まだ会ったことのない自転車用品を、
さがしているnadokazuです。
これって…もしかして…
俺たちは夢の中で…
おきなわってるー!?
というわけで、本日の駄文はこちら!
沖縄!それは、至高のサイクリング体験ができる場所!!
彩度の設定がバグっているかのような、鮮やかすぎる海の色。突き抜けるような青空と、南国ならではの風景がペダルを踏み込むたび目に飛び込んでくる。これを「至高」と言わずして、何と言うのでしょうか?
次から次へと繰り出される絶景を目の当たりにしながら走ってしまったら、冷静さを保てるはずなどありません。「最っ高ぉお!」と叫んで脳内麻薬を垂れ流し続けるような、まさに至高のサイクリング体験ができるでしょう。
沖縄は、控えめに言って最高です。
真冬に屋外を快走する、たったひとつの冴えたやり方。
横浜住みの自分にとって、2月は「冬用ウェアをフル装備しても屋外を走りたくない」と感じる季節。特に茨城方面に遠征しようものなら、明け方は普通に氷点下になります。いくら頑張って早起きしても、人間が生存できる温度域まで気温が上がる9時頃まではクルマの中で震えて過ごすほかありません。地獄!!
だがしかし!沖縄なら、そんな悩みは一切なし!!!
なにしろ真冬真っ只中の2月ですら、「晴れた日中なら半袖ジャージでもオッケーの季節」になってしまうのです。本州とは比較にならない、おそるべき温暖な気候。多くの現代人を悩ませるスギ花粉も飛散していない静謐な空気の中で、存分にサイクリングが楽しめます。
「関東にこの冬最強の寒波が来てるなら、沖縄に行って走ればいいじゃない!」
高笑いする心の中の悪役女王に、すべての脳内国民はひれ伏すしかありませんでした。
沖縄一周!その果てしなく高い壁!!
私が独自に行ったとても信頼性の高い調査では「沖縄本島を走るならグルッと一周すべきだ」という強い意向を持ったサイクリストの割合が、実に100%を占めていることがわかっています。
※執筆時に脳内イマジナリーサイクリストを対象として調査を実施(n=1)
「沖縄を一周して、最高のサイクリング体験がしたい!」これは、全人類が等しく抱く願望なのです。
しかしながら沖縄一周サイクリングを現実のものとするには、いくつもの高い高い壁が立ちはだかります。
ひとつは、「交通手段の壁」。一般的な沖縄への渡航手段は、飛行機しか選択肢がありません。那覇便が潤沢に飛んでいる首都圏エリアならともかく、1日1便しかなかったりする地域からだとハードルはこの時点で爆上がりします。
次に、「走行負荷の壁」。沖縄本島の外周をグルッと一周すると、距離はだいたい380km。獲得標高に至っては、およそ4,000mに及びます。どれだけエクストリームなサイクリストの方でも、これを1日で走りきるのはさすがに不可能なはず。
そうなると「宿泊を伴うプランニングの壁」が出現し、「休暇を取得する壁」までが強制付与されてきます。複数日の走行になるということは「荷物運搬の壁」も、避けることができません。
しかも!
「交通費と宿泊費の壁」が、絶望的な高さになって立ちはだかってくる。なんだよこれ…もう一生かけたって、沖縄一周なんて無理なのでは?
いくつもの壁を、どうやってクリアする?
「交通手段の壁」を越えろ!
飛行機輪行のリスクを考えると、JALかANAを使いたいところ。素人的には早期予約の割引やセールを狙うしかないように思えますが、このあたりは「航空券 格安」とかでググった方がより確実な情報が得られるはずです。
「宿泊を伴うプランニングの壁」を越えろ!
ルート情報については、「サイクルボールおきいち」のルートがパク…参考になるでしょう。
このルートでは1日目は名護(約79.1km/662mUP)、2日目は東村(約149.5km/1,925mUP)、3日目は与那原(約102.6km/1,125mUP)まで進み、4日目に那覇(約51.7km/522mUP)に戻る3泊4日のプランになっています。
2日目がかなりキツめな反面、4日目は余裕ありまくり。これは那覇出発/到着の時刻を、正午付近に設定しているから。1泊目を備瀬や古宇利島にしたり、3泊目をうるま近辺にするなどで走行負荷の調整を図ることもできるでしょう。
2泊3日で一周できる?
このプランを見たとき、真っ先にこう思いました。3泊4日の日程を、せめて2泊3日に短縮できないだろうか?と。
自分のような底辺労働者にとって「4連休の取得」は、無理ゲーに近いミッション。けれど2泊3日なら、3連休があればいいのでリアリティレベルが桁違いに高まります。そのうえ1日分の滞在費用も減らせて、予算的なメリットも極大。
朝イチの便で沖縄入りしても、那覇空港をスタートできるのは10時近く。そうなると日没の時間と、宿の数を考えて1日目は古宇利島(約121km/1,098mUP)辺りが限界でしょう。2日目に宜野座(約150km/2,258mUP)まで行き、3日目に那覇(約113km/943mUP)まで戻れれば2泊3日での沖縄本島一周は可能に思えます。まぁ、机上の空論ですが。
このプランの懸念は、とにかく時間に余裕がないこと。那覇空港のラウンジにあるシャワールームで汗を流せそうですが、ちょっとの寝坊で即アウト。空港到着が時間ギリギリになって、汗だくのままジャージとレーパンで搭乗!という最悪のパターンに陥る可能性すらありえます。
自分の走力だと、2泊3日はかなり無理がある印象です。というか、よくよく考えたら沖縄まで行ったのに「走るだけ」で帰ってくるのはちょっと寂しいですよね。
沖縄の右上部分は、食料調達に注意&夜間走行は非推奨!
沖縄一周の走行プランを考えるうえで、最も思案のしどころになるのが「本島の右上部分をどうクリアするか」でしょう。
セブンイレブン国頭辺土名店を過ぎると、次のコンビニはローソン名護瀬嵩店。およそ100kmにわたって、コンビニ空白区間が続きます(執筆時点)。日中であれば道の駅や共同店(集落の住民が共同で出資・運営する売店で、食料・飲料・日用品なども販売されている)が点在しているので、そこまで補給に困ることは無いはず。
しかし共同店の閉店時間を過ぎた途端に、食料・飲料を調達するハードルが跳ね上がります。飲食店どころか自販機すら見かけないレベルなので、宿泊が素泊まりプランなら夕食や朝食は事前の確保が必須。
さらに、このエリアは街灯が皆無です。夕方に共同店で買い物をしていたら、地元の方に話しかけられて「夜は真っ暗になるから危ないよ〜!」と思いっきり心配されました。
こちとら深夜の碓氷峠を登坂した経験もあるし、信頼と実績のVOLT800を装備しています。気持ちは嬉しいけれど、さすがに心配しすぎでしょ…と感じていました。その時は。
けれど陽が落ちたあとは想像を超える、まさに「漆黒の闇」でした。クルマに乗っていても不安になるほどで、ヘッドライトの照射範囲以外は吸い込まれるような黒さ。このエリアの夜間走行は、全力で回避一択です!
「荷物運搬の壁」を越えろ!
自分とまったく同じ日程で、同じTyrellに乗って沖縄一周にチャレンジされているご夫婦とエンゲージしました。遥か彼方の沖縄で、Tyrellの3台並びが実現。
「奇跡だよ!」
「あ、あなたは!」
(♪Hand in Hand〜)
それはさておき、そのご夫婦は「巨大サドルバッグ」「フレームバッグ」「フロントバッグ」さらにバックパックまで背負って走行されていました。まぁ3泊4日ともなれば、そうなりますよね。この装備で、沖縄本島右上エリアの2,000mUPをクリアされたのか…凄すぎる…。
全行程で4日分のフル装備を運搬する、という甚大な負荷。それを避けるなら「事前に着替えなどを宿泊先に宅配便で送っておき、翌朝に送り返す」というのを繰り返すしか策がないように思えます。
ただ、沖縄だと宅配便も結構な額になるんですよね…。あと宿泊施設が無人受付タイプだったりすると、受領も発送もできないので詰みます。事前確認必須です。
沖縄一周の壁が消える!?おきいちスペシャルツアー!
さてさて、倒しても倒しても無限に湧いてくる沖縄一周を阻む壁。その大部分を、あっさり消し去るチャンスがありました。それが「サイクルボールSeasonV ~シーズンエンドパーティー~ おきいちスペシャルツアー4DAYs」です。
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公式サイトより引用
サイクルボールを運営しているルーツ・スポーツ・ジャパンさんが主宰するサポートツアーなのですが、個人的にツボったポイントが多数。
- 万一の場合はサポートカーに回収してもらえる。
- スタート地点からゴール地点まで、荷物を運んでもらえる。
- 昼食と地元飲食店での夕食がプランに含まれ、店が遠い場合は宿泊場所(限定あり)からの送迎もある。
- スタートからゴールまで基本フリー走行(日没後の走行回避のためゴール時間に制限あり)。
つまり!
「自分だけのペースで、時折ルートを外れたりもしながら、荷物運搬の負荷ゼロで走れる」ということ。しかも、いちばん手配が厄介な各宿泊地での夕食もバッチリ確保されている。陰キャぼっち自転車乗りでプランニング能力皆無な自分には、もう最適で最高すぎる企画内容です。
これを逃したら、沖縄一周にチャレンジする機会なんて二度と無いかもしれない。そう考えると、受付開始と同時にポチらざるを得ませんでした。
「交通費と宿泊費の壁」を超えろ!
沖縄で、3泊4日の自転車旅行。しかもツアー参加。必要な予算は、余裕で2桁万円の大台に乗ります。自分の場合の内訳は、こんな感じになりました。
羽田〜那覇往復航空券 |
往路:ANA461便(6:25発 9:25着) 復路:ANA1096便(20:10発 22:20着) |
¥39,130 |
宿泊費(1泊目) |
グリーンリッチホテル名護 (素泊まり) |
¥11,040 |
宿泊費(2泊目) |
ヤンバルエクスペリエンス ホテル ヌンガニク (素泊まり) |
¥9,000 |
宿泊費(3泊目) |
ユインチホテル南城 (朝食付き) |
¥10,000 |
エントリー費 | スポーツエントリー利用料を含む | ¥31,590 |
¥100,760 |
爪に火を灯しつつ、ギリギリで維持している家計を崩壊に至らしめるのに十分すぎる金額。いくらなんでも、限界を超えています。
ですが!
考えてみてください。私たちは過去でも未来でもなく「いま、この瞬間」を生きているのです。
魔法カードを発動して航空券や宿泊予約を決済しまくったところで「いまを生きている自分」に、一切のダメージはありません。勇者パーティの一員として、魔王を打ち倒したエルフの人だって
「私は今の話をしているんだよ」と、言っているじゃないですか。
高額の支払い義務を背負うのは、まだどこにもいない「未来の自分」です。そして未来のことは、誰にもわかりません。たとえばカード引き落とし日の直前に、空から非課税の現金が降ってくる可能性だって決してゼロじゃない。「ありえない」なんてことは「ありえない」のです。
なーんだ!躊躇う理由なんて、これっぽっちも無いじゃないですか。さあ、皆さんも今すぐ沖縄行きの航空券をポチりましょう。最高のサイクリング体験と引き換えですから、安いもんですよ!大丈夫大丈夫!ヘーキヘーキ!!
※根拠はありません。
※まさに「今の自分」がカード引き落とし日を目前に絶望的な状況に追い込まれてないとは言ってません。
実際に沖縄一周してみた。
というわけで、エントリーを完了してから約2カ月。なんだかんだで、アッという間に沖縄に出発する日がやってきました。羽田空港へは必要以上に早い時間に到着して、大型荷物の受付カウンターがオープンするのと同時に自転車を預けます。
定刻通りに離陸して、那覇に向けて飛び立ったANA461便。窓からは、富士山がバッチリ見えました。これはもう、大・勝・利・確・定!
強い向かい風による遅延(9時25分予定が9時48分着)があったものの、無事に那覇空港へ到着。駐機スポットに向けたタキシング中、F-15戦闘機が出迎えてくれました。しかも4機!!かっけー!!
ところで…滑走路がズブ濡れだったり、窓に思い切り水滴が付着してるように見えるのですが…これは…いったい…どゆこと…?
Solitude Rain
結果を申し上げますと、この記念すべき第1回の「サイクルボールおきいちスペシャルツアー」で、4日間の日程のうちレインウェアを着用せずにスタートできたのは「最終日だけ」でした!
天(そら)から舞い落ちる雨粒がぽつりぽつり頬伝って、実に4分の3が「雨ときどき曇り」。そのうえ、1日目と2日目は暴風レベルの風が吹き荒れる中の走行です。
そして「半袖ジャージに夏用レーパンでOK」と聞いていた沖縄が、普通にメチャ寒い!!!
冬用のロングビブ+防寒インナー+半袖ジャージという、晩秋ぐらいの装備でないと耐えられない気温です。泣く泣く着用したレインウェアが、防寒着としても思いっきり役立ちました。
どうして? いったいどうして、こんなことになるのでしょうか?
清貧とも言えるほど慎ましやかな日々を勤勉に過ごし、性格もこんなにいい自分が元凶でないことだけは間違いないと断言できます。きっと参加者の中に、沖縄の天気を司る神様の逆鱗に触れた罰当たりがいたのでしょう。
いったい、誰のせいなんだ…!?
1日目:那覇〜名護
スタート地点の奥武山公園で自転車を組み立てて、着替えと仕事用Mac(泣)の入ったバックパックと飛行機輪行用のクッション入り輪行袋をサポートカーに預けます。この企画用に制作された「おきいちゼッケンプレート」をタイラップでフロントバッグに装着して、雨がパラつく中をスタート。待ちに待った旅の始まりに、心の中で快哉を叫びまくります。雨だけど。
那覇から名護までは名古屋を思わせる大規模幹線道路で、かなりの交通量。とはいえ自転車の走行空間がキッチリ確保されている場所もそこそこあって、走りにくさを強く感じることはありませんでした。
それと特筆すべきは、路面状態の良さ!雪の多い地域とかだとボッコボコになってることが多い路肩に至るまで、きわめてクリーン。首都圏のヘタな幹線道路より、むしろ走りやすくない?と感じてしまうレベルです。これが…沖縄振興公共投資交付金のチカラ…なのか?などとアホなことを考えつつ、ダラダラと走行。
空には低い雲がずっと垂れ込めていて、終始どんより。そして、風強すぎ!!せっかくの沖縄で、初日からこれか…。
雲が憎い!風と雨が憎いっ!!晴れていれば、鮮やかなブルーに輝く海が見れたろうに…。
そんな中でも80km近く走っていると、雨がやんで路面もドライになっている区間があります。それじゃあ…とレインウェアを脱ぐのですが、そうすると途端にまた雨が降ってくるという謎現象「脱ぐと降ってくる法則」が幾度となく発動。
なんだよ…なんなんだよ、この仕打ちはァ!!!?
というわけで、雨と涙で頬を濡らしながら走って1日目のゴール地点に到着。
走行距離:81.04km
獲得標高:522m
平均速度:19.2km/h
2日目:名護〜東村
夜中から降り続く雨が、いっこうにやむ気配を見せないまま迎えた朝。沖縄2日目も、降りしきる雨の中でのスタートになりました。
今日は後半に地獄のような登坂が待ち構えているので、脚力温存が最優先!低出力を心がけて走るものの、そんな自分の小ざかしさを嘲笑うかのように猛烈な風が吹き荒れます。
フクギ並木の観光に必要以上の時間をかけたり、ルート外の今帰仁城跡に寄り道したこともあって、瞬く間に1時間近くのビハインドを抱えることになりました。
そうなると、ゆっくり食事をしている時間はありません。「道の駅ゆいゆい国東」で購入した一口サイズのサーターアンダギーを走りながらパクつき、とにかく停車する時間を短くするようにしてビハインドからの脱却を図ります。まぁ、無駄なあがきなんですけどね!!
それはともかく、このサーターアンダギーは衝撃的でした。無茶苦茶うーまーいーぞー!!口からビームが出そうです。このサーターアンダギーを作ったのは誰だぁっ!!
空腹ブーストがかかっていることを差し引いても、近所のスーパーのベーカリー(レベルはかなり高い)で売ってるサーターアンダギーを遥かに上回る美味。口の中の水分を全部持っていかれるのには閉口しましたが、これはイイ買い物でした。アッという間に完食。
空模様は相変わらずどんよりではあるものの「雨ときどき曇り」が「曇りときどき雨」ぐらいになり、雲の隙間にチラッと青空が見えるタイミングもありました。
なんですが!
猛烈な向かい風が、絶え間なく吹き付けてきます。荒川でも霞ヶ浦でも経験したことの無いレベルの、激烈な暴風です。平坦路だというのにギアをインナーに落とすことを余儀なくされ、頑張っても10km/hしか出せません。
そして左手に見えるのは、鮮やかなブルーの海…じゃなくて東映映画のオープニングみたいな荒れ狂う波濤。
どうして…どうしてこうなった…。
そして「脱ぐと降ってくる法則」は、2日目も順調に発動。結局、ほとんどレインウェアを着用しながら走りました。
絶望的な暴風ですが、まだ希望は残されています。沖縄本島最北端の辺戸岬を過ぎれば、進行方向は逆転。つまり、いま吹き付けている激烈な向かい風が、そのまま追い風になるのです。辺戸岬から先は地獄の激坂区間ですが、ヘロヘロ登坂する自分をグイグイ押し上げてくれるでしょう。向かい風が強ければ強いほど、追い風も強力になるはず!
そうとわかれば話は別!! 吹き荒れろ戦いの風! やってこい地球を荒らす侵入者!!
転倒寸前の遅さで走って、ようやく辺戸岬を通過。進行方向が逆転して、いよいよ追い風ボーナスステージです。キッツイ斜度の登坂もスタートしましたが、追い風バフによって楽勝でクリアでき…
あれ?
これまでと逆方向に向かっているはずなのに、向かい風がいっこうに収まりません。それどころか、ちっとも変わらない強さで変わらずに正面から吹き付けてきます。「登坂」と「雨」と「向かい風」って、もう最凶最悪のコラボレーションじゃないですか!
もうやめて!私の脚のライフはゼロよ!!
事前のリサーチでは「ドギツイ斜度の区間はそこまで無いから、ゆるゆる回していれば割と苦労しないで走れちゃうんじゃね?」とか舐めたことを思っていたのですが、その幻想はいとも簡単にぶち壊されました。
悪夢としか思えない、苦悶の時間が続きます。登坂の後は下りもありますが、ウェット路面でスピードは出せません。そのうえ一瞬で終了しちゃうので、回復なんて到底無理。
ホンの数kmが、果てしない長さです。「カメ注意」って、いったいなんだよ…?と、ツッコミを入れる気力すら完全に喪失しました。
夕陽を受けて現れた虹に少しだけ励まされて、ズタボロになりつつ2日目の宿に到着。
走行距離:157.59km
獲得標高:2,006m
平均速度:16.5 km/h
3日目:東村〜与那原
3日目も、やっぱり雨スタート。むしろ昨日より雨足強くない?天は…我々を…見放した…。
そして、走り出した直後から始まる激坂。あれ…朝のブリーフィングで「今日は下り基調」って聞いたような気がするんですけど?
それでも、しばらく走っていると雨は上がり、晴れ間も見えるようになりました。ようやく周囲を眺める余裕もできて、道路脇の植生が普段走っているところと全然違うことに今さら気付いたりもします。
東村から嘉陽〜大浦と進むにつれて交通量が増え、宜野座付近ではもう普通に街中を走っている感じになりました。ただ路面はまだウェットだし、時折パラついてきたりもするのでレインウェアは脱げません。
「昭和な沖縄」を感じさせる金武の街並みを抜け、うるまの海中道路近くに到着。作者さんの狂気を感じる交通安全オブジェに、人類は恐怖した。
空は一面の雲に覆われたままですが、ホンの僅かな時間だけ太陽が顔を覗かせます。すると海の色が実にダイナミックに変化して、まさに「沖縄の海!」という感じに。これや!これが見たかったんや!!
3日目のルート内では海中道路の景観を最も期待していたのですが、実際に走ってみると普段見ている空撮の写真より視点が圧倒的に低いのと、道幅が広いせいで普通の道路っぽさが思っていたより遥かに強めでした。
「海の上を走る特別感」だけで言うと、古宇利島大橋のほうに軍配が上がるように思えます(個人の感想です)。
その後は幹線道路から外れた交通量の少ない道を縫うように進む、マニアックなルートを経てゴール地点に到着。
脚を止めると途端に身体が冷えてきたので、自販機でドリンクを買って暖をとろうと思ったのですが、真冬だというのにホットの飲料がほとんど売ってない!!こんなところで、自分が沖縄にいることを実感するとは思いませんでした。
走行距離:134.94km
獲得標高:1,236m
平均速度:18.7km/h
4日目:与那原〜那覇
最終日になって、ようやく晴れました。レインウェアをサポートカーに預け、泥除け装備も取り外します。どうして、今日が1日目じゃないんだ…。
出発したらいきなりルートを外れて、ニライカナイ橋に寄り道。海に向かって下っていく橋からの眺めは、もう最高すぎました。
そして下ったあとに見上げる、ニライカナイ橋。ここ、絶対に登りたくない!
与那原から那覇へ向かう道もアップダウンは相変わらず多めですが、やっぱり晴れていると気の持ちようが全然違いますね。「今の自分は、坂ですら好きになれる…!」とか狂ったことを思いながら、ペダルを踏みます。ヒャッハー!あっがるーぅ!!
気持ちよく走っていたら、アッという間に那覇に到着。4日間の旅は、あっさり幕を下ろしました。ゴール地点で完走証とサイクルボールカード、そして荷物を受け取ったあと自転車を輪行袋に詰め込んで着替えも済ませます。
ちなみにオプションで「飛行機輪行サポートプラン」を追加すると、シーコンへの詰め込みと自宅までの配送までお任せできるという王様待遇が受けられます。
復路便の出発は、20時過ぎ。時間に余裕がありまくるので、ゆいレールに乗って那覇観光を楽しみました。
終わってみると、アッという間の4日間が終了。いやー、夢のような体験でした。ちなみに、搭乗する復路便が思いっきり遅延するというオチまで付いております。
走行距離:51.10km
獲得標高:447m
平均速度:19.0km/h
まとめ
沖縄を一周した印象をひと言で言うと、「坂ばっかり!」。そりゃトータルで4,000m登坂しているので、走行時間の殆どは登坂に費やされているはずですからねぇ。
「雨と暴風の中で、レインウェアを着用しながら涙目で走る」というシチュエーションが大部分を占める結果になった4日間。晴れていれば同じ場所でも圧倒的な絶景を楽しめたんだけどなぁ…という気持ちだって、正直あります。
だからといって、ネガな思い出しか残っていないのか?と言われれば、それは全力で否定できます。
「沖縄を走る」という行動そのものが、とんでもないパワーを持っています。天気なんて、ホンの些事ですよ、些事。雨と暴風のダブルパンチを喰らったことで、むしろ忘れがたい体験になりました。すべての自転車乗りは、天気予報に関わらず沖縄に行くべきです!
それと!油断したのが強烈な紫外線。2日目はずっと曇りと雨でしたが日焼け止めを塗り忘れたら、ドえらいことになりました。顔がアイウェアの形に2色分割されて、鼻の頭はサンタの手下のトナカイかよ!というくらい、真っ赤っ赤。やらかしました…。
あと、やっぱり今回の沖縄一周は「おきいちスペシャルツアー」に参加して、サポートを受けながらの旅になったのが非常に大きいです。
スタートからゴールまで、ずっと荷物を運んでもらえるおかげで走行時の負担は最小限。4日分の着替えを容赦なく持ち込めちゃうようになるので、宿に着いたあと1日走り続けて疲労した状態でウェアの洗濯をする必要もありません。
トラブル無く走れているかはチェックポイントで適宜確認してもらえて、何かあればサポートカーからヘルプが受けられるという十分すぎるバックアップ体制。走行中は、写真も撮ってもらえちゃいます。
さらに現地の飲食店での夕食の手配と送迎までしてもらえるうえに、コンビニに立ち寄ってからホテルに戻るので夜食やドリンク、翌日の朝食や補給食の手配も不安ゼロでした。とくに東村の宿の周辺は歩いて行ける距離に飲食店もコンビニも無かったので、ぼっち走行だったら詰んでいたでしょう。
ツアーに参加したことで、複数日連続走行によって発生するありとあらゆる面倒が消えまくりました。「走ること」だけに集中できて、ストレスの少なさが桁違い。控えめに言って、最高です。
この手厚すぎるサービスに加えて参加記念のオリジナルデザインかりゆし、完走証、サイクルボールカード、ゼッケンプレート、そして昼食・夕食の費用まで含まれて、費用は1人3万円(+スポーツエントリーの利用料)ですよ?こんなの「激安!」だとしか思えません。
飛行機やホテルは自分で予約する形なので、好きな便と宿泊プランを選び放題(ただし荷物の受け渡しと夕食の送迎は、事前に推奨されたホテル限定)。予約の手間はありますが、自分はこのスタイルが好みです。
「おきいちスペシャルツアー」は参加する側だと本当にお気楽ですが、実施するとなると企画に事前の準備や調整、諸々の手配、そしてツアー期間中の運営業務と、気が遠くなりそうなタスクのオンパレードであることが想像に難くありません。関係者の皆様には、心からお礼を申し上げたいです。次回があったら、ぜひまた参加したい!と、強く強く思います(今度は晴れるといいなぁ…)。
さてさて、4日で380km走って家に戻ったのですが、体重計に乗ってみてびっくり。なぜか体重が増えています。しかも、大幅に。
いったいどうして…?
心当たりは全然ないです。夕食のあとにカップ麺を食べたり、コーラ(本物)をガブのみしたり、A&Wで豪遊するぐらいしかしてないんですが…。不思議なこともあるものです。
ものすごく蛇足!
「おきいちスペシャルツアー」は、基本的なコースとチェックポイントが決められていますが寄り道OKだし昼食の場所やタイミングも自由。というわけで、1日目の昼食は沖縄の人気チェーン「ステーキ88」にしました。お肉よ!
健康を考えて1/2ポンドステーキにしましたが、なぜかアクリルピックや、クリアファイルがおまけに付いてきました。せっかくなので、このお店でしか売っていないベースボールTシャツも買いましたよ?
2日目、胸の奥で揺れる願いのままに立ち寄った「新鮮カツオベンチ」は、建物の解体で撤去されちゃう可能性があるらしいです。
フクギ並木の向こうに、青い海。同じような景色の場所は何カ所かあったのですが、ここがいちばんイイ感じ。さすがキービジュアル。ちょっと奥まったところにあるので、見つけるのに苦労しました。
今帰仁城跡でカンヒザクラ(寒緋桜)の並木が見たかったので、約1.5kmをヒルクライム。満開だよー!ちなみに奥には人が写っていましたが、Adobe Lightroomでサクッと無人に。AIすげえな…。
海中道路をいちばん先まで進むと、平安座島・宮城島を経て伊計島に到達します。島の先端にある「AJリゾートアイランド伊計島」には、ウォールアートが展示されていました。
宿泊客以外は立ち入り禁止のエリアですが、通りがかったホテルの方にお願いして撮影のオッケーをもらっています。30km/300mUPの寄り道ですが、なにか犠牲にしなきゃいけない。
あざまサンサンビーチに設置されている、ハート型のオブジェ。きゃっほー。ビーチの先には激坂があるので、早々に脚の筋肉が崩壊します。
とまぁ、こんな感じで聖地巡r…寄り道しまくっていたのですが、チェックポイントで参加者の通過を確認している女性のスタッフさんと話をしていて、自分が「おきいち」にプラスして周辺観光も存分に楽しんでいる、という話題になりました。
このとき、つい「この辺を舞台にした映画があるんですよ〜」と言ってしまったのですが、そこに想像以上に食いつかれてしまい
「え? なんていうタイトルの映画?(実写映画の名前)それとも(実写映画の名前)ですか?」
と、ガン詰めされる展開になって滝汗。
ここでお茶を濁せればよかったのですが、陰キャ自転車乗りの自分がリアルでの会話中に機転をきかせるなど不可能。キョドりながら、
「…ら、ラブライブ…です…」
と、思いっきり自白するハメになりました。
本日の教訓:何気ないひと言から、素性は簡単にバレる。
いろいろと終了!!