吹きすさぶ風がよく似合うnadokazuです。
涙で渡るポチりの大河
夢見て走るポチりの荒野
というわけで、今回の駄文はこちら!
結論!使いものになるどころか、上位モデルの存在が脅かされる!
サイコンとして十分以上の機能を持ちながら、ナビゲーションやレーダー、パワーメーターまで対応できちゃう。iGPSPORT BSC300Tは、ゆるポタ用に最適どころかメイン機として使っても遜色ない機能・性能を持った1台でした。
そんな本機が1万円台後半(執筆当時)で買えちゃうなんて、価格がバグってるとしか思えません!
ボクの自転車が、戦闘機になる!
自転車用品のなかで、いちばん心の中の少年が気持ちを踊らせる(「いい年こいたおっさんが幼稚な精神性を剥き出しにする」という言い換え不可)装備って「スピードメーター」ではないでしょうか。
あれは、昭和のまっただ中。親から買い与えられた中古スーパーカー自転車に装着されていた機械式スピードメーターは、まさに昭和キッズの憧れそのものでした。ペダルを踏み込むたびにプルプルと震えながら角度を変えていくオレンジ色の針は、まるで最新鋭戦闘機F-86Fセイバー(当時)のコックピットに並んだ計器のように思えたものです。
そして、令和の今。そんなスピードメーターは、仕組みと形状と機能を大きく変えてGPSサイコンに変貌を遂げました。宇宙を飛んでいるいくつもの人工衛星から電波を受信して、いま自分がいる位置と移動する速度を正確に計測する。しかも地図まで表示!
なんという未来ズラ~。
愛用中のハイエンドGPSサイコンに、大きな弱点が!
昔も今も、自転車のコックピットを司る存在にほかならない「サイクルコンピュータ」。私はiGPSPORT iGS800と、Bryton Rider S810を愛用しています。
以前の記事で書いたように非常に高い機能性を有していながら、トラディショナルブランドのハイエンドモデルと比較したら激安とも言える価格設定。iGPSPORTのアプリが起動時に強制広告表示で嫌がらせをしてくる(執筆時点)こと以外、不満はちっともありません。
▼ 参考記事

ですが、そんなハイエンドGPSサイコンも実は完全無欠の存在ではない、と断言できます。私はiGPSPORT iGS800やBryton Rider S810が、極めて深刻で重大な弱点を抱えていることに気付きました。
それは「ゆるポタで使うには、オーバースペックである」ということ。
街中や河川敷やつくば霞ヶ浦りんりんロードをブロンプトンやTyrell IVEやDAHON K3やキャリミで全力走行(平均速度8km/h)しているとき、ハイエンドGPSサイコンの大画面に表示される数々の数値はもはや情報の暴力でしかありません。
私はつよつよ最強エクササイズをしているのではなく、流れる風景を楽しんでいるだけなのです。そんなシーンで3秒間平均パワーや、PWRの数値がいったいどれだけ役に立つといえるでしょうか。パワメ付けてないけど。
そう、高機能なGPSサイコンは高機能であることが弱点たりうるのです。つまり、サイクルコンピュータにも「適材適所」がある。
ここまで書けば、もうご理解いただけますよね?
私がゆるポタ用GPSサイクルコンピューターを衝動買…熟慮の末にポチったとしても、責められる筋合いはこれっぽっちもありません。むしろ「サイクリングの幸福度を最大化する、きわめて真摯で賢明な選択をした」と称賛されるべきでしょう。
ゆるポタ用サイコン、どれを買う?
物欲に目をギラつかせてAmazonを彷徨って目についたのが、iGPSPORTの「BSC300T」でした。1万円台後半のモデル(執筆時点)なのですが、どう見てもエントリーモデルのスペックではありません。
- 充電コネクタはUSB-C。
- リアビューレーダー対応。
- 液晶は2.4インチのカラーで、240×320ピクセル。
しかも!
- 6つの物理ボタンに加え、タッチパネル搭載。
ときています。
今も新品がバリバリに流通している往年の名機Garmin Edge530が「タッチ操作非対応」「画面解像度246×322ピクセル」であることを考えると、このコスパは凄くないですか?
万一、実際に使ってみて致命的に我慢できない部分があったとしても、受けるダメージは女神アクアのゴッドブロー(※女神の怒りと悲しみを乗せた必殺の拳。相手は死ぬ)程度でしょう。
というわけで、サクッとiGPSPORT BSC300Tが到着。
あとは、これから1カ月と少しの間、昼食を水道水に置き換えて耐え抜くだけ…それだけ…。
ハイエンドモデルと、どれぐらい差があるの?
iGPSPORTのサイコンは「iGS」シリーズと「BSC」シリーズで、型番的には明確なグレード分けがされています(「BiNavi」だけはなぜか別軸、たぶん大人の事情があるのでしょう)。

iGPSPORT公式ウェブサイトより引用
そんな同社のラインナップの中で「下の方のグレードの最上位モデル」に位置づけられるBSC300T。
なんですが!
公式サイトのスペック表で雑に比較してみると、意外なほど機能的な差異がありません。そりゃあハイエンドモデルと比較しちゃうと、超えられない壁は確かにあります。でも、その壁ってなんだか極めて薄い感じ。
たとえばiGS800(いまのハイエンドは「BiNavi」のほうだろ?というツッコミはやめて…欲しくなっちゃう…)と比較して、特に大きく異なっているのは
●画面が小さくて、表示できる情報量が少ないこと。
(iGS800の3.5インチ・最大12セグメントに対して、BSC300Tは2.4インチ・最大8セグメント ※ただしプリセットは最大7セグメント)
●公称のバッテリー持続時間が半分以下になること。
(iGS800の50時間以上・2050mAhに対して、BSC300Tは20時間・600mAh)
●メモリ容量が4分の1しかないこと。
(iGS800の32GBに対して、BSC300Tは8GB)
●測位に使う周波数帯が、おそらくたぶんきっとシングルであること。
(iGS800はデュアルで精度はその分高いはず)
ぐらいでしょうか。
もちろんUIや画面表示に差はありますし、トレーニング管理系の項目などオミットされている機能も多々あります。ですが実際に本機をメイン機として使っても、不満タラタラになっちゃうケースってかなり少ないのでは?
ちょっと前(オッサンの言う「ちょっと前」は軽く10年を超えることに留意が必要です)には、CATEYEのV3がスピードに加えて心拍とケイデンスを表示できることに心底驚愕していたことを思うと、実にいい時代になったものです。
普通にキチンと使える、ナビと地図。
スピードセンサー、ケイデンスセンサー、心拍センサーを接続した状態で、さらにナビゲーションによる誘導あり!というサイコンのプロセッサに負荷をかけまくった状態で、出かけてみました。
走ったルートは、富山県の「サイクルボールとやまいち(ショートコース)」。富山駅付近をスタートして、岩瀬浜や海王丸パーク、呉羽などを巡る約50kmの行程です。
富山は何度か走ったことのある場所ですが、土地勘は皆無。マップによるナビゲーションがなければ、迷走は必至でしょう。そこを敢えてサイコンのナビだけを頼りに走ることで、ナビがちゃんと使えるレベルにあるかを判断できるはずです。
で、結論。普通にちゃんと使えました。
割とマニアックな道を通ったりもしましたが、迷わずに走り切れています。マップの表示については、必要十分な表示品質が担保されていると言っていい。
ちなみにゴール地点は、なんでも世界一美しいらしいスタバがあるという富山環水公園。
実は微妙に不安だったのが「エントリーグレードのスペックしかないハードウェアに、無理矢理ハイエンドな処理をさせることでプロセッサの役不足が露呈する」みたいなパターン。
今回、複数のセンサーを接続したうえにナビで誘導を出しつつマップまで表示させているので、処理としては結構な負荷になっているはず。
なんですが!
マップの表示にプロセッサパワーを吸い取られて、その他の操作がガタガタになっちゃう…みたいなことも全然ありませんでした。画面の切り替えなども、極めてスムーズで快適。うーむ、これじゃあツッコミどころがどこにも見つかりませんYO!
マップの表示品質についても解像度が低め(対iGS800比)だけに、割と簡易的なのかな…と思いきや、6セグメント分の画面エリアを使用してなかなかの精細さ。入り組んだ交差点でルートを見失う、といったこともなく普通にわかりやすかったです。
走行情報が2セグメントしか表示できないのは、まあ仕方ないですね。
あとルート情報に関しては
- RWGPSからGPXデータをスマホアプリに送信
- スマホアプリから本機にルートデータを送信
という、2段階の操作が必要になります。ここはRWGPSからルートデータを直接引っ張ってこれるGarminに負けてます。
メインだって十分張れる。上位モデルに迫る機能性。
ナビゲーション機能が上位モデルに迫るのはもちろんですが、通常のサイコンとして使っても必要十分な機能を持っていると思えます。
スピード、ケイデンス、心拍、リアビューレーダーにパワーメーターなどの各種センサーをはじめDi2やeTapまで接続可能で、斜度表示もiGPSPORTのお家芸である(と勝手に思っている)小数点以下1桁対応です。
選択できる表示項目はもう多岐にわたり過ぎて、最大8セグメントでは足りないぐらい。なにしろシクロワイアードのサイトに掲載された記事によると、「表示項目は130種類以上のデータに対応」だそうです。多すぎィ!!
複数の画面を切り替えて使うことができるので、
- 平坦巡航用
- 登坂用
- ナビゲーション用
など、走行シーンに応じて好きな項目を表示させながら使うこともできちゃう(※プリセットの制限があるので「あらゆる項目を好きなように表示する設定」はできません)。そんなわけで仮に本機をメイン機として使っても、困るシーンはほぼ皆無な気がします。
まとめ
ゆるポタ用のサブ機として購入しましたが、メインで使っているiGPSPORT iGS800とBryton Rider S810の存在を脅かす、とんでもない高機能・高性能っぷりでした。
とにもかくにも、サイクルコンピュータとしては「できること」のほうが「できないこと」よりも圧倒的に多い印象。
しかもiGPSPORT BSC300Tは上位モデル同様のタッチパネル搭載機!使いたい画面や機能を、指先ひとつでサクサク呼び出すことが可能です。
「1万円台で買えちゃう(執筆時点)サイコンに、これだけの機能・性能があるんなら、わざわざハイエンドモデル買う必要って無くない?」ぐらいの感情は、簡単に湧き上がってきてしまいます。
私が独自に実施した大規模調査でも「BSC300Tに十分満足」という回答が100%でした( 日本陰キャ自転車乗り協会調べ n=1)。
「予算はなるべく抑えたいけど、機能や性能は高い方がいい!」というワガママすぎる自転車乗りに、圧倒的なコストパフォーマンスの暴力をふるって再起不能レベルで叩きのめす1台だと思います。
iGPSPORT…おそろしい子!!!