軍手はニトリルグローブよりも少しだけセクシーかもしれない

国連の気候行動サミット(2019)にて、小泉進次郎環境相が「気候変動のような大きな問題は楽しく、クールで、セクシーに取り組むべきだ」と発言したことが先日大きい話題となりました。

伊豆大島・元町港(2019年9月撮影)

伊豆大島・元町港(2019年9月撮影)

小泉氏が語った言葉は、英語ではこのようになっています。

…on tackling such a big scale issue like climate change, it’s got to be fun! It’s got to be cool! It’s got to be sexy, too.

身の回りの「セクシーでないもの」を考えてみる

この発言に関するネットの反応を眺めていると、わけがわからないとか、TPOをわきまえていないとか、なぜそんな性的な表現を… という批判的なコメントが溢れていました。

その後テレビなどでは、小泉氏のこの「セクシー」という言葉は「国連気候変動枠組み条約のクリスティアナ・フィゲレス前事務局長」との会話からの引用であること、そして英語表現としては特におかしいものでないことが指摘されていました。

英語では確かに「セクシー」というのはこういう場合でも使える表現で、”Cool”の言い換え的に使えます。個人的にはこの言い回しを使う人は、いわゆる「意識が高い」人(※揶揄ではありません)、カッコいいライフスタイルにこだわる若者が多いように感じています。

政治家や企業の中間管理職、高齢の方はあまりこの用法では使いません(※印象と偏見です)。

自転車をほめる時にも使えます。たとえば

そのリアキャリア、セクシーだね!
そのカーゴバイク、セクシーだね!
Wレバーか。セクシーじゃん!

等々。どちらかというと「一般的には古めかしくて流行ってないもの、ダサいと思われているもの」を「セクシー」と表現すると、「いい感じの新しい価値観」が生まれてくるような感覚になります。

逆に

SRAM eTap AXSは… セクシーだ!

と、最先端であり、既に”Cool”なものとして受容されているもの(Coolももはや死語になりつつありますが)を”Sexy”と形容しても、あまり破壊力がありません。

この「セクシー」という表現は明瞭に定義されることを拒否しているようなところがあり、小泉氏自身も記者にその意味を問われた時に「それを説明するのはセクシーでない」と返していました。これはうまい返しだな、と思いました。

「セクシーとは○○であるということです」とは、やはり言えない。セクシーは、決まった意味を持たない。人にとって使い方も、受け取られ方も違う。

セクシーは、未知の何かである。セクシーは既存の何かによりかかることではなく、発明や、イノベーションや、意識の変革と関連がある。保守ではなく、革新である。安全ではなく、冒険である。

セクシーとは何か、を考えるのは確かに難しいですが、逆に「身の回りでセクシーでないもの」を挙げていくのは比較的容易であり、そうすることでその対局にあると思われる「セクシー」の輪郭がぼんやりと浮かび上がってきます。

が、この記事は「セクシー」の正確な意味を追求することが目的ではありません。

ニトリルグローブはセクシーか

このブログでは何度か「ニトリルグローブは便利でいいよ〜!」みたいなことを書いたことがあります。実際いまでも自宅での自転車メンテナンスや、屋外での輪行準備のときなどに便利に使っています。

とにかく薄くてかさばらないので、ツール缶などに小さくたたんで2枚入れておくのも余裕です。これは大きいメリット。そして使い捨てです。

ツール缶に収納したニトリルグローブ

ツール缶に収納したニトリルグローブ(写真右上の白いもの)

使い終わったらひっくり返してツール缶に戻したり、ゴミを持ち帰るためのビニール袋に入れたりして、帰宅後に燃えないゴミとして処理します。

しかしです。毎月結構な枚数を使ううちに、

プラスティックゴミをこんなに生み出して良いのだろうか

と思うことが増えていました。

昨年頃から、海洋を汚染するプラスティックゴミに関するニュースをよく見聞きするようになりました。スターバックスでもマクドナルドでもプラスティック製ストローのかわりに紙ストローが使われつつあります。

自分では「燃えないゴミ」としてきちんと処理しているつもりでも、日本の燃えないゴミの一部はコンテナで東南アジアの国に送られ、そこで不適切な方法で処理されているというニュースも見ました。つまり、自分が排出したプラゴミが不法に海洋投棄されている可能性は排除しきれないのです。

そして先日、東京の伊豆大島にサイクリング旅行に行ったのですが、「サンセットパームライン」という美しい道で海を眺めているとき、浜辺に流れ着いているビニール袋やペットボトルが目に入りました。

ニトリルグローブ、使う量を減らしていこうかな

と、この時思いました。

ニトリルグローブは、医療関係者にとっては必需品でしょう。しかし、安くて便利だからといって私のような人間が自転車趣味で大量に費消して良いものではないのかもしれない。

俺がやっていることは、セクシーではない

と思ったのでした。

ディスクブレーキのブリーディングなどではやはり格段に便利なので、これからも使うことは使うでしょう。使う量を減らしていけばいいのです。

とりあえず軍手はセクシーである

とうわけで、久々に「軍手」に回帰することにしました。ニトリルグローブよりは環境負荷は少ないのではないか… という期待からです。

amazonで検索したら「おたふく手袋 選べる強力3本編軍手」というものがあったので、脊髄反射的にそれを購入。しかし届いてみたらこれは「化繊軍手」と呼ばれるものらしく、素材は「ポリエステル、綿、レーヨン、アクリル」であることが判明。つまりプラスティックが入りまくりの製品ではあるのですが、とりあえず1ペアを廃棄するまでのサイクルは長そうです。

軍手とニトリルグローブ

軍手とニトリルグローブ

ニトリルグローブ1ペアをつくるために、この軍手1ペアをつくるために排出される二酸化炭素量がどの程度違うのかも本当は考えたいところですが、まずは現実的にできることからはじめてみます。焼却後のマイクロプラスティックの問題は回避できないとしても、ゴミとして廃棄する量は格段に減ってくれるでしょう。

こうした化繊軍手以外に、綿100%の軍手もあるそうです(やはり高級品になるらしい)。次はそれにしてみよう。

小泉進次郎環境相は、海外の記者に「化石燃料の脱却にはどのように取り組みますか」と問われ、一言、”Reduce.”(減らす)”と答え、記者に”How?”(どうやって?)と聞かれ、沈黙してしまう場面がありました。

このシーンを槍玉に挙げて嘲笑する動きもありますが、どのようにして化石燃料の脱却に取り組み、二酸化炭素排出量を減らせるかの「実現可能な正解」がわかっていれば、そもそも国連気候行動サミットのような会合が開かれているわけがありません。”How”の答えがわかっていたら、誰も苦労しないでしょう。

正解かどうかはわからないけれど、とりあえず何かできそうなことをやってみる。それが間違っていたら、方法を変えれば良い。最初から「間違いのない正解」を要求し、それを定義させ、行動させようとしても、こういう問題は絶対に解決しない。

プラスティックゴミの問題も、同じでしょう。軍手も、もしかしたら正解ではないのかもしれない。その時は、また別の方法を考えれば良いだけです。

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