2021年に100周年記念を迎えるシマノ。その祝福として最新型のDura-Aceが準備中であるのは間違いないところですが、そのプロトタイプと思われる映像が話題になっています。果たして真相は?
出典 New Shimano wireless Dura Ace di2 spotted on Remco’s Instagram (Reddit)
出典 Next generation of Dura-Ace Di2 (weightweenies)
出典 Could this be the new Shimano Dura-Ace groupset (road.cc)
レムコのバイクに新型デュラエースが使われているという噂は本当か
発端はドゥクーニンク・クイックステップ所属のベルギー人ライダー、レムコ・イヴェネプール回復トレーニングの模様を収録したベルギーのテレビ番組でした(レムコはイル・ロンバルディで落車していました)。すると彼のSpecialized S-Works Tarmac SL7にはどこか見慣れないリアディレイラーとフロントディレイラーが映っていたのでした。
We've got the news for you!
Six weeks after crashing in Il Lombardia, @EvenepoelRemco trained outdoors on his @iamspecialized bike for the very first time and we couldn't be more excited!
Video: @VTM pic.twitter.com/UvZaP5LAYu— Deceuninck-QuickStep (@deceuninck_qst) October 3, 2020
リアディレイラーからワイヤー類が出ているようには見えないこと、フロントディレイラーがDura-Ace R9120シリーズのそれよりも大きい点に注目が集まりました。
これについて海外掲示板では次のようなコメントが見られました。
- あれは12スピードだろうか?
- (上の人に)ワイヤレスで12スピードで間違いない
- 残念ながらあれは新型デュラではないよ – もうすぐ登場はするだろうけど。何かが眩しく反射して影が広がっているだけさ
- 11スピードのカセットとFD-R9150のように見えるけどなぁ
- すまない、既にドイツのフォーラムで言われていることだが、光線の質と撮影アングルが悪いだけだよ、リアディレイラーにはケーブルがある(タイヤに空気を入れている時に見えるよ)。リアディレイラーのケージが違ったふうに見えるのも光線のせいだ
- どんなライダーであっても自宅に置くバイクに新型デュラエースを搭載できはしない。シマノのエンジニアとのテストライド以外にそれを使う機会はない
- レムコのバイクの映像を見ているとなぜ宗教が存在するのかを思い起こさせる、何かを見たい、信じたいという意志が強すぎるから、それが実際なんであっても見えてしまうんだ…本当はそこには何もないのにね。レムコのバイクは現行の11スピード R9170だよ。ガッカリさせてゴメン!
- (上の人に)その通りだね。どんなメーカーもトレーニングキャンプとかレースといった比較的管理された環境から離れたところでの用途にプロトタイプを渡すことはないだろう
- メチャクチャ偽装されていたら別だが、新型デュラエースのどんな主要パーツもまだパブリックな場所では使われていないと思う、日本でのナイトライド以外にはね… 正式発表前にあまりに多く情報が漏れたら台無しになるだろうしね
- 僕の地元のサイクルショップ(普段から事情通)は「3月発表で5月発売だ」と言っている
さらにWeightweeniesでは読者がレムコのカセットを拡大して歯数を調べていて(画像)、すると11スピードのカセットのようでした。もしそうだとすると、レムコのバイクは通常のR9170が使用されているか、あるいはカセットが12スピードだったりそれに合わせてチェーンリングも新型だったりするとバレてしまうので、新型の12スピードリアディレイラーを11スピードモードで作動させて使っているのかもしれません(技術的には容易でしょう)。
しかし個人的には、この噂はガセネタであるような気がしています。上のコメントにあるように、これだけビッグな製品のプロトタイプをそう簡単に自宅で使用させることはちょっと考えにくいです。
また、昨今のマーケティングでは正式発表のかなり前からリークやティーザーをするのは逆効果、ということが言われていて、最近は「ズドンと発表、発売もほぼ同時」になることが増えてきました。新型デュラが来月再来月に発表されるなら別ですが、来年3月頃の発表だとすると現時点での意図的なリーク、あるいは意図しないリークが発生するようなリスクを取るとは考えにくいです。
ワイヤレスには大人の事情も絡んでいる?
ところで新型デュラエース、12スピードはまず間違いなく確定路線だと思いますが、果たして本当にワイヤレス化されるのでしょうか。これについては「セミワイヤレス」ではないかという説が散見されます。
Di2ケーブルの配線に本当に困ったことはないな、それに充電が必要なのは1つだけでそのバッテリーが永遠にもつというのも気にいっている。シマノがシフターとバッテリーの間をワイヤレスにして、バッテリーと2つのディレイラーをスタンダードなBジャンクションで繋ぐのではないかと予想している (reddit)
フロントディレイラーは現行Dura-Ace Di2のそれよりもわずかに大きいように見える。この部分がシステムのブレインを格納しているのかもしれない、しかし詳細は待たなければならないだろう。
シマノがバイクのフロントエンドのどこかに別体のトランスミッターを持つセミワイヤレス・システムを作り上げた可能性はある。2021年はシマノ100周年なので何か特別なもので祝いたいはずだ。しかしシマノは過去に、フルワイヤレスは彼らの優先順位リストの中では高くないとも語っている (road.cc)
しかし次のような面白い意見もありました。
ワイヤレスはマーケティング上の目玉だ、見た目もクリーンでケーブル配線に尻込みする人たちにとっては魅力的だ、さらにバイクメーカーにとっても大きいメリットがあるんだ。多くのブランドにDura-Ace Di2やSuper Record EPSではなくeTapが搭載されているのはそのためだ。時は金なり、だ。組立工場でケーブル配線に手こずる必要がなくなる。マージンが増えるんだ
なるほど、フルワイヤレスは自分で組むユーザーにとっては確かに大きいメリットです。同時にバイクの組み立て現場を想像してみると、配線作業がなければより早く組み立てられるわけで、セールスボリュームの大きい完成車メーカーがフルワイヤレス・コンポを優遇するのは合理的なことと言えるでしょう。
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SRAMがバッテリーの特許を抑えているという説
フルワイヤレス化に関してはこんな意見をよく見かけました。SRAMの特許が障害になっている、という情報です。これも本当かどうかはわかりませんが、もしそうだとしたら「新型デュラはセミワイヤレス」説が濃厚になってくると思いますが、どうでしょうか。
- シマノに配線があるのはSRAMの特許絡みだと思っていたけれど?
- SRAMはディレイラーにバッテリーをマウントする特許を持っている。だから他社はみんな配線が必要なんだ
- ワイヤレス化の根本的な問題は特許関連なんだ。SRAMの特許。カンパはSRAMと特許をクロスライセンスできるがシマノは無理だ。そうしたことは起こらない
果たして新型デュラエースはセミワイヤレスなのか、フルワイヤレスなのか。読者の皆様はどのように予想されるでしょうか?