CRY!
物欲(ゆめ)が熱く叫んでるよ
FLY!
思うままに翔び立つnadokazuです。
というわけで、今回の駄文はこちら!
毛無峠って、どんな場所?
長野県上高井郡高山村と群馬県吾妻郡嬬恋村の境にあり、「グンマー帝国国境」としてネットのネタにされ続けている場所。それが、毛無峠です。
「群馬県」の看板の隣に「この先危険につき関係者以外立ち入り禁止」という看板がデカデカと掲げられているうえ、その先へ続く道はチェーンで封鎖済み。
ネットでまことしやかにささやかれる「パスポートが必要」「生命が危険にさらされる」「足を踏み入れたら戻れない」などの言説を、敢えて裏付けるかのような景観が広がっている様子をXやインスタやブログで目にされた方も多いでしょう。
いまや群馬県公式の観光サイトですら、平気で「グンマーの国境」「グンマーの秘境」とか書いちゃってますからねぇ。
毛無峠への到達を阻む「渋峠」の存在。
「こんな面白そうな場所に、行かない理由がない!毛無峠に行ってみたい!」ずっとこう思い続けていたのですが、実際には二の足を踏みがちでした。
なぜなら毛無峠のすぐ近くには、「渋峠」があるからです。
国道最高地点にほど近く、自転車漫画の帝王『ろんぐらいだぁす!』でも登場する渋峠。特に森林限界を超えてからの景色は、もう破壊力抜群です。
また冬期通行止めが解除されたあとは、非常に印象深い「雪の回廊」の光景が見られます。
キャッキャウフフと楽しくグループライドするコミュ力高めの自転車乗りたちが大挙して訪れて、リア充オーラをまき散らす渋峠。キラキラと光り輝く、陽キャのサイクリングスポットであることは疑いようがありません。
それに対して、「毛無峠」はどうでしょうか?
はい、間違いなく陰キャです。
渋峠が眩しく輝くと、その分だけ毛無峠の闇は深くなっていきます。光あるところ、必ず漆黒の影が落ちる。渋峠にあるのが「華やかさ」だとすれば、毛無峠は「寂寥」。はやめブラストギアで言うところの、「裏ロード界」です。ここは…猛者の集う闇の世界…。
だいたいですね、これだけメジャーな絶景スポットの近くまで来たのに、わざわざ別の場所に行く選択肢なんて普通はセレクトしないでしょう?だからこそ、毛無峠に行くには「毛無峠に行く!」という、強固な意志が必要になるのです。
輪行で毛無峠に向かうなら?
そんなわけで「毛無峠に行きたい!」という感情がメーターを振り切ったので、行ってみることにしました。スマホに仕事の通知が入りまくってますが、どんとすとっぷみーなう!
さてさて毛無峠に行くと決めたはいいのですが、「どの駅まで輪行するのか」に悩みました。横浜エリア出発の場合は3駅が想定できるのですが、どこも帯に短し襷に長しなんですよね。
Googleマップだと万座・鹿沢口駅も候補に入りそうに見えるのですが、万座ハイウェーが自転車通行不可なのでもちろん除外です!
(1)JR吾妻線、長野原草津口駅
毛無峠までは、RWGPS計測で距離51.2km/獲得標高1,973m。
高崎駅までの直通列車を使えば、横浜エリアからでも乗り換えは1回だけ。新幹線を使わなければ、交通費の大幅節約が可能なのも見逃せません。普通に考えると、ここが最有力…ではあるのですが、長野原草津口駅から草津までの前半戦が実にキツいんですよね。
多少斜度が緩いと言われている六合経由でも、草津に到着する頃には脚が完全に売り切れます。残りの行程は、地獄の底を這いずり回るような時間になることが確定。以前、長野原草津口駅から渋峠に登坂したときは草津から先が本当に、本当に、本っ当にツラかったです。トラウマ級のダメージが、両脚に刻み込まれました。
そりゃあ脚力つよつよサイクリストの方であれば、「長野原草津口〜草津〜万座三差路〜渋峠〜万座三差路〜万座峠〜毛無峠」みたいなルートを組むことだって可能でしょう。
ところがどっこい、相撲はどすこい(©メカ部チャンネル)。こちとら脚力の貧弱さにだけは絶大な自信を誇る、ゆるポタの民です。登坂は1日に1回に留めなければ生命維持に重大な支障をもたらすことが、医学的にも証明されています(※根拠はありません)。
(2)長野電鉄、湯田中駅
RWGPS計測で距離44.6km/獲得標高1,856m。
長野駅まで新幹線を使って、さらに長野電鉄の湯田中駅まで輪行。渋峠を経由して、毛無峠に向かうプランです。長野駅から出発してもいいのですが、可能な限りラクをすることを優先するのが貧脚の掟。
長野側から登坂する渋峠は、草津出発よりも斜度がキツめになります。道中の絶景度合いだって、草津側には及びません。しかしながら目的地を毛無峠だと考えれば、最もラクできるルートのように思えます。
なんですが!
途中で「渋峠」を経由するところが、非常に大きな障害。だって渋峠に到達したら、間違いなくそこで満足しちゃいますもん。万座三差路をそのまま直進して、草津に降りちゃう未来しか見えません。
(3)長野電鉄、須坂駅
RWGPS計測で距離27.1km/獲得標高1,587m。
長野駅まで新幹線、長野電鉄に乗り換えるところまでは同じですが、途中の須坂駅で下車して毛無峠に向かいます。
このルートは、走行距離・獲得標高ともに「最小」。長野原草津口駅出発に比べれば、走行距離はほぼ半分しかありません。獲得標高だって、8割程度で済みます。
坂で極限までツラく苦しい思いをするのは、どんな斜度でも変わらない。そしてスピードだって転倒しない程度を辛うじて維持しているだけですから、斜度が緩かろうがキツかろうが同じ速度しか出ません。そうなると、真実はひとつ!
「どうせ地獄の登坂に泣くのなら、距離が短い方がマシ」
というわけで、須坂駅出発で毛無峠に向かうことを決めました。
最短距離で毛無峠に向かえ!
新幹線で長野まで行って、長野電鉄に乗り換えます。なんか、地下ホームまでが地味に遠くない?
これは…東急線?こっちは…地下鉄日比谷線?そして今度は…成田エクスプレス??なんだか見覚えしかない電車ばかりを横目で見ながら、やってきました須坂駅!輪行を解除して駅前の通りを進むと、そのまま毛無峠への直行コースです。
駅を出てすぐに登坂が始まりますが、たいした斜度ではありません。アウターに入れたままでも、普通に進めます。もしかして、思いのほか苦労せずに毛無峠にたどり着けちゃうのでは?
と、思ったのもつかの間、駅から8km程度進んだあたりで斜度のキツい貧脚キルゾーンに突入しました。どギツい斜度の坂が延々と続いて、休憩ポイント一切なし。連続する九十九折りは、もう無限に続くかと思えるほどの数。
九十九折りによくある「死ぬ思いをしながら登っているのに、はるか上方向にこれから向かう道路が見える」というシーンを繰り返し見せつけられて脚だけでなくメンタルも崩壊寸前。先達の方のブログを拝見して、それなりの覚悟はしていましたがキツいです。実にキツいです。
そりゃそうですよね。長野原草津口駅出発に比べると、走行距離は半分〜6割程度なのに獲得標高は8割近くあるんですから。「距離が短いからラク」なんかでは決してなく、「キツい登坂からの逃げ場がまったくない状況に追い込まれる」のです。「キツい思いをするんだろうなー」という想像を、はるかに超える苦難。
ヘルメットのストラップから伝わってきた汗がボタボタと垂れてきて、雨が降っているかのようにフレームバッグを濡らします。心拍はずっと、ゾーン5に張り付きっぱなし。この苦しくて辛い時間が1秒でも早く終わることだけを心の底から願い続けますが、サイコンに表示されるのはゴールが果てしない彼方であるという残酷な真実だけ。
たまに開けた場所に出くわすと、ここぞとばかりに自転車を停めて写真を撮りまくります。
が、すぐに地獄の登坂が再開。シテ…コロ…シテ…。
せめて進路変更ポイントでもあれば気分も変わろうというものですが、駅からずっと一本道が続きます。脚にもメンタルにも、一切の逃げ道がありません。
さらに絶望を加速させるのが、道路脇に設置されたカーブの数を示す看板。
これ、碓氷峠にも同じような看板がありますが、毛無峠に向かう道のほうが凶悪度が圧倒的に高いです。
碓氷峠の場合は、カーブの数が昇順で記載されています。100以上のカーブがある登坂、という事実に変わりはないのですが「まだまだ終わらない」という絶望の感じ方はホンの少しだけ控えめ。
しかしながら、こっちは降順で番号が振られています。カウントダウンする形なので「坂の終わりが着実に近づいてる!」という希望を感じられる…かと思いきや!
あまりにも斜度がキツく、カーブを1つ通過するだけでも延々と時間が経過します。「まだこんなに残ってる…これ本当に毛無峠にたどり着けるんだろうか…」という、絶望だけを永遠に感じ続けることになる。まさに絶望メーターDeath!
カーブの看板を見ないように見ないように走って、まさに無限と思える艱難辛苦の時間を過ごすこと約3時間30分。ついに、なんとか、ようやく毛無峠への分岐に到着しました。ここを曲がったら、ゴールはすぐそこです。
分岐の先は、若干の下り。帰りは登りになるのか…と冷や汗をかきつつ進んでいると、目の前の岩肌に水がしたたり落ちていました。
水量はそれほどでもないものの、かなりの落差があります。Googleマップで見てみると、「御飯滝」という名前のようです。ちゃんと滝だったんですね。
観光協会などのサイトを見ても詳しい記載は見つけられず、名前以外の情報なし!かなりイイ感じの場所に思えたのですけどねぇ。
ここ、異世界?
通行止めになっている林道湯沢線との合流地点を過ぎて、しばらく進むと周囲の雰囲気がガラッと変わります。未舗装になった道を少しだけ走ると、ついに「グンマー国境」に到着!
これこれ、これが見たかったんや!!
ネットでよく見た光景が、いま、目の前に!!
幸いなことに誰も近づいてくる人がいなかったので、自転車を置いて写真を撮りまくり。看板の近くには、いろいろ置いてあって楽しめました。
そうそう、この「群馬県」の看板は、2025年にリニューアルされた「新品」だそうです。1年でこんな状態になってしまう、恐るべきグンマの風雪…と思いきや「老朽化した標識の雰囲気をデジタル処理で再現したもの」とのこと。X(旧Twitter)で教えていただきました。感謝!
参考 積水樹脂グループ公式note 【担当者に聞いた】グンマー帝国 毛無峠の新標識「秘境風」の依頼にこだわり大人気!
それにしても、毛無峠は実にすげぇ場所です。背の低い草が申し訳程度に地面を覆うだけ。一部では、赤茶けた山肌がむき出しになっています。
標高を感じさせる、雲と空の近さ。そして吹き抜ける風は強めで、視界のあらゆる方向から「この先は、お前たちの領域ではありませんよ?」とでも言いたげな、圧倒的な非日常感が押し寄せてきます。
荒れ果てた山肌に立つ、朽ち果てた鉄塔。こうした遺構があるのも、非日常感の演出に一役買っていますねぇ。
目の前に展開する光景の異様さを見ていると「ここ本当に日本!?」ぐらいの感情は、普通にわき上がります。異世界転移したのかと、疑いたくなるレベルです。
そしてこの並んだ杭は、雪が降ったときに路肩の限界を示すためのものですよね、多分。こんな高さまで積もるのか…。
そんなわけで毛無峠に滞在中は、終始「なんだこれは?(なんなんだこれは?)」という感情に支配されっぱなしでした。
え、クマが出た!?
のほほんと写真を撮っていたら、バイク(バンザイしながら乗るようなタイプ)のお兄さんに話しかけられました。お話を伺うと、なんと「須坂からの登坂中にクマを2頭見た!」とのこと。え…マジで!?
すでに脚力は完全に喪失しているので、渋峠を経由して長野に戻る選択肢はありません。もしダウンヒル中にクマが現れたら、速度を落とさず突っ込んで華麗に回避したほうが生存確率が高いんじゃないか…?いや普通にダメだろ!などと震えながら考えていると、バイクの兄さんが下りの手前で待っててくれました。下まで先導してくれるとのことで、不安が安心に逆転。鳴り響くエンジン音が、こんなに頼もしく聞こえるとは。内燃機関万歳!!
バイクの兄さんは街中に入ったところで、そのまま加速。お礼を言う間もなく、消えていきました。やさしい世界の恩恵を存分に享受して、無事に下山完了です。
▼ 参考記事

まとめ
毛無峠の風景、ぶっ刺さるモノがあります。ここは、もうマジモンの異世界。首都圏からの日帰り可能エリアでは、唯一無二なのでは?と思わせる場所です。
どの駅から出発しても、斜度がキツめの長距離登坂から逃れることはできません。地獄の道程になることが確定しているので、両脚どころか全身がズタボロになる覚悟が必要です(特に須坂駅スタートの場合はひでー目に遭います※経験者談)。
それでも!
苦労した見返りとして、十分すぎるどころではない光景を目に焼き付けられます。
毛無峠に行く価値、ありありのありです。これだけの絶景を目にすることができるなら、地獄の登坂にだって耐えられ…ま…す…(小声)。
それと須坂駅から毛無峠へのルートである県道112号大前須坂線ですが、路面が非常に良かったです。ところどころ気になる部分があったりもしますが、全体的に好印象しか残っていません。少なくとも、下山してから走った長野市街地の方がよっぽど状態が悪いように思えましたねぇ(※個人の感想です)。
そうそう、このところサイクリングの後は「快活CLUB」で休憩するのがお気に入りです。
- シャワーが無料で使える(設備がない店舗や有料の店舗もあるので事前調査必須)。
- プライバシーを確保したうえで、横になってゆっくり休める。
- コーラ飲み放題!&ソフトクリーム食べ放題!!(サービスのない店舗もあるので事前調査必須)。
脚を伸ばして湯船につかれるスーパー銭湯もいいですが、シャワーでサッパリしたあとプライバシー確保済みの空間でグダグダできるのは快活CLUBならでは。そしてコーラとソフトクリームで、消費したカロリーを倍返しでも3倍返しでもやりたい放題なのがもう最高!
それでいてスーパー銭湯の入浴料と貸しタオル代ぐらいの金額かそれ以下で済んでしまうのって(滞在時間による)、なんかのバグですか?
どギツイ登坂で脚力もメンタルも完全に枯れ果てましたが、快活CLUBのコーラとソフトクリームのおかげで摂取カロリーだけはオーバーキル。グンマー国境を越えずに、カロリー国境を天元突破しました。
そして極限の疲労状態からまったく回復しない(特にメンタルが)ので、平日夜のバーチャルライドをずっとサボり続けています。体重計に乗るのが、恐ろしいどすえ…。
































