知りたいのは素晴らしい夜明けと 切なさを宿す夕焼け だからもう行かなくちゃ ひとりでも行かなくちゃ だって友達いないから! 悲しみのぼっち自転車乗り、nadokazuです。
想いを乗せて、西武多摩川線サイクルトレインto go!
というわけで、本日の駄文はこちら!
9月30日まで自転車そのまま持ち込みOK
西武鉄道株式会社(本社:埼玉県所沢市、社長:喜多村 樹美男)は、2021年7月1日(木)から3か月間、多摩川線で、自転車を折りたたまず、そのまま車内に持ち込める「西武多摩川線サイクルトレイン」の実証実験を行います。
西武鉄道のプレスリリースより引用
「市街地を走るふつうの路線」で「無改造のふつうの車両」に、自転車がそのまま乗せられる。しかも平日も休日も(時間に制限はあるものの)、通常ダイヤでの運行。JR東日本の「B.B.BASE」のような、観光地を専用車両で走るサイクルトレインとは違う「日常的に使えるサービス」としてのサイクルトレインということで、非常に興味深い試みに思えました。
オラ、ワクワクしてきたぞ!
えぇっ!スポーツ自転車は、お呼びじゃないって!?
ウッキウキでリリースを読み始めたのですが、利用条件が記載された箇所にはこんな文言が。
原動機付自転車やスタンドが付いていない自転車および長さ180cm/幅45cmを超えるサイズの自転車は持ち込みできません。
え? (つд⊂) ゴシゴシ
「スタンドが付いていない自転車」「持ち込みできません。」
えぇーーーっ!?
一般的なスポーツ自転車には、ふつう付いてないですよね。スタンド。さらにニュースリリースには、こう書かれていました。
「普段のお買い物やサイクリングなどにおけるお客さまの行動範囲を広げることにより地域交通の利便性を拡充します。」
西武鉄道のプレスリリースより引用
なるほど、納得。このサイクルトレインはママチャリでお買い物したり近所を散策したりする、一般の皆様のための施策なのですね。「沿線にお住まいの、より多くの方々の利便性を高める」というのは、そりゃ都市部の公共交通機関なんですから当たり前です。
自分のような「趣味で自転車を乗り回す非沿線居住者」は、有り体に言って「お呼びじゃない」ってことですよね。そうかー。そうですかー…。
終ーーー了ーーーーー!
着脱式スタンドでもOK!
「なにもかも終わった」って思った。ずーっと、「終わった」って思ってた。「このまま終わりが続くんだな」って思ってた。でも…やっと始まった!まだ終わってない!!
あきらめないキモチ…あきらめないキモチ…あきらめないキモチ!
一縷の望みをかけて、西武鉄道さんにHPのフォームから問い合わせしてみました。
「着脱式のスタンドじゃダメですか?(意訳)」
すると「着脱式のスタンドでもOK」というご返信が!
というわけで、このサイクルトレインは、スポーツ自転車にも利用の門戸が(条件はあるにせよ)しっかり開かれています。少なくとも、門前払いでは全然無い。これは勝手な想像ですが「電車内に自転車を置いたときに、安定して自立していること」がポイントであるように思えます。
そうなると以前【誰得対決】買って比べた!スポーツバイク用スタンド頂上決戦で紹介した後付けスタンドの中では、ノグチの「ワンタッチ簡易スタンド」やGORIXの「GX-040」であれば、大きな問題はないでしょう(実際、GX-040は無問題で利用できました)。
ミノウラの「HPS-9 Get’A」や「めだたんぼー」など、スタンドが車体に固定されないタイプは避けた方がよさそう。電車が発車したり停車したりしたときの振動で、アッという間に自立がむずかしい状態になってしまいますからね。
ブロンプトンなら、スタンド無しでも??
西武鉄道さんからのお墨付きもいただいたことですし、ブロンプトン(GORIXのGX-400装着)で乗りに行ってみました。その際に駅員さんとお話していたところ「リアフレームをフロントに回転させて自立する状態にした自転車も、持ち込みを許した(意訳)」というお話を伺いました。
その自転車…もしかして…いや、もしかしなくてもブロンプトン…ですよね?ブロならスタンド無しでも、実は利用OKなのでしょうか?
私がお話した駅員さんは、それが「スタンドで自立した状態に準ずる」と判断されたのでしょう。ですがそこは「現場の判断」でしかないので、対応する駅員さんによっては判断が変わる可能性は全然ありえます。
それに規約には「スタンドが付いていない自転車は持ち込みできません。」とハッキリ書かれているのだから、そもそも例外的な持ち込み可否を現場の方に判断させるのはご迷惑というものでしょう。然るべき窓口で、事前に問い合わせを行うべきだ、と個人的には強く思います。
利用してみて、どうだった?
改札から乗車まで
乗車したのは、西武多摩川線の是政駅。多摩川サイクリングロードの是政橋(左岸)からすぐのところにある駅です。
構内に入ってすぐのところにサイクルトレインのポスターが掲示されていて、絶賛実施中であることがわかります。
改札の手前には自転車の全長を測る赤枠があって、持ち込みOKの最大サイズである全長185cmを超過しないか調べることができます。ブロンプトンは余裕でクリア。ググってみた限りでは、ロードバイクでも一般的に175cm前後のようなので全長超過、というケースはそれほど多くないのではないか、と考えられます。
是政駅は改札からホームまで、段差がまったくありません。駅入口から改札を抜けて、そのまま完全苦労レスで乗車位置まで自転車を移動させられます。
それにしても、分解していない自転車をホーム上で移動させるのは、ルール上OKだとわかっているのに、ものすごく後ろめたい感情に苛まれます。これは慣れが必要ですね。
自転車が乗せられるのは、1号車。武蔵境寄りの先頭車両なので、是政駅の改札からは最も離れた位置です。ホームの端から端まで移動することになりますが、分解しない状態での押し歩きだと本当にラクチンです。普段の輪行が、どれだけツラいものなのかを思い知らされます。
乗車して車内へ
ホームには自転車乗車位置を示すペイントがあるので、どこから車内に入ればいいのか迷うことはありません。自分の場合は、改札に入る前に駅員さんから丁寧なご説明をいただいていましたので尚更(「ホームの端は直射日光が当たるから、電車の到着までは屋根のある部分にいたほうがいいよ」というお声までかけていただいてしまいました)。
また、自転車が乗せられる車両には、専用のステッカーが貼られています。サイクルトレインを利用しない一般客の方々も、このステッカーのおかげで車内に自転車が持ち込まれても戸惑わないでしょう。
それでは、いよいよ自転車を車内に持ち込んでみましょう。ここでもやはり、本当にいいのか…?という感情がぶち上がります。
車内に入ったら手すりに装着されていた太いベルクロを使って、転倒しないように車体を固定します。自転車を固定できる席の数は限られているので、一定以上の台数が乗ってしまったら次の電車を待つことになるようです。
ベルクロでの固定ついても、車内にしっかりと案内があるので、戸惑うことはまったくありません。ここにも書かれている通り、乗車中は自分で自転車を支えておく必要があります。まぁ、これは当然ですよね。
夏の強烈な直射日光が降り注ぐホームから車内に入ると、そこに満ちているのは空調設備によってガッツリ冷却された空気。つまり冷気。
キンキンに冷えてやがるっ…! 犯罪的だっ…!!
高温、高湿度、強力な紫外線のほてりと、ペダルを回す長時間の強制運動で暑苦しい身体に…数時間ぶりの冷気…! 染み込んできやがる…身体にっ…!
それだけではありません!
座るのは、狭くて小さくて鋼鉄のように固い自転車のサドルではなく、広々としてフワッフワで背もたれまである電車のシート。炎天下のサイクリングロードを走ってヘロヘロになった身体には、もう暴力的とも言える快適さでした。
ぐっ…! 溶けそうだっ…!
降車
乗車駅の是政から、終点の武蔵境駅までは5駅、約15分。多磨駅以外では、どの駅でも乗降可能です(駅員さんによると多磨駅で自転車が乗降できないのは、西武鉄道ではなく府中市が施設を管理していて運用ルールが異なるためとのこと)。快適さに身を委ねていたら瞬く間に終点に到着してしまい、後ろ髪を引かれる思いで降車します。
武蔵境は高架駅なので、ホームから改札まではエレベータ利用です。駅員さんが案内に立ってくれていたので、ここでも迷う部分はありませんでした。JR線への乗り換え口には、サイクルトレインの利用者が自転車のまま突入しないよう、ガッツリ進入禁止表示がペイントされています。
という感じで、一切の困惑・手間、さらに通常運賃以外の追加費用もなく、安心安全快適に自転車と一緒に移動できてしまいました。輪行はもう幾度となくしていますが、これは実に新鮮な体験。
あと、是政駅では利用記念ということで、除菌ウェットティッシュをいただいてしまいました。汗を拭いてサッパリした状態で電車に乗れる、非常に嬉しいアイテムセレクト。「西武鉄道さん、わかってらっしゃる!!」と、感激せずにはいられません。
大都会武蔵境に到着した後は、多摩湖自転車道経由で多摩湖に向かう、玉川上水沿いを羽村方面や井の頭公園方面に向かうなど選択肢は広がりまくり。そうそう、隣の東小金井駅周辺を散策する、落ちこぼれ的な選択も否定しませんですわよ。
このサイクルトレインを使うメリットは、涼しく快適な時間が過ごせることだけに留まりません。多摩川サイクリングコースと多摩湖自転車歩行者道の間にある、クルマ通り多めの一般道を完全回避できる。そして地味にイヤな河岸段丘の登りも、すべてパスできてしまうというのは非常にありがたいです。特に自分のような貧脚には、絶大な恩恵をもたらしてくれる神の采配。西武鉄道本社方面には、もう足を向けて眠れません。
まとめ
西武多摩川線のサイクルトレイン、実際に利用してみると想像していたよりずっと便利で苦労レスで、快適そのものでした。
15分程度とはいえ冷えた空気の中で着席していると、暑さでダメージを受けた状態から一気にリフレッシュできます。乗降時のストレスも皆無なので、サイクリングの途中に組み込んでみると、かなり良いアクセントになると思います。
西武鉄道さんにおかれましては、実験ではなく本サービスとして、ぜひぜひ他の路線にも拡大していっていただきたいです。新宿線や池袋線などでは難しいにしても、多摩湖線や国分寺線、秩父線といった郊外の路線に展開していけると個人的には相当ありがたい。
たとえば飯能から所沢まで利用できれば、飯能ライドしたときの帰路が全然ラクになるでしょう。なにしろ駅に到着した直後のヘロヘロな状態ではなく、電車に乗ってひと休みしたあとで輪行作業ができるのです。たとえ途中の駅までしか利用できなかったとしても、体力の残りゲージが大きな差がある状態で作業できるメリットは計り知れません。
西武多摩川線の近郊地域に居住されている自転車乗りの皆様には、ぜひぜひ一度このサイクルトレインを利用して、利用後のアンケートに思いっきり高評価と他路線での展開要望を書きまくって、自転車乗りからの絶大な支持と期待を西武鉄道さんにお伝えいただきたいところです(個人的願望)。
あ、ご利用時はくれぐれもスタンドの装備をお忘れ無く!