1ページでわかるシマノ・コンポーネントの現在

コンポーネントをリリースしている各社のラインナップ状況は数年に一度は大きく変わるため、気が付くと何が何だかわからなくなっていることもよくあります。

シマノのコンポーネントについて言えば、公式サイトで全体像を理解するには6つのカテゴリーページからさらに下に降りて詳細を読みこむ必要があります。

そこで本記事では2019年4月現在のシマノ・コンポーネントに焦点を絞り、現在どのようなラインナップが存在し、それぞれにどのような特徴があるのかを1ページで観察していきたいと思います。

概況

まずシマノ・コンポーネントの現況を俯瞰してみます。同社サイトでは「ロード・MTB・E-BIKE・アーバン・トレッキング・BMX」という6つの大カテゴリーが設定され、それぞれに対応するグループセットが紹介されています。一覧表にしてみました。

ロード MTB E-BIKE アーバン トレッキング BMX
DURA-ACE
(R9100)
XTR
(M9100)
STEPS
(E8080)
METREA
(U5000)
DEORE XT
(T8000)
DXR
(MX70)
DURA-ACE
(R9150 Di2)
XTR
(M9050 Di2)
ALFINE
(S7000/S700)
DEORE
(T6000)
ULTEGRA
(R8000)
DEORE XT
(M8000)
ALFINE
(S7050/S705 Di2)
ALIVIO
(T4000)
ULTEGRA
(R8050 Di2)
DEORE XT
(M8050 Di2)
Nexus
(C6000 INTER-8)
ACERA
(T3000)
ULTEGRA RX
(RX800)
SLX
(M7000)
Nexus
(C3000 INTER-7)
105
(R7000)
DEORE
(M6000)
Nexus
(INTER-3)
Tiagra
(4700)
SAINT
(M820)
capreo
(F800)
SORA
(R3000)
ZEE
(M640)
Claris
(R2000)
ALIVIO
(M4000)
Tourney
(A070)
ACERA
(M3000)
DURA-ACE
(7710)
ALTUS
(M2000)
Tourney
TourneyTX
(TX800)
TourneyTZ
(TZ500)

こうして見るとMTBグループセットの数が突出して多いことにまず気付かされます。

次にネーミングルールに一定の特徴が見られます。ロード用コンポの場合、DURA-ACE〜105までのグループセットの型番には先頭に「Road」の頭文字である「R」が、MTB用ではXTR〜ALTUSまでMTBの頭文字の「M」が、トレッキング用ではTrekkingの「T」が先頭に付されていることがわかります。新コンセプト「アーバン」はUrbanの「U」ではじまっています。

XTの正式なニックネームは「DEORE XT」で、「DEORE」は別のコンポ。そしてDEORE XT, DEORE, ALIVIO, ACERAはトレッキング・グループにもその名前が登場しているので状況が複雑になっている印象を受けます。

Tourney(ターニー)がかなりわけのわからないことになっています。ロード用のTourneyは型番がA070で、MTB用のTouneyには「無印・TourneyTX・TourneyTZ」の3つが存在しています。いずれにしてもTourneyは非常に廉価な完成車付属のコンポでスポーツサイクルユーザーがバラ売りで購入することはあまりなく、気にする必要はないでしょう。

もうひとつのネーミングルールの特徴としては末尾が「50」または「5」で終わっているものが電動式のDi2を意味するものであることです。

それでは各カテゴリーごとのコンポを観察していきます。

ロード

ロードカテゴリーには現在、11のコンポーネントがラインナップされています。

  1. DURA-ACE (R9100)
  2. DURA-ACE (R9150 Di2)
  3. ULTEGRA (R8000)
  4. ULTEGRA (R8050 Di2)
  5. ULTEGRA RX (RX800)
  6. 105 (R7000)
  7. Tiagra (4700)
  8. SORA (R3000)
  9. Claris (R2000)
  10. Tourney (A070)
  11. DURA-ACE (7710)

DURA-ACE (R9100/R9150 Di2)

フラッグシップのDURA-ACEですが、「DURA」は”durability”(耐久性)を意味していると言わます。「ACE」は「ベストの、最良の」という意味から。現状は11speedで機械式・電動式(Di2)の2パターンあります。R9150がDi2。

ULTEGRA/ULTEGRA RX (R8000/R8050 Di2)

続くULTEGRAは”Ultimate Integrity”(究極の統合性)から作った造語とされています。これもメカニカル・Di2の両方あります。11speedです。

ULTEGRAには2018年、新たにULTEGRA RXというバリエーションが追加されました。製品としてはリアディレイラーのみですが、チェーンのバタつきを抑えるSHADOW RD+というクラッチ機構が搭載されているのが特徴。オフロードでの使用が想定されています。

シマノ(SHIMANO) RD-RX800 11S スタビライザー付 IRDRX800GS
シマノ(SHIMANO)
売り上げランキング: 21,348

近年のトレンドであるグラベル・アドベンチャー系ロードが意識されていると思いますがこのディレイラーは石畳で有名なレース「パリ〜ルーベ」で先行投入されたことでも話題になりました。

105 (R7000)

105についてはその名前の由来に諸説ありますが、本当のところは誰もわからないようです。以下に国内外で流通しているいくつかの説を紹介します。

  1. 1982〜83年に登場した6speedの「A105ゴールデンアロー」というグループセットの「105」という数字に由来している
  2. 105開発陣の誰かのおじいさんの年齢が当時105歳だった(海外情報
  3. 105を逆から読むと501。1980年に日本で流行したリーバイスのジーンズ「501」に由来し、「信頼できる丈夫な道具」という意味が込められている(海外情報

105は昔から「必要にして十分」とか「105で十分」とか「105ならレースでも使える」などと言われ、高性能と高い耐久性を兼ね備えながら買いやすい価格設定のグループセットとして国内外で高く評価されています。

105にはDi2バージョンは(まだ)ありません。そしてここまでが11speedのセットです。

Tiagra (4700)

Tiagra(ティアグラ)の名称はギリシャ神話の神々あらわす「ティーターン(チタン・タイタン)」に由来するという説があります。ただしチタンは使われていません。

Tiagraは現状、10speedのコンポです。Di2も当然ありませんが、油圧ディスクブレーキには対応しています。数年前の10speed 105に引けを取らない性能と言われています。

TiagraにはDURA-ACE, ULTEGRA, 105から姿を消したトリプル・チェーンリングのクランクセットが存在しているのも特徴です。さらにフラットバー用のシフター・ブレーキレバーも用意されています。

SORA (R3000)

SORAは9speed。日本語の「空」に由来した名前として有名です。Tiagra同様、フラットバー用のシフター・ブレーキレバーとトリプル・チェーンリングが用意されていますが、油圧ディスクブレーキには対応していません。

Claris (R2000)

Claris(クラリス)は8speed。それ以外はSORAと同じくフラットバー用のシフター・ブレーキレバーとトリプル・チェーンリングがあり、油圧ディスクブレーキなし、という構成。

Clarisという愛称の起源は定かではありませんが、欧米では女性の名前として使われることがあります。同じ語源とされる英語のclear, フランス語のclairには「明るい・明瞭・明晰」という意味があります。

Clarisには8speed用のダウンチューブレバー(Wレバー)が存在します。クラシックタイプのエントリーロードやミニベロで使用されているものと思われます。現在シマノ公式サイトで確認できる唯一のWレバーとなっています。

Tourney (A070)

Tourney (A070)は7speedのコンポ。トリプル・チェーンリングのクランクがあります。フラットバーシフターはありません。

Tourneyの名前の由来も不明ですが、英語のTourneyには「競技会・トーナメント」の意味があります。個人的にはTouring + Journeyを組み合わせた造語かな、とも思ったのですがそれを裏付ける説は確認できず。

すべてのラインナップにおいて高い性能と耐久性を誇るシマノ製品ですが、最も廉価なこのターニーについてはやや難あり、という感想を目にすることがあります。それでも中国製のノーネーム変速機よりは断然良い、という意見も。

DURA-ACE (7710)

DURA-ACE (7710)はトラック用のコンポーネント。公式サイトには現在、クランクセット・BB・ハブのみがラインナップされています。

MTB

MTBカテゴリーには現在、14のコンポーネントがラインナップされています。

  1. XTR (M9100)
  2. XTR (M9050 Di2)
  3. DEORE XT (M8000)
  4. DEORE XT (M8050 Di2)
  5. SLX (M7000)
  6. DEORE (M6000)
  7. SAINT (M820)
  8. ZEE (M640)
  9. ALIVIO (M4000)
  10. ACERA (M3000)
  11. ALTUS (M2000)
  12. Tourney
  13. TourneyTX (TX800)
  14. TourneyTZ (TZ500)

XTR (M9100/M9050 Di2)

フラッグシップのXTRは現在12speed。フロントチェーンリングは2x, 1xの両方をラインナップ。Di2キットが存在します。ロードで言うとDURA-ACEに相当するグレード。

XTRの名称の由来は誰もわからないようです。そもそもXTRの前にXTが存在しているのですが、XTの意味は不明。「R」はRaceを意味するのではないかという意見は多いです。個人的にXTの「X」はCrosscountyから来ているのかな、と思っていました。あるいはCross (X) Terrain, 様々な地形を走れる、から。ただ推測の域を出ません。

DEORE XT (M8000/M8050 Di2)

DEORE XTはロードのULTEGRAに相当するグレードで現状は11speed。XTRにはないトリプル・チェーンリングが存在しています。

もともとランドナー向けコンポに「DEORE」が存在し、それをさらにハードユースに対応させて1983年に登場したのがDEORE XTと言われています。

ちなみに「DEORE」という名前の由来にも決定的な説はなく、「鹿」と関係があるという説、フランス語の「d’or」やスペイン語の「d’oro」(いずれも「金の」という意味)から来ているという説があります。

SLX (M7000)

SLXはロードの105に相当するグレードで11speed。XTと違い、Di2バージョンはありません。だいぶ前にDEORE LXというコンポがあったのですが、それがSLXに改名されて現在に至っています。

DEORE (M6000)

DEOREは10speedのコンポ。ロードのTiagraに相当するグレードと言って良いでしょう。トリプル・チェーンリングが存在しますが、SLXと違い1x用クランクは用意されていません。名称の由来については上のDEORE XTの項を参照。

SAINT (M820)

SAINTは基本的にダウンヒル競技用のコンポーネント。10speedです。2003年に9speedとして登場し、2012年に10speed化されました。ダウンヒルではそれ以上のクロスレシオの必要性は特段ないのでしょう。

名前の「SAINT」は英語で「聖人」の意。他の意味が込められているかどうかは不明です。

ZEE (M640)

SAINTの下位グレードとされるZEE(ジー)もグラビティ系で、アグレッシブなフリーライドを意識したモデル。クロスカントリー向けのXTRやXTよりも堅牢なコンポを求めるライダーに選ばれています。山の中で飛んだりはねたり空中でハンドルをひねったりする動画で使われているシマノのMTBコンポはZEEが多い印象です。

ZEEの名称も由来は不明ですが英語の「Z」の読みはZeeであり、Zeeは口語で”dazzing”(くらくらするような、まばゆい)という意味もあります。

ALIVIO (M4000)

ALIVIO(アリビオ)は9speedのコンポ。ロードコンポでのSORAのような位置付け。エントリーグレードですがリアディレイラーはSHADOW。トリプル・チェーンリングが用意されています。

ALIVIOの名称の由来にも決定的なものはありませんが、スペイン語で”alivio”は「安心」を意味します。英語の”alleviate”(軽減する)も同じ語源とされており、「軽さ」と関係のある単語です。

ACERA (M3000)

ACERA(アセラ)は9speedと8speedが混在しています。リアディレイラーはSHADOW。ロードのClaris的な位置づけになっていると思います。

ACERAの名前の由来も不明ですがスペイン語で”acera”は「歩道」を意味し、”acero”は「鉄」を意味するのでそれらと何か関係があるのではという説があります。

ALTUS (M2000)

ALTUS(アルタス)は9, 8, 7speedが混在しています。ブレーキはVブレーキと油圧ディスク両方があり、トリプル・チェーンリングも勿論あります。

Altusはラテン語で「高い・深い・高貴な・深淵な」という意味があるようですが命名の由来はやはり不明です。

ちなみに現在のシマノ公式サイトにはのっていない製品ですが、7/8speed対応のALTUSのディレイラーRD-M310-Lは約2,000円の低価格ながら13/15Tのビッグプーリーを搭載しており一部のマニアのあいだで人気です(笑)。

Tourney

Tourneyのラインナップがややわかりにくいのですが、8, 7, 6speedが混在しています。Revoshift(SRAMのグリップシフトに相当するもの)が含まれています。サムシフターやWレバーも用意されています。

TourneyTX (TX800)

TourneyTXは8speedでフロントとトリプル。ブレーキはメカニカル・ディスクのみ。上の無印Tourneyより少し高級そうに見えます。

TourneyTZ (TZ500)

TourneyTZは7, 6speedが混在。シフターはサムシフターのみとなっています。

E-BIKE

E-BIKEのカテゴリーには唯一STEPSだけが掲載されています。

  1. STEPS (E8080)

STEPS (E8080)

電動アシストMTB用のコンポーネントで、サイコンやスイッチユニット、ドライブユニット、バッテリー等が含まれています。公式サイトには「ヨーロッパでデビューしたE-スポーツバイク(電動アシストスポーツ自転車)用ユニットシステム技術をベースに、日本のフィールドとレギュレーションに最適に設計した」という説明があります。

なおSTEPSは”SHIMANO Total Electric Power System”の頭文字から取っています。

アーバン

アーバンカテゴリーには7つのコンポーネントがラインナップされています。

  1. METREA (U5000)
  2. ALFINE (S7000/S700)
  3. ALFINE (S7050/S705 Di2)
  4. Nexus (C6000 INTER-8)
  5. Nexus (C3000 INTER-7)
  6. Nexus (INTER-3)
  7. capreo (F800)

が、大まかに4つのグループに分けられそうです。それぞれ見ていきましょう。

METREA (U5000)

METREA(メトレア)は「都市における移動、都市における生活の為に、本当に必要な機能・性能・スタイルを追求した」製品とあり、名前も恐らく「大都市」を意味する”Metro”から来ているものと思われます。

特徴としては11speedであることの他にドロップハンドルのエンドに装着するシフト/ブレーキレバーが用意されていること、ブレーキは油圧のみであること、ホイールもラインナップされていることです。

軽量で高性能なアーバン・コミューター・バイクを意識したコンポーネントでしょう。2016年に正式に登場したニューフェイスです。

ALFINE (S7000/S700/S7050/S705 Di2)

ALFINE(アルフィーネ)は内装変速ハブを最大の特徴とするコンポです。11speedと8speedがあり、どちらもDi2バージョンが用意されています。ブレーキは油圧式でドロップハンドル用レバーもあります。

イタリア語の”al fine”は「最後まで」を意味し音楽用語としても使われていますが、関係があるのかどうは不明です。

Nexus (C6000 INTER-8, C3000 INTER-7, INTER-3)

NexusはALFINEの下位グレードという位置付け。やはり内装変速式で8, 7, 3speedのハブがあります。

C6000シリーズの内装ハブにはDi2版が用意されています。C6000とC3000はローラーブレーキ対応で、C3000はローラーブレーキ・コースターブレーキ・ディスクブレーキの3つに対応しています。Vブレーキとローラーブレーキに対応したブレーキレバーの他に、REVOSHIFTもあります。

capreo (F800)

capreo(カプレオ)は「子鹿」を意味するラテン語から。小径車用・フロントシングル・9speed・Vブレーキ・ハブダイナモ等が特徴です。専用ハブでトップ9Tを使えるカセットが小径車派に人気。

トレッキング

トレッキンググループには4つのコンポがラインナップされています。いずれもMTBコンポにも登場していますが、型番が違います。

  1. DEORE XT (T8000)
  2. DEORE (T6000)
  3. ALIVIO (T4000)
  4. ACERA (T3000)

DEORE XT (T8000)

DEORE XT (T8000)の最大の特徴は3x10speedであることです。MTB用のDEORE XTは11speedです。油圧ディスクブレーキはMTBのDEORE XTと共通。他にディスクブレーキ対応ハブダイナモやVブレーキ用のハブが用意されています。

DEORE (T6000)

DEORE XT (T8000)の下位グレード・DEORE (T6000)も10speedで、フロントシフターは2/3両対応。ただしクランクセットは3×10モデルのみ。またCLICK’Rペダルはこのコンポに含まれています。ブレーキは油圧ディスク。

ALIVIO (T4000)

ALIVIO (T4000)は3x9speedです。その他の特徴はDEORE XT (T8000)とほぼ同じです。

ACERA (T3000)

ACERA (T3000)はフロントトリプル、リアは9, 8, 7speedが混在しています。

BMX

BMXカテゴリーにあるコンポは1つだけです。

  1. DXR (MX70)

DXR (MX70)

唯一のBMX用コンポ。フロントシングルのクランクとチェーンリング、Vブレーキとレバー、ハブ、ペダルがラインナップされています。

DXRという名称の由来も謎ですが、調べても全く話題になっていないので手がかりさえありません。