Zwiftでステアリング機能がフルに使える専用ハードウェアやスマートバイク、アクセサリーがいくつかありますが、同社は既存のステアリング・プロトコル(通信に関する仕様)を無効化する動きに出たようです。この件についてオランダ在住の著名ブロガー、DC Rainmakerがかなり厳しい口調で批判しています。
以下は出典元記事からの抜粋(抄訳)です。
- これまでの話をまとめると、ZwiftはEliteと独占的合意を結び、Sterzo Smartでのステアリングを可能にしていたがこの独占契約は4月に終了した
- スマートバイクのメーカーはステアリング機能を有効化するため、Zwiftにライセンス料を支払う必要があった
- これらのメーカーはしぶしぶながら支払いに同意したものの、Zwiftはなかなか重い腰を上げなかった
- その結果、Titan Labsのような会社がKommander(紹介記事)など、Zwiftのステアリング・プロトコルを解析して再現するアクセサリーを作ったりした。TrueKinetixもTitanに続きTrueBikeでステアリングを可能にしていた
- しかしZwiftはEliteがSterzo Smartで使用していた既存のプロトコルを無効にし、今後もZwiftでステアリング機能を使用したい場合はSterzo Smartのファームウェアをアップデートするようユーザーに強いた
- Zwiftがこの作業をEliteに投げているのはやや不思議なことで、ステアリングの後方互換性を失わせる理由も皆無なのだが、Zwiftコミュニティで同社スタッフは、Zwiftにライセンスフィーを支払わない会社やユーザーを排除することが目的であることを明かしている(※本記事筆者注:同コミュニティ掲示板には、Sterzo Smartのファームウェアアップデートは「初期ペアリングや再接続の機能を改善するため」また「Sterzoシステムをハッキングし、偽のSterzoを販売する人々がいたため、そうしたことができないようセキュリティを改善した」という書き込みが見られます)
- しかし「偽のSterzo」を売っている人はいない。既知のものとなっているプロトコルを使用して、Sterzoとは別の名前で製品を売っていた人々はいる
- これではZwiftが自社のテクロノジーに傷を付けているだけである
- ステアリング機能の搭載に関わりたい人が増えるほどユーザーも増え、Elite Sterzo Smartもさらに売れるというシンプルな収益構造があるはずなのに、Zwiftはそれを理解していない
- ステアリングAPIがオープン規格でないことは、Zwiftの成功の基盤となっている全てのものに対する逆行である
- Zwiftが影響力のある会社として成功している唯一の理由は、ANT+やFE-C、Bluetooth FTMSのようなオープン規格を採用したおかげだが、結果的に、Zwiftはワンオフのプロトコルを採用する新しい会社をサポートすることをやめてしまった。何故ならそれはスケーラブルでははないからだ
- 別の言い方をすると、Zwiftは彼らに成功をもたらしてくれる会社を人質に取っていて、その過程でそうした会社の顧客も人質に取っている。そしてこれはZwiftにとって馬鹿らしいほど微々たる収益のためなのだ
- Zwiftはステアリング機能を成功させるよりも、不具合を起こすためにより多くの時間を費やしてしまった。実際、昨日のアップデートではWahoo KICKR Bikeのステアリングが(またしても)巻き添えを食ってしまった
簡単にまとめると、Zwiftはステアリング機能を使用するElite Sterzo Smartやスマートバイク各社から手数料を得ていましたが、これまでのステアリング・プロトコルを独自に解析してZwiftのステアリング機能を持たせる中小メーカーが増えた、あるいは増えつつあるため、そのことによる手数料収益の減少を回避すべく、プロトコルをアップデートした、というのが同氏の見解です。
APIの使用について手数料収益を得るのは何もおかしいことではありませんが、DC Rainmaker氏が憤慨しているのは、ステアリング・プロトコルをクローズドなものにして得られる手数料収益よりも、オープンなものにしたほうが結果的にはZwiftにとって良いことであり、ステアリング機能を楽しめるイベントを早く充実させることに注力すべきではないか、という考えからのようです。
ステアリング機能の本格搭載から1年近く経とうとしていますが、意味のあるステアリング機能に対応したZwiftイベントは皆無だ、と同氏は苛立ちを隠していません。