一体いつ頃からはじまったのか。最近amazonで目にする商品タイトルは異様なほど長いものが増えたような気がします。
昔の商品タイトルはシンプルだった
一昔前までは、長くてもせいぜいこのくらいでした。
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キャットアイ(CAT EYE) サイクルコンピュータ PADRONE+ CC-PA110W
最近のamazonではメーカー名をカタカナ、カッコ入りで英字読み、というのが増えてきました。上の「サイクルコンピュータ」は商品説明というより商品名の一部と言っていいでしょう。「PADRONE+」は製品名。「CC-PA110W」は型番です。
上くらいなら、特に何かが過剰であるという感じはしません。
最近は検索キーワード狙いが増えた
しかし下はどうでしょう。人気の低価格GPSサイコン、XOSS G+の商品タイトルです。
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XOSS G+ GPSサイコンサイクリングコンピュータ、バッテリー内蔵 ハンディワイヤレスサイクリングスピードとケイデンスセンサー
もうなんかクラクラしてきます。「サイコン」と「サイクリングコンピュータ」は同じ意味です。「バッテリー内蔵」とありますがバッテリーを内蔵していないGPSサイコンというものは最近稀なので(Garmin eTrexはあるけれど)「はっ!?」と思いますし続く「ハンディ」も「えっ!?」という感じであり「ワイヤレス」もまた「有線式GPSサイコンって何かあったっけ」と無駄な疑問を発生させるだけでなく「サイクリングスピード」を目にすると今度は「サイコンなのにサイクリングスピードってくどいだろ」という感じであり目眩がします。
同じく人気のXOSSのケイデンス・スピードメーターも見てみましょう。
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XOSS新しい自転車コンピュータサイクリングケイデンスセンサースピードメーター自転車ANT + Bluetooth 4.0ワイヤレスサイクルコンピュータ
「新しい自転車コンピュータ」とありますがこれはセンサーであってサイコン本体は付属していません。また「コンピュータサイクリングケイデンスセンサースピードメーター」の部分は魔法の呪文とかお経のようでありやはり目眩がして疲れます。
推測ですが、要するにamazon内部の検索エンジンで拾われるようなキーワードを詰め込んでいるのではないかと思われます。下のF-TUBAMEのグローブなどまさにそういう感じです。
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F-TUBAME® 手袋 防寒 グローブ サイクルグローブ 3D 立体 自転車グローブ サイクリンググローブ 衝撃吸収パット スマホ対応 手袋 防水 防寒 手袋 タッチパネル手袋 滑り止め手袋 耐磨耗性 換気性 男女四色
これは完全にキーワード狙い。「サイクルグローブ」と「サイクリンググローブ」の両方があるこの過剰さが何か異常な事態が発生しているのではないかと思わせます。「手袋」に至っては4回も登場していてヤバい。ほとんどスパムです(ちなみにこのグローブはモノ自体は良いですw)。
あの大ブランドでさえ
こういうスタイルは中華製品にありがちですが、最近はCATEYE製品もこんな感じになってきているのを見て驚きました。これは間違いなく何かが起きているような気がします。
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キャットアイ(CAT EYE) ヘッドライト AMPP500 コンパクトでありながら頑丈でパワフル 最大約500ルーメン 横からの視認性を高めたサイドレンズ採用 USB充電式 HL-EL085RC HL-EL085RC
「キャットアイ(CAT EYE) ヘッドライト AMPP500」までは特におかしくないですが、「コンパクトでありながら頑丈でパワフル 最大約500ルーメン 横からの視認性を高めたサイドレンズ採用 USB充電式」の部分を見ると「キャットアイまで…何があった」と不安になります。
とどめは型番の「HL-EL085RC」が2回繰り返されていることです。型番は大事だから2回繰り返しましたということなのか。違うよね。
何が起こっている?
こんな感じでamazon掲載商品のタイトルがやたらと長く、冗長で、言葉がインフレを起こしているかのような過剰さを見せていることには、どういう理由があるのでしょうか。
ひとつには、先にも書いたようにamazonの検索エンジンにうまくひっかかるような対策なのでしょう。私はamazonに出店しているセラーではないので事情は知らないのですが「こういう書き方だとうまく行く」という攻略法があったりもするのでしょう(もしかするとamazon側がこういう書式を推奨していたりするのでしょうか)。
しかし、それも理由だとは思うのですが、本当の理由ではないと思います。
本当の理由というか、もっと深いレベルにある理由。根本原因、ルートコーズ。現象ではなく、本質。
それは「商品が増えすぎている」ということでしょう。同じような機能・性能・価格帯のモノがありすぎて、差別化が難しくなってきている。そして大ブランドの価値が下がってきている。
キャットアイのようなビッグブランドでさえ戦いが厳しくなってきていて、これまでは「CATEYE AMPP500」だけでも戦えたはずなのに「コンパクトでありながら頑丈でパワフル 最大約500ルーメン 横からの視認性を高めたサイドレンズ採用 USB充電式」という商品説明を付記しないと検索エンジンに拾ってもらえないだけでなくCATEYEを知らないamazonショッパーに興味を持ってもらうのが難しくなってきたということを意味しているのではないか。
最初からCATEYEを知っていてVOLT800が欲しい、という人間にとっては「キャットアイ(CAT EYE) VOLT800」とだけあったほうがむしろ探しやすく、他の商品と混同することもなく安心して買えるのですが、CATEYEを知らない自転車初心者の方は「このVOLT800って何だろう、隣のこの中華ライトとどう違うのかな」と疑問に思うのかもしれません。
やがて淘汰されるはず
こういう極端に長いamazonの商品タイトル、この記事を書いている2020年1月時点では絶頂という感じですが、いずれこれは規制されるんじゃないかという気がします。
長いタイトル自体が規制されるというより、キーワードを詰め込んでもその商品が上位表示されないようなアルゴリズムになっていくのではないか。
ウェブの世界では同じようなことが過去に起こっていて、もし現在amazonの商品タイトルのようなキーワードの詰め込みをウェブサイトやブログ記事のタイトル欄でやったら、一発でGoogle検索の圏外に飛ばされます。
amazonでも同じように内部検索のアルゴリズムが進化して、いずれ本当に評価が高い商品・実力のある商品が上位表示されるようになるのではないかと思います。
とはいえ、もう少し時間はかかるでしょう。いまは結構大変な過渡期なのではないでしょうか。