サイクリング

青森県、階段国道!日本に「ここだけ」の珍スポットは、自転車で楽しめる?

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私の名前はnadokazu
清楚で成績優秀品行方正

そんな私だが
誰にも言えない秘密がある
それはーーーーーー

というわけで、本日の駄文はこちら!

人類よ、階段国道を目指せ!

階段国道って、知ってる?

総延長1,283,725.6km(令和3年3月31日現在・国土交通省のサイトより引用)におよぶ、日本の一般国道。その中に「路面が階段」になっている、国内でも唯一の珍スポットがあります。

それが、国道339号線の「階段国道」。その名の通り本当に階段で、クルマは通れません。

道路法第5条によると、国道とは「高速自動車国道とあわせて全国的な幹線道路網を構成し、かつ一定の法定要件に該当する道路」と規定されています。

「一定の法定要件に該当」が何を指すのか、素人には知る由もありません。けれど「全国的な幹線道路網を構成」しなくちゃいけない道路なのに「クルマが通れない」というのは、明らかに現代の常識から逸脱しているというのは理解できます。これが、珍スポットの珍スポットたる所以。

「名前は聞いたことがあるけど、どんな場所かはサッパリ知らない」

そんな方も多いであろう階段国道、ここって自転車で行って楽しい場所なのでしょうか?

階段国道って、どこにあるの?

階段国道があるのは津軽半島の北端・青森県東津軽郡外ヶ浜町字三厩龍浜、龍飛崎の近くです。龍飛崎は津軽半島を縦断する国道339号線の北限にあり、昭和の大ヒット曲「津軽海峡・冬景色」で「北のはずれ」と歌われたことで地名だけは知られています。

最寄り駅はJR津軽線の三厩(みんまや)で、駅からの距離は約15km。なんですが津軽線は2022年に発生した台風14号の災害の影響を受け、今も蟹田駅~三厩駅間が不通になったままです。

執筆時点では北海道新幹線の「奥津軽いまべつ」が最寄り駅になり、龍飛崎までは約22km。ほぼ全線に渡りフラットで、道中にキッツイ峠越えはありません。

昭和の時代であれば上野発の夜行列車と津軽線を乗り継いで、ようやく到着したであろう龍飛崎。ですが令和の今は東京から始発のはやぶさに乗車すれば、午前中に到着することも容易にできてしまいます。日帰りだって、余裕!楽勝!!

新幹線…おそろしい子!!!

階段国道に、実際に行ってみた。

2024年7月13日に開催されたAJたまがわ様のブルベ「BRM713津軽200」に参加させていただいたのですが、津軽半島をグルッと回るコース内になんと!この「階段国道」が!!

存在は知っていたし、関心もあった。けれど、実際に行く機会なんて皆無。そんな階段国道を走破するチャンスが、期せずして到来しました。

というわけでスタート地点の青森駅から海沿いを約80km走って、階段国道に到着。知ってはいましたが、本当に階段です。

広々とした車線の幹線道路にあるはずの、青い国道標識。それが狭い階段の脇に立つ光景を目の当たりにすると、脳がバグりますねぇ。

階段国道を登ってみた。

それでは、階段国道を自転車で登ってみましょう。といっても階段国道は階段なので、もちろん押し歩きです。そして階段国道は階段なので、結構な斜度があります。しかも!階段国道は階段なので、自転車を押し上げて登ることに最適化なんかされていません。

階段の脇にはスロープが設置されているのですが、鋭角にカーブする場所ではスロープが無くなることも多数。そうなると、自転車を抱えての階段歩行を余儀なくされます。これ、シューズがSPD-SLだったら冷や汗モノでは?

さらに!スロープの位置が右に左に何度も入れ替わるので、そのたびに身体の位置を逆サイドに移してから自転車を反対車線に移動させる作業が発生。ダメージが容赦なく上乗せされて、引き返したい気持ちが高まりまくります。

でも引き返したところで、こんどは「自重で落下しようとする自転車を引き留めつつ階段を下る」という、さらなる苦行が待ち構えているだけ。詰みじゃん!!

いくら車輪が付いているとはいえ、10kgを超えるアルミと鉄とカーボンのカタマリを押して階段を登り続けるのは苦行そのもの。もしかして、普通のヒルクライムよりも全然ツラいのでは…?

途中には階段が途切れる場所があって、少しだけ負荷が低下します。ですが、しっかり登り坂ではあるので「苦行の時間が伸びる」というだけです。

唯一の救いは、沿道に咲き誇りまくる紫陽花の美しさ。およそ1カ月遅れの紫陽花シーズンに、青森が本州の北の果てであることを思い知らされます。

で、そんな紫陽花に思いっきり行く手を阻まれました。自転車を限界まで傾けて、無理な格好で支えながら通過。涙目になりながら、ようやく登り切りました。

階段国道の上側からの見晴らしは、こんな感じ。登らされましたなぁ。

ちなみに天気がいいと、津軽海峡の向こう側に北海道がバッチリ見えるらしいです(写真は青森県観光情報サイトからダウンロードできる素材)。

そうそう、階段国道上側の近くには「津軽海峡冬景色歌謡碑」があって、赤いボタンを押すと「津軽海峡・冬景色」の2番が爆音で響き渡ります。そういえば歌詞では「竜飛岬」ですが、正確な地名は「龍飛崎」のほうみたいですね。地図データや公式サイトの記述、ぜんぶ龍飛崎でしたから。

そんなわけでズタボロになりつつ登り終えたのですが、青森県観光情報サイトによると階段国道は全長388.2m、段数362段、標高差約70mとのこと。

神田明神の男坂(東京都千代田区)が68段なので、実に5倍以上のスペック。ここでトレーニングを積めば、年末の全国大会でも優勝間違いなしでしょう。

なんで階段が国道なの?

なぜここが国道になっているのかは諸説ありますが、階段があったところを含めて道路整備をする予定で国道に指定したものの、70mという高低差・民家が密集という条件に阻まれて階段部分は改良がなされぬまま時が過ぎ現在に至るとか。

青森県観光情報サイト「階段国道339号」より引用

県の観光情報サイトでも「諸説あります」なので、これって「正確なところは、もう誰にもわからない」ということですよね。

また青森県のサイトには、こんな記述も。

昭和49年に国道指定された当時は、坂道の中腹に竜飛中学校、坂道の上に竜飛小学校があり、当時は坂道の下の方から中腹まであった階段を、昭和60年頃に小学生の通学を楽にするために上の方も整備され、全長388.2m、段数は362段、標高差は約70mの今の形となりました。

青森県「青い森オープンデータカタログ 国道339号線【階段国道】」より引用

もともとは通学路だった階段を国道に格上げして公費で整備しようとしたけど、面倒ごとが多くて後回しにしていたら学校が廃校になって整備の理由が消失!あとは放置!!というところなのでしょうか。世の中には、いろんな事情があるんですねぇ。

階段国道、自転車で行って楽しい場所なの?

階段国道は、西伊豆スカイラインの絶景ゾーンのような「すげえ場所にきちゃったー!!!」という感情がブチ上がる場所では決してありません。

だって客観的に見たら、ここって本当に「ただの階段」でしかない。階段国道に行ってできるのは「階段を自転車を押して登った」という体験だけです。まぁ岬に位置しているので、普通の階段より景色はいいとは言えますが。

じゃあ、階段国道が面白くなかったのかといえば、そんなことは全然ないです。むしろ、逆です。

  • 違和感バッキバキの、青い国道標識
  • 津軽半島の最果てで、わざわざ階段を押し歩きする
  • ここが「国道なのにクルマが通れない階段」で日本で唯一の場所という事実

なんだかもう、全部がヘンテコで笑えてしまいます。心の中では終始ニヤけまくり。ただ階段をヒーコラ押し歩きしているだけなのに、実に楽しい思いをしました。時間にして、ホンの10分程度。けれど愛車を押しながら登ったこの362段は、200km走った行程の中でも指折りの思い出になっています。

ただし!

「階段国道を登るためだけに津軽半島に行く」というのは、時間と交通費があまりにも勿体ない。津軽半島には、ほかにも見どころが盛りだくさん。時間をかけて、じっくり楽しむだけのポテンシャルがありまくりです。

たとえば道端に放置されたこんな岩が、実は県指定の天然記念物だったりします。今回のブルベでも、いくつものポイントで自転車を停めては写真を撮りまくりました。

心残りなのは、128km地点にある高山稲荷神社の千本鳥居を疲労のあまりスルーしてしまったこと。この光景を見逃すなんて、失態にもほどがあります。1週間以上が経過した今でも、後悔しまくり。うっ…思い出したら、また涙が…!

まとめ:国道だけど、結局はただの階段。でも!

階段国道は、本当に何の変哲もないただの階段です。けれどバックボーンをちょっと知っておくだけで、こんなにも興味深くて楽しい場所になる。自転車で旅することが好きなら、一度行っておいて損は無い!と、断言できます。

それと階段国道を走ってみて実感したのは、下調べをしてから走ると自転車旅で得られる栄養価がグッと上がるんだなぁ、ということ。底辺自転車旅行人である自分にとって、これって実は割と大きな発見でした。

なにしろ、今まで旅の前に下調べをすることなんて皆無。景色きれーい!映え映えー!程度の、極めて底の浅い自転車旅しかしていません。それどころか、人生だって行き当たりばったり。なーんにも考えずに、怠惰な日々を過ごしています。

もしかして…これって…「ずっと大損していたことに気付かず生きている」ってことなのでは?

階段国道を押し歩きで登ったら、自分の人生を全否定せざるを得なくなりました。終了!!

著者
などかず

美味しくご飯を食べることをモチベーションにペダルを回し、機材の性能に頼り切って「頑張らないことを頑張る」物欲系へっぽこ自転車乗り。リアルで自転車に乗れない週末にはZWIFTで合計100km以上のバーチャルライドを欠かさないものの、脚力や走行スキルについての言及は意図的に避けている模様。愛車はLOOK675、ブロンプトンCHPT3 V2、タイレルFX(これだけとは言ってない)。

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