Amazonで「WEERAS自転車ハンドルバー」として販売されているSurly Corner Barタイプのハンドルの使用感をお伝えします。使用開始からまだ一ヶ月程度なので初期使用感にはなりますが、このハンドルについて最初に何か言うのであれば「これ楽しい〜!!」それに尽きます。想像していたよりもずっと楽しく、おもしろいハンドルです。
私はこのハンドルを、比較的短距離(〜50km程度)のスポーティーなオフロード・ライドで使うことが多いグラベルバイクで使うために購入しました。筆者は基本的に自然の風景や空気を楽しみながらポタリングのようなのんびりライドをすることが多いのですが、このバイクでは砕石やハードパックの林道・オフロードを高速で駆け抜けるのを楽しんだりもしています。
基本スペック
最初にこのWEERASハンドルの基本スペックをまとめます。Surly Corner Barに似た形状のハンドルで、本家との大きい違いは素材がクロモリではなくアルミ、クランプが25.4mmではなく31.8mmであるところ。
サイズは次の3種類。
- 430mm*560mm
- 470mm*600mm(筆者が購入したサイズ)
- 510mm*640mm
どのサイズにするかはかなり迷いましたが、グリップ側が600mmのサイズが私にはジャストフィットでした。430mm*560mmは、人によっては膝やトップチューブに当たることもあるのではないかと思いました。また経験上、このタイプのハンドルは幅広のほうがコントロールしやすいと考えているので640mmにするかどうか大変悩みましたが、結果的に600mmでバッチリ。
あと使えるブレーキレバーやグリップの径は22.2mmです(MTBパーツを使うのが前提のハンドルです)。
セットアップはなかなか大変
セットアップ・ポジション出しは一筋縄ではいきませんでした。まずブレーキレバーの位置。溶接部の下側に付ける人も少なくないようなのでそこも様々試してはみましたが、私のライドスタイルだと下側はないな、ということがわかりました。
今度はブレーキレバーを溶接部の上に挿してテストライドしたところ、腕の位置や手首の角度はそれで良さそうでしたが、それまでフラットバーハンドルを取り付けていたステムでは低すぎて違和感ありまくりです(レーシーなロードバイクのようなポジションになってしまった)。そこでCXWXCのアジャスタブルステム(110mm)で好みの位置を探ったところ、なんとこんな位置に!
横から見ると「こんなバカみたいな高さでいいのか」と自分の目を疑ってしまいましたが、乗ってみると何故かこの位置が気持ちいい… このハンドル、多くの方がステム交換を強いられると思います(コラムエクステンダーが必要になる場合もありそう)。
「ツノ」の部分はもう少し長いほうが便利そうに思えたので、FMFXTRAのエクステンダー(レビュー記事)を取り付けました。なおケーブル類も予想以上に長いものが必要になったので、インストール時はあらかじめ安いものを用意しておいたほうが良いでしょう(高級ケーブルを使うのはポジションが固まって、使用バッグも決まってからのほうが良いかも)。
ハンドルの角度については、下の写真のようなところに落ち着きました。バーエンドが地面に対して水平ではなく、若干上向きになるような位置。ライド中はブレーキを握れるホームポジションが、フレアのあるドロップバーのフードポジションに少し似ている印象を受けます。しかしこれまで使ってきた他のどんなハンドルとも似ていない高さ・握りの位置です(下ハンなのに高い)。
ポジションがほぼ固まったところで、フラットバー部に使い古しのバーテープを巻きました(でもBROOKSのいいやつ)。ドロップ側(ドロップと呼んでいいのか)には、たまたま1本余っていたBBBのBHG-27 マルチフォームグリップ(関連記事)を被せました。
ライドの感想は…
私のWEERASハンドル、下の姿が一応の完成形になりました。このハンドル、実は最初はそこまで期待していなかったのです。でもこのハンドル、本当におもしろい。楽しい。使うたびに「これめっちゃいいな!」と呟いてしまうほどです。オフロードライドが一層楽しくなります。
コントロール性がすごく良く、状態が悪いオフロードで飛ばしてもあまり怖くないのです。もっさりしたところはなく、逆に反応がクイックすぎて怖い・落ち着かないということもない。そのためストレスフリーで楽しくオフロードを攻められるのです。
さらに登っていても楽しいんです。溶接部から下のバーを握って立ち漕ぎすると力がすごく伝わる感じがします。安定感もすごい。ツノのバーエンドはいまのところそれほど使ってはいなくて、ホームポジション(ブレーキレバーのあるところ)・フラットバー部・ドロップ側の奥と手前、その4ヶ所をよく使う感じです。下り良し・登り良し・平地の長距離も何も問題ありません。
S SENQI “H フラットバー” との比較
ところ私はJones H Loop Bar形状のS SENQI “H フラットバー”(レビュー記事)というハンドルもここ数ヶ月はかなり気に入って使っているのです。この記事で紹介しているWEERASハンドルバーは、そのS SENQIにかなり似たところもあります。しかしかなり違うところもあります。思い付くままに箇条書きで列挙してみると…
- よりツーリング向きなのはS SENQI “H フラットバー”のほうだと思う
- しかしS SENQIもこう見えてオフロード走行もかなり楽しめる
- WEERAS ハンドルバーのほうがオフロードをスポーティーに走るのにより向いている
- しかしWEERASがツーリングに向いていないかというと、そうでもないような気がする
- S SENQIのほうがポジションはだいぶアップライト。WEERASもアップライトにはなるけれど、私の場合は快適なポジションを探っていったらS SENQIよりも少し低いところに落ち着いた
- S SENQIのほうがよりエアロなポジションを取れる(頭を低くできる。舗装路での長距離巡航時や向かい風の時に良い)
- WEERASはフロントバッグを選びやすい・装着しやすい(S SENQIは使えるバッグが限られる・最奥部に付ける場合はあまり重いバッグにするとハンドリングに影響が出る)
- グラベルロード・ロードバイクメインの方にとって違和感が少ないのはきっとWEERAS
- クロスバイクやフラットバーハンドルのミニベロがメインの方はS SENQIのほうを気に入るかもしれない
ざっくりした感想としては、WEERASのほうがスポーティー。S SENQIのほうがツーリング寄り。しかしWEERASも十二分にコンフォート。どちらもすごく良い、というか私の好みのハンドル。オンロードとオフロードの比率が7:3〜6:4ならS SENQIのバイクで出かける。オフロードの割合が5割を超えたらWEERASを選ぶ。そんな感じです。
〜100kmのツーリングであれば、WEERASも問題なくこなせると思います。
品質のバラツキを考慮して臨みたい
最後に品質面を見ると、溶接部の仕上がりはあまり綺麗ではなく、大丈夫なのかという印象は正直あります。またAmazonレビューを読みこむと海外の方による破断報告があり、他には左右対称でないものが届いたという報告が複数見られます。
私が受け取った個体は幸い精度上の問題はなかったのですが、注文時はショップからの直発送ではなくAmazonにある在庫を選べる時にしたほうが返品がスムーズなので安心ではないかと思います(到着したらよく検品しましょう)。
耐久性、これは長く使ってみないとわかりません。もしこの記事をお読みいただいた方で、耐久性や品質面で安心できるならとても使ってみたいハンドルなんだけどな、と思われた方は、本家のSurly Corner Barであれば丈夫なクロモリ製で品質のバラツキも少ないでしょうからそちらも検討してみるのが良いかもしれませんね(ただ少し重く、ステムは25.4mmクランプにはなります。価格は3倍)。
先に比較対象として紹介したS SENQI “H フラットバー”は、私が今年買ったものの中でナンバーワンになるのではないかと感じていました。しかしこのWEERASハンドルバーのセッティングが決まってからは、これはもうどちらがナンバーワンになるかわからないなぁ、という感じになってきました。それくらいこのハンドルはおもしろい・楽しいものです。