SKSのマッドガード「Bluemels Basic(ブルーメルス・ベーシック)」のレビュー記事です。型番は11815。SKSのドイツ公式サイトでは「700 x 38-47」タイヤで使えるとされている製品で(国内流通品には「700c用 35-44c」対応との表記あり)、筆者はPanaracer GravelKing SS 700×43との組み合わせで使用しています。約2ヶ月ほど使ってきました。
この製品については先の4月に取り付け作業だけにフォーカスした記事を書いたので、ご興味のある方は是非併せてお読みいただけると幸いです。

インストール後は存在が消える
上の記事で紹介したように、このマッドガードは取り付けがとにかく大変でした。「作業に高いスキルが要求される」わけではないのですが「地味で丁寧な繰り返し作業が要求される」印象です。またステイの余った部分を切断するためには特殊な工具が必要と思われ(これも先の記事で紹介しています)、万人向けの作業性が良い製品では決してないな、と思いました。
しかし短所らしい点はそのくらいで、装着後はこのマッドガードの存在は全く意識しなくなります。このバイクではオンロード・グラベル・ダート等々、様々なタイプの道を1000kmほど走ったと思いますが、走行中に異音が生じることもなく、取り付け後のガタ・緩みも全くありません(再調整などは一切していません)。
あまりに「存在感がない」ので「この製品は本当に仕事をしてくれているのだろうか」という気になってしまいます(こういう製品は長所を積極的に評価しにくく、少し申し訳ない気になります)。たまに極小サイズの小石がフェンダーの内側に撒き上げられると「チャリチャリッ」という音がして、そういう時だけ「おっ、そこでなんかやってるな」とその存在を思い出します。
泥除けとしては勿論のこと、ダウンチューブやチェーンステイを小石のヒットによる摩耗から保護したい人にも良いものではないかと思います。塗装が弱いカーボングラベルフレームなどで使っても良いと思います(筆者はスチールフレームで使用)。
洗車の回数が減って嬉しい
導入して良かった点はまず、下のような水たまりだらけの道でも以前より気兼ねなく走るようになったこと。「洗車が面倒にならない走り方をしよう」という考え方にならないのです。
下は同じ環境で同じ時期に使っていた別のバイクです。マッドガードがないと、日によっては一回のライドでこのくらい泥汚れします(これでもまだ全然良いほう)。たまに洗車すれば良いだけなのですが、やはり時間は取られます(洗車する時間があればライドに回したい)。
一方SKSブルーメルスを装着したこちらの自転車では、大きい洗車・クリーニングの頻度が劇的に減りました。見えていないけれど、マッドガードが仕事をしてくれているからですね。下の写真ではダウンチューブに泥が少しこびりついていますが、上の自転車のような惨状には至っておらず、帰宅後はワイプオールのようなドライペーパーで拭くだけでピカピカになります。
たまにマッドガードの内側を除いてみるのですが、泥などは全然こびりついていなくて拍子抜けです(そういう様子を写真に撮れたらこの記事はもっと映えると思うのですが、何も残っていないのでした)。
私はもともとマッドガードが好きな人間ではなく、ブロンプトンでも純正の前後マッドガードを外しているほどです。なんだか無駄に重くなる感じがする・空気抵抗が増えるような気がする、という印象からそうしたと記憶していますが、ツーリング系オールロードバイクで使う分には(※輪行はしない前提のセットアップ)乗り味がモサッとするとか、そういう感じはいまのところなく、かなり気に入って使っています。
「SKSブルーメルスの感想」というより「マッドガード一般」のような話に脱線してしまいましたが、話を戻すとこのブルーメルス、インストールの壁だけ乗り越えてしまえば、あとは黒子に徹して確実に仕事をこなしてくれる頼りになる製品、という印象です。
値段は安いほうですが、安っぽさは感じません。振動が相当多い悪路を走っていてもどこか緩んだり外れそうになったりということがありません。丈夫というか、ソリッドな製品だなと感じます。
マッドガードとしての性能だけを見ると、星4つは余裕で行ける。のですが、インストール作業を思い出すと「作業環境が整っているメカいじり・DIY好き」の方でないとハードルが高い製品かもしれない、という印象は拭えず、その点を考慮してやむなく星3.5にしておきます。私自身はこれを買って後悔はしていません。結果的に良い買い物をしたと思います。
700x45mm前後のタイヤに対応するこういう組み込み型のマッドガードで入手性の良い製品は選択肢が非常に限られますし、海外掲示板を眺めていても「マッドガードのファーストチョイス・迷った時はとりあえずこれ」という地位を確立している製品のようです。じっくり作業するのが苦痛でない方にならおすすめできます。
▼ ステイの余りはこれで切断できました。破片を回収できる環境で、ゴーグルをかけて作業するのがおすすめです