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秋に心拍変動(HRV)が揺れ動くのはバグではないから君たち落ち着きなさい(海外掲示板でのオピニオン観察)

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秋になると「Garminウォッチの数字、最近おかしくないですか」という質問投稿が増えるけれど、それは全然おかしいことではない、というオピニオン投稿を海外掲示板のGarminコミュニティで見かけました。個人的にも共感するところのある面白い主張だったのでご紹介します。

秋になるとナッツを食べたくなるのは私の身体に狩猟採集時代の太古の記憶があるからだろうか…

出典 Seasonal Physiology Is Real – No, your HRV changing in fall isn’t a bug(身体の生理は季節によって変わる – HRVが秋に変化するのはバグではない)

以下、スレ主さんの主張です(抄訳)。

毎年この時期になると、HRV(心拍変動)が落ちたりストレス値が爆上がりしたという理由で、自分が使っているGarminウォッチ(またはその他のデバイス何でも良いですが)の故障を疑う人が出てきます。スクリーンショットを添付して、他の人のデータも「ちょっとヘン」になっていませんか、という質問が増えるのです。

すごいなぁと思うのは、自分の身体が季節的な変化に対して普通に反応しているだけなのだと考える人が本当に少ないということです。日が短くなり、気温は下がり、日光やルーチンが変わる。それらはすべてホルモンや睡眠、回復に影響してくるのです。HRVとストレスはそのリズムの一部なのです。

人間は他のすべての生物同様、生理(phygiology)が季節的に変化するのです。あなたの体のストレスと回復のバランスは、気温・日光・体内時計によって揺れ動くものなのです。冬や春は、HRVは下がることがあるでしょう。秋は疲労度のベースラインが高くなることがあるでしょう。それは故障や機能不全ではなく、適応なのです。

人間はどこかで、数値がほとんど変動しない機械のように動くものだと思い込むようになったのです。そのため、私達が使っているデバイスがそうした変動をきっちり示してくれる時に、それを完全に自然なフィードバックだと認識するかわりに、パニックを起こしてしまうのです。

もしあなたのHRV値が今月下がったとしても(あるいは住んでいる半球によっては爆上がりしたとしても)それはあなたの身体(またはウォッチ)が壊れたからではありません。あなたは環境に適応しようとしているのであり、それはごく当たり前のことなのです。

私達の社会は、私達が住んでいる世界からあまりに切り離されてしまったので、私達は環境が私達の生理学的システムに与える影響のことを考えなくなってしまったのだと私は時々思います。季節的な変化というシンプルな現象が起きただけなのに、r/garminコミュニティには「私のウォッチが壊れました」や「何がおかしいのでしょう」という質問が投稿されます。まるで私達が一貫性と最適化のためだけに調整された完璧な機械ででもあるかのように。

私もここ数年、同じようなテーマで考えることが増えました。

たとえば、食事についての例を挙げてみます。

私の食事はケトジェニックダイエット(低糖質・高脂肪・中庸プロテイン)が基本になる時期が多く(※全然そうでない時期もあります)、夏場はほぼ毎日、ビタミン・ミネラル・ファイバー類の摂取のために大量の葉物野菜(サニーレタスやアブラナ科の野菜など)のサラダを食べることが多いです。オリーブオイルをたっぷりかけます。これがうまい。

しかし秋になって気温が下がってくると、ある日突然、あんなに美味しかった葉物野菜のサラダを食べようと思わなくなる日が訪れるのです。それが不思議に思えて、上の方と同じように「人間は機械ではないんだ」と考えるようになったのでした。

その美味しいサラダを作るための食材は、現代では栽培・保存・輸送技術が発達していますから、一年中スーパーで手に入ります。作れなくなるわけではありません。

寒くなってきたら単純に温かいものが食べたくなるということ以外にも、人間の身体には「旬」のもの、その季節に採れる食べ物を食べたくなるという欲求・記憶が、細胞の深いところに刻まれているのではないか、と考えるようになりました。一年中同じものを食べ続けることは、それが理論的には可能でも、身体はそれを求めていないように思ったのです。

この考え方を推し進めると「旬」以外にも「地産地消」という考え方にも至るような気がします。少し大きく考えると、日本人には日本人にあった食事法があるのかもしれない。等々

同じようにトレーニングしていても、また空調が一定の空間で過ごしていても、季節の変わり目に身体データ・パフォーマンスの数値が変わってきても全然おかしくないのだろうと思うようになりました。秋から冬は身体も眠ってくる、春から夏にかけては逆に活発になる。アスリートもそういうことを加味して訓練したほうが良いのではないか、と(すごいアスリートにとってこれは当たり前のことかもしれないですが)。

なんだか当たり前の話のようですが、「人間は機械のように規則正しく動作するのではないかという思い込みがあるようだが、実際はそんな存在ではない」という考え方は確かによく忘れられがちだと思います(こういう話は解剖学者の養老孟司がよく取り上げることがあり、面白いです)。

スーパーで一年中同じ食材が手に入ったり、エアコンのおかげで一年中同じ気温で生活できるようになってから、まだ100年も経っていないわけです。人間の身体に刻まれている記憶は、もっとずっと古い。

同じようにトレーニングしているのになぜパフォーマンスが向上しないのだろう、もっと健康になりたいのになぜ体調が良くならないのだろう、と感じている人は、こういうことを意識すると少し状況が良くなったりしないでしょうか。

著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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