ズンズンズンズン…
知恵と 力と 勇気のほのおだ
世界を照らせ 正義のポチり
もえる もえる もえる家計が
nadokazuです。
というわけで、本日の駄文はこちら!
その名は「どこかにビューーン!」目的地は「どこか」!
JR東日本から、非常に興味深い企画商品が発売されています。その名は「どこかにビューーン!」。
JR東日本が運営しているポイントプログラム「JRE POINT」を利用する特典チケットなのですが、2つの注目ポイントがあります。
注目ポイント(1)通常の特典チケットよりも、はるかにお得!
ひとつは、取得に必要なポイント数の劇的な少なさ。往復でなんと「6,000ポイント」という設定で、これは通常の特典チケットと比較しても破格です。JR東日本のサイトでは
通常のJRE POINT特典チケット(往復):24,220ポイント
どこかにビューーン!(往復): 6,000ポイント
という例示がされていて、場合によっては「通常のおよそ4分の1程度」というとんでもなくお得なポイント数で特典チケットが利用できることになります。
こいつは凄いぜ!!
注目ポイント(2)行き先は思いっきり運任せ!
そして、もうひとつ。行き先が申込時に選択肢として提示された4つの新幹線駅のうち、システムで決定された「どこか」になること。完全に運任せ(裏側ではいろいろなパラメータがあるのでしょうが)。ふつうは最初に決めるべき旅先が、最後まで決まらない。申込時に「行き先が確定していない」という、ある意味トンデモな旅行商品です。
選択肢としてピックアップされる行き先は、JR東日本管内の新幹線駅(首都圏近郊を除く)で、「個人的にはまったく未知の場所」も含まれます。
情報ゼロの場所にだって、システムの決定によっては半ば強制的に連れて行かれてしまう。「どこかにビューーン!」を利用すると、その時点で「普通じゃない旅」になることが確定しちゃいます。
「使いにくそう」「楽しそう」あなたは、どちら?
これを「使いにくそう」「不確定要素が不安」と感じるのではなく「楽しそう」「面白そう」と感じられるのであれば、格安輪行旅行の大チャンス!私?もちろん後者です。
そうそう、JALには「どこかにマイル」、JR西日本にも「サイコロ切符」という似た仕組みの切符があります。こっちはこっちで、とても面白そう。機会があれば使ってみたいですが、飛行機怖い民の自分はマイルを貯めづらいし、「サイコロ切符」も恒常的な施策としては実施されていないようです。
実際に申し込んでみた。
JR東日本の管内に居住していて、JRで通勤したりVIEWカードを使って駅ナカで買い物したりという生活をダラダラ続けていると、割と「いつの間にか溜まっている」のがJREポイント。
登録したことすら忘れていたので久々に確認してみたら、保有ポイントは普通に6,000を上回っていました。マイナポイントをJREポイントで受け取っていたはずなので、それが大きかったのかも。最初の難関「6,000ポイント」は、知らず知らずのうちにクリアできていました。
せっかくだから、俺はこの旅先ガチャ切符をポチるぜ!
さっそく「どこかにビューーン!」のサイトにアクセスしてみます。日付、発着駅、出発/到着の時間帯を選んで「この条件で検索する」ボタンをポチッとな。
表示された候補の4駅が気に入らなければ、同じ条件で再度検索。いい感じの候補駅が出揃うまで、リセマラを繰り返します(1日に再検索できる回数には制限があるので注意)。
他の3駅はいい感じなのに、最後の1駅が「軽井沢」でコレになったら特典利用の意味半減!!みたいな候補駅の並びが続き、なかなかいい感じの候補が揃いません。
最終的に申し込むことにしたのが、この4駅。
- 新青森
- さくらんぼ東根
- 田沢湖
- 長野
新青森まで行ければ、もう最高。さくらんぼ東根も田沢湖も行ったことがないので、未知の体験ができる機会を超絶なコスパで獲得できます。そして万一「長野」という結果になっても、普通に大好きな場所なので無問題。
どんな結果になっても、これなら「ハズレ」はありません。躊躇うことなく「この4つの駅で申込む」ボタンを押下しました
目的地決定!当たりの駅は引けたのか?
数日後、行き先が決定した旨の通知が到着。さっそくアクセスしてみると、その結果は…
長野でした。
今週末の予定は、長野遠征に決定です!オラ、ワクワクしてきたぞ!さっそくルートを詰めて、泊まるホテルも決めなくちゃ!
と、仕事タイムだというのにウッキウキに…なれません。なんだろう…心の奥底に蠢くモニョった感情は…?
先述の通り、長野は大好きなエリアです。嶺方峠を越えて白馬に降りれば、それだけで超絶ハッピーになれるのは確定事項。松川に架かる橋の上で白馬連峰を眺めれば、多幸感に包まれるでしょう。この未来予測は、疑いようがありません。
そりゃあ、乗車距離は候補駅の中でいちばん短いし、何度も行ったことがある場所。でも長野駅だってリセマラを繰り返して、厳選された候補駅のひとつ。間違いなく「当たり」です。ただ「大当たり」ではなかった。それだけ。
ち、ちげーし!
別にハズレなんて思ってねーし!
泣いてねーし!
意外に多いぞ!格安特典切符の制限事項!!
いろいろ思うところはありますが、もう予定は変えられません。まずは座席指定を確定させないと…ということで、さっそく「えきねっと」にアクセスします。指定された列車の座席選択画面を表示してみると…あれ?なんだか、ちっとも空きがありません。
窓側は、もう見る影もなく全滅。通路側も、空席があるのは車両前方ばかりです。3列席の真ん中ですら、最後尾も車両後方の荷物置き場に近い席もすべて埋まっています。
ココカラナンテ エラベナイヨー!
こうなったら、もういい!!キャンセルだコラー!!と思って払戻規定を調べたところ、こんな記述が。
列車確定後の取り消しでは、払戻手数料がご利用ポイントと同数となるため、JRE POINTは戻りません。
つまり、キャンセルしたら「6,000ポイントをドブに捨てることになる」ということ。ぐぬぬ…申し込んだ時点で、すでに逃げ道なし。もはや、自分の負けを認めざるを得ません。
仕方が無いので通路側でいちばん後方(と言っても、車両の中間付近)の席をイヤイヤ選択。
他の列車にしたい!というのは、もちろん無理。乗れるのは、指定された列車「だけ」。長時間の並びを覚悟するので自由席で車両最後尾座席の確保を…とも思ったのですが、問い合わせたところ自由席に移ることすらNGという回答でした。
復路はなんとか車両最後尾窓側を確保できましたが「予定より大幅に早く駅に着いちゃった」といった場合も、列車の変更は不可。指定列車の出発時刻まで、延々待ち続けることになります。自転車という、特大荷物を抱えたままで!
さすが格安特典切符。制限事項は、もうモリモリです。
そして、さらなる惨劇が!!週末の長野の天気予報が、どんどん悪化していきます。走っている最中に雨が降ってくる確率は、どう少なく見積もっても100パーセント。あーあ。
天気予報に逆転勝利!!希望の未来へ、レディー・ゴー!!
天気予報は一切好転することなく、出発の日を迎えました。「自転車でわざわざ雨の中に突っ込んでいく旅」のスタートです。とほほ…。
確定している、ズブ濡れの未来。でも、チキン弁当はいつもと変わらぬ美味しさです。
もちろん、雨対策はバッチリ。大枚はたいて揃えたmont-bellのレインウェアは、その価格に十分見合う性能を誇ります。雨の中を、100kmだって快適に走れるでしょう。そして自分自身もブルベやサイクルボールの参加中に雨に降られて、雨天走行の経験を積み重ねてきました。
雨の中を、わざわざ走りたくはない。けれど、降ってくるものは仕方ない。こんな風に「雨を諦められる」という、地味にイヤなレベルアップを果たしています。
(先達の皆様の、雨天ライドに関する情報提供には深く感謝申し上げます)
だとしても!
走るなら、雨より晴れの方がいい。これは、世界を統べる絶対法則です。
長野駅で下車。自転車を組み立てて、走り出します。せっかくの遠征なのに、雨が近いからどんより空模様でしょう。俺の心も曇り空だよ!あーあ。
陰鬱な気持ちで顔を上げると…あれ?
ちょっと雲はありますが、バッチリ晴れています…。むしろ「素晴らしい秋晴れ」と言って差し支えない、気持ちのいい天気。
こ、これは!!天気予報…ハズレた!?
ということは!
峰方峠の絶景写真をX(旧Twitter)にポスト(旧Tweet)して、画面の向こうで皆さんが歯軋りする様子を想像しながらクズい愉悦に浸ることも夢じゃない!!
ニチャア…。
邪悪な心でキモい笑みを浮かべながら走っていると、茂菅大橋の手前に到着。そして目に付いたのが、こんな看板でした。
今日は嶺方峠〜白馬を経由して、信濃大町に宿泊する予定です。この天候なら最高の景色を堪能できることが確定しているうえ、坂のツラさレベルも把握済み。これ以上にない安牌ルートで、このまま直進すれば幸せは確定しています。
人、これを「勝ち確」と言う!
なのですが、自分はこう思ってしまいました。
「本当に、このまま直進して良いのだろうか?」
今回は「行き先の確定しない切符を買う」ことからスタートする、「リスクを厭わない旅」です。それなのに「勝ち確ルートを進んでわかりやすく最良の結果を得る」というのは、どうにも腹落ちしません。
「そういえば、戸隠って行ったことないなぁ…」
「確か、“ろんぐらいだぁすツーリングガイド”で、嶺方峠ライドのオプションルート的に紹介されてた気がする。ってことは、オマケレベルの負荷で行けるよね…」
普段なら絶対にスルーする心の声に敢えて耳を傾け、左折してみました。ちょっとぐらい走行距離が増えたところで、何も影響はないはずです。
しばらく進むと、なんだか危険なニオイがプンプンする坂が登場。でもまぁ、走り始めのサラ脚です。ちょっとぐらいの坂なら、全然耐えられます。
なかなかパンチのある坂でしたね(ゼーハーゼーハー)
でもまぁ余裕でクリアしましたよ(ゼーハーゼーハー)
キツい斜度の区間が思ったより長いのは(ゼーハーゼーハー)
ちょっと想定外でしたけどね(ゼーハーゼーハー)
出発から1時間も経たずにズタボロですが、ペダルを止めて横を見てみると、これですよ、これ!!!
駅から出てホンの数キロ走るだけで、こんな山々の真っ只中です。やっぱり、長野は半端ありません。ところで、この道、いつまで経っても平坦にならないんですが…?
そして道路脇には絶望に顔を歪めた貧脚自転車乗りを嘲笑う地獄の門のエンブレム、斜度10%の看板が登場。
それが、何度も!何度も!!何度も!!!
挙げ句の果てには、サイコン読みでもこの斜度です。ちょ…おま…やば…やめて…赦して…。
薄れゆく意識の中で、私は思ったのです。なぜ「戸隠の方を回ってみようかな」などという、完全な思い付きを実行に移してしまったのか。どうして最初にヤバい斜度の坂に出くわしたとき、そこで引き返さなかったのか。
あまりにも浅はかで、愚かな存在。それが他ならぬ自分自身であるという救いようがない現実を突きつけられると同時に「長野から戸隠への道は、地獄の道である」と、身をもって学びました。
それにしたって、こっちはド貧脚の素人です。もう少しこうなんというか…手心というか…。
でもでも、長野の山はそんな想いを「痛くなければ覚えませぬ」と一刀両断してくるんですよね。お願いですから、もう勘弁してください。
延々続く、終わりの見えない絶望の登坂。ところどころで自転車を停めて写真を撮りながら(ち、ちげーし!脚付きじゃねーし!!)、戸隠の名勝地として名高い「鏡池」にどうにか到着。
ちょっと風があったので水鏡にはなっていませんが、紅葉はバッチリです。登坂の苦労が報われました。
戸隠連峰は、荒々しい岩山に根付く木々がとてもいい感じです。
サイクルラックの脇には、スタンプラリーのPOPがありました。どれどれ…?
そりゃそうですよね!電動アシストなしの自転車で戸隠を走るスタンプラリーなんか開催したら、もう屍累々で大変なことになるでしょう。
鏡池からは、しばらくダウンヒルになります。地獄のヒルクライムで散々な目に遭ったけれど、結果的には冒険してよかった。ここまで走った自分を、褒めてあげよう。秋晴れの空の下に佇む戸隠連峰を眺めながら、殊勝な気持ちに浸っていると…。
はい、再びキッツイ登坂の時間です!まぁ、当然でしょう。自分が走っているのは、長野県の山の中。登り坂に出くわすのは、もう諦めるほかありません。でも、戸隠まで登坂してゴミクズになった脚に「距離2.8km/獲得標高184m/平均斜度6.8%(RWGPSによる)」は、堪えますねえ…。実に…。
長野の道路を司る神様には、人の心とか…ないんか?
思い知れ!天気予報の精度の高さを!!
戸隠まで約25km、さらに追加で2.8km。登坂のダブルパンチで満身創痍になりつつ到着したのは、標高1,055mの大望峠。
「伝説の谷」らしいのですが、一体何が伝説なの?
と思ってググってみると、
鬼無里と戸隠の境にある標高1,055mの峠。鬼が一夜で築いたと言われる一夜山、戸隠連峰最難関の西岳が目の前にそびえ立ち、天気の良い日には北アルプスの山々が見渡せます。
長野県公式観光サイト「GoNAGANO」より引用。
ということらしいです。
大望峠から鬼無里までは、再び束の間のダウンヒル。そして鬼無里を過ぎたら、嶺方峠までは距離12.5km/獲得標高389m/平均斜度3.4%(RWGPSによる)のヒルクライムです。平均斜度の緩さは唯一の救いですが、こっちはもう1,000m以上登らされて脚のライフは完全に喪失された状態になっています。
坂…つら…。
リア32Tを発動してギリギリ登坂に耐えていると、さっきまで気持ちよく広がっていた秋晴れの空を、瞬く間に分厚い雲が覆い尽くしていきます。なに、この天候急変!?
そして、ついに雨粒がヘルメットやサイコンを叩き始めました。レインウェアを着用するほどの雨量でもないので、そのままペダルを回し続けます。
いよいよ白沢洞門の入口です。トンネルを抜けると、眼前には白馬連峰の絶景が広がりました!
驚きの白さで!!
はいはい、わかってましたよ。どうせこんなことだろうと思ってましたよ。
朝からの秋晴れが1日続くんじゃないか、なんてただの夢物語でしたよ。
無駄に期待を高めてしまったせいで、失望への落差は最大値。雨と涙に頬を濡らしながらレインウェアを着用して、白馬に下りました。
大出の吊り橋も、当然ズブ濡れ。いつもAACRで絶景を楽しんでいる松川に架かる橋の上からも、見えるのは果てしない白さで霞む景色だけ。
仁科三湖も華麗にスルーして、本日の宿である信濃大町のルートイン到着。RWGPSによると、走行距離95.1km/獲得標高1,905mでした。
失われた栄養(めし)を求めて
想定外の戸隠ヒルクライムで膨大なカロリーを消費してしまったので、失われた栄養を補給しなければなりません。
夕ご飯に選んだのは、洋食レストランの「くんくん亭」さん。自転車乗りの身体をつくるのは、たんぱく質が豊富な鶏肉!ということでチキンカツをお願いしたのですが、運ばれてきたお皿を見て目を疑いました。
何かの冗談としか思えないサイズで、iPhone2台分を優に超える面積があります。しかもこのチキンカツ、厚さもすげーです。iPhoneどころかAir Podsのケースぐらいあります。いったい、どれだけの量の肉が使われているのでしょう…。
そして肝心のお味ですが、ひと言で申し上げると最高です。多すぎかも?と思ったソースも、肉厚のカツとのマッチングが完璧で完全に適量。至福の時間を過ごしました。
携帯電動ポンプの威力を、またまた思い知る。
そして翌朝。今日は夕方までに長野駅に着けばいいので、余裕過ぎるスケジュールです。チェックアウトの時間ギリギリまでダラダラ過ごし、自転車を組み立て…あれ?なんだか前輪の様子が…。
パ、パ、パンクしてるー!!!?
どうしてー!? 昨日宿に着くまでは、普通に走ってたのにー!!!???
混乱しながらホイールからタイヤを外すと、リムテープの盛大なズレを発見。いろいろやっても復旧できないので、諦めて応急的に手持ちのキズパワーパッドを貼り付けました。
他にパンク要因はないか念のためリムの内側をなぞっていると、チクリとした感触が指先に伝わります。けれどタイヤを外から見た限りでは、まったく異常がありません。気のせい?
タイヤの内側をじっくり確認してみると、針金が飛び出しているのを見つけました。
お前の犯行かーーー!!!!
爪の先で摘まんでみますが、ビクともしません。悪戦苦闘の末、ようやく引きずり出してビックリ。見えていたのは、折れ曲がった先の一部分だけ。あとは全部タイヤの中に埋まった状態でした。いったい、何をどうすれば、こんなことになっちゃうの!??
でもまぁ原因さえわかって除去できてしまえば、後は普通にチューブを交換するだけ。そして、今日も心底思い知りました。電動ポンプは、もう最高です。ポンピングの苦労がゼロというのは、パンク修理の心理的プレッシャーを劇的に低下させますね。
それにしても自転車の神様、最後にわざわざこんなオチ付けなくてもよくありません!?
まとめ:6,000ポイントで、冒険しよう!
行き先が運任せにはなるものの、わずか6,000ポイントで往復新幹線を使った遠征が楽しめる。「どこかにビューーン!」は、絶大な魅力を持った特典切符です。
ただ、それだけに制限は多く、一切の融通がききません。最後尾の座席が取れないどころか、往復3列シートの真ん中という結果も全然あり得るでしょう。JR東日本の新幹線に特大荷物スペース規定はないので、最後尾席を取っていなくても最後尾スペースに荷物を置くことはルール上問題なしのはず。ですが、落ち着かないったらありません。
なので「泊まりでガッツリ走る」というよりは、荷物置き場に入る折り畳み自転車を使って「日帰り観光の足として自転車を使う」ぐらいの活用のほうが合っているかもしれません。
あとは「どう6,000ポイントを貯めるか?」ですが「JREポイントの効率的な貯め方」みたいなサイトはググればいくらでもヒットするので、参考にするとよいかも。
「どこかにビューーン!」を使った旅は、自動的に「リスクを取ることを厭わない旅」になります。それって、つまり「冒険」ってやつですよね?
JR東日本管内にお住まいの自転車乗りの皆様、「どこかにビューーン!」で大人の冒険、してみませんか?