シマノによる新しい特許を発見しました。米国特許商標庁のサイトで2021年1月21日付けで文書が公開されています。これがかなり面白いデバイスです。
出典 Electric Twist-Grip Operation System – Shimano, Inc.
エレクトリック・ツイストグリップ
特許申請されていたのは「エレクトリック・ツイストグリップ・オペレーション・システム」なるもので、下がそのイメージ図。ぱっと見たところ、フラットバー用のグリップシフトを想像させます。左右のグリップと、「CC」と記されているサイクルコンピューターが特許対象です。
しかしこれは電子式のデバイスで、グリップを回転させることにより、また、ジョイスティック的なパーツ(下図の赤い矢印で示したもの)を操作することにより、様々なパーツにワイヤレスで制御信号を送れるようになっています。
下のダイアグラムを見ると、バッテリーに接続されたリアディレイラー、フロントディレイラーのほか、調整可能なシートポスト(=ドロッパーポスト)、リアサスペンション、フロントサスペンションの制御を想定していることがわかります。
ROTARY OPは回転操作。ADDITIONAL OPがジョイスティック的なデバイスでの操作。それらの動きを感知するPOSITION SENSOR。グリップ内のPOWER SUPPLYは、特許文書によると「再充電可能な取り外し可能なバッテリーでも良いし、充電ポートから充電するタイプでも良い」といったことが書かれています。
ワイヤレスXTRのための特許か
変速操作だけならグリップの回転運動で制御可能でしょうし、ジョイスティックはドロッパーポスト位置の微調整やサスペンションのロックアウトなどで活躍するでしょう。
また、当然ながら専用品になると思いますが、サイクルコンピューターで各グリップとジョイスティックへの機能割り当てを確認できる、ともあります。
この特許、リアサス・フロントサスの制御も想定されていることを考えると、将来的にXTRをはじめとするシマノのMTBコンポで採用される可能性が高いのではないでしょうか。XTR Wirelss Di2が登場する時、この「エレクトリック・ツイストグリップ」がお披露目されることになるのかもしれませんね。
さらにグリップから各デバイスまでがワイヤレスであり、セントラルバッテリーからディレイラー等のパーツに給電されている様子を見ると、今年登場予定の新型Dura-Ace R9200はやはりセミワイヤレスであることがほぼ確定的であるように思えます。
ところでこの特許が申請されたのは、2017年8月18日です。シマノの「セミワイヤレス・コンポーネント」はもう4〜5年前からアイデアが興されていたことが覗えます。
新型デュラエースに関する最新情報は下の記事でお伝えしています。未読の方は是非お読みいただけると幸いです。