四畳半に四半世紀。
物騒な世、サバイブするnadokazuです。
というわけで、今回の駄文はこちら!
ブロンプトンでブルベを走りたい!
ラクダのコブのある自転車乗りになりたい!とは、これっぽっちも思わないけれど「ブロンプトンでブルベを認定完走した自転車乗り」には、ぜひなってみたい!
…と、思うようになりました。
そのきっかけは、このところ自分のX(旧Twitter)のタイムライン上で複数観測された「ブロンプトンでブルベを走った」というポスト。普段なら「みなさんすっげーなー」としか思わないのですが、いまはちょうどブロンプトンの外装化改造を行った直後です。
▼ 参考記事

「自分もマネしちゃおう…」という、邪悪で短絡的な思いが湧き上がってくるまでに時間はかかりませんでした。
だがしかし!
思い出されるのは、しばらく前にキャリミで霞ヶ浦一周チャレンジしたときの手痛い敗北。コースを途中でショートカットして、泣きながらスタート地点に戻るという醜態を晒して新たなトラウマをプラスしました。この過ちを繰り返すことだけは、絶対に避けねばなりません。
▼ 参考記事

「勝ち筋」を見極めろ!組み上がる勝利の方程式!!
キャリミでの霞ヶ浦一周が失敗した原因は、ハッキリしています。自転車の走行性能と自分の身体能力、どちらも完全に見誤ったからです。
そこで今回は熟慮に熟慮を重ね、勝利のための完璧なプランを組み上げました。
まずは、自転車の走行性能。うちのブロンプトンはMiniMODsのキットで外装5速化して、走行性能があからさまに向上しています。ヤビツ峠の登坂タイムすら短縮できてるレベルなので、ここは無問題と断言していいでしょう。
そして自分の身体能力ですが、14インチ3段変速の「DAHON K3」で筑波りんりんロードを200km走った実績があります。
▼ 参考記事

つまり「登坂さえなければ、ブロンプトンでも200kmブルベを走りきれる」ということ。あとは「登坂のない」200kmブルベにエントリーすればいいだけです!
とはいうものの、そんな都合のいいブルベなんて開催されてるはずありま…した。
AJ千葉様主宰、「BRM525千葉200km 霞ヶ浦1周」!!
スタート地点は、千葉県の手賀沼。そこから霞ヶ浦まで走って、グルッと一周してから戻ってくるというルート設定になっています。
特筆すべきは、峠越えはおろかキツ目の坂すら一切登場しないこと。霞ヶ浦湖畔を含め、スタートからゴールまでのすべてが思いっきり平坦。こんなの「りんりんロードを往復して200km走る」のと、ほぼ同じですやん!こんなことが…こんなことが許されてええんか!?
これで完走を阻害する要因は、すべて消え去りました。もはや、成功は約束されたも同然。
勝ったな、ガハハ!!
非情!雨予報!!
今回は我孫子スタートなので、自家用車での日帰りも余裕。タイヤのエア圧チェックとサイコンへのルートデータ転送、権利放棄書のプリントと記入などなど、本番の1週間前には自転車の積み込みを含めたすべての準備が完了してしまいました。
あとは当日の朝を待つだけ…と余裕かましていたら、天気予報が思いっきり雨に変わっています。
どうして…どうして…?
意味がわからないよ!!
そして識者の皆様にX(旧Twitter)でお伺いしたところ、「ブロンプトンで雨の中を走ると錆びる!」という、恐るべき事実も判明。
やむを得ず、DNSを決意しました。これは決して敗北などではなく、愛する自転車を大切に扱うが故の判断。天候に負けても、私は負けてない。
そうと決まれば、次の行動はDNS連絡。なんですが、その文面に悩みました。開催の労をとっていただいた運営の皆様へ最大級のリスペクトを込めつつ、苦渋の選択をせざるを得なかった無念をお伝えしたいところ。けれどDNS連絡ですから、この記事みたいに余計なことをダラダラ書き連ねるわけにもいきません。
あーでもない、こーでもない。あれこれ思案しているうちに、一度に複数のことを考えることができない残念な脳はフリーズして時間凍結状態になってしまいました。
来ちゃった…当日。
結局、文面に悩んでDNSの連絡ができないまま迎えてしまった、ブルベの当日。こうなったら、スタート地点でスタッフの皆様に直接頭を下げてDNSをご報告することにいたしましょう。
本降りの中クルマで家を出て、スタート地点の駐車場に到着。雨脚は弱まっていますが、コンディションは完全にウェットです。
しばらく車内で待っているとスタッフの皆様が受付を開始されていたので、出走ナンバーをお伝えしてブルベカードに必要事項を記入。記入済みの権利放棄書をお渡しします。
あれ…?
普通に出走受付完了しちゃいましたけど!?
どゆこと!??
はい、わたくし、その場の雰囲気に飲まれました。
ぼっちでコミュ障。だから「すみません、今日はDNSします!」とか、ビビって言い出せなかったんです。
もう後戻りできません。逝くしかない…。
ところで周りを見回してみると、小径折り畳みは自分だけ。キャリミはともかく、DAHON K3すら見当たりません。こんな平坦ブルベなのに!?
ブロンプトンで200kmブルベを実際に走ってみた。
スタート直後に最後尾!
そして、いよいよ来てしまったスタート時刻。雨は順調に弱まって、浮遊してる細かな水滴が当たってくる程度になりました。降水量は、たぶん計測限界を下回っているでしょう。とはいえ、路面はウェットで水たまり多数。レインウェアを着用していなければ、跳ね上げで背中はドロドロです。
平坦路を20km/h前後のスピードで進みますが、ロードの方々に思いっきり抜かれまくり。手賀沼の湖畔を離れる頃には、早くも最後尾でぼっち走行です。若草橋で通行料を料金箱に入れてさらに先へ進み、ひとりブロンプトンで田んぼの中を走り抜けます。
急ぐ旅ではないですし、そもそもスピードを出せるような脚力はありません。マイペースでモタモタ走ってPC1のファミリーマートに到着すると、そこにはAJ千葉のスタッフさんが待機していました。なんという手厚いフォロー…!
ここで自分がモタついているとスタッフさんは撤収できないので、ミニマムな滞在で走行を再開。間もなく、霞ヶ浦の湖畔に入りました。この辺りになると、さすがに降雨は感じなくなっています。さらに、路面もスーパードゥラーイ!!
まぁ、水たまりはたっぷり残っているし、雲行きも不安定。レインウェアはぜんぜん脱げませんけどね!
それにしても霞ヶ浦の湖畔は、相変わらず平坦加減がハンパないです。実に素晴らしい!これで気持ち良く晴れていればねぇ…すまねぇなぁ、こんな天気になっちまって…おじいじゃん、それは言わない約束でしょう。
いつもの場所でいつものように写真を撮りますが、リアフレーム周りとシートポストがドロ跳ねでやべーことになっています。これ、あとで洗車するの大変そう…。
タイムスリップしない!これが外装5速の威力!!
霞ヶ浦の湖畔を外装5速化したブロンプトンで走っていて、心底感動したのが北利根橋から土浦駅までの区間でした。
ご存知の通り霞ヶ浦の湖畔では「道の駅たまつくり」や「土浦駅」など、各ランドマークまでの距離が路面にペイントされています。それを見て、脳裏に浮かんでくるのはキャリミで走った時の絶望。なにしろ走っても走っても残り距離が減らないどころか、距離表示のペイントにすら辿り着かないのです。ツラかった…本当にツラかった…。あの心をすり減らすような無力感は、いまでも鮮明に思い出せます。
そ、れ、が!!
外装5速化したブロンプトンだと、しばらく走れば残り距離がちゃんと短くなります!!
なんということでしょう…!!
タイムスリップしない!!
ロードバイクの走行ペースには及ぶべくもありませんが、キャリミのときとは異次元の速度感で「道の駅たまつくり」に到着しました。外装変速ブロンプトン、すごい!
心を凍らせる真実!残り距離半分以上!!
フォトチェック用の写真を撮りつつ、ソフトクリームで糖分を摂取します。このペースでここまで来れたら、もう認定完走は確実と言っていいな…。余裕の勝利を確信したところで、ふと気づいたのです。
あれ?まだ半分も走れてなくない??
普段カスイチするときは土浦駅や、かすみがうら市交流センターからのスタートがほとんど。道の駅たまつくりに着いてしまえば、その先はもう終盤戦という感覚でした。
ですが!
今日は霞ヶ浦一周を、まだ3分の1程度クリアしただけ。そのうえ手賀沼までの復路、約35kmがまるまる残っています。実は、まだ200kmある全行程の半分すらも走れていないのです。
…余裕なんて、これっぽっちもありませんでした。
悪夢の向かい風!DNFの誘惑!!
ヤバすぎる現実に焦りまくりますが、ペースアップなどできるはずもありません。延々とダラダラペースで走り続けます。
ちっともスピードは出ないのですが、そこは外装5速化したブロンプトン。牛歩の歩みではあるものの、ペダルさえ回していれば確実に前に進みます。石岡のPC、かすみがうら市交流センターのフォトチェック、そして土浦のPCを最後尾でクリア。水郷橋を渡って、ようやく最終段階です。霞ヶ浦一周の残りは、およそ30km!もうちょい!!
…というところで、思いっきり強くなりました。風が。
しかも、進行方向とは逆向きです!
絶え間なく岸へ押し寄せ、湖面を白く裂く波頭。風に煽られて、大きく揺れる木々。霞ヶ浦で向かい風に吹かれた経験は何度もありますが、この吹き荒れっぷりは個人的過去最強クラスなのでは?
ここからが
ほんとうの
地獄だ…
いくら外装化によって内装変速機の駆動抵抗がゼロになっているとはいえ、向かい風のツラさは同等。そしてアップライトなポジションでペダルを回すデブった肉体は、霞ヶ浦の帆引き船のように風をしっかりと受けとめます。瞬く間に走行ペースはガタ落ちして、キャリミで走ったときの絶望が脳裏をよぎります。
容赦なく吹き付けてくる向かい風に、これでもか!これでもか!と痛めつけられて頭の中に思い浮かぶのは「D」「N」「F」の3文字。
そして自分がいま乗っている自転車は、ブロンプトン。折りたたんでしまえば、普通タイプのタクシーにだって余裕で積載可能な、スーパーフォールディングバイクです。つまり「どこからだって一切の躊躇なくリタイア可能」だということ。
ぼくはつかれたよパトラッシュ…もう走るのやめようよ…。
幹線道路に出たら、タクシー拾って帰ろうよ…。
D・N・F! D・N・F!
本能のままに行動不能に高まる衝動。
もう どうなってもいいや…。
嘘だろ…最後尾ゴール、その手前に!!
ドス黒い感情を渦巻かせながら走り続けて、どうにか古渡橋に到着。あとは、手賀沼に戻るだけです。
そして喜ばしいことに、ここで進行方向が変わります。つまり向かい風が、追い風になるのです!ヒャッハー!!
あとは追い風に乗って快走!と行きたいところではありますが、脚力はもうずいぶん前に尽き果てています。風向きが変わっても、ペースは相変わらずの激遅です。
長い長い旅路の果てに、ようやく195km地点を通過。利根川を離れたら、あとは我孫子の市街地を走行してゴールへのラストラン…というところで、今まで一切登場してこなかったアップダウンが連続して出現するようになりました。おいまじか…。
なるほど悪魔的…っ!!
200km走って極限まで痛めつけられた脚に、トドメを刺しにくるゴール地点の選定っ…!
エクトプラズムを吐きながら最終PCにたどり着き、どうにかレシートを確保。これでようやく終了…じゃないんですよね。ここからゴール受付まで、まだ10km近くが残っています。スタッフの皆様方は自分のせいで撤収できずにいるはずですから、休憩なしで走行継続です。
なんとかゴール受付まで辿り着いた頃には、陽もすっかり落ちて辺りは真っ暗。もう他の参加者は、誰ひとりとして残っていません。スタッフの皆様をお待たせしまくったことに心の中で土下座しつつ、レシートとブルベカードを提出しました。
ブロンプトンでブルベを走って、どうだった?
ブロンプトンでブルベに参加するメリットは、これだ!
車載するにしても、輪行するにしても圧倒的にラクチンです。うちの庶民カーに載せたって、助手席後部に余裕で収まっちゃう。最高!!
そしてブロンプトンなら公共交通機関でも、カートつき輪行袋「ころが~る」が使用可能。合法コロコロによる最小限の負荷で輪行して、体力を温存しながらスタート地点に到着できます。
▼ 参考記事

それだけではありません!!
ブロンプトンでブルベに参加すると、「ブロンプトンでブルベを完走した」という実績を残すことができます。
つまり「ただのブロンプトン乗り」から、「ブルベを完走できたブロンプトン乗り」になれるのです。
「マウントとりたい!!」
「ドヤ顔したい!!」
「イキリたい!!」
という矮小で卑しい欲求が、バッチリ満たせるであろうことは疑問を差し挟む余地がありません(私は最低の人間です)。
ブロンプトンでブルベを走るデメリットは?
外装5速化したブロンプトンによる、200kmの連続走行。キッツイ旅路ではありましたが、走行性能に不満を感じることはなかったです。
ただし!
走行後の疲労感は、もうハンパありません。全身ズタボロのゴミクズと化して、全身がバッキバキ。登坂ありの200kmブルベを小径ロードで走った翌日よりも、明らかに大きなダメージに苦しみまくりました。
なかでも、特にキツかったのが「腰」!
立っていても座っていても腰に痛みを感じる状態になってしまい、ブルベの翌日はソファに寝っ転がってノートパソコンで仕事をするハメになりました。身体ダメージ、マジでやべーです。
まとめ
というわけで瀕死状態になりながらではありますが、200kmブルベを認定時間内に完走できました。これで自分も「ブロンプトンでブルベを完走できた自転車乗り」の仲間入りです!
これからは、ゆるポタを楽しむブロンプトン乗りの皆さんに「俺、ブルベで200km走れちゃった人よ?」とか、ドヤ顔しつつマウントとろうと思います!
などと、人間のクズとしか形容できない最低なことを考えていたのですが
- ドヤ顔できる友達はいない。
- コミュ障だから知らない人に話しかけられない→マウントとれない。
という、残念な真実が目の前に立ちはだかりました。
わたくし、人間のクズにすらなれない、ドブネズミ以下の存在だったのです。
生まれてすみません…。
終了!!