ブレーキ

ディスクブレーキローターの「センターロック」と「6ボルト」はどう違う? そしてどちらを選ぶべき?

CBN BlogはAmazonアソシエイトとして適格販売により紹介料を得て、良質なコンテンツの作成とサイト運営のために役立てています。当サイト内のリンク経由で Amazonにてお買い物 していただくと、大変助かります。いつもご支援ありがとうございます

自転車用ディスクブレーキのローターには現在主に2つのマウント規格があります。1つはセンターロック。もう1つは6ボルトです。もしどちらかを選択する自由があり、選ばなければならないとしたら、どちらを選べば良いのでしょうか。この記事ではこれらの規格にまつわる様々な意見を紹介しますので、選択の際の参考になれば幸いです。

センターロックと6ボルト

SLX SM-RT68, SM-RT76 © SHIMANO

まず上の画像をご覧ください。左側がシマノの「センターロック」と呼ばれる規格です。センターロック対応ハブにローターのスプラインをはめあわせた上で、ロックリングで固定します。この製品はカセットスプロケットの固定と同じシステムで、工具もスプロケ用のものを流用できます。

シマノ ロックリング締付け工具 TL-LR15 Y120092300
シマノ(SHIMANO)
売り上げランキング: 6,710

専用工具TL-LR15とレンチを使い、40-50Nmで締め付けます。

カンパニョーロやフルクラムでセンターロックに相当する規格はAFS(=Axial Fixing System, 軸固定システムの略)と呼ばれています。こちらは脱着にスプロケット工具ではなく、UT-BB130のようなBB工具を使います。

一方、上画像の右側は「6ボルト」と呼ばれるタイプです。シマノの場合はT25トルクスレンチで各ボルトを2-4Nmでスター状に締めていきます。

ここですでにわかるように、センターロックは専用工具が必要であり、6ボルトは(それなりに)汎用的なT25トルクスレンチが必要になります。

とはいえ、シマノのコンポを使っている方ならTL-LR15などの専用工具は持っている方も多いでしょう。カンパ派も自分で組んだ方ならBB工具を持っていると思います。

そしてセンターロックはロックリングを外してローターを抜くだけ。6ボルトは、6本のボルトをゆるめる必要があります。作業時間的には、センターロックのほうが圧勝です。

性能的にはどちらも大差ないという声も聞きます。センターロックのほうがローターの歪みが出にくい(作業者のスキルによって結果に差が出ない)という話もあれば、センターロックはやがてスプラインにガタが出てローターの平行が出なくなることがある、という声も聞きます。

海外での様々な意見

海外のサイクリストはこれらの2つの規格にどのような意見を持っているのでしょうか。Redditから目立ったものを抜粋してみます。

  • 僕は6ボルトもセンターロックも持っていて別々のバイクで使っている。性能はどちらも一緒だよ。予算にあったものを選ぶといいんじゃないかな
  • センターロックで心配なのは耐久性だな。センターロックのインターフェースはやがて劣化してローターがぐらつくって聞いたことがある
  • センターロックは6ボルトよりもずっと作業性がいい。6ボルトなら5分かかるところをセンターロックなら30秒で交換できる
  • センターロックの欠点はもしライド中に問題が発生しても取り外せないということだ
  • 6ボルトは専用工具がいらないからそっちのほうがいいかな
  • センターロックの短所は、45Nmで固く締めるためには長いレンチを使わないといけないってことだ
  • センターロックのハブに6ボルトのローターはつけられるけど、センターロックのローターは6ボルトのハブにはつけられない

これを読むと、やはりセンターロックは作業性が高く、ハブ自体がセンターロック方式であれば6ボルトのローターを選ぶ選択肢もあって便利。

ただ旅行での輪行時などは6ボルトならT25トルクスを1本持っていけば着脱が可能である点で有利、センターロックにはガタが出る潜在的なリスクもある、という感じです。

日本のサイクリストに支持されているのはどちら?

Twitterアンケートの結果

センターロックと6ボルト。日本ではどちらがより支持されているのか、Twitterでアンケートを取ってみました。

センターロックのほうがやや高い支持を得ているという結果になりました。上のツイートはクリックすると参考になるコメントが多数表示されるので、是非読んでみてください。

それぞれの長所・他所をまとめると、下のようになります。

センターロックの長所と短所

長所

  1. ローターの着脱に要する時間が少ない
  2. ボルトをスター状に締める作業が発生しないので作業結果は誰でもほぼ同じになる

短所

  1. 作業には専用工具が必要
  2. 作業にはモンキーレンチ等のやや柄の長いものが必要
  3. スプラインにガタが出やすいという説がある
  4. センターロックのローターは6ボルトのハブには装着できない

6ボルトの長所と短所

長所

  1. 専用工具が必要でない(T25トルクスレンチを使う)
  2. T25があれば旅先でも容易に脱着できる
  3. ガタが出にくい
  4. センターロック方式のハブにもアダプターで装着できる(※AFSは不可)

短所

  1. 着脱作業に時間がかかる(6本のボルトをいじるため)
  2. ボルトをスター状に締めていくので作業者のスキルによって結果が変わることがある(微細な歪みが発生する場合がある)

結論:どっちがいい?

上の長所・短所の「数」だけを眺めてみると、短所が多いのはセンターロック。長所が多いのは6ボルト。

どちらの長所・短所もユーザーによっては気にならないものがあるはずなので、自分の使用環境に応じて選ぶのが良いでしょう(例:ローターの着脱がほとんど発生しないなら作業性で劣る6ボルトでも良いし、とにかく簡単に作業を済ませたいならセンターロック、等)。

またこのブログ内でのディスクブレーキ関連記事で特に有益なものをまとめてあります。ご興味がある方は是非ご覧ください。

ディスクブレーキ関連記事一覧
当サイトにはディスクブレーキの規格やメンテナンス、運用Tipsに関する記事が複数あります。 ディスクブレーキ関連について調べる時にまとめて読みたいという方のために、おすすめの記事へのリンクを張っておきますのでご活用ください。このページにはメ...
著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

マスターをフォローする
タイトルとURLをコピーしました