マウンテンバイクが欲しい。ふと、そう思ったのである。最近乗ってない。自分が求めているスペックは、大体わかっている。まず鉄であること。Steel is real ! クロモリ。そしてハードテール。あと油圧ディスクブレーキであること。フロントシングルの1xであること。
そんな条件でネットをいろいろ探していたところ、可愛らしくもカッコいい俺好みの1台を見つけたのだった。Marin Pine Mountainがそれだ。うおーっこれは楽しそう! と一目惚れ。
Images ©marinbikes
日米公式サイトの情報を総合すると、Marin Pine Mountainはバイクパッキングを意識したモデル。駆動系はSHIMANO DEORE 1×10。フルクロモリのハードテール。ブレーキだって油圧だ。ただ日本サイトではBR-MT400、北米サイトではBR-M425となっている。前者ならALIVIOのトレッキングシリーズ、後者なら普通のALIVIO。実際どちらなのかはわからない(でも大差ないはず)。
タイヤは27.5×2.8で重量は13.6kg(サイズ不明)。気になるお値段は税別¥114,000。安い!
下の動画はフロントサス付きのモデルを含むPine Mountainシリーズのプロモーション動画だけど、いいなあ。アメリカだねぇ。テント運んで湖畔のいい場所に張ってビールを飲む。最高かよな雰囲気。
ちょっと日本公式サイト掲載のフルスペックを読んでみよう。個人的に気になる部分に赤で下線を引いてみました。
- Frame Series 2 Double Butted CrMo, 27.5+ Wheels, Boost 141x9mm Open Dropout
- Front Suspension CrMo, Thru-Axle, Suspension Corrected, Boost 110mm Spacing, QR Lever
- Rim Marin Aluminum Double Wall, 38mm Inner, Pinned Joint, Disc Specific, Tubeless Compatible
- Hub Rear Alloy 141x9mm, 6-Bolt Disc, 32H
- Hub Front Forged Alloy, 110x9mm, 6-Bolt Disc, 32H
- Spokes 14g Black Stainless Steel
- Tires Vee Tire Crown Gem 27.5×2.8″, Dual Control Compound, Folding Bead, Tubeless Compatible
- Derailleur Rear Shimano Deore Shadow Plus SGS 10-Speed
- Derailleur Front –
- Shift Lever Shimano Deore 1×10-Speed
- Crankset Marin Forged Alloy 1×10, Hollow Spindle, Direct Mount Steel Forged Narrow-Wide 32T Chainring, Boost Spacing
- Bottom Bracket External Sealed Cartridge Bearings
- Chain KMC X10
- Cassette SunRace 10-Speed, 11-46T
- Brakes Front Shimano BR-MT400 Hydraulic Disc, 180mm Rotor
- Brakes Rear Shimano BR-MT400 Hydraulic Disc, 160mm Rotor
- Brake Levers Shimano MT400 Hydraulic
- Handlebar Marin Mini-Riser, 6061 Double Butted Aluminum, 15mm Rise, 780mm Width, 4º Up, 9º Back
- Stem Marin 3D Forged Alloy, 60mm
- Grips Marin Single Clamp Locking
- Headset FSA Orbit ITA, Sealed Cartridge Bearings, 1 1/8″ x 1 1/2”
- Seatpost Marin Alloy Light
- Saddle Marin MTB
- Pedals Nylon Platform
まず”Boost 141x9mm Open Dropout”という謎規格に驚愕。しばらくMTB乗っていないあいだに何があったんだよ… 9mm、そしてOpen Dropoutということはすなわちクイックリリースであり、あらたにMTBに乗るならスルーアクスルを試したいとは思うが、まぁ気にしない。
とはいえ、141mmって何なんだ。調べてみると、真偽は不明だが148mmブースト規格のハブを使いまわしているフシがある。
つまりBoost 141というのは性能的に優れているから生まれた規格ではなく、なんとなくコストダウンとか大人の事情によって生まれたのだろうか… と思ってしまうが、まぁ別にいいや。実際安い自転車なんだから。
そして下の方にあるフロントハブも謎。”Thru-Axle, Suspension Corrected, Boost 110mm Spacing, QR Lever”とあるのだが、これ北米サイトを見るとJoytechというメーカーの製品らしいんだけど、軸が9mm。110mmのスルーアクスルで軸9mm…な、何を言っているのか わからねー…15mmではないというのか。謎すぎる。MTBの規格は相変わらず百花繚乱だ。
ちなみに”Suspension Corrected”という表現をはじめて目にしたので調べてみたところ、欧米でもわからない人が多かったらしく、すぐに答えが見つかった。要するにフロントサスみたいに全長を長くしているという意味。クロモリフォークで使われる表現らしい。
ハブ軸まわりの規格がとにかく謎というか、どマイナーっぽいから後々のホイール交換に苦労するかもしれないけど、もしこのバイクを買っても頻繁にホイール交換はしないと思う。不都合を感じたらバラしてハブだけ使って何か手組みすれば良い。税込み12.3万でこんなカッコいい雰囲気のバイクが手に入るならそのへんはもう気にならない。そんな細かいこと考えて乗る自転車じゃない。
そもそもチューブレス対応しているからリムを換えたいとも思わないような気がする。ALIVIOだけど油圧ディスクブレーキがついているのもいい。
いいな、これ。買っちまうか。と、ここまで思って気になったのが2.8インチというタイヤサイズ。これは「27.5 PLUS」というやつだ。いわゆるセミファット。これはねぇ、乗ったら絶対に面白に違いない。
ただし、乗れる場所があったら、の話。
もし私が長野県のいい感じの山の中腹の一軒家に住んでいて、目の前がすぐトレイル、とかだったら何の問題もないんだけど、東京住まいでクルマさえ持っていない私はこれを乗る場所があんまりない。重さ・大きさを考えると輪行も少し厳しい。なんとなく「買ったけど年に2、3回しか乗らなかった」で終わるバイクになってしまいそうな予感がする。
でも魅力的なんだよなぁ、これ。スペックは謎だけど見た目がいい。こういうのは見た目が大事。見た目は合格。でも山に行くならグラベルロードで行くと思う。するとそっちばかり使うようになってこれに乗らなくなるような気がする。田舎の山の中腹の一軒家に住みたい…
こういう自転車を眺めていると本当に田舎に住もうか、と考えはじめます。ただ、いろいろと問題がある。まずは仕事をどうするかという問題。テレワークは可能か。現地に仕事はあるか。それと現地コミュニティとの相性問題。たぶんこの後者が最大の問題かもしれない。
聞くところによると、田舎暮らしに憧れて移住したはいいものの、町内会の人々とそりが合わず、共同集積所にゴミさえ捨てさせてもらえないというケースがあるらしい。転職してまで田舎に引っ越したとして、町内会と相性が悪かったからじゃあやめます、といって東京に戻ってくるのは簡単ではない。
政府は地方への移住・就職に数百万円の補助金を出す政策を打ち出しているけれど、問題はそこじゃないという気がする。その数百万も大事だけど、移住先のコミュニティとうまく調和するための施策が必要。
そうでないと、私はこのMarin Pine Mountainに乗って、週に2〜3回、パッキングした生活ゴミを遠くまで捨てに行くハメになる。
あ、それって考えようによっては結構面白かったりするのだろうか。いやいやいや…