ウェア関連製品レビュー

Millet Typhon 50000 防水ストレッチジャケットは「バイク&ハイク&キャンプ」を1枚のアウターで済ませたい人におすすめしたい

4.5
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高機能アンダー「ドライナミック・メッシュ」シリーズでサイクリストにも人気のMILLET(ミレー)。この記事では同社から出ている「TYPHON(ティフォン)50000」という防水ストレッチジャケット(高機能レインウェア)をご紹介します。

Millet Typhon 50000

レインウェアでありながら、夏以外であれば1日中着て行動していられるほど高い透湿性を誇り、防寒具としてもソフトシェルジャケットとしても活用できるという、ガチ登山勢にとっても人気の1枚です。私はもともと「雨が降った時にしか取り出さないレインウェアを持っていくのをやめたい、雨に対応できる普段着があればそれ1枚で過ごしたい」という理由でこれを導入しました。

登山用のウェアであって、サイクリング用に設計されている製品ではないため、「雨の中を何時間も積極的にロードバイクで走り続ける」といった用途であえてこれを使う必要はないですが、テント泊込みの自転車ツーリング・バイクパッキングを楽しむ人、さらにハイキングといった山歩きも一緒に楽しみたい、という欲張りさん(=私がそう)には重宝すると思います。

降っていなくても着ていられる・行動していられる

細部を見ていきましょう。まず大きいフードは自転車用のヘルメットも問題なくカバーできるサイズです。

Millet Typhon 50000

庇の長さ・角度が、(徒歩の場合では)雨滴をいい感じに前方に流してくれます(着用時の写真が歩行時のものしかなく、すみません)。

Millet Typhon 50000

ジッパーは当然すべて止水タイプ。ハイエンド・ジャケットなのでパーツや仕上げに妥協は全くありません。生地はゴアテックスとは違い、シルクのような滑らかな手触りです。

Millet Typhon 50000

両サイドはベンチレーション・ポケットになっています。

Millet Typhon 50000

モノを入れるためのポケットでは全くなく(入れてもいいだろうけど便利ではない)、運動強度に応じて換気するためのものです。ガチの高強度で登り続けるヒルクラなどではさすがに暑いですが、登山の急登やのんびり林道サイクリングなら脱がずに体温調節できるという意味で、これはもはやレインウェアではない、と思うことがあります。

Millet Typhon 50000

このベンチレーションは縦に長いのですが横にはあまり広くなく、しかも少し高めの位置にあるので手をずっと入れっぱなしにしておくのはやや窮屈感があるのですが、ハンドウォーマー的には問題なく使えます(両手をオバケにみたいに前に垂らして入れるイメージ)。

Millet Typhon 50000

風の強い山をハイキングする時などは、暴風にさらされても全く寒くないウインドブレーカーになります。ここで大雨が加わると100%機能するレインウェアになります。着たまま歩き続けていても、とにかく蒸れが少ない。レインウェアなので蒸れが「皆無・ゼロ」になるわけはないのですが(そんなウェアはない)、汗が皮膚の表面に膜を張り尽くす前にギリで なんとか消えてくれる、そんな感じの着用感です。

Millet Typhon 50000

ハイキング・サイクリングでは、インナーに同社のドライナミックメッシュを着たり、パールイズミやMorethanのインナーを着たりします。秋〜春の自転車旅・山歩きでは、これらの2レイヤーだけで行動することが増えました。本当に寒い時は、別途ミドラーとしてマムートのゴブリン・ジャケットを加えます(ゴブリンは最高の着心地なので冬は必ず持っていくのだけれども)。

Millet Typhon 50000

これを着て自転車に乗っているところの写真がないじゃないか! と文句を言われそうですが、ソロで行動しているので残念ながらそういう写真が撮れません(超広角レンズを付けたカメラを片手で持って身体からグッと離して撮るだけでも結構大変)。

どんな人・どんな利用シーンに向いているか

冒頭で書いたように、このウェアは自転車専用設計ではありません。背中側が長めのパターンになっているわけでもないですし、深い前傾姿勢のロードバイクで雨の中を競技的に走る用途には、おすすめしません。

しかし、

  • 自転車旅行に持っていくアウターシェルを1枚だけに絞りたい(使うかどうかわからないレインウェアを持っていくのをやめたい。軽量化したい)
  • サイクリングでもハイキングでも運動中に着ていられて、雨が降ってきてもそれを着たままシームレスに活動していたい
  • キャンプ地でもソフトシェルジャケット的にそのまま着ていたい

といった人には、かなりおすすめできます(私が最近そういうスタイルの旅行になっているので、その活動を通じてこのウェアが使いやすいと思ったのでした)。

さらに、濡れていなければ、ですが、これを着たまま寝袋の中に入って寝られます。季節にもよりますが、異様なほど高い透湿性が売りのジャケットなので厳冬期ならこれを防寒具として着たまま寝ても蒸れが少ないのです。

レインウェアというと「ゴワゴワしている」というイメージがありますが、このTYPHON 50000はレインウェアとしてはゴワつきが相当少ないほうです。また登山中の岩登りでの使用も想定されていますから、上半身の動きを妨げる感じがなく、レインウェアらしからぬ伸縮性も適度にあるので、その点ではサイクリング中に着ていても大きい違和感はありません。

レインウェアとウインドブレーカーとソフトシェルジャケットの良いとこ取りをして、高いレベルでまとめる、というコンセプトの製品です。そのためどこかで妥協が発生します。このウェアではソフトシェルとしての快適さが妥協ポイントになると思いますが、それでもあまりにレベルが高すぎるので、これ一着で済ませてしまうことが多くなりました。

高強度で走り続ける競技志向のサイクリストや、自転車旅行が好きだけれど荷物はそれほど多くないし夜は旅館やホテルに泊まるという方、自転車を降りて積極的に山歩きも楽しむといった活動に興味がない方でしたら、このウェアを検討する意味はあまりないと思います(その場合はサイクリングに特化したレインウェアを別途携行して必要な時に着る、というスタイルで良いでしょう)。

しかしサイクリング・ハイキング・キャンプ(テント泊)で、運動性能を犠牲にせず、それらの行動をシームレスに行いたい、一着ですべてに対応することで行動を楽にしたい、発想をシンプルにしたい、荷物を減らしたい、という方には大変おすすめできます。

なお、TYPHON 50000シリーズには引き裂き強度のより高い「タフ」バージョンや、厳冬期向きの「ウォーム」というバリエーションもあります。この記事で紹介した私のTYPHON 50000はスタンダード版(2023年モデル)。あと下半身用のTYPHON 50000パンツも出ています。

サイズは、日本のSが欧米のXSに相当します。日本のMは欧米のSになります。このジャケットの場合、Amazonでは「S」とあったら日本のS(ラインナップの中でいちばん小さい)なので、そこは悩まずに選んで良いでしょう(Amazonならサイズを間違っても交換が簡単)。

Millet Typhon 50000

私はTyphon 50000を使ってそろそろ2年になります。伊豆大島や八丈島で早朝に大雨に降られた時は、寝袋からこれを着たまま外に出て、雨の中これを着たままタープやテントを撤収し、そこから港まで快適に走れました。神津島・新島などの山を暴風のなか歩いても問題なし。

冬に八丈島を自転車で回った時もこれを着ていました。雲取山という東京都最高峰(2017m)もこれを着て登って、山頂のテント場ではこれを着たまま寝袋に入りました。キーワードは、一言で言うとやはり「シームレス」かな、と思います。

▼ 値段はサイズとカラーによって結構違います。私は¥29,000で購入しました。セール中にそれ以下で買えたらきっとラッキー。メンズ・レディースと揃っています。

これにドライナミック・メッシュのインナーを加えて…

あとはマムートのゴブリンジャケット。この3つがあれば秋・冬・春の山岳込み自転車旅の上半身・基本形が完成します(最近の私の場合)。こちらはAmazonではサイズがユーロ表記なので選ぶ時はお気をつけください。

著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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