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ツール・ド・フランスが道徳の教科書に載ったら

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7月6日(土)、遠いフランスの地で世界最高峰の自転車レース「ツール・ド・フランス」が開幕します。7月28日までの3週間、約3500kmを走る厳しいレースです。

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すごく簡単にルールを説明すると、自転車に乗ってするマラソン。みんなそれぞれチームを組んでいて、優勝者を出したチームの勝ち。あと細かいこともいろいろとありますが、まぁそんな感じです。

「ツール・ド・フランス」は「サッカー」「オリンピック」とならび、世界三大スポーツと言われています。長い年月の間、世界中で愛され続けるこのレースの魅力はなんなのでしょうか?

そのひとつは、「騎士道精神」にあります。簡単に言うと、「ずるいことをしない」「正々堂々と勝負して勝つのが美しい」ということです。

例えば、ライバルがパンクしたとき、そのスキをついてダッシュして前に行くなどというのはもってのほかなのです。もしそんなことをすれば、その選手はファンから強烈なブーイングを浴び、一気に人気をなくしてしまいます。

レースなのに、レースっぽくないところがちょっと面白いでしょう。レースなのに、力を競うだけの勝負ではない。そこには「美しく勝つ」ことが求められる。スポーツを通り越して「文化」と呼ぶべき奥深さ。これがこのレースの魅力です。

さて、この写真はある日のゴール前です。優勝したのは写真左で一番前を走っているマルセル・キッテル選手なのですが、何か不思議に思うところがありませんか。

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そうです。優勝している選手のはるか後ろに、ガッツポーズをしている選手がいるのです。彼はチームのエースであるキッテルの「アシスト」です。

アシストとは、エースを1位でゴールさせるために働く選手です。アシストはエースの代わりに水を運んだり、エースが他チームの選手とぶつかって転倒しないように周囲を固めたり様々な仕事をしますが、最も大きな仕事はエースの「風よけ」となって前を走ることです。

みなさんはプールで「せんたくき」の経験があるでしょう(注:今は危険とのことで禁止している自治体が多いようです)。水の流れに乗れば、誰でも北島康介のように速く泳げます。

高速で走る自転車なら、空気の流れでも同じことが起こるのです。アシストはエースに少しでも楽をさせ、最後のゴール争いで少しでも有利に戦ってもらうために、自らの勝利を捨てる。いわば「捨て石」になるのです。

そんな「捨て石」のガッツポーズ。どうですか。まるで自分のことのように、いや、あるいはそれ以上に大きな喜びを発散していると感じませんか。

ゴール直前で役目を終え力尽きたアシストが、自らが生かしたエースのゴールをガッツポーズで見送る。選手の熱い気持ちが観客の心を打つ、自転車レースの感動的な場面の一つです。

一人で大きな力を発揮して何かを成し遂げる。それはとても素晴らしいことです。それと同じくらい、「他人を生かすために力を出す」ことにも価値があります。

今までに皆さんにも経験があるでしょう。運動会でみんなで力を合わせたとか、合唱コンクールに向けて心を一つにして練習に取り組んだとか。そんな経験をしたことがある皆さんにはこの話は通じる。そう思ってこの話をしました。

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著者
自転車がこの先生きのこるには

つよしは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の気象庁を除かなければならぬと決意した。つよしには天気がわからぬ。つよしは高地民族である。軽量化に勤しみ、山の上の空模様を気にして暮して来た。けれども降る降る詐欺に対しては人一倍に敏感であった。つよしには女房は無い。内気なRNC7と二人暮しだ。

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