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よみものステム

品質の良いステム・品質の良くないステムを見比べてみる

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アルミ製のアヘッドステムの話題です。「品質の良くないステム」というものがあるとしたら、どんなものでしょうか。基本的な話かもしれないですが、あらためてプチ考察してみます。

品質の良いステムの例

人がステムに求めるものは何か。自分が求める剛性が備わっていること、自分が許容できる重さであること、自分が求める長さ・角度であること、自分にとって使いやすい仕様のボルトであること、等々、様々あると思います。しかし、それらは各製品の「品質・性能の良し悪し」というよりも「特徴」であると言ったほうがいいでしょう。

ステムを選ぶ時にそうした「特徴」の他に忘れずにチェックしておきたい「品質」という面では、最も大事なのが「精度」ではないかと思います。

下はDeda ZERO 1 BOB 31.7/120という製品です。オーバーサイズ・長さ120mm。ZERO 1を含めてDedaのステムはこれまで何度となく買って使ってきましたが、私の経験ではDedaのステムは精度面で何の不安も覚えることなく選べる良品のひとつ、という印象を持っています。

イタリアブランドの製品は精度がいい加減なものが多い、という話もよく聞きますが(私自身もハンドルやフレーム等で何度も経験したことがあります)、Dedaの製品について何らかの精度が出ていなかった、という経験は私はこれまでしたことがないです(ちなみにこのステムは台湾製)。

最近長さ120mmのステムを使う必要に迫られてこの製品を選んだのですが、TNIのHelium 6にするかどうか悩みました。TNIのステム自体も私は昔からよく使っていて、Dedaに劣らず品質の高い製品が多いという印象を持って思いますが、Helium 6は付属のボルトがM4 T20/T25だったので今回はパス(トルクスを携帯したくないため)。

また、これはロードバイクというよりオールロード・グラベルバイクなので、TNI Helium 6のような軽量製品ではなく丈夫さ・剛性を優先したかったこともあります(120mmで実測159g)。

話を品質に戻すと、このステムはハンドルクランプ側もステムクランプ側も円の精度が高く、接触面にいびつな箇所はなくバリのようなものも皆無で、ヘッドパーツのガタ取りも楽々でした。交換前のステムに比べて、ライドでも安心感が増しました。

▼ プレッシャープラグはBBB POWERHEAD BAP-03(レビュー記事)

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BBBのオーバーサイズ・アヘッド用プレッシャープラグ「POWERHEAD BAP-03」のレビュー記事です。この製品は「カーボン製のフォークコラムがステムの上まで長めに飛び出している」「ステムのクランプボルトが締め付けるエリアの裏側までしっ...

品質の良くないステムの例

ここで「品質の良くないステム」を観察してみます。Azarxisというブランドの110mmです。これはJONES H BAR形状のハンドル(レビュー記事)を使いはじめた時、「とにかく長いステムに交換しないといけないことはわかったが何mmが正解なのかわからない」ので、とりあえず安い製品でポジションを試したいと思って買ったものです(と言いつつ数百km使ったのですが)。

これは、私がこれまでの人生で買ったステムの中で最も品質が低いものでした。わかりにくいかもしれませんが、下の写真で円になっている部分の右下が大きく白く光っているのがわかるでしょうか。これは、その部分が他の部分に比べて平らでない(面が出ていない)から光がこのように反射しているのです。斜めに凹んでいるのです。こんな品質のステムが存在するのか、と驚きました。

底面のほうも面がきちんと出ていませんでした。これは「精度が出ていない」悪いステムの良い例でしょう。端っこが盛り上がっているだけなら個人的には許容できるのですが、外壁ではなく面自体に問題がありました。

平たい面にあてがってみると、こんなふうに隙間が生まれて密着しないことがわかります。

コラムスペーサーやトップキャップに接触する面の仕上げがこのような状態だと、プレッシャープラグのトップキャップを締めていってもなかなかプリロードがかからない、という現象が起きることがあります。このステムでも適正な圧をかけるのが大変でした(不可能ではなかったけれど裏技を使う必要があった)。下の写真でも、円の右下が何かおかしいのが見えるでしょうか。

しかしAzarxisステムのAmazonレビューを読み込むと、私と同じような品質問題を経験した人も複数見かけるものの、製品に満足している人もかなり多いように見えるんですね。そのためAzarxisのステム全体が良くない、というよりも、品質の悪いバッチもある、という感じなのかもしれません(しかしAmazonでの製品写真を見ると面の精度はやはり出ていないような気が…)。

このAzarxisのステムは¥1,590で、最終的に私は現在のハンドルで110mmではなく120mmのステムが合っている、ということがわかったので、これは「ポジション出し用激安ステム」としてきっちり役目を果たしてくれました。そのまま使い続けても特に問題はないような気がしましたが、例えば「中央アジア自転車の旅・タジキスタンとキルギスタンを2ヶ月!」などという旅をすることになったら、このステムはやはり換えておきたいパーツです(ポタリングでは多分問題ないのかもしれない)。

ちょっとくらい面が凸凹していたっていいじゃないか、という意見もあると思いますが、ほんのちょっとの隙間があるとプリロードをかけずらかったり、適正トルクで締めてもちょっと緩かったり、といったことがよく起こるんです(※ラッキーな時は起きないこともあります)。

こういった「面出し」が問題になってくる箇所としては、他にもフレームのBBハンガー、ヘッドチューブ上下、ディスクブレーキャリパーの装着面などがあるでしょうか。キャリパーではパッド擦り(ノイズ)の原因になることもあると思います(カーボンフレームでは面出しという概念がほぼ消えたとは思いますけれども)。

ちなみにこれまで使ってきたステムで個人的にこうした精度・品質面での問題を経験したことがなかったブランドは、Thomson/Easton/Deda/TNI/DIXNA/BAZOOKA/PRO等々。というか、ネームブランドでこんな問題のあったステムはあっただろうか? とあらためて考えると、たぶんなかったかな、と思います。

ステムは、長さと角度が決まったらそれなりに良いものを買ったほうが良いと思います。激安ステムはポジション出しに使うのであれば全然アリではないかと思います。

著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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