初めまして、サイクリング歴3年ちょっと、イタリア在住歴4年ちょっとのikueと申します。
本記事では、自転車でイタリアを走りたい! でもハードル高そう…と思った方の背中を押すべく、石橋を叩いて渡るタイプの私が必要な準備や現地の状況をお伝えします。イタリアのみならず、欧州の各国で使える知識かと思います。
能天気でちゃらんぽらんだけど、その名に恥じぬ自転車本場国。美しい景色、美味しいワインと美味しい食事。
サイクリング歴もイタリア在住歴もそんなに長くない私ですが、今やどっぷりと浸かってしまったこの国を自転車で走る魅力。
それを皆様にも自分自身で味わっていただきたく、そのお手伝いができれば幸いです。
尚、以下の情報はすべて2019年6月の執筆当時のものですので、計画の際には事前にご自身でのご確認をお忘れなく。
ルートの計画
行き先を決めよう
イタリアを走りたい! でもどこを? そんなときに役立つのが観光サイト。
ちょっと古いですが、イタリア政府観光局のページがそれなりに情報を網羅しています。
気になる土地があれば、その州・市の観光局のサイトを覗いてみるのが良いでしょう。
上記サイトにはトスカーナの情報が薄すぎるので、現地在住として、トスカーナ州観光サイトの硬軟様々なコースを全力プッシュしておきます。
参考 visittuscany.com 80 Ideas for cycling
私の周囲のイタリア人(自転車乗り・非自転車乗り含め)は口を揃えて、自転車文化はローマ以北がメインだといいます。南部を否定するわけではありませんが、無難に(でも素晴らしいよ!)楽しむなら、北イタリアをおすすめします。
ドロミテ山塊でステルヴィオ峠を攻める坂バカになっても良し、保養地コモ湖で聖地ギザッロの巡礼をするも良し、広大なロンバルディア平原をトリノからヴェネツィアまでひた走るも良し、トスカーナの世界遺産オルチャ渓谷で朝日を見るなんてのも最高なんじゃないかな!!
のんびり走りたいあなたに
自転車旅行はチクロトゥーリズモ(cicloturismo)と呼ばれ、近年政府や団体が力を入れている分野です。
イタリア国内では様々なコースが整備中です(必ずしも完成しているわけではない笑)
参考 bikeitalia.it – Piste ciclabili e percorsi per bici in Italia (イタリア語)
サイトの写真でおおよそわかるように、フロントサスのツーリングMTBにパニエバッグを積んで、車のいないサイクリングロード(未舗装のことも多い)をゆっくり走りつつ観光も楽しむスタイルが主です。
また、サイクリングツアー会社のツアーをトレースするのも良いアイディアです。
「地名 bike tour」で検索すれば、いろいろ出てきます。
ストイックに走りたいあなたに
まず間違いなく、Giro d’Italiaのトレースをどうぞ!
言わずと知れたグランツールの1つ。「ツアー・オブ・イタリー」のレース名に相応しく、イタリア全土を巡ります。プロが念入りに準備したコースなら、ストイックな走りを求めるあなたにきっとぴったりでしょう。
レースの開催前には多額の資金を投入して道路の整備が行われるので、レース後ならば快適に走れるはず(特にタイムトライアルはその傾向が強い)。
その他UCI公認のレースがイタリアでは多数開催されています。
その他には、有名グランフォンドのトレース、または参加はいかがでしょうか。
ドロミテ、ステルヴィオ、ストラーデ・ビアンケ、ノヴェ・コッリ、フェリーチェ・ジモンディ、エロイカ…ストイックに走りたいあなたならきっと一度は名前を聞いたことがあるはず。
例えばこんなサイトから探すことができます。競技志向の強い自転車乗りが多い国なので、年がら年中どこかでグランフォンドが開催されています。
参考 Calendario completo Granfondo ciclismo 2019 (イタリア語)
もしトスカーナにいらっしゃるなら、おすすめはブルベの一種Tuscany Road(完全舗装道)とTuscany Trail(一部未舗装道)のトレースです。
参考 Tuscany Road
参考 Tuscany Trail
こちらのコース、トスカーナの名所を巡る大変良いルートです。トップページのムービーを見れば、大体の雰囲気は掴めるかと思います。
他にもいろいろ探したい
他のサイクリストによるソーシャルプラットフォームでのコース紹介を参考にしましょう。
Bikemap、Komootがおすすめです。他にも「cycling course(またはroute) Italy」で探せばたくさん出てきます。Italyよりももう少し場所を絞った方が、良いコースに出会える確率が高まるでしょう。
このようなサイトでは、美しい投稿写真を見ているだけで夢が膨らみます。
参考 Cycling routes and bike maps in and around Italy | Bikemap – Your bike routes
参考 Italy | Komoot
ほら、イタリアに行きたくなってきたでしょ?
ルーティング
計画的な旅をする方は、ルートを引きましょう。
ツーリング用ルートをじっくり計画するのに私が使用しているツールは以下です。
- Komoot:観光ポイント、補給ポイント、道の舗装状態を確認しつつルートを引ける。
- Strava:ヒートマップで人気ルートがわかる。競技志向の人が多め。
- Garmin Connect:上2つで決めたルートをEdge 520に落とし込む。
Komootは以前レビューでも書きましたが、観光スポットや補給などの検討がとてもしやすいです。
トラブル等に備えて、短縮ルート、迂回ルート、電車駅の位置確認も大事です。
イタリアの田舎では電車の本数が恐ろしく少ないことがあるので、時刻表の確認、または時刻表の確認方法の確認もしておきましょう。大体Googleマップで事足ります。
Garminを使用している方は、容量が許す限りOpenStreetMapの導入がおすすめです。手前味噌ですがレビューをどうぞ。
cbn [Net Service] Free maps for Garmin brand GPS devices from OpenStreetMap
注意:Googleマップはあまりおすすめしない
行き当たりばったり派の方、町の外でGoogleマップを使用するのはあまりおすすめしません。
自転車の本場だというのに、ここでは自転車ルートの検索に対応していないのです! 徒歩ルートを検索したら未舗装の農道に突っ込まされ、車ルートを検索したら自動車専用道に突っ込まされと、Googleマップには恨みしかありません。
それでも一番お手軽に使えるのがGoogleマップなので、自動車専用道に突っ込んでいかないかなど、ルートをしっかり確認して使いましょう。
代替案は、と言われると、OpenStreetMapを開いて道を探す、くらいしかないのですが…
あ、町の中では使えますよ。あしからず。
必要な装備
インターネット
21世紀、なくてはならないのがインターネット。スマートフォンのSIMロックを解除し、プリペイド方式の現地SIMカードを使うのがおすすめです。日本の空港でルーターを借りていく時代は終わったのです! 「ヨーロッパ SIM」等で検索すれば、丁寧に解説されたサイトが出てきます。
近年の法改正により、EU域内のSIMカードが1枚あれば、それで他国でも無料でローミングが使えるようになりました(1日の通話・データ量上限あり。尚全部の会社が対応しているわけではなさそう)。
ただしヨーロッパは日本に比べて回線速度がゲキレツに遅いです。覚悟しましょう。
日本で事前購入する
日本のAmazonやeBayで購入できます。送付に時間がかかるのだけ注意。そんなにひどい内外価格差ではなさそうです。
現地で購入する
大抵空港や町中で売っています。事前に値段と売り場を確認しておきましょう。カウンターに人が並んでいて時間がかかる可能性もあります。
法的に必要な装備と知識
まず最初に、イタリアは右側通行です。ゆめゆめお忘れなく。
また、市街地を離れると信号がぐっと減り、ロータリーばかりなのも日本との大きな違い。後続ドライバーを混乱させないように、行き先をきちんとハンドサインで表示しましょう。
その他自転車(リカンベント含む)のルールは日本の道路交通法に相当するCodice della Stradaに記されています。基本的に日本と似ています。マルケ州の自転車協会が自転車に関連するところを抜粋してくれているので、そこから重要と思われる箇所をご紹介します。
(68条)必須の装備は
- ベル
- 白か黃のフロントライト
- 赤のリアライト
- 赤の反射板
ただし上記はスポーツ競技中は必要ない。
(153条)
- 灯火が必要とされるのは、日の入り30分前から日の出30分後までと、トンネル内、霧、降雪、強い雨、その他視界が悪い時
(182条)
- 基本的に道路を走行する
- 2列以上で走行しない(10歳未満の子供に限り右側を走行可)
- 手放し運転は禁止(片手はOK)
- 歩道では降りて押す
- 灯火を使用する状況では視認性の高い反射素材のベストやストラップを装備する
- サイクリングロードがある場合は可能な限りそちらを走行する
ヘルメットは必須ではありません。また、186条では自動車運転中の血中アルコール濃度は0.5 g/Lまでが許容されると定められており、自転車にも車と同等の基準が適用されます。EU全体で少量の飲酒には寛容ですが、節度を守って!
サイコン以外にあると便利なアプリ
周辺情報
参考 Komoot
ライド中、周辺の観光スポットや水・食べ物・自転車屋などの情報を確認できます。有料版ではナビゲーションもできます。
OpenStreetMap系のアプリでも同じような機能があると思います(ご存知の方、ぜひ教えてください)。
GarminにOpenStreetMapを導入している方も同様のデータを見られます(でもね、Edge 520だと地図が動かせないから見にくいんだ…)。
イタリアでは、公園など子供が集まる場所には飲料水の蛇口が設置されていることが多いです。今まで飲んでお腹を壊したことはありませんのでご安心を。お味は…場所によりけり。
ペットボトルに詰まった、冷たくて安心安全な水がいいならば、カフェやバール、スーパーなどで購入しましょう。
天気予報
サービスはたくさんありますが、私はiLMeteo.itを愛用しています。理由は、1時間ごとの予報が表示されるからです。
ただし、イタリアの天気予報は日本ほど精度が高くないので、天気が不安定なときには八卦程度に考えましょう。なんと驚きの(一部)日本語対応!
参考 IL METEO – Meteo e previsioni del tempo in Italia * iLMeteo.it
宿の手配
私は基本的にBooking.comで予約します(ここから予約すると宿泊費が10%返金されます! ぜひご使用ください)。
町中のホテルに泊まって観光するのも、アグリツーリズモの宿(agriturismo 町から離れた農園やブドウ園に併設。自家製オリーブオイルやワインを出してくれたり、田舎スタイルの滞在が楽しめる)で自然を満喫するのも、どちらも乙なものです。
町やシーズンにもよりますが、都会のビジネスホテルは2人部屋で1泊70ユーロ、田舎町のB&Bなら30-40ユーロ程度で泊まれます。
行き当たりばったり派の方にはAirbnbもおすすめ。
予約時、宿へのメッセージで「自転車を部屋または安全な場所に置ける?」と聞いておくとベター。
Hello,
We would like to book a room from 9 Aug to 15 Aug. We are travelling on bicycles and we would like to store the bikes in our room, otherwise somewhere safe, like a garage or a storage with a locked door. Do you provide such space? Thank you.
Best regards,
名前
ここで一つ注意:日付の記述方法は、英式は日/月、米式は月/日です。混乱のもととなるので、月はJanuary Februaryなどを使った方がベターです。
どこに置いておけるかは、私の経験では
モダンな大型ビジネスホテルにて:
- 部屋持ち込み 2回(グランフォンド開催都市)
- フロント奥バックヤード 1回(非グランフォンド開催都市)
町中の観光ホテルにて:
- 中庭の一角 1回(ギリギリ雨ざらしになる位置、非グランフォンド開催都市)
- 鍵のかかる自転車用ガレージ 3回(ドイツ)
個人経営B&Bにて:
- 鍵のかかる倉庫 1回
- ロビーの一角 1回
Airbnbにて:
- 部屋持ち込み 1回
です。大抵ロードバイクを見せれば「そんな高いもの、外に置いて盗まれたら大変!」と理解してくれます。小さい宿ではエレベーターが無いことも珍しくないので、頑張って担ぎましょう。
以下のサイトでは自転車に特化した宿を探すことができます、、が、なんかBooking.comとそんなに変わらないような。英語対応してないし。。
参考 Albergabici – Ricerca alloggi per ciclisti in Italia
参考 Bike Hotel per Ciclisti – Vacanze in bicicletta
輪行バッグ/箱、どうしよう?
海外遠征サイクリストの足を引っ張る一番の問題がこれ。不要な輪行バッグや箱は、宿、または有料のロッカーに預けましょう。
宿に預ける
宿を予約するときにメッセージを送って確認しておきましょう。
Hello,
I would like you to ask a favor: could you store a bicycle box in a safe place from 9 Aug to 15 Aug? The size is ~cm x ~cm x ~ cm, contents are ~~. Thank you.
Best regards,
名前
「x日からy日まで、大きさ~cm x ~cm x ~cmの自転車運搬用の箱を預かって欲しいんですが、できますか? 中身は~~です」
大体どこでも預かってくれるはずです。宿泊中でないときも預かってもらう場合、有料のこともあります。
有料ロッカーに預ける
荷物を預けられる場所は例えば「milan luggage storage」で検索すると出てきます。ロッカー検索サイトもあります。
参考 The Luggage Storage Network | BAGBNB
このようなサービスは安価ですが、大抵事前のネット予約が必須です。荷物の大きさ制限に注意しましょう。
現地での移動方法
バス
長距離バス、空港バス(つまり短距離路線バス以外)は胴体のトランクに箱を積んでくれるケースが多いです。バス会社の規約を確認しましょう。「**bus bicycle」で検索すれば大体引っかかります。
Flixbusなどの長距離バスでは、路線によっては自転車をそのままバス後部のラックに積めるケースもあります。事前に電話による予約と追加料金が必要です。追加料金はたったの9ユーロ!
電車
旅行者が最も高頻度で使うことになるのが電車でしょう。輪行は日本よりも簡単です。イタリア国鉄Trenitaliaのウェブサイトに説明があります。
参考 Travelling with your bike – Trenitalia
ざっくりと概要を。
鈍行以外の電車
ざっくばらんに言って予約が必要な長距離特急列車に関してです。80 x 110 x 40 cmにおさまり、梱包済みならば、無料で持ち込みが可能です。
この「梱包」というのが非常に曖昧でして、英語サイトには
disassembled and contained in a bag or a fully closed folding bike
つまり「分解されバッグに入れられたバイク、または折りたたまれた折りたたみバイク」としか書いていません。これは必ずしも飛行機用の頑丈な輪行バッグや箱(ヨーロッパの輪行はこういうのがメジャーアイテム)である必要はなく、日本の輪行バッグでもOKということなのです!
引っ越しのとき、右肩に日本の輪行バッグに入った自転車、左手にスーツケースで特急列車に乗りましたが、何も文句を言われませんでした。
ただ電車内は狭いので、乗務員さんや車内販売の動きを妨げないように設置しましょう。ドア手前(乗降時のみ邪魔にならないようにどかす必要あり)、OKがもらえれば、食堂車がおすすめです。
国際列車(ドイツ、スイス、オーストリア)
自転車置場のある電車であれば、12ユーロで自転車をそのまま載せられます。予約必須。
鈍行列車(Regionale, Regionale Veloce)
自転車置き場のある電車は、自転車チケット3.50ユーロ(値段は州によって違う)を購入すれば、そのまま持ち込みが可能です。最近ではほぼすべての電車に自転車置場が設置されていますので、あまり心配する必要はありません。
自転車置場のない電車に自転車をそのまま持ち込もうとしたところ、OKだった場合(スペースがない場合は自転車が通路を塞がないようにその場でおさえておくように言われる)と、追い出された場合があったので、そこは乗務員の胸先三寸のようです。
尚、自転車置き場のない電車では、110 x 80 x 45 cmにおさまり、梱包済み(同上)ならば、無料で持ち込みが可能です。
自転車を載せられる電車ってどうやって調べるの?
Trenitaliaウェブサイトから確認可能です。
参考 Trenitalia
出発地と目的地、日時、人数を入れてSEARCHをクリック。
こんな風に電車が出てくるので、電車番号の横のグレーのiをポチッと押しましょう。
イタリア語ですが、この電車には自転車置き場がついています。ついていないものは、この自転車アイコンは出てきません。
自転車チケットってどうやって買うの?
すごくわかりにくいです。
- 券売機の画面から「OTHER SERVICES」を選択(機械は英語対応です。イタリア語でもボタンの位置は同じ)
- ADD SERVICEを選択
- CONTINUE WITHOUT TICKETを選択
- 目的地を選択。料金は画一なので、どこでも構いません。気になる方は正確に選ぶ and/or Other Stationsから入力しましょう。出発駅が違っている場合は右上のMODIFY DEPARTUREから。
- 乗る電車を選択。鈍行に乗る場合、RまたはRV(それぞれ鈍行Regionale、快速Regionale Veloceの略)と書かれた電車ならば、どれでも構いません。カートマークを適当に選びましょう。
- BICYCLES横のプラスマークを押して必要枚数にしたら、右下のPURCHASEを押してお支払い。これでチケットが買えます。
購入したチケットは、このような打刻機で打刻することで有効になります。自転車チケットは打刻日の23:59まで有効です。この緑のランプが消えていたり赤だったりしたら装置が壊れているので、他のものを探しましょう。
出先で電車のスケジュールを確認する
ViaggiaTrenoをおすすめします。電車の発車プラットフォーム番号と遅延時間がわかります。しかも日本語対応!(小さな誤訳は許してあげてね)
参考 Trenitalia – ViaggiaTrenoMobile
レンタカー
はい、様々な問題を一発解決ですね。日本を出発前に免許センターで国際免許の取得をするのを忘れないようにしましょう。有効期限は1年です。
さあ、走り出そう!
路上で
上でもご紹介しましたが、法律を守って走行しましょう(イタリア人が必ずしも遵法精神に富んでいるかというと疑問ですが…)。何よりも大事なのは、ハンドサインでの車とのコミュニケーションです。
先に行っていいよ、曲がります、待ってくれてありがとう、等、こちらの意思を伝えることと、お礼を欠かさないように! こちらが敬意を持って接すれば、あちらも敬意を持ってくれます。
私の経験から言うと、イタリアのドライバーは自転車を気遣って走ってくれる人が大多数な気がします。やはり自転車文化が根づいているからでしょうか。
そりゃ奔放な運転をする人が多いですが、幅寄せや急停車など、悪意を持ったドライバーに出会ったことはありません。よくイタリア人から、道路を走るのは危険じゃない? と聞かれますが、日本の狭い道で車ギリギリに走る方がよほど危険な気がします。
尚、停止サインは「左下に手を出して後ろに手のひらを見せる」ポーズが一般的です。背中でグーは見たことがありません。
すれ違うサイクリストには笑顔で「チャオ!」をお忘れなく。
補給
日本と一番違うのが、補給の難しさかと思います。
イタリアには日本のようなコンビニはありません。一旦町から出てしまえば、次の町まで何もない農地や牧草地や山が続き、峠のカフェやパン屋やそば屋やカレー屋なんてファンタジー。
たまにレストランがあることもありますが、オフシーズンは閉まっていることが多いです。しっかり準備をしていかないとハンガーノック待ったなし。
また、大抵のバール(パニーノが置いてある)やレストランは遅くても真夜中にはキッチンが閉まります。夜間ライドを計画している方は、食料を買い込んでから出発しましょう。都市郊外の大型スーパーならば、24時まで営業しているところも稀にあります。
個人的には、無理して暗闇の中走るよりも、余裕を持った計画で明るい時間のみに走ることをおすすめします。夏には北に行けば行くほど日照時間が長くなります。私の住むピサでは21時が日没で、22時くらいまではほんのり明るいです。
町中のセキュリティ
町中、特に観光をするような旧市街地は、ミラノやローマなどの大都市を除いて基本的に徒歩で十分な大きさです。自転車はどこかに預けるのがセキュリティ上でもベスト。
宿泊する町ならホテルに、通過する町なら例えば鉄道駅の荷物預かり所や食事をするレストランで預かってもらいましょう。
ミラノでは、工具を持った泥棒が白昼堂々と自転車を盗んでいるとの話も聞きます。
おわりに
イタリアを走る準備が少しは想像できましたでしょうか? 細かいところは日本と違えど、日本で宿泊込のツーリングやグランフォンドに参加したことのある方なら、大まかな流れは同じかと思います。
道路や公共交通機関は日本よりも遥かに自転車に寛容ですし、困ったことがあれば町の人や通りすがりのサイクリストがきっと助けてくれることでしょう。
この記事をきっかけに、より多くの日本のサイクリストにお越しいただいて、本場でのサイクリングを心ゆくまで楽しんでいただければ幸いです。
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