パワーメーター

Limits BIA パワーメーターはどのような基本的機能も果たせていないため推薦することは不可能だ

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英BikeradarがLimits BIA パワーメーターの製品レビュー記事を公開しました。Limits Power Meterという製品がもともと2015年にIndiegogoでクラウドファンディングされ、その後製品の提供まで紆余曲折あり、最近になって量産品がLimits BIAとして販売開始されたようです。

Limits BIA Power Meter

© limitspowermeters.com

出典 Limits BIA power meter review – Bikeradar
参考 Limits Power Meters – Bike Power Meter

安かろう悪かろう

以下、記事の抜粋・抄訳です。

  • Limits BIAは左ペダルとクランクのあいだにサンドイッチする左専用パワーメーターで価格は229ポンドと最安の部類に入るが、この価格を実現するためにあまりに多くの妥協が生じてしまっている
  • ひどいビルドクオリティと、36mmのQファクター増(片側18mm)だけでも購入を思いとどまる理由になるだろう
  • さらにパワーデータには正確さも一貫性もないため、価格がどうであれ推薦するのは不可能だ
  • Limits BIAはバッテリーなしで47gあり、ドライブサイドに45gのスペーサーを入れるため合計92gになる。これは大した問題ではないと言えるが、競合のStages Lは公称20g、4iiiiのポッドは9gだとされている
  • SR44コインセルバッテリーを入れるにはプラスチックの蓋(バッテリードア)をコインで開くのだが、この蓋が柔らかすぎて初回の電池インストール時に片側のスロットが早くも摩耗してしまった
  • バッテリー収納部は内部のエレクトロニクスが露出する箇所なのでこれは問題になるのだ
  • テスト製品には袋いっぱいの予備バッテリードアが付いてきたが、一般ユーザーが受け取るスペアは2個だけだ。またスペアが付く理由は壊れやすいからではなく、小さくて失くしやすいからというのが彼等の見解だ
  • 価格帯が近い他社製品にはSRAM Rival AXS DUBパワーメーターや4iiii Precision 105 R7000やStages L 105 R7000などがあるが、どれもLimitsよりは丈夫な造りになっている
  • 保証期間は1年でこれはStagesと同等だが、多くのパワーメーターには2年以上の保証がある
  • 耐候性能はIP54で水しぶきにしか対応せず、最良のパワーメーターのようにIP67やIPX7ではない。冬のライドやガーデンホースを使った洗車には向かない。水の高圧噴射での洗車は当然ダメだ
  • Qファクターが広くなるためカーボンクランクで使う場合はメーカーに確認を取ったほうが良い(シャフト部が長くなるためテコの原理が効いて接着式のペダルネジスレッドが耐えられない場合もあるかもしれない)
  • ANT+とBluetoothのいずれかに対応しているが、同時ブロードキャストはできず、切り替えは電池の片方を入れ直すことで行う。これは不便だ。華奢なバッテリードアのことを考えても大丈夫なのだろうかと思う
  • Limits BIAの専用アプリはまだ存在せず、ファームウェアのアップデートにはnRF toolboxというスマホのサードパーティアプリ(iOSとAndroid版がある)と、ファームウェアをスマホに転送するためにデスクトップPCが必要になる。作業は不可能なほど複雑ではないが、Favero Assioma, Stages Power, SRAM AXS appsなどと比べるとシームレスな体験からは程遠い
  • Limitsの専用アプリは今後3〜6ヶ月以内に開発予定だというが、正確な時期は未定だとのことだ
  • 36mmのQファクター増加は無視できない。調整も最適化も行う方法がなく、私には非常に具合が悪かった。慣れることはできずテストライドを終える前に膝が痛くなってしまった
  • バッテリーは80時間以上持つとされているが、初回テスト後(雨中で1.5時間のライド)、2回目のテスト前にバッテリーが干からびてしまっていた。バッテリーを新品にするとこの問題はすぐに改善した。Limitsによるとウェット環境でのライド後にバッテリーが枯渇する現象は把握していないとのことなので、最初に使ったバッテリーが単にハズレだった可能性はある
  • パワーメーターの精度は+/-2パーセントだという。これが本当ならこの価格帯では受け入れられる数字だ。しかしテストの結果、Limits BIAの数字は正確でもなければ一貫してもいなかった
  • 最初から他のベンチマークにしているパワーメーターと数字が離れていたが、ゼロオフセット・キャリブレーションを行ったらさらにひどくなった
  • ケイデンスは概して良いが、パワーデータはVerve InfoCrank ClassicやFavero Assioma(左のみ)による結果からかなりかけ離れていた
  • 乗り方によっても記録がかなり違うようだ。座ってペダリングしているとパワーが大きめに測定される(1回のライドで平均30パーセント近く)。クライミング時に立ち漕ぎすると10〜15パーセント低めに出る。座ったり立ったりすることでこの問題を再現することもできた。スプリント時は最初のパワーアウトプットの上昇を認識するが、その後に続くエフォートを正確に記録できていない
  • スマートトレーナーでは、10分間のウォームアップとゼロオフセットを行うことでかなり改善された
  • つまるところ、Limits BIAは良いパワーメーターが持つであろうどのような基本的機能も果たせていない

と、珍しいと言えるほどの酷評で、星は5点満点中1点でした。記事のサブタイトルは「安さにいつも価値があるとは限らない(Cheap doesn’t always mean good value)」。星1は海外の大メディアではなかなか目にしないので、相当印象が良くなかったのかなと思います。

著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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