ブルース
飛行機雲と河川敷
鶴見川沿いを股にかけたnadokazuです。
というわけで、今回の駄文はこちら!
自転車に乗るときは、コンタクトレンズ派でした。
人生の9割以上を眼鏡野郎として過ごしていますが、自転車に乗るときだけはコンタクトレンズを使ってきました。アイウェアはノーズ部分にフレームのないバイザータイプが気に入っていて、直近で使っていたのはOGK KABUTOのFA1(調光レンズモデル)。
この「コンタクトレンズとバイザータイプのアイウェア」という組み合わせにこだわっていた理由は、割と単純明快。「より広い視界を確保することができるから」に、ほかなりません。可能な限りの安全性を担保しておきたいと考えたら、フレームありのアイウェアでわざわざ視野を狭くする意味はないよね?というのが、雑な持論です。
コンタクトレンズもう無理…!
そりゃあ乱視が十分には矯正しきれていない感じがしていたり、特有の目の中がゴロゴロする装用感が気になるシーンもあったりしますが、コンタクトレンズに致命的なネガは皆無。度付きサングラスを買う必要性なんて、微塵も感じていませんでした。
そんな事情が激変したのは、「直江津集合2025」のときです。

オーバーナイトで走り続けたあとに、陽が昇ったら一転して猛暑。目がカラカラに乾いてしまって、瞬きするたびに違和感と不快感に襲われます。
そのうえ日焼け止めを塗りたくった肌を伝わってきた汗が、思いっきり目に入ってきて痛ったーい!!
長野の市街地から先がいちばん辛くて、それこそ停車するたびに目薬を点眼する有様でした。登坂と目の不快感のダブルパンチに、もうノックアウト寸前です。
心身共にズタボロになって、這々の体でようやく直江津に到着。ホテルに転がり込んでコンタクトレンズを取り外したら、なんということでしょう!目がどえらく充血して、真っ赤っかになっています。翌日帰宅したら、嫁様からも即座に指摘されたので相当な状態だったのでしょう。充血が引くまでは、数日を要しました。ここまでヒドいのは、さすがに初めての経験。
このままコンタクトレンズを使って屋外走行を続けたら、もしかして目に取り返しのつかないダメージを受けてしまうのでは?
結論。コンタクトレンズもう無理…!
御徒町のオードビーさんに行ってみた。
とはいうものの、アイウェアなしで自転車には乗れません。そうなると、選択肢は「度付きサングラス」一択になります(なりますよね??)。
今は量販店や通販でも作れるようですが、アイウェアは自転車の安全な走行に最も重要な「視覚」に直接関わる機材。大袈裟でなく、自分の身体の一部として機能するものです。その最初の一本ですから、ここはやはり経験豊富な専門店に頼るべきでしょう。
というわけでTeamsのメンションにハートマークを付けるという、非常に難易度の高い専門業務をリモート環境で遂行しながらショップに向かいました。
足を運んだのは、御徒町のサングラス プロショップ「オードビー」さん。自転車用の度付きサングラスについてググると、必ず名前が出てくる老舗です。
ショップのサイトによると、「日本初のスポーツサングラス専門店として積み重ねた20年以上の実績」を有するとのこと。
JR山手線御徒町駅から徒歩数分の場所にあるのですが、イメージしていた「眼鏡屋さん」とはかけ離れた外観。「サングラス プロショップ」とか「オードビー」というカタカナの表記はどこにもなく、看板にはフランス語の筆記体で店名が小さく書かれているだけです(しかも素直に「オードビー」とは読みづらいスペルで!)。
黒っぽいガラス張りで外から店内の様子はよく見えず、パッと見だと「ここが店舗である」ことすら認識できませんでした。Googleマップのナビを見ながら歩いたのですが、お店の前を幾度となく通り過ぎています。
店内にはサングラスがずらりと並び、圧巻の品揃えです。準備なしで行ったら、その物量に圧倒されて何も決められずに帰宅していたでしょう。
自分は
1)オードビーさんのサイトの自転車用度付きサングラスのページで、目星を付けておく。
2)「度付きサングラス 簡易見積もり計算機」で何パターンかシミュレーションして、相応の出費になることを覚悟完了しておく。
3)いま使っている眼鏡の度数で問題がないことを再確認しておく。
という準備を済ませておいたのと、コンタクトレンズを使って自転車に乗り続けることに対する不安がかなり切実だったので、決断に時間はかかりませんでした。
オードビーさんの店内にはクラシカルなロードバイクが置かれていて、自転車用のアイウェアに深い造詣があることを予感させます。写真ですか?陰キャなので「店内の写真を撮らせてください!」とは、最後まで言い出せませんでした!!(店員さんはとても丁寧に対応してくださっています。念のため)
買ったのはこれ。
フレームはRUDY PROJECT Deltabeat(ルディプロジェクト デルタビート)。「度付きレンズの対応可能」「全周をフレームが覆うタイプを避ける」「なるべく大きくレンズの面積を確保できる」という条件で絞り込んでいったら、自動的にこのモデルになりました。レンズは3タイプのサイズがあり、もちろん小さいほうが価格は安いです。
「少しでも広い視界を確保すること」が、個人的な大命題。なので問答無用でいちばん大きなサイズを選択しようと思ったのですが、試着してみると頬骨の出っ張りがレンズの下部に当たる感じがします。うーむ、これは走っていて思いっきりストレスになりそう。ということでワンサイズ下、ちょうど真ん中のサイズにしました。
夜間の走行や照明のないトンネルを走ったりすることも想定して、調光タイプで耐衝撃素材のレンズをセレクト。普段クルマを運転するときに使っているメガネと同じ度数にしたので、視力測定もなしで注文が完了してました。
- フレームのモデルと色を決める。
- レンズのサイズと素材を決める。
- 決済する。
というだけだったので、おそらく入店から退店まで1時間かかっていません。
そしてお値段ですが、
フレームが18,700円
レンズ(調光・防弾素材)が36,300円
合計55,000円(税込)でした。
レンズをワンサイズ小さめにしたせいか、簡易見積もりの結果より少し安かったです。9月4日に注文して、仕上がったのは9月20日でした。
できあがったアイウェアはこんな感じ
外箱を開けると、ハードケースとメガネ拭き兼用(たぶん)のポーチに本体が収まっています。
写真を撮りながら観察してみると、なんだかえらく凝った造形。ブリッジのセンター部分に、わざわざ別パーツになっているエンブレムが埋め込まれていて、その両脇はベンチレーションホールとおぼしき穴が開いています。
ブリッジの下部にはウイングレット風の出っ張りがあって、なんか瞳の周りの空気の流れを調整してくれそうな雰囲気。
ブリッジの裏面、エンブレムの裏側にも謎の彫り込みがあります。両脇のベンチレーションホールから入ってきた空気の抜けを良くする意図があるとか?
テンプルの造型も凝りまくっていて、ベンチレーションホールやエアフローを意識したっぽい意匠、そして「made in italy」が誇らしげに彫り込まれています。
テンプルを畳むときにはクリック感があって、カチッと小気味よく閉じてくれます。
調光レンズを選択したので、窓際で紫外線に当てるとみるみる色が濃くなります。
ほぼ透明に近い状態だったのが、1分もしないうちにこんな感じに。写真を撮るために窓から離れたら徐々に薄くなっていくので実際はもう少し濃い印象ですね。
実際に使ってみて感じた、度付きサングラスのメリットとデメリット。
さっそく実走してみましたが、普通に快適でした。メリットとデメリットを雑にまとめると、こんな感じ。
度付きサングラスのメリットは?
自分は結構な乱視で、コンタクトレンズでは矯正しきれないレベル。度付きサングラスだと眼鏡の度数と同等の強い乱視矯正に対応できたので、そのぶん視界がシャープです。自転車に乗っていて、風景をより楽しめるようになりました。
ホームコースの鶴見川CRを夜に走ってみても、全然問題なしです。普段は近所を夜にゆるポタするとき、普通のメガネで走っていました。なんですが、やっぱり風の巻き込みで目がショボショボすることが少なくありません。
その点、度付きサングラスはラウンド形状なので、風の巻き込みもしっかり抑制してくれます。そして一番ありがたいのは、わかっていたことですが圧倒的に目がラクだということ。走り終えても、目がショボショボしない!汗が目に入ってもダメージ極小!!
そのうえコンタクトレンズを装着したり、取り外したりする手間がない!パッケージのゴミも出ない!走り出そうという気持ちを阻害するストレス要因が、驚くほど小さくなりました。
度付きサングラスのどうしようもない課題点。
重いです!コンタクトレンズ+普通のアイウェアなら、アイウェアの重量だけ。ですが度付きサングラスは、分厚いレンズの重量をモロに喰らいます。仕上がった度付きサングラスを初めて装着したときは、心の中で「重っ!」と声が出ました。
いままで使っていたOGK KABUTOのFA1に比較すると、およそ13グラムの重量増。たかが10グラムと少々ですが、装着しているととんでもない差があるように感じます。今でも装着した直後は、「重いな〜」という感覚があることを否定できません。
なんですが普段からずっと眼鏡掛けっぱなしの生活だし、走り出してしばらくしたら気にならなくなります。致命的なストレス要因にはなっていません。
それより気になるのが、レンズがラウンド形状なので周辺の視界に歪みがあること。コンタクトレンズやふだん使っている眼鏡では発生し得ないので、度付きサングラスならではの事象と言えるでしょう。
そうは言っても走行中に視界の周辺部を注視する時間は無いに等しいので、こちらも別に我慢できちゃうというか、気にしなければ気にならない程度です。
度付きサングラスって高いの?
度付きサングラス、普通のアイウェアに比べたら圧倒的に高いです!フレーム代にオーダーメイドのレンズ代が上乗せされるんだから、そりゃ当然。それはわかってる、わかってるんですが、高いもんは高い!
OGK KABUTOのFA1(調光レンズモデル)は、執筆時点で20,534円。購入した度付きサングラスは55,000円なので実に2倍以上の価格差。まぁ、レンズだけで36,300円ですからねぇ。
とはいえ、度付きサングラスは耐久消費財。それに対して自分が使っているコンタクトレンズは、使い捨てタイプです。30枚入り約3,800円なので、週に1回走りに出かけるとしたら約2年9カ月でモトがとれることになります。
イニシャルコストはバカ高いですが、ランニングコストがほぼゼロになる度付きサングラス。実は使い捨てコンタクトレンズより割安だったりするのでは…?ということに、この記事を書いていて気がつきました。
ただし調光レンズの劣化がどれだけ進行するのかは、使ってみないとわかりません。ここは「これからの使用感に乞うご期待!」というところですね。
まとめ
調光機能付き度付きレンズに換装した、RUDY PROJECT Deltabeat。「さすが5万円!」と感じられる、凝った造形と使い心地で、自己満足度は非常に高いです。
度付きサングラスにデメリットが無いわけではありませんが、享受できるメリットの方が圧倒的に大きいと感じます。使い始めてまだひと月にも満たない期間ですが、もはや使い捨てコンタクトレンズには戻れそうにないです。
むしろ「なんで今まで度付きサングラスを作らなかったんだろう…」と、後悔することしきり。自分がコンタクトレンズで自転車に乗ってきたこの17年は、いったい何だったんだ…。
n=1、しかも使用期間は1カ月にも満たない!という、乏しすぎる根拠による主張ではありますが、コンタクトレンズ派の皆様!度付きサングラスは、試す価値ありありですよ!!