近代ロードレースの対極にあるような「エロイカ」という価値観

近年ロードレースはつまらなくなった、という話をよく耳にします。Team Skyが強すぎてつまらない、という声は多いですね。

もう何もかも計算して、参戦してくる。結果も出す。お金もあるので良い機材をどんどん投入する。戦略がすごい。勝利するためのトレーニング。勝利するためのサイエンス。それを徹底している。

みんなTeam Skyには勝てない。リスクファクターまで計算に入れた戦略を組んでくるから、番狂わせがなかなかない。

さらに、ペーター・サガンがつい先日、衝撃的なことを言いました。ロードレースって長すぎるだろ、と。ぼくがこのスポーツのファンだったら、途中は退屈だからテレビは消して、最後のゴール手前だけ見る、と。

こういう意見は、反論もあるとは思うのですが、そうだよね、と思うところも、やはりあるのであります。

たまにパヴェとか砂利道は、あります。でも基本的には整備された舗装路を、最先端のバイクサイエンスによって開発されたロードバイクで効率的に、駆っていく。勝負どころ以外は、ひたすら耐えるエンデュランス。私も好きでロードレースはよく見ますが、寝落ちしたことは何度もあります。たぶんあれは、選手も眠い。

「エロイカ」という価値観

さて、1997年にイタリアで「エロイカ」というサイクリングイベントがはじまりました。

これはレースではなく、イベントです。きれいに整備された舗装路ではなく、あえてガタガタな砂利道を走ります。

機材も、最新鋭のエアロなカーボンロードはお断り。「ドレスコード」があるんですよ。バイクは1987年以前のものか、あるいはそれに準ずる外観のもの。頭部のプロテクションやウェア類も、その時代のヴィンテージ感あふれるものを着用しないといけない。別の言い方をすると、コスプレです。

キャップ、カスク、ウールジャージです。

そしてこのイベントは、タイムを競うのではありません。完走することが大事。完走者はみなチャンピオン。道中、おいしいワインやおやつが用意されて、みんなそれをつまみながら走ります。

日本だと「それは飲酒運転…」という人が出てきそうですが、こういうイベントが可能なイタリアという国は素直に羨ましい(大量にワイン飲んで走ると身体には悪いと思うけど(笑))。

このイベント、現在では日本を含む世界数カ国で開催されるようになりました。

今年は群馬県の吾妻〜草津エリア。来年2019年も6月1〜2日に同地域でエロイカが開催されます。その他の国のスケジュールはこのページを参照。

南アフリカのモンタギュー、米国カリフォルニアのカンブリア、イタリア・トスカーナ州のブオノコヴェント、同モンタルチーノ、他スペイン、イギリス、オランダ、ドイツ等々で開催されます。

参加コースもいろいろあります。たとえば2019年10月6日にガイオーレ・イン・キャンティで開催されるエロイカは、32km, 46km, 78km, 130km, 209km等のコースが用意されています。

レギュレーションのページを見ると、使用可能なバイクや着用可能なウェアについて細かい規定があります。ちなみに今気づいたのですが、エロイカジャパンのサイトがあり、そこで日本語のレギュレーションを読めます。こんなことが書いてあります。

Eroica (r) Japanでは「BICI EROICA(ビチ・エロイカ)」と呼ばれるヴィンテージバイク、またはヴィンテージ風に作られたスチールフレームバイク(ランドナー、スポルティーフの最新モデルを含む)の使用を求めます。服装に関してはヴィンテージスタイル(ウールジャージ、革靴、カスクなど)を推奨しています。

6.1.a  「ビチ・エロイカ(エロイカタイプクラス)」の定義について
BICI EROICAとは、19世紀後半から1987年までに製造・販売されたスチールフレームのロードレース用バイクを意味します。1987年以前に製造されたアルミフレーム(Alan, Vitus 製)やカーボンフレームの参加も認めます。下記のガードラインをご参考ください。
日本で製造されたランドナータイプ自転車(ロードマン、スポルティーフ、片倉自転車、丸石自転車、山口自転車)なども、1987年以前に製造されたものは、エロイカクラスとして登録してください。
(A) コンポーネントはシンプレックス、ユーレ、カンパニョーロ、ゼウス、シマノ、サンツアーなどのギア、ディレイラーの使用は可能です。
(B) ペダルについて、トウクリップとストラップや、古いバイクのオリジナルのペダルであるべきです。
(C) ブレーキケーブルはハンドルの外部に露出していることを求まます(1987 年以前に製造された自転車であれば例外を認めます)。
(D)変速レバーは1987 年以前に製造されたものでなければなりません。カンビオコルサ、カンビオパリルーベ、カンビオヴィットリアマルゲリータ、などのオリジナルパーツでなければなりません。
(E)ホイールは、少なくとも32 スポークの必要があります。リムはスチール、アルミやウッドのどれかでなければなりません。インナーチューブと管状タイヤとクリンチャーが許可されます。
(G) サドルも自転車と同じ時代でなければなりません。不可能な場合、レプリカまたはヴィンテージ風サドルの使用を認めます。
(H) コースの難易度に合わせてギア比の変更は許可されています。
(I) ブレーキに関して、安全上の理由からルールはありません。
(J) シングルギアのバイクは、上記の基準を遵守する必要はありません。ただし、公道を走る場合は日本の道路交通法に則っていることを求めます。…

いっやー、ハードル高いです。勿論、ある程度の例外・特例事項はあるようです。これはリンク先の公式サイトを参照してください。

ここで皆さん思うはずです。そんなヴィンテージバイク、持ってねえよ!と(笑)。

そんな声にお応えするかのように、ビアンキがエロイカ開催委員会と組んで開発したモデルがあります。その名もBiachi Eroica。これなら参加できます。スイスのベラチスポーツではこの完成車を27.9万円で買えます。送料込み約30万円。エロイカに参加したいけどどうも自分でパーツを集められそうにないという方は検討してみて下さい。納期1〜2ヶ月とあるので余裕を持ってご発注を。

自分でパーツを集めて組むのも楽しいですが、なかなかこの値段には収まりません。

ところでCBNにもこんなエロイカ精神あふれる自転車及びサイクルパーツの数々を投稿してくださるレビュワーさんがいらっしゃいます。そう、それはstone_n_rollさんです。例えばこれ。ELITE EROICAアルミボトルのレビュー。

写真:stone_n_rollさん

写真:stone_n_rollさん

こういうヴィンテージ感じあふれるスチールバイクやパーツのレビュー、stone_n_rollさんはたくさん投稿してくれているので、是非皆さんチェックしてみて下さい。

これも同じくstone_n_rollさんのDIA-COMPE ENE WING SHIFTERレビューから。わお!!

最近ロードバイクに乗りはじめたばかりという方、最初に買ったのがカーボンロードだったという方は、このブレーキレバーにあいた穴の意味がわからないかもしれないですね。

むかし軽量化でこういうことがされたのです。つまり機能的な意味があったのですが、意匠(デザイン)のようにも見えますよね。

来年、イタリアや日本のエロイカイベントに参加してみようかな、と思った方は、是非今のうちからいろいろ調べておいてみてください。

CBNのレビュワーさんで参加された方はいないかもしれませんが、今年2018年の群馬では300名以上の参加者があったそうですよ。

西ヨーロッパのこうしたサイクリングイベントは、グランフォンドもそうですが、景色と地元のおいしい食べ物・飲み物を楽しみましょう、というところがあると思います。これはロードレースとも、Audax的なサイクリング(ブルベ)ともまた違った感じのイベントで、おもしろいですね。

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