サイクリングに関するエッセイ的なミニ記事です(あまり興味がない方はお帰りの前にCBN Blog読者に人気のAmazon取扱商品TOP30などを読んでいっていただけると幸いです)。
今日は、私がサイクリング中によく見かける田舎の植物について書きたいと思います。一本の記事にしたいと思うくらい、非常に強い印象を持っているからです。私は田舎(地方都市)に自転車秘密基地を持っているのですが、そこを拠点にサイクリングしているうちに、とある「3つの植物」の存在感が尋常ではないと感じるようになりました。
セイタカアワダチソウ
まずはこれ、セイタカアワダチソウ(背高泡立草)。東京でも普通に見かける黄色い花で、以前は「菜の花みたいできれいだな〜」などと呑気に眺めていたのですが、田舎では空き地・放棄地などに群生しているのをサイクリング中によく見かけるようになり、その勢いに驚かされます。「日本の侵略的外来種ワースト100」に指定されている植物で、原産は北アメリカ。花期は10〜11月。
セイタカアワダチソウは地中で根から周囲に毒を出して、他の植物の生育を妨げます(これを「アレロパシー」と呼ぶらしい)。黄色できれいなんだけれども、これがあると植物の多様性が周辺一帯から失われる傾向があるようです。東京だとさすがに下のような高さまで成長しているところは目にしません(奥多摩のほうだとあるのかもしれない)。
笹
しかし、そのセイタカアワダチソウと辛うじて戦えそうなヤツもいます。笹です。人の手が入っていない場所には確実に侵入してきて、葉の下のほうには光が当たらないのでこれもやはり他の植物がまわりから消えてしまいます(あと写真はないのですが「スギナ」と呼ばれる「つくし」が成長したやつも同じくらいたくましい)。※小動物や鳥の隠れ家にはなって良いのだけれども…
笹もスギナも究極のサバイバーと呼ばれているらしく、人間がいなくなるとまずこれらが空き地を埋めていくことが多いようです。そして、駆除も非常に難しいそうです。
アレチウリ
そして私がいまいちばん「これは本当にヤバいやつなんじゃないか」と思っているもの、それは「アレチウリ(荒れ地瓜)」と呼ばれるツル植物です。五角形でハート型みたいな葉をしていて(成長段階によって形が結構違うように見えますが)、これがいろんな樹木に巻き付いているのを田舎でのサイクリングで本当によく見かけるのです(木だけでなく笹にも巻き付いています)。
下の写真のように、木がお化けみたいになってしまいます。これも「日本の侵略的外来種ワースト100」に指定されているもので、駆除がなかなか大変なものだそうです。セイタカアワダチソウと同じく、これも北米原産。
電柱や電線も樹木と同じようにアレチウリに巻かれ、モンスター化してしまっている姿もよく見かけます。東京都区部では、こんなものは目にしません。最初は「すげえなぁ、おもしろい」などと思って愛でていたのですが、勢力が物凄いので最近は見ていて心配になってきました(ただし多年草ではなく冬になると一旦枯れるようではあります)。
空き地・荒れ地・放棄地を好むこういう植物たちをサイクリング中に見かけるようになり、この国の人間の数が減ってきていることの現れなのだろうか、と考えたりしました。人がおらず手入れをしていないところはこうなっていくでしょうし、行政は人のいないところを手入れする余裕などないでしょうから、日本の田舎はいずれどこもこういう風景になっていくのでしょうか?
どれも眺めていて個人的には面白い植物ではあり、写真を撮ったりするのは楽しかったりするのですが(こういう自然観察自体が私にとってのサイクリング・ポタリングの楽しみでもあります)、アレチウリにしても笹にしても、それが覆い隠している木々は光合成が妨げられて成長できず、日本中にある杉の山と同じような「緑の砂漠」が増えていくのだろうか、と思ったりしたのでした。
さらに、今年は日本全国で熊の出没が話題になっていますけれども、こうした植物が生え放題になっていることと、どこかでリンクしているのではないかという気もしています(単純に熊の生息密度が上がっているのかもしれませんが、手入れされていない土地が増えていることも熊の異常出没の原因のひとつだったりしないでしょうか)。
これら以外にも「うちの近所にはこんな植物が目立つよ〜」というものがありましたら是非教えてくださいね。東日本と西日本で生えているものが違ったりしないかも興味がわくところです。