クロスバイク、という言葉を聞いて、みなさんはどんな自転車をイメージするでしょうか。クロスバイク。それは…
- ロードバイクのようなフレームを持ち…
- そのフレームはアルミで…
- ドロップハンドルでなく、フラットバーやライザーバーであり…
- ブレーキもロード用のキャリパーブレーキではなく、MTB用のVブレーキを装備し…
- ホイールはロードのような700Cサイズであり…
- タイヤはロードよりもやや太めであり…
- ペダルはもちろんビンディングではなくフラットペダルであり…
- チェーリングはトリプルであり…
- キックスタンドを備え…
- 一見悪路も走れそうに見えながら、「悪路での激しい走行禁止」というシールが貼ってあったり…
- 乗る場所は山林のオフロードではなく、街中… 通勤通学、サイクリング… アーバンバイク、都市生活者の、ちょっとだけスポーティーな足…
そんな自転車を、私は思い浮かべます。まぁ、こういう自転車ですよ。クロスバイクの代表的なモデルのひとつ、Specialized Sirrus。
Giant Escape R3も、あまりにも有名です。スペシャのシラスか、ジャイアントのエスケープ。クロスバイクで悩んだらとりあえずそれで間違いないよ、と言われるくらいの支持率を誇る2モデルでありましょう(写真は2枚ともパブリック・ドメインから)。
でも、こんな疑問が湧いてきます。
- Vブレーキの強力なストッピングパワーは、アーバンコミューターに必要なのか。キャリパーブレーキでも十分ではないのか…
- まあVブレーキは良しとしよう。でも、いま安いディスクブレーキが増えてきている。Vブレーキ、いずれ消えるんじゃないか…
- フロントトリプルは都市生活者に必要なのか。重い荷物を積載してツーリングするわけでも、しょっちゅう激坂を登るわけでもないのに、必要なのか…リアは12枚が出てきた時代だし…
- フラットバーロードではダメなのか…
考えれば考えるほど、「クロスバイク」というものの正体がわからなくなってきます。誰向けの自転車なのか。何を目指しているのか。アイデンティティがよくわからない自転車。よくある感じの構成も、必然性があるようには思えない自転車。
そんなことを考えていたら、こういう自転車に出くわしました。これは最新のクロスバイクともいえる、「Specialized Sirrus X Comp Carbon」です(スペシャライズドのサイトではクロスバイクの中のフィットネスシリーズ、という位置付けらしい)。
米国価格$1,650。国内価格¥194,400。ドライブトレインはSRAM NX 1×11。タイヤは700×38。
おいwww これもう「クロスバイク」じゃないだろwwww そしてこれは「フラットバー・グラベルロード」という呼び方でもいいのではないか… 何なんだこの自転車は…
「クロスバイク」の定義も様々あると思いますが、なんというかロードバイク! とかマウンテンバイク! みたいに「スポーツスポーツしている感じはイヤだ」という層が一定数存在してて、その方たちにむけたジャンルだとは思うのですが、どうもこのジャンルは定義がますます難しくなりつつあるんじゃないか。
「クロスバイク」はもしかしたら、これからは自転車の仕様、スペックでは定義できず、「自転車社会学」的な見地からしか定義できなくなるのではないか、と思ったりもします。