フロントシングル(1X, ワンバイ)では「ナローワイド」(narrow wide)と呼ばれる規格のチェーンリングを使う必要があります。必要がある、というか、このタイプ以外のものを使うとチェーンリングからチェーンが外れやすくなります。なぜかというと…
チェーンの隙間は下図のように、アウターリンクの隙間が広く、インナーリンクの隙間が狭くなっています。当然ですよね。その結果、チェーンリングの歯はインナーリンク、狭いほうに入る厚みにする必要があります。
するとアウターリンクと従来のチェーンリングの歯とのあいだには結構な隙間ができてしまいます。フロントシングル構成の場合、オフロードなどの悪路でチェーンが暴れた時にその動きを止めてくれるフロントディレイラーが存在しないため、外れやすくなります。
その問題を解消すべく誕生したのが「ナローワイド」というスタイルのチェーンリングです。「ナローな薄い歯」と「ワイドな厚い歯」が交互に並んでいます。これがチェーンの狭いインナーリンクの隙間と広いアウターリンクの隙間にぴったりハマるわけです。余分な遊びが減るので、チェーンが外れにくくなります。
はじめて「ナローワイド・チェーンリング」という言葉を聞いたときは、なんのこっちゃ、と思われる方も多いかもしれません。狭広チェーンリング? 狭い広い? どっちやねん!
さてこのナローワイド・チェーンリング、2012年にSRAMがXX1グループセットで投入したのが先駆けとされていますが、「ナローワイド」という用語は一般的なコンセプトをあらわすもので、SRAMはこの仕組みを「X-SYNC」と呼んでいます(その進化版にX-SYNC 2 Eagleもあります)。
後追いでこの技術を採用したシマノはこれを「ダイナミック・チェーン・エンゲージメント」(Dynamic Chain Engagement)と呼んでいますが、目指していること・やっていることはもちろん同じです。
商標の問題もあるのだろうと思いますが、意地でもSRAMと似たような名前にはしないぞ、という感じがシマノらしくて面白いですね。
そのシマノの一番人気のナローワイドチェーンリングはSLXのCRM70です。SLXはロードでいうと105グレード。フロントシングル入門用にいいと思います。
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