CBN BLOGライターさんにカメラと写真のあれこれをお聞きする企画第2弾、今回はなどかずさんとお話させていただきました!
ちなみに第1回はすくみずさんとの対談でした。こちらもあわせてご一読ください。
Nikon Z6購入のためにE-M1をドナドナ
マスター(CBN BLOG編集担当。以下M):などかずさんはいまどんなカメラ使ってますか。CBNのレビューやこのブログでの記事の写真、いつもきれいだな〜と思って見ていました。
▼秋の日本大通り(OLYMPUS OM-D E-M1+M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8)
などかずさん(以下N): ありがとうございます!すべては、機材様の性能のおかげでございます。
それはさておき、自転車に乗るときに一緒に持って行くカメラは「Panasonic LUMIX DMC-GM1」そして「OLYMPUS OM-D E-M1」のどちらかでした。
マイクロフォーサーズのカメラは、APS-Cやフルサイズのカメラに比べて機材がコンパクトに収まるのに、レンズ交換で多彩な表現が楽しめます。自転車で持ち歩くには、最適なチョイスではないでしょうか。
なんですが、昨年末にGM1と一部のレンズを残して、E-M1をはじめマイクロフォーサーズの機材一式をドナドナしてしまいました。その代わりに我が家にやってきたのが、Nikonのフルサイズミラーレス「Z6」です。
M: いつのまにフルサイズに寝返りを… E-M1を売ってしまった理由が気になります。
N: じゃあ、そこは後ほど。
よく撮るもの・撮影モードや写真管理のお話
M: 普段何を撮ることが多いですか?
N: 自転車で走りに行ったときには風景や食べ物(駅弁を含む)をはじめ、とにかくいろいろ撮りまくっています。イイ感じの写真が撮れると「走ったー!」にプラスして「撮れたー!」というヨロコビが加わるので、ライドの達成感が倍増しますね。
▼黒毛和牛三昧弁当(Panasonic LUMIX DMC-GM1+M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8)
そして、そんななかでも「フォトジェニックな場所に置いた自分の自転車の写真を撮る」というのが、自分にとって自転車を楽しむうえでの非常に大きな要素です。
▼桜のAACR前日の嶺方峠(Nikon Z6+NIKKOR Z 24-70mm f/4 S)
あ、それと「cbnレビュー用の自転車機材」という被写体も最近は増えまくっていますが、ブツ撮りって実に難しいですね…。本職のカメラマンさん達のいい光線状態をつくるスキル、本当に凄いです。
M: 記録はJPEGですか、それともRAWも使いますか。
N: 「JPEGだけでは撮りません。必ずRAWとJPEGで、同時記録するようにしています。オンラインストレージでのバックアップとセレクトにはJPEGを使って、お気に入りのショットはRAWから現像して仕上げます。」
…とか言えれば少しはそれっぽいんですが、最近のカメラは撮って出しJPEGの仕上がりが激しくレベルアップしていて、微調整程度のレタッチで普通にそのまま使えてしまいます。
「ああああ!露出ミスった!」とか、「ほげえええ!ホワイトバランスの設定間違えた!」などなど、「撮影時に失敗した写真のリカバリーがしやすいから、一応RAWでも撮っている」というのが情けなき現状にございます。とほほ…。
M: www 私も最近はJPEGばかりで撮るようになりました。自分であれこれいじるよりもいわゆる「撮って出し」のほうが良かったりするんですよね。あまり凝ったことやらないというのもありますが…
N: すでに自分程度のスキルではRAWから現像したところで、撮って出しJPEGの画質にもはや勝てる気がしません…。デジタルカメラ、進化しすぎですよ。
M: アートフィルターとか、モノクロやクロスプロセスのような撮影モードは使われたりしますか。
N: フィルターにぜんぶ任せることは少ないですが、ニコンの現像ソフトだと「Vivid」のプリセットはよく使います。Adobe Lightroomだと「自然な彩度」「かすみの除去」で、コントラスト強め&彩度高めに調整することが多いです。
▼うどん県産ミニベロ、タイムズスクエアに参上(Nikon Z6+NIKKOR Z 24-70mm f/4 S)
M: なるほど〜、私はモノを撮る時はやはりコントラスト・彩度高めのVelviaモードを使ったり(FUJIFILM X-T20を使用)します、撮る時にかけてしまいますが。ちなみに写真管理ソフトは?
N: RAW形式のデータの管理はLightroomのカタログ機能に任せる感じですが、撮りまくった中から目的の写真を見つけるのに使うのは専ら「Google フォト」ですね。
たとえば「桜と自転車」で検索すると、桜を背景にして撮った時の写真が瞬く間に並びます。タグ付けなどの作業を一切していないのに、キーワード検索で目的の写真が見つけられるというのはGoogle様様ですね!
▼iPhone版のGoogleフォトアプリで「桜と自転車」を検索すると…
M: その検索機能、うらやましいですね。「あれ撮ったのいつだっけ?」とか日付で探すの大変ですよね。Google フォト、すくみずさんも編集が便利っておっしゃてました。なんか良さそうですね。
N: オンラインストレージとしての、圧倒的な安心感。しかも検索だけでなくレタッチ機能も強力で、PCからもスマートフォンからも使えてしまう。一定の容量までは無料で使えるはずですし、撮った写真はぜんぶGoogleフォトにアップロードしちゃう以外の選択肢はもはや無いと言えてしまうレベルです。
あ、もちろんローカルのHDD2台に同じデータをコピーしておくし、「Amazonプライムフォト」にもデータを上げておくなどのバックアップに抜かりはありませんよ。
サイクリングに持っていくカメラとレンズ
M: サイクリングに持っていくお気に入りレンズってありますか?
N: 自動開閉式レンズキャップのLC-37Cを装着した「OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8」、それと「45mm F1.8」の2本です。シーンに応じて2本の単焦点を、取っ替え引っ替えしています。
▼カメラとレンズ2本で500g以下。
M: レンズキャップ外すの面倒ですからねー。私はレンズガードにしていますが… ズームレンズを持っていくことはあんまりないですか?
N: 以前は17mm F2.8ではなくて、パンケーキズームの14-42mm F3.5-5.6 EZを着けていました。なんですが、あるとき気付いたんです。自分はズームレンズを使っても、ほぼ「広角端か望遠端でしか撮ってない」って。
それなら中間の焦点距離は捨てて、そのぶん単焦点レンズの高画質を享受する方がイイ、ということでこの2本になっています。
M: ライドの時は必ずカメラを携帯されるんでしょうか。
N: 「持っていかない」という強い意思を持ってライドするとき以外は100%、必ず、絶対に持っていきます。以前、ヤビツ峠に登ったときに雲海が広がっていた日があって、このときばかりはカメラを持ってきていて心底良かったと思いました。これでiPhoneしか持っていなかったら、血の涙を流して後悔していたはずです。
▼2016年7月10日、AM6:00 菜の花台の駐車場から。(SONY RX-100)
ちなみにこの写真も、Googleフォトで「菜の花台」を検索したら一瞬で見つかりましたよ。いつ撮ったかなんて、すっかり忘れてたのに。
フードポーチが便利
M: そこで1枚でもいい写真が撮れたら持ってきた甲斐ありますものね。ライド中のカメラはどんなふうに携帯していますか。
N: アピデュラのフードポーチに入れています。撮りたくなったらサッと取り出してシャッターを押して、ポイっと仕舞える。カメラケースとしての使い勝手が、控えめに言って最高。なので「フード」ポーチなのに、補給食を入れたことがありません。
フードポーチに入らないNikon Z6やE-M1を持ってライドする時は、MindShift Gear社の「ウルトラライトDSLRカバー10(※ディスコン)」を使って腰に括り付けています。上半身をフリーにしておくことを重視するので、肩に過重がかかるストラップは使いません。また落車のリスクを考えると、カメラが裸の状態で自転車に乗るというのは…ありえないっす。
▼MindShift Gear 「ウルトラライトDSLRカバー10」。ミラーレス一眼のボディとレンズを一緒にカバーしながら、ヒップバッグ風に持ち運べて出し入れもしやすいスグレモノ。しかしディスコンに…。
M: Z6だったら私も長時間たすき掛けはしないでしょうね(笑)。フードポーチ、カメラが取り出しやすい位置に来るので便利ですよね。精密機器なのであまり振動を与えすぎるのは良くないという話もありますが、ポタリングなんかには最高に便利ですよね。
N: しかもディレイラー側から撮ると、ちょうどフレームに隠れてくれて自転車のシルエットを崩しません。まさにカメラを入れるために生まれてきた、と言っても過言ではない製品…!もちろんラージとレギュラーの両方を買って、持っていくレンズの本数に応じて使い分けています。
フルサイズ談義
M: 愛用中のカメラの話に戻りますが、いまフルサイズがメインになりつつあるんですよね。どんなところが魅力でしょうか。
N: メインの2台(LUMIX GM1、Nikon Z6)のほか、動く被写体用にNikon D4を持っているので、気付けば3台のうち2台がフルサイズ。やっぱりセンサーサイズの大きさと、焦点距離の長さと、F値の小ささは正義です。
▼機材の性能に頼り切って動く被写体を撮影(Nikon D4+AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II)
M: Canon RPっていう小さいフルサイズミラーレスがちょっと前に出て話題になりましたが、興味ありますか。
N: ニコ爺なので、Canon機には興味ない…です。あの凝縮感ヤバいとか、Z6より200gも軽いのかよ!とか、Canonユーザがすごく羨ましいとか、全然…思ってない…です…。ほ、本当ですってば。
M: Canonはあまり使ったことがないですか。それとも使ってみて自分にはどうも、という感じだったんでしょうか。
N: 初めて買ったデジタル一眼レフがNikonなので、Nikonのレンズを買い揃えますよね。そうなると、もうNikon以外には移れません。触って欲しくなったらヤバイので極力Canon、それとSONYの情報にはなるべく触れないようにしています。
一時期、Nikon機材すべてを売り払ってSONYのα9に鞍替えをすることをかなり本気で検討していたのですが、ギリギリのところで思いとどまりました。アレは危なかったです…(遠い目)。
M: 脱線しますが、防塵防滴性能って気になりますか。
N: シビアコンディションの中を走らない(=撮らない)ので、特には求めないですね。ですが、突然の雨! とかは考えられるので、防塵防滴はあった方が嬉しいというのは間違いないです。
M: 私も雨では乗らないし、突然降ってきた時はリュックの濡れにくい場所に隠したりするので基本なくてもいい派なのですが、土砂降りだとやばい時があるんですよね。あえて濡れるシチュエーションでは撮らないんですが…
防塵防滴と言えばそろそろオリンパスからOM-D E-M5 IIIが出ますよね。突然の雨にやられがちなサイクリストには結構いい選択肢になるような気がするんですが、これは興味ないですか。
N: すごくありますが、マイクロフォーサーズの機材を断捨離しまくって、Z6を買ってしまったので興味ないです!これっぽっちも関心…ありま…せん…。ぐぬぬ。
M: マイクロフォーサーズからフルサイズへ移行されつつあるみたいですが、どういう経緯だったんでしょう。E-M1を売ったお話ともかぶりますが。
N: E-M1もZ6も、自分の中では「同じサイズ感のカメラ」としてカテゴリーされています。つまり「サドルバッグやフードポーチには入らないので、普段のライドでは持ち運ばない」けれど「撮影を楽しみたいライドでは、バッグに入れて運べるギリギリ許容範囲なサイズ」ですね。
▼サドルバッグに入ってしまう、GM1と交換レンズ2本
カメラのサイズ感が同じなら、ボケ量や高感度耐性が圧倒的なフルサイズセンサー搭載機を使って。その性能の恩恵を受けまくりたい!という思考になるのはカメラ好きであれば「仕方が無いこと」であり「やむを得ないこと」なんです。一滴の滴が川に流れ込み海へと続いていくように、もはや抗うことのできない奔流の中で…すみません、もうやめます。
それはさておき、Z6、さすがに期待以上の性能でした。今までの常識と2桁、いや3桁違うISO感度が実用になる。もう圧倒的、としか言いようがなかったです。
▼ISO 51200というトンデモ高感度でこの画質…(Nikon Z6+NIKKOR Z 24-70mm f/4 S)
いま気になっているカメラ
M: 次に欲しいカメラやレンズ、気になっている製品がありましたら教えてください。
N: SONYの「RX0」です。あのボディサイズでセンサーサイズが1インチ、というのにはシビれます。しかも、携帯性が究極的。バックポケットにポイッと入れて、撮りたいときにサッと撮れる。カメラの持ち運びや取り出しのストレスがほぼ皆無で、1インチサイズセンサーの高画質。これは魅力的ですね。単焦点縛りにはなりますが。
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M: 防水で換算24mm/F4ってサイクリングに持っていって風景を撮る、みたいな用途にはすごく向いてそうですね。なんかほしくなってきた。
N: …計画通り…!
サイクリストがカメラやレンズを選ぶときのポイント
M: サイクリストがカメラやレンズを選ぶときのポイントみたいなものがあれば教えてください。
N: かなり個人の主観が入ってしまいますが「走ること」と「撮ること」を一緒に楽しむなら、まずは何よりも「サドルバッグやフロントバッグに収納できること」でしょう。
走ることを楽しむ時に、ウェア以外のものを身につけるのはストレスにしかなりません。なので「小型軽量」こそが、絶対的で圧倒的な正義になると考えます。
じゃあ、「どこまでを小型軽量とするか?」ですが、そこはもう「アピデュラのフードポーチに収納できるかどうか」で判断しちゃっていいと思います。
また「撮る楽しみ」を考えたときには「センサーサイズは可能な限り大きく。そしてレンズは可能な限り明るく、焦点距離は長く!」という条件も付加されます。
そうなると、いま新品で買えるモデルでは
- コンパクトなマイクロフォーサーズ機(OLYMPUSのPENシリーズやPanasonicのGFシリーズ)
- 1インチサイズのセンサーを搭載したコンパクトデジカメ(例:SONYのRX100シリーズ)
辺りが、個人的には「走る・撮るの両方を楽しめるカメラ」の選択肢になってくると考えます。
ということで、自分はその両方を高次元で満たす世界最小サイズのマイクロフォーサーズ機、LUMIX DMC-GM1 + OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8 という組み合わせにたどり着いています。
Nikon Z6は軽くて小さくてべらぼうに高画質。特に高感度性能が半端ありません。ですが、身体のどこかに過重がかかるのは、ロードで長距離走る時には楽しさをスポイルする要因になりかねません。りんりんロードや筑波山や嶺方峠や小熊山にZ6を持って走りに行って人体実験を試みましたが、やっぱり走り疲れてヘロヘロになってくると腰にぶら下げたカメラ機材の重みは気になりました。これはE-M1やE-M5などの、大きめサイズのミラーレス機でも同じです。
トピークのダイナパックや、リクセンのコントアーマグナムなど「シートポストに装着するハードシェルタイプの大型サドルバッグ」を使えばいいのかもしれませんが、それだと大事な被写体であるところのマイ自転車のフォルムを必要以上に崩しまくりですからねー。重心も高くなってフラつきやすくなりますし。
M: なるほど、ということはフルサイズ万歳! でありながらも、サイクリング的にはマイクロフォーサーズに落ち着く、という感じなのかなぁ。
N: ですね!ライドのお供には、マイクロフォーサーズ機がベストチョイスだと思います。フルサイズやAPS-Cは圧倒的に高画質ですが、ボディをどれだけコンパクトにできても、光学的な制約があるのでレンズのほうが一定のサイズ以上にならざるを得ません。
サイズと画質のベストバランスを取れるのは、マイクロフォーサーズのほうでしょう。それに交換レンズも(フルサイズに比べれば)、リーズナブル。自転車で出かけて「走ること」を楽しみながら、焦点距離や性格の違うレンズを取っ替え引っ替えして「撮ること」も思いっきり楽しめます。
また、液晶が可動式なら「チルト式」を選びます。バリアングル式は下から見上げるアングルがとりにくいので、選択肢から外しますね。
M: 私もバリアングルはなくてもいい派です。自撮りをする人には欠かせないらしいですが、私はやらないので(笑)。角度が厳しいものでもチルト式で十分という感じがします。そのぶん軽量になるというのもありますし。
レンズお気に入りの1本
M: 最後にいまいちばん気に入っているレンズがあれば是非教えてください。
N:「OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8」です。これを超えるお気に入りレンズ、今のところ出てきていません。望遠レンズの圧縮効果で背景をグッと引き寄せて、ドカンとぼかせる。それなのに、軽量コンパクト。
しかも中古なら2万円以下でも買えて、コストパフォーマンスも圧倒的。マイクロフォーサーズ機を使っているすべての方に、猛烈にオススメしたいです。
もちろん、背景をぼかすことがイイ写真の条件なんかではありません。ですが背景をぼかせれば、自分みたいなセンス皆無な「持たざる者」にも「それっぽい写真」が撮れます。しかも、絞り開放にしてシャッターを押すだけで。
あ、その辺りはこちらのレビューにまとめました。
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