“輪行中年”――それは、誰もが憧れる「職業」である。
面接先で怪異に巻き込まれたnadokazuは、
ベンチャー企業『コロガール』に
新卒入社することになり…!?
というわけで、本日の駄文はこちら!
ころが〜る!唯一無二(多分)の「キャスター付き輪行袋」
株式会社大久保製作所。自転車乗りには、ブランド名の「マルト」の方が知られているでしょう。ホイールを車体に素早く固定できるフック付きゴムバンド「りんりんバンド」など、ツボに刺さりまくる輪行アイテムでお馴染みのメーカーさんです。
そんなマルトが製造して、ブロンプトンの代理店だったミズタニ自転車さんから別注アイテムとして発売されている輪行袋が「ころが〜る」。
底面にキャスターが装着されていて、『鉄道会社の規定に左右されることなく、安心して輪行をお楽しみいただけます。(ミズタニ自転車公式サイト ころが〜る商品ページより引用)』まさに「唯一無二の機能を持った輪行袋」だと言えるでしょう。
楽しい輪行サイクリングで「楽しくない!」と感じる時間とは?
輪行サイクリングが、大好きです。渋滞なし。事故や遅延のリスクも、極々僅か。空調の効いた車内でシートに座って快適に移動して、旅先で走り出せば「非日常」はすぐそこ。鉄道旅行と自転車旅行をダブルで楽しむ、素晴らしい体験が確約されています。
けれど、そんな輪行サイクリングにひとつだけ「楽しくない!」と猛烈に感じる時間があります。それは乗車/下車や乗り換えで、「自転車を抱えながら駅構内を移動する時間」です。
階段を昇降したり先頭/最後尾の車両までホームを歩いたりといった、普段は別になんとも思っていない行動。それが輪行中だと、ショルダーベルトを肩に食い込ませながら重く巨大な自転車と荷物を抱えながら格闘する地獄タイムと化します。
車重8kgに満たないDAHON K3ですら、抱えて歩くと改札のすぐ先にあるエレベーターが永遠の彼方になる。旅先での最高の体験に不可欠なアイテムである自転車が、駅構内の移動中だけは耐えがたい苦痛を与える呪いの装備となって1歩進むごとにHPを削りやがるのです。
サイズの大きなロードバイクだと、それはもう筆舌に尽くしがたいレベル。わたくし、最近はロードの輪行を完全に諦めました。
輪行旅って、本当に快適で楽しい体験のはず。それなのに、なんだかいっつも旅の終わりに「自転車抱えてホーム移動するのが辛かったー」という微妙な思い出が乱入してくるんですよね。
これさえ…これさえ無ければ!!
合法コロコロ輪行が快適に!「ころが〜る」のここがイイ!
そこで光り輝くのが、「ころが〜る」の機能性。床面に装備されたキャスターで、鉄道会社の規則に抵触することなく快適なコロコロ輪行ができます(2回目)。
「キャリーカートを使えばよくない?」という考えが頭をよぎるのですが、キャリーカート輪行の最大の問題点は、自転車が横向きになること。いくら折り畳み自転車がロードバイクとは別次元のコンパクトさを誇るとはいえ、縦向きとは差があり過ぎます。トランク2個分以上の幅を余裕で占有しちゃうので、混雑時間帯のターミナル駅だと邪魔にならないよう普通に手持ちするケースも少なくありません。そうなるとキャリーカートの重さがある分、負荷がプラスされて楽になるどころか丸損です。
▼ 参考記事
それが「ころが〜る」だと、「縦向きでの転がし移動が可能」!!
最小の前方投影面積で駅構内をスイスイ移動できて、人が多い駅での構内移動時もコロコロ運搬がストレスレス。神経のすり減り方も、もう段違いに少ないです。「ころが〜る」での輪行とキャリーカートを使った輪行、もはや「別モノ」と言えちゃいます。
これまでキャリーカートごと自転車を持ち上げて通過しなければいけなかった狭い場所だって、コロコロしたまま通過できちゃいます。バリアフリー非対応自動改札しか置かれていないJR鶴見駅西口からだって、きわめてスムーズに乗降できちゃいました。
いやー、「ころが〜る」最高ですわ!!
大きい!重い!「ころが〜る」のここが微妙!!
さてさて、そんな「ころが〜る」ですが、ネガが無いわけではありません。
公式サイトには「収納するとコンパクトになる」と書かれています。とはいうものの、ふだんPEKOさんのウルトラコンパクトなお手製超軽量輪行袋を愛用している身からすると収納時の「ころが〜る」は、あまりにも巨大です。スマートフォンと比較すると、その大きさがわかりやすいでしょう。
一般的なブロンプトン用輪行袋(写真左上)との比較ですら2倍以上の専有面積があり、体積に至っては3倍を超えるのでは…。
キャスターやそれを固定するためのパーツがあるので、重量だって相当なもの。なにしろほぼ金属製の「変形マイクロキャリー」よりも、重量/格納サイズが上回ってしまうのです。
公式サイトによると、重量は1,920g。2リットル入りのペットボトルを持ち上げて感じる重みを、イメージしてみてください。厚みがあるので、体感はそれ以上。かなりのずっしり感で、片手でヒョイッと持ち上げるのはちょっと遠慮したい感じです。
「ころが〜る」付属の収納袋にはサドルにぶら下げるためのストラップが装備されているので、車体への装着は普通に可能。とはいえ、形状的にきっちり固定するのは困難。車体を振れば、そこそこの揺れが生じます。
でもまぁ「普通に走っている分には、そこまで影響を感じない」というレベルなのも正直なところ(注:執筆者は相当のニブチンです)。ではありますが、それも数キロ程度が限度でしょう。走っていて、不快になる未来しか見えません。それに、やっぱりこのサイズ感はちょっとなぁ…。正直、自転車に取り付けながら走るのは躊躇われます。
とはいえ、これは仕様上「どうしようもないこと」なので、諦めるほかありません。キャリーカートを使ったときと同様、サイクリング中は駅のコインロッカーに収納したり宿泊先のホテルに預けたりするなど、旅先での運用に工夫が求められるでしょう。
「ころが〜る」を使って、輪行旅行に出かけてみた!
2回目の「どこかにビューーン!」で、大当たりを引きました。今回の行き先は、秋田県の大曲です。往復割引を使っても、32,340円(執筆時点)のチケットが6,000ポイント!もう笑いが止まりません。
▼ 参考記事
周辺の観光情報をいろいろと検索した結果、1駅手前の角館で途中下車してサイクリングだけでなくローカル線の旅も一緒に楽しむプランにするのがよさそう。登坂ありのルートにはしないので、自転車はDAHON K3!キミに決めたっ!!
K3のサイズならポチった「ころが〜る」にも、難なく収納可能ですし。
それはさておき、「ころが〜る」には普通の輪行袋と少しだけ仕様の違う箇所があります。それは自転車収納スペースに、2本のベルトが内蔵されていること。
ひとつは、短めの赤いベルト。これはブロンプトンのリアフレームと、バッグ底部の固定用です。
そしてもうひとつ長目の固定用ベルトが、収納時は2つ折りになっている底板パーツの中央部にあります。
このベルトは、畳んだ自転車のフレーム上部に通して締め付けます。これによって折れ曲がった床板パーツの中央部分が持ち上げられ、輪行袋の底面が床に接触しないだけの空間が生まれるという寸法です。「ころが〜る」を開発された方、天才か!?
あとはチャックを締めて袋を閉じるだけ。ショルダーベルトを斜め上に引くようにして歩けば、驚くほど軽々と畳んだ自転車を移動させられます。しかも、前述のとおり移動時の前方投影面積はミニマムです。
格納時は本体カバーを床板パーツで包み込むようにして折り畳んで、付属のベルクロで固定するだけ。あとは付属の収納袋に格納すれば、一丁上がりです。ふだん使っている輪行袋を畳んで収納するときと、手間も時間も大差ありません。
秋田新幹線「こまち」で使ってみましたが、使い勝手は、上々です。コロコロ移動が感涙モノのラクチンさだったことはもちろん、ショルダーベルトでヒョイッと持ち上げられるのも最高でした。
東京駅で「こまち」に乗車するときは新幹線ホームと車体の間隔が通常より広くて、専用のステップが展開されたりするのですが、そんな場所でも無駄な神経と労力を使うことがありません。
ブロンプトン以外の自転車でも使えたりする?
Amazonの商品説明や公式サイトで「ブロンプトン用輪行袋」と銘打たれているとおり、「ころが〜る」はブロンプトン用に開発販売されている製品です。とはいえ折り畳み時のサイズがW630mm×H610mm×D260mm以下の自転車であれば、もちろん収納は可能。というわけでDAHON K3には、余裕で転用できました。
ブロンプトンもDAHON K3も持っている自分(折り畳んだ状態なので実質0台)には、1粒で2度美味しいアイテムと言えます。
ただし!
このW630mm×H610mm×D260mmは、折り畳んだブロンプトンにかなりピッタリのサイズ。折り畳み寸法がブロンプトンを上回る自転車が入る余裕はこれっぽっちもありません。
「そんなこと言ってもさぁ、実はTyrell IVEが入ったりするんじゃないの〜?」と考えた浅はかな素人が実際に試してみていますが、その淡い期待はものの見事に打ち砕かれています。
「ころが〜る」をTyrell IVEやBirdy、Irukaなどに転用することはできません!残念ーっ!!
まとめ
「ころが〜る」を使うと「重くて大きな輪行袋を携行してサイクリングする」または「コインロッカーや宿に預けて出発駅に必ず戻る」という運用を強いられるので、旅の行程にはそれなりの制限をかけられてしまいます。
けれど、そんなネガを補って余りある「快適な輪行」が約束されることは間違いありません。ブロンプトン乗り、DAHON K3乗りで、輪行時の運搬負荷に悩んでいる方に「ころが〜る」は、絶対の自信を持ってオススメできます(n=1)。
あと個人的なマル必は、PEKOさんのお手製超軽量輪行袋との併用。最初にお手製超軽量輪行袋に入れた後「ころが〜る」に収納することで、バッグの内部をチェーンオイルなどの汚れからバッチリ保護できます。
しかも併用すれば『「ころが〜る」は宿に預けておいて、旅先のローカル線ではお手製超軽量輪行袋を使って輪行する』といった、旅先での使い分けも可能。プランニングの自由度が、グッと広がります。
ちなみに私が「現地までころが〜るで輪行、旅先はPEKOさんの輪行袋でローカル線輪行してサイクリング!」という使い方をしたときは、ローカル線乗車時に思いっきり雪が降ってきてサイクリングは中止せざるを得ませんでしたけどね!(号泣)
そして最後に、これだけは書かずにいられません。ハッキリ申し上げます。本品「ころが〜る」には、きわめて重大かつ致命的な問題点がひとつだけ残されています。
それは「ブロンプトンとブロンプトン以下の収納サイズの自転車でしか使えない」というぴったりサイズ故の制限。
「ころが〜る」のべらぼうな快適性を知ってしまったら、Tyrell IVEやTyrell FSXやTyrell FXでも「ころが〜る」を使いたいよー!!という感情が爆発するのは必然です。
そして、この感情を放置するとどうなるでしょう?
そう『「ころが〜る」に収納できて、車重が7kg台で、4段以上の外装多段変速を装備した折り畳み自転車が欲しい…!』という、あまりにもヤバすぎる感情がぶち上がる危険性が加速度的に高まってしまうのです。
▼ 参考記事
とはいうものの、これまで数々の物欲をはね返してきた経験から「不測の事態は起こりえない」と断言できます。安心しろ、私は、どんな拷問にも決して屈しない!
ですからメーカーさんには全長/全高を200ミリほど延長した「汎用版ころが〜る」も、是非是非開発をしていただきたいです。お願いです…お願いですうぅううう!!!