーンカレー」のセットですが、UberEATS内のディスカウントコードを使って食事料金が1,000円。配送料260円込みで1,260円でした。

ガパオライスとグリーンカレー

お店でこのセットが仮に980円で食べられるとしましょう。そのお店までの往復電車賃が340円だとします。そしてお店で480円のドリンクを1杯飲むとします。するとちょうど1,800円。

これがUberEATSで頼めば、家で120円のアルコール缶飲料をお供に食事すれば合計1,380円です。そしてお店との往復時間約1時間が節約できます。

外食に行くという経験には「時短」を超えた価値があるのは言うまでもありません。お店までの道や店内の雰囲気を楽しみながら食べるという経験はプライスレスですが、本記事ではひとまずその点は除外しておきます

そして届けられる料理は、注文が入ってから作られる「できたてのほやほや」です。味の面では作りおきのお弁当を軽々と凌駕します。つまり、美味いのです(※吉野家の肉はちょっと固くなる傾向があるように感じていますが…)。

しかも1人前であろうが、3人前であろうが、配送料金は同じです。家族で外食に出かけることを考えれば、交通費はさらに削減することができます。

UberEATSで損をする人・得をする人

吉野家のライザップ牛サラダ

吉野家に注文したライザップ牛サラダ

さて、こんなふうに便利なUberEATSを使うようになって思ったのは、

これ、宅配ピザ屋はどんどん潰れていくんじゃないか?

ということでした。人々の可処分所得や可処分時間が有限であるように、人が食事をする機会と、宅配サービスを利用する回数は有限です。

これまでに宅配といえばピザ、近所にお店があれば中華料理、日本そば、宅配専門の寿司、またこれも近くに対応店があればですが、ハンバーガーやフライドチキンなどと、選択肢は少なくはないものの、バラエティに富んでいるとは言えない状況でした。

少なくともタイ料理店に「ヤムウンセン」や「ガイヤーン」を配達してもらう、南インドの本格カレーを宅配してもらう、ということは、簡単にはできなかった(と思う)のですが、UberEATSでそうしたことが容易になったわけです。

実際に行く機会がなかなかない「銀座の有名なスープカレー店の名物メニュー」のような料理が注文後30分で手元に届く、というすごい状況です。

店舗側がUberEATSを導入すると当然利用料はかかりますが(多くの場合、その一部は料理代金に上乗せされる)、たとえば8月の酷暑でお客さんが来店してくれない場合、手数料を引いても宅配注文があるとお店がうまくまわるという事例があるそうです。上手に利用することでUberEATSによって収益向上を実現させているレストランや食事処は増えているようです。

新しい雇用の創出

またUberEATSは「自転車による食事の配達」という新たな雇用を生み出しています(※オートバイでの配達もあります)。この雇用の創出は社会的意義が非常に大きいと感じます。

競合サービスのひとつ「出前館」は新聞販売所のネットワークを生かしています。いずれにしてもこのセグメントでの競争は今後激化すると思われますが、最終的にはUberEATSがAmazonのように独り勝ちするのではないかと考えています

調べてみると配達1件あたりの報酬は5〜600円が相場らしく(その他に各種インセンティブがある)、1時間あたりの配達件数は平均2〜3件という数字をよく目にしますが、雇用形態・労働内容の質を一旦度外視すれば、新たな雇用が生まれたのは間違いなく、それによって恩恵を受けはじめた人が存在します。

自転車に乗るのが好きで、隙間時間にアルバイトをしたい。労働時間も縛られたくない。コンビニのバイトはイヤだ。そういうマインドを持った人々にとって、面白い仕事が現れた、という感じではないでしょうか(配達員の方による不満も目にしますが、それはひとまず置いておくとして)。

一方で、UberEATSの普及によって損をしはじめている人もいることでしょう。

いちばん打撃を受けているのは、想像の範囲を出ませんが、宅配専門のピザ屋さんではないかと思います。配送料込みだからこそあんなに高価だった宅配ピザ以外にも、食事の選択肢が増えてきました。

他にもUberEATSを取り入れていない、昔ながらのお蕎麦屋さんなども苦戦しはじめているのではないでしょうか。

以前なら、どんなに暑くても人々は外食したければお蕎麦屋さんにざるそばを食べに出かけた。しかし現在は、UberEATSでざるそばを取り寄せられるようになった。するとよほど特色のあるお店でない限り、お客さんがどんどん減っていくはずです。

UberEATSによってうまくビジネスを回せるようになったお店。自由度の高い、良いアルバイトを得た人。お客さんが減ったお店。いろいろあると思います。

UberEATSの配達に適した自転車とは

さて、当ブログはスポーツ自転車がテーマのサイトなので、最後に「UberEATSの配達に適した自転車」について考えてみます。

これまでの限られた利用経験では、ウーバーイーツ配達員の方々は大体感じが良く、不快な思いをしたことは基本的にありません。日本人の方、外国人の方、いろいろいらっしゃいます。中東系(あるいはトルコ系)の外国人の方が届けにきてくれた時は、むかしヨーロッパに長期滞在していた時のことを思い出しました。

日本のコンビニや居酒屋ではたらく外国人労働者は、今でこそ珍しくはありませんが、たとえば西欧の某国では宅配と言えば、あるいは町の雑貨屋さんといえばアラブ系をはじめとする移民出身の人々がほとんど、という時代がありました(そして後述しますが、そういう社会では「チップ」が重要な役割を果たしていました)。

そしてその頃は日本のコンビニで外国人がレジに立っていたり、食事を配達する姿を目にすることはまったくなかったのですが、日本もかなり遅れてそういう社会状況になってきたな、とひしひしと感じます。

話を戻しますが、UberEATSでは食事がオートバイで配達されることもありますが、私の環境では9:1くらいの割合で、自転車で届けられます。スマホアプリの画面を見ると、配達員が自転車なのかオートバイなのかがアイコンとメッセージで示されるのでわかります。

 UberEATSアプリで配達に使用されている乗り物がわかる

UberEATSアプリで配達に使用されている乗り物がわかる

汁物はやはりこぼれがち

配送品質ですが、配達された食事が容器からこぼれていてとても食べられる状態ではなかった、というひどい経験は、幸いまだないのですが、汁気の多い食事、あるいは完全な汁物の場合、汁が容器の外にあふれていてビニール袋の中がビチャビチャしている、ということは何度か経験しました。

それらの汁物の食事は各店舗が用意した専用の容器に入れられ、厳重にラップもかけられ、その上でビニール袋に入れられていることが多いのですが、それでも汁が漏れる原因は主に2つ考えられるようです。

  1. 熱い料理はすぐにフタをすると汁が漏れる(その場合フタに穴を開けて対策する)。いずれにしても、お店側に原因がある
  2. 配達員が配達中にこぼしてしまった

前傾姿勢のスポーツバイクは汁物の配達に不利

このうち、汁のこぼれが「自転車を利用する配達員に原因がある場合」を考察してみます。

汁物がこぼれてしまう理由として単純に考えられるのは、背負っているあの「UberEATSの四角い箱」が極端に前傾したり、後傾したり、前後に激しく揺れたりすることでしょう。

短時間で効率良く配達するには、ロードバイクやクロスバイクといったスポーツ自転車が一見向いていそうに思われます。

しかしこれらの自転車はほとんどの場合、前傾姿勢を強いられます。するとボックスを背負った時に、箱または箱の内部の水平が保たれるような何らかの工夫がなされない限り、汁物の料理が残念な状態で届くことになるのは想像に難くありません。

たとえば下の画像のライダーのような前傾姿勢で配達しているUberEATSの方を街中でよく見かけますが、汁の多いヤムウンセンのようなサラダやうどんのような汁物は、まず絶望的な状態で届くはずです。

お店側もこのことを察知しているのか、たとえば私の近所の「リンガーハット」では汁物の「ちゃんぽん」が宅配可能メニューには入っていません。「皿うどん」のような汁のない料理が中心です。これはリンガーハットの「野菜たっぷり食べるスープ」を注文したい私にとっては大きい痛手です

背負った荷物が水平状態をキープできる、という意味では、背筋の伸びるアップライトなポジションが取れるママチャリのような軽快車のほうが配達には向いていると思います。

ドコモ・バイクシェアの電動シェアサイクルとの相性は良さそう

東京ならNTT DoCoMoが運営している電動シェアサイクル(ドコモ・バイクシェア)で配達している方も多いようですが、ああいう「いわゆるママチャリ型」タイプの自転車のほうが乗車時の姿勢がアップライトになるため、食事はより良い状態で届くような気がします。下のような自転車です。実際、この赤い自転車で配達されている方もよく見かけます。

ドコモのシェアサイクル

しかもこれは電動アシスト自転車なので、疲労度も少ないと思います(私も普段利用することがあります)。ウーバーイーツの配達員はこのドコモのシェアサイクルを月額固定4,000円で使い放題になるらしいのですが、非常に良い組み合わせだと思います。UberEATSとドコモ・バイクシェア。この連携はなかなか見事です。

自前のクロスバイクで配達している方もよく見かけます。しかしより多くの配送をこなすべく速く走ろうと上半身が前傾するポジションになっていたりすると、料理を入れた背中の箱が傾いていしまい、速く走れたとしても汁がこぼれて注文者からは低評価が付けられる、ということになりかねないのではないでしょうか。

愛用のクロスバイクやロードバイクで配達したい、という方は、下の記事で紹介したようなリアキャリアを水平にセッティングしてなんとかあのUberEATSの箱を乗せる、という運用にしたほうが良いような気がします。

最近リアキャリアとパニアバッグに興味を持ちはじめました。はじめて買ったパニアバッグについては、先日以下の記事で紹介しました。シンプルなバッグ...

チップ機能の早期実装が望まれる

UberEATSのアプリでは、配達員・店舗・提供された料理の3つについて個別に評価(フィードバック)を残すことができます。下がその画面です。

ウーバーイーツの配達員・店舗・料理評価画面

この中の配達員さんへのフィードバック画面には「評価とチップ」という文言があります。

そうか、チップを払う機能があるのか。素晴らしい。と思い、ある雨の夜、やや汁気のあるものをこぼさずに配達してくれた、すごく感じの良かった配達員さんにフィードバックを残す際、チップを払う画面を探しました。

しかし、なぜか出てこないのです。

どうもこの「チップ」は一部地域のみでの対応となるらしく、私の居住地域では機能していないようです。

日本ではチップ文化が定着していませんが、単純に配送件数や繁忙時間帯によるインセンティブの他に、配達品質(汁物がこぼれていない、等の)によってチップが発生するようになると、UberEATS利用者の満足度も上がり、配達員もより多くの報酬を得られる状況が発生するかもしれないので、この機能は早目に実装されるべきではないかと感じています。