ホイール

Roval Terra CLは費用対効果が高い高性能なグラベル・シクロクロス・オールラウンドホイール

数十万円する超高級グラベルホイールに興味がない方でも、軽快な走りを楽しめる「エントリー以上・ハイエンド未満」のホイールが欲しい、と考えている方は多いのではないでしょうか。Roval Terra CLの海外メディアでのレビューを読むと、これはそうした方にとって良い選択肢のひとつになりそうだと思ったのでご紹介します。

Roval Terra CL

© Roval

出典 The New Terra CL Wheels From Roval are Heavy on Performance and Light on Price – Bicycling
出典 Review: Roval Terra CL wheelset is dollar per gram better than the CLX – Bikerumor

Terra CLとTerra CLXとの主な違い

Terra CLは2019年に発売された上位モデル「Terra CLX」の廉価版という位置付けです。CLXの価格はセットで$2,200ですが、CLの価格はセットで$1,400。米国定価で見ると800ドル(約8.8万円)安くなっています。

しかしCLの32mmハイト・内径25mm・外径30mmカーボンリムはCLXと全く同じもの(フックドでチューブレス・クリンチャー両対応。28〜47mmタイヤに最適化)。転がり抵抗の大部分を占めるリムだけ上位バージョンと同じで、違いはハブとスポーク、というわけです。

Terra CLのスポークはDT Swiss Competition Raceのストレートプル。CLXはDT Swiss Aerolite T-head。CLXのスポークはエアロ性能も意識したものです。

またTerra CLのDT Swiss 350ハブは、重量面ではCLXが採用しているDT Swiss EXPインターナル搭載のRovalハブに劣りますが、下の記事で紹介したようにEXPのラチェットは摩耗が早いとも言われています。

DT Swiss Ratchet EXPにラチェット早期摩耗の欠陥 メーカーが公式発表
DT Swissが2019年に発表した新型のフリーハブ「Ratchet EXP」。従来の「Ratchet」よりも部品点数を減らすことにより、ラチェットのエンゲージメント速度向上とガタの削減を目論んだシステムとして話題になりましたが、その後「...

現行のEXPラチェットは対策・改良されていますが、摩耗の早さが素材によるものなのか、構造に起因するのもなのかはっきりしていないところもあります。Terra CLではEXPラチェットが使われていないので、耐久性・メンテンナンス性でも安心感はあります。

重量はTerra CLがペア1,408g。CLXがペア1,296gです。重量差は公称値ベースで112g。

データシートだけを見ると、CLとCLXとで悩む場合、重量差とCLXスポークが持つプラスアルファの空力性能に対して9万円弱の価値を見い出せるかどうか、がポイントになりそうです。

上位モデルCLXとの性能差はあまり感じられない

以下、BicyclingによるTerra CLの総評です。

数週間乗って感じたことは、Terra CLはより高価でプレミアムなCLXの性能の大部分を提供しているということだ。Terra CLはコストパフォーマンスが非常に高い。あまりにお買い得なので、ほとんどの人にはより高価なCLXをお勧めするのが難しく感じられるほどだ。100gの重量差は大部分がハブとスポークから来ているため、CLXでもライドの改善は最小限に留まる。30mm以上のタイヤを使っている人で、今使っているグラベル・シクロクロス・オールロードセッティングのバイクを大金を払わずに数百グラム軽くしたい場合、これ以上良いオールラウンドなホイールセットは思い付かない。

Bikerumorは次のようにまとめています。

Roval Terra CLは素晴らしくお買い得なホイールで、様々なワイドタイヤに対応できる。このホイールはグラベルやシクロクロスのジャンルで急速に人気を獲得するだろう。ビルドは頑強で、リムは30mm以上のあらゆるタイヤに幅広く対応し、価格も手頃だ。1400ドルのホイールセットは安いものではないが、Terra CLをしばらく使ってみて、私は値段分の価値があると感じる。決断を迷っている人に言うと、Rovalは最初の2年はオリジナルオーナーに「It happens(しょうがない・よくあること)クラッシュ保証」を提供している。

どちらの記事でも基本的にベタ褒めで、よほどの理由がなければCLXではなくCLで十分ではないか、という内容です。マイナス面としてはBikerumorとCyclingtipsがインストール済みのバルブがやや空気漏れがしやすい点を挙げていますが(スローリークするが少し締めれば良いらしい。また台形バルブなので円錐形に交換すると良いという記述も)、それでも大きい問題ではないようです。

競合製品

ところでBicyclingが挙げている競合製品には次のホイールがあります。

  • Easton EC90 AX (1470g, 1550ドル)
  • Bontrager Aeolus Pro 3V (1575g, 1300ドル)
  • Zipp 303S (1540g, 1300ドル)

こうやって見るとCLよりもより安く、次に軽量なのが下の記事で紹介したZipp 303Sということになります。

ZIPP 303 Sは台湾製造で1300 USD。フックレスリムはカーボンリム界におけるプレスフィットBB !?
ZIPPから303 Sという新しいチューブレス専用ホイールが出ました。「S」はSpeedのSで、302ディスクの後継モデルという位置付けなのですが、このホイールについては考えさせられるところが多いです。 というわけで一緒に観察していき...
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ミドルレンジのグラベル・オールラウンドホイールで悩んでいる方はRoval Terra CLとZipp 303Sで悩む方も多そうですね。しかし価格的にSpecialized傘下のRovalは安売りにはならず、Terra CLも国内での販売価格は税込み¥170,500。

Zipp 303Sはベラチスポーツで購入する場合117,794円(本記事時点) +送料12,005円なので、消費税を入れてもTerra CLより2万円以上安くはなります。

ちなみにZipp 303Sはフックレスリム(内径23mm)で、使えるのはチューブレスタイヤのみです(チューブレスタイヤをチューブド運用することはできますが、非チューブレスのクリンチャータイヤは使えません)。

著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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