ブロンプトン、ストリートアーティストに訴えられる

今年の4月の話なのですが、ブロンプトンが北米の2人のストリートアーティストに訴訟を起こされるという出来事がありました。

背景の壁が実は嘱託されたアート作品だった

Bicycle Retailerによると訴えを起こしたのはDavid Momyer, Justin Davisの両氏。ブロンプトン本社以外にもNYCE Wheelsをはじめとする11のブロンプトン小売業者を相手取り、著作権のある2人の作品をInstagramやTwitter等のソーシャルメディアで無断使用された、と訴えているようです。

どういう話かというと、たとえばbromptonbicycleというアカウントには「インスタ映え」するような街中にブロンプトンを置いたり、そういう場所を走っている人の「いい感じの写真」がたくさん投稿されているんですね(このページに2つ例を埋め込んでおきました)。

しかし同社が2017年3月と8月に投稿した写真(既に削除されていて現在は見られません)はそれぞれ、上述の2人のアーティストが壁に描いた作品をバックにブロンプトンを持った男性が立っている、という構図。

それらの投稿が「広告目的での作品の無断使用である」として訴えられた、という話です。

下の写真はこの件とは関係ありませんが、たとえば両脇のグラフィティを描いた人に訴えられた、というような話です。ただ問題となっているMomyer, Davis両氏の作品はいずれも外部団体によって嘱託されたものであり、著作権も自身が有しているのだそうです。

営利企業による「インスタ映えプロモーション」に潜むリスク

この訴訟は現在ブロンプトン側とアーティスト側が和解手続きに入ったらしく、恐らくブロンプトン側が一定の使用料を支払うことで決着を見そうな雰囲気です(今月中には結論が出る模様)。

しかしこの裁判はなかなか考えさせられます。日本の場合、建物の中などの私有地であれば「施設管理権」といって撮影をやめさせる権利を管理者が持っています。一方、ビルの壁面のような誰にでも見えるものの撮影を禁じることはできません。

ただ後者のような「公共空間」に「著作権で保護されている作品」が写り込んでいる場合はどうなるのでしょう。

ブロンプトンのソーシャルメディアでの投稿はプロモーション活動であるのは間違いないので、作品を広告目的で無断で使用された、という訴えはそれなりに筋が通っている気もします。同時に、ブロンプトンも意図的に著作権侵害をしたわけではないでしょうし、ちょっともやもやした感じも残ります。

この件は和解が成立すれば裁判は行われないのですが、かりに裁判になった場合どういう判決が下されることになるのか非常に興味深いものがあります。

とにかく今後ブロンプトンのような大規模な営利企業がインスタ映えするような素敵スポットに商品を置いて写真を撮る時は、背景が著作権で保護された誰かの作品でないかどうかに注意する必要が出てくるのかもしれません。