カメラ関連

スマホがあればデジカメはもういらない? カメラ好きのサイクリストに聞いてみた (ゲスト:すくみずさん)

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カメラ好きのCBN BLOGライターの皆さんにお話をお聞きする対談企画第3弾。今回はすくみずさんにスマホカメラについてお聞きしてみました。

すくみずさんには前回、愛用されているマイクロフォーサーズシステムについてお聞きしました。こちらもあわせてお読みください。

カメラ好きのサイクリストはマイクロフォーサーズがお気に入り? (ゲスト:すくみずさん)
サイクリストとカメラ・写真趣味は相性が良いのか、CBNレビュワーさんにもカメラ好きが多いです。 そこで今回はCBN BLOGライターでもあるすくみずさんにカメラと写真のあれこれをお聞きしてみました。お楽しみください。 マイクロフォーサーズが...

スマホへのこだわり

Xiaomi Mi9

Xiaomi Mi9

マスター(CBN BLOG編集担当。以下M):すくみずさんはスマホにはかなりこだわりがあるらしいですね。そのあたりからお聞きしてもよいでしょうか。

すくみずさん(以下S): 毎日長時間使う持ち物ですし、ここはこだわるべきだろう、ということで、新機種が出るたびに買い換えています。最近は1年に1~2回のペースで、Android端末を乗り換えて使っています。

M: iPhoneはあまり好きじゃないですか?

S: iPhone5の頃に使っていましたが、最近はずっとAndroidですね。iPhoneを選んでおけば間違いないんですが、良くも悪くも万人向けですね。Androidは端末の選択肢も多いですし、環境を好きにカスタマイズできるので、こちらのほうが私に合っています。

M: カメラ性能が良いというのも大きい理由なんでしょうか。私スマホはずっとiPhoneなのでAndroidがどれだけ良いものか想像つかないんですよね…

S: そうですね。iPhoneのカメラも出来は良いのですが、Androidのフラッグシップ機種のほうがよく写ります。最近は特に、差別化のために各社カメラにこだわっています。

M: 私のiPhone 6s plus、買った頃は結構カメラ使えるなと思ったんですが、今では画質に不満で…(笑)

カメラ以外で、自転車関連アプリも使い勝手で困ることは特にないですか。

S: アプリはAndroid版とiPhone版の両方が用意されているケースがほとんどなので、困ることは全くありません。むしろ、当たり前ですがGoogle系のサービスと相性が良いので使いやすいくらいです。

Xiaomi Mi9ってどんな感じ?

M: なるほど〜、次はAndroid試してみようかな。最近買った中で気に入っている機種は?

S: XiaomiのMi9です。春にリリースされた最新のチップセットを搭載しているのと、カメラ性能が良いので買いました。

Xiaomi Mi9

Xiaomi Mi9

M: それは日本国内で買うんですか。

S: 現在の所、国内では販売されていない機種なので、海外通販で購入しました。同性能の国内機種の半額くらいで買えるのですが。

M: じゃあやっぱりリサーチして買う必要があるんですね。Expansysみたいなショップで買うんでしょうか。良いお店ご存知でしたら教えてください(笑)

S: いつもは中華系の通販サイトを使うことが多いです。今回はイタリアAmazonから買いましたが。

M: イタリアのamazon!!

S: 当たり前ですがページが全部イタリア語で、大変でしたw でも、海外通販は自転車でさんざん使っているので慣れたものですね。

M: しかし年に1〜2回ってすごいですね。お値段はいくらくらいなんですか。

S: 今回は5万円くらいでした。

M: そのくらいで買えるのであれば良いですね。

S: 壊れることを考えると、iPhone XSみたいに10ウン万円、とかは流石にキツいですし、高性能ながらもコストパフォーマンスの高い機種を選んでいます。

M: Xiaomi Mi9、どんな感じですか。満足感は高いですか。

S: Mi9、満足度は高いですよ。いろいろ面倒なので万人にはおすすめできませんが…

Xiaomi Mi9

Xiaomi Mi9

M: これまで使ってきたスマホの中でカメラ性能は一番良いですか?

S: 最後発だけあって、カメラは良いですね。オートフォーカス等もストレス無いです。SONYのIMX586っていう最新鋭の4800万画素センサーが入ってるんですが、デジタルズームでも画質低下しにくいです。

Xiaomi Mi9 35mm換算7mmで撮影

Xiaomi Mi9 35mm換算7mmで撮影


 
Xiaomi Mi9 デジタルズーム250mmで撮影

Xiaomi Mi9 デジタルズーム250mmで撮影

M: それって等倍で見るとどうなんですか。極小センサーで4800万画素…

S: 暗い環境など、ノイズが問題になる場合は隣接する4画素をひとつにまとめて、1200万画素センサーとして振る舞うそうです。

M: なるほど、光量を束ねるんですね。すごい。おもしろそうですね、次はそれにしてみようかな。

S: 徐々に採用している機種が増えてきています。肝心の、SONYのXperia1には搭載されていませんが…

デジタルカメラに対するスマホの強み・弱み

M: デジタルカメラに対するスマホの強みって何でしょうか。

S: まず、なんといっても、いつでも携帯している、ということが最大の強みでしょうか。シャッターチャンスに出会ったとき、常に手元にある。

M: ライド中はウェアのポケットとかに入れているんでしょうか。

S: ジップロックに入れたうえでバックポケットですね。

M: おお、やっぱり蒸れたり、濡れたりしますものね。

S: 今の機種は非防水ですが、たとえ防水でもジップロックですね。汗で腐食する可能性もありますし。

M: そうか、防水ならいいってものじゃないんですね。それサイクリストには大事なポイントですね!

ところですくみずさんはガチカメラはマイクロフォーサーズを使われていますが、スマホならではの被写体、逆にスマホだと撮りにくい被写体ってどんなものだと思われますか。

S: まず、高画質な写真を撮るという性能では、スマホはデジカメにどうやっても敵わないと思います。特に、動きモノ、夜景、あと望遠は厳しいでしょうか。スマホカメラは広角なので、風景とか、記録写真的なものは良いですね。昼間ならデジカメと遜色なく撮れます。

Xiaomi Mi9にて撮影

Xiaomi Mi9にて撮影

M: 夜景はSONYのXperiaのCMとかで綺麗に撮れる、みたいなこと言ってますがやっぱり難しいのか…

S: ああ、夜景撮影はちょっとしたトリックがありまして。ご存知と思いますが、撮像素子が小さいとどうしても高感度撮影でノイズが出やすくなってしまいます。かといって、三脚に固定して30秒、とかは現実的ではありません。

なので、短いシャッタースピードで連写して、それをソフトウェアで合成する、という処理をやっているようです。もちろん、高度なノイズ処理も行っていますが。

M: なるほど、ハイレゾショットみたいなことをやってるんですね。

S: いま、スマートフォンが明確にデジカメに勝っている部分は、こういった画像処理の部分でしょうか。

スマホを風景に向けたら風景モード、料理に向けたら料理モード、猫を向けたら猫モード、などと自動で現像スタイルが切り替えて、高性能なプロセッサでゴリゴリ現像してるようです。

M: そうか、デジカメよりもいいCPU積んでるのか!

猫モードってどんな仕上がりになるんですかww

S: どういう現像なのかあまりよくわからないんですが、犬と猫を別々に認識してますね…必要なのかそれ。

Xiaomi Mi9にて撮影

M: それはサイズ感とか、瞳認識のような点で認識しているのかな? 犬のほうが鼻が長いからそれを計算しているのかw

S: いわゆるAIで画像認識してるようです。ちなみに、顔が写ってなくても猫判定できます。暗所のノイズ処理も強烈で、現像ソフトでじっくり仕上げたようなものが一瞬で出てきます。

M: なるほど、ミニセンサーの弱点をこれでもかとソフト補正してくる感じなんですね。

S: もちろん、レンズもセンサーもデジイチとは比べ物にならないくらい小さいんですが、こういった処理が優れているので、かなり健闘しています。

Xiaomi Mi9にて撮影

Xiaomi Mi9にて撮影

M: レンズは光学性能自体も良くなっているんでしょうか。

S: レンズも良くなっていると思います。最近話題のファーウェイは早くからライカと協力してレンズを作っていましたね。ただ、光学性能はやはり、大きいレンズこそ正義でしょう。

どこかで読んだんですが、今のデジカメとスマホの写真は根本的に違う方向を向きつつあるそうです。デジカメの写真はPhotography、スマホの写真はPictureだと。

M: おもしろいお話ですね。Photographyは語源の「光画」に近い意味で、Pictureは「作り込む」みたいなニュアンスなんでしょうか?

S: カメラの前にある光を集めてフィルムに焼き付けるか、風景を見て絵を描くか、というニュアンスです。

M: 焼き付けるのでなく、デジタル処理で再構築するという感じなのかな…

S: どこまでの程度かはわかりませんが、例えるなら「暗くてよくわからないけど、猫っぽいものが見えるから猫を描いておこう」みたいなw

M: なるほど、現実の忠実な再現などへの妙なこだわりがない、という感じにも聞こえますね。おもしろいですね。

S: 最近のスマホで自撮りすると、目を大きくして、肌をツヤッツヤに加工してくれるんですよ。おっさんが撮ると気持ち悪いですが。こういった写真はもはや「絵画」ですよね。忖度しながら似顔絵を描いてくれるようなw

M: SNOWとかSnapchatみたいな結果になるんですかw

S: まさに、ああいうものです。

M: すくみずさんもそういう自撮りで楽しんでますかw

S: 全くやらないですね。フロントカメラは、顔認証でロック解除するためにのみ存在します。

M: フロントカメラのほうが解像度低かったりしますか?

S: やっぱりフロントカメラのほうが解像度も低いですし、画質も悪いです背面のカメラに比べると見劣りします。

そういえば、ASUSの新型でZenfone6という機種が出たんですが、これは背面カメラが180度スイングしてフロントカメラにもなる、という機構です。これなら綺麗に撮れますね。

M: 同時に使うわけじゃないからそれでいいですよね。

S: あと、高級デジカメの専売特許だったボケの表現も、デュアルカメラとか、あるいはAI処理で再現できるようになりました。まだ不自然になることも多いですが…

スマホの弱みだった望遠レンズも、最近はデュアルカメラ、トリプルカメラで対応するものが増えてきましたし、思い出を鮮やかに残す、という意味ではもはやスマートフォンで十分なのかもしれません。 ネットとの親和性もすごく高いですし。デジカメで撮って、PCに移したり、Wifiで転送してからアップロード、とかやってられませんね…

M: ボケの表現はそのうち安いデジカメの単焦点レンズの表現に並ぶ日が来るかもしれませんね。撮影条件が限られるとしても。

ところでそのトリプルカメラってなんですか。レンズ3つ?

S: トリプルカメラはレンズ3つです。広角標準望遠に対応です。ズームレンズを仕込むより、センサーごと別に用意して並べるほうがコンパクトになるようです。

Xiaomi Mi9のトリプルカメラ

Xiaomi Mi9のトリプルカメラ

M: そんなものがあるんだ。撮影する時にどのレンズにするか自分で選んだりするんですか?

S: 機種によりけりですね。ズームしていくと自動的に切り替わったりします。

ただ、望遠レンズは光学系が長くなるので、望遠用センサーはサイズが小さかったりするんですよ。フルサイズよりAPS-Cのほうが換算焦点距離が長くなる理屈ですね。

M: あ、それはきついですね。高感度がさらにつらいですよね。

S: そうなんです。高感度がつらいんです。

M: なるほど。でもデジタルズームなんかより綺麗に撮れるんじゃないですか、さすがに。

S: で、薄暗い場所で望遠にすると、望遠レンズを使うか、標準をデジタルズームするか、自動的に判断して切り替えてくれるらしいんです…

M: 自分で固定はできない?

S: マニュアル撮影モード的なものを選べばあるいは。ただ、基本的にスマホ任せです。オートマ車を運転する時、いま何速のギヤか気にしないのと一緒です。スマホカメラは、タップするだけでいい感じに撮ってくれる方向に進化しています。

M: そうだ、ちょっと戻るんですが、すくみずさん愛用のLUMIX G8やOLYMPUS E-M10 IIってBluetoothかWifiついてましたっけ。スマホと通信させてネットに上げる、みたいなことやりますか。

S: G8もE-M10 IIもWifiがついていて、専用アプリ経由で転送できます。ただ、非常にめんどくさいです。アプリ立ち上げて、手動でカメラにWifi接続して、もっさりと写真一覧が更新されるのを待ってから、ほしい写真を選んで、転送して…

カメラにはWifiがついているが非常にめんどくさい

カメラにはWifiがついているが非常にめんどくさい

M: 結構やりますか?

S: Twitterにポイっと投稿したいときは、スマホでも同じ写真とりますね…

M: (爆笑)

S: 特にG8はアプリの出来が酷いものなんですよ。

M: 最近は本気の職業インスタグラマーがフルサイズのミラーレス一眼で撮ってそれをスマホに転送してアップ、っていう流れが(一部)あるみたいですけど、よくそんな面倒なことできるなって思います。職業なのでやれるんでしょうけど…

S: パナもオリンパスも、リモート操作ができるので、プレビューしながら集合写真を撮るときには便利ですw

M: そっか、スマホでシャッター切れるんだ。それはいいですよね。

S: Wifiがついても、デジカメの写真は基本的に、あとで見るもの、でしょうね。

M: スマホの写真はすぐに鑑賞するもの、という違いもありますね。

S: スマホでテザリングして、カメラ側から勝手にWifi接続してGoogleフォトにアップロードしてくれる機種を心待ちにしています。

M: あ、それはまさに。そんなカメラだったら理解できますよね。なぜそういうモデルが出ないのかちょっと不思議ですね。

すぐ見られるスマホ、後で見るフィルム

S: デジカメの写真を後で見るという話で思い出しましたが、知り合いの、大学生の娘さんがフィルムカメラにハマっているらしいんです。

M: ほほう!

S: すぐに写真を確認できないのが新鮮で、後日現像に出してから見るのが楽しいそうで。

M: ああ、なるほどw その方はもともとデジタルから始めたんですか。

S: そもそも、物心ついた頃にはフィルムカメラはなかったらしく…

M: フィルムとカセットテープとCDを知らない世代か… すくみずさんはフィルム、興味ありますか。

S: むかしむかし天文部で、星の写真撮るのに使ってましたよ。

M: おお、すごい!

S: 50年くらい前のフルメカニカルの機種ですね。ミノルタのSR-T101だったっけな。バルブ撮影で30分とか露光するんですが、当然ながらいっさい電池が減らないんですよ。

Minolta SR-T101

Image: Rainer Knäpper, Free Art License

M: 富士フィルムが最近モノクロフィルムを再販するという発表してました。Neopan Acros II。地味に伸びてますね、フィルム。

S: 面白いと思います。撮影枚数も限られるし、高くつくので、1枚1枚に集中しますよね。

M: 私フィルムカメラ全部売っぱらったんですが、また欲しくなってきた(笑)

二極化するカメラの世界

M: ところで最近のカメラというか写真というか、そっちの世界は、「フルサイズか、それともスマホか」みたいなことが言われるようになってきましたが、どう思われますか。マイクロフォーサーズがこの中間みたいな存在で、これからどうなるんだろうっていう声もあります。LUMIXとかフルサイズ参入してしまいましたし…

SIGMAもフルサイズ参入しましたよね。マイクロフォーサーズがちょっとヤバそう…

S: さっきも言ったとおり、方向性が違うものになりつつあるので、二極化するのは自然なことだと思います。

じっさい、1万円台のコンデジは、ほぼ絶滅しましたね…

M: コンデジ、消えましたね。オリンパスもToughシリーズのような特殊なものだけですね。XZシリーズとか消えたし… オリンパスのマイクロフォーサーズもいつのまにかラインナップがかなり整理されましたね。OM-Dが4つとPen Liteが1つだけ。

S: そういう意味ではMFTは中途半端な印象ですが…

M: でも魅力があって、便利だと思うんですよね、マイクロフォーサーズ(今日久しぶりに買った)。

S: あ、買ったんですかw

M: E-M5 IIIが夏の終わりになるという噂なので、待ちきれないからE-M10 IIIを買いましたww

S: な、なるほど…OM-Dシリーズ、ダイヤルが多くてメカメカしくて良いですよね。操作性も良好ですし。そういった操作性では、スマホカメラは到底かなわないと思います。

OLYMPUS OM-D E-M10 II

OLYMPUS OM-D E-M10 II

(スマホは)タッチパネルだとシビアな操作はできないですし、スマホカメラは、何でもかんでもオートにして、画面をタップしたら撮影できる、それでいて、いい感じの写真に仕上げてくれる。そういうものであるべきだと思います。

M: スマホカメラの魅力というか、本質みたいものは、ワンタップで撮ってあとは任せる、という感じでしょうか。

S: 的確なタイミングでタップする事すら困難なので、手ブレしてない時とか、ベストなタイミングで勝手にシャッター切ってほしいくらいです。きっと、そうなります。

M: 自分の意志が介在しない写真のほうに進むと、表現的におもしろいことになりそうですよね。

S: でも、それは自分の作品ではないので、やっぱりカメラは残ると思いますよ。

M: なるほど、個人的には(自動化されたスマホでも)その人らしさって出るような気はします、少しは。身長による目線の高さとか、被写体を選ぶところには個性も出るので。その先で個性が消える、という感じかなと想像します。違う傾向の作品になるんでしょうけど。

S: クルマが自動運転になっても、あえて運転を楽しむ人はいなくならないだろう、という話と同じだと思います。

M: おお、いい喩え! Di2とWレバーの違いかな…ちょっと違うか。

S: 夕日が綺麗だからパシャっと撮った写真と、どういう絵を作りたいか考えて撮った写真って違うじゃないですか。

Xiaomi Mi9にて撮影

Xiaomi Mi9にて撮影

M: 確かに。

S: 結果的に同じものでも、プロセスが違う。そういうプロセスにこだわる人のために、絶対にカメラは残ります。

M: そこは結構深い話ですね。カメラとスマホの違いは、プロセスを重要視するか、しないか、という違いもあるということが言えそうですね。

S: 趣味ってそういうものだと思います。Googleマップのルートを外れて、あえて細い山道を登ってみる、そういうのが楽しいんだと思います。

著者
すくみずさん

年間を通じてMTBとシクロクロスに参戦し、泥汚れと生傷が絶えないオフロードレーサー。自転車は転ぶからこそ面白い。

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