DT Swissが2019年に発表した新型のフリーハブ「Ratchet EXP」。従来の「Ratchet」よりも部品点数を減らすことにより、ラチェットのエンゲージメント速度向上とガタの削減を目論んだシステムとして話題になりましたが、その後「ラチェットの摩耗が早い」というユーザーからの報告が複数寄せられていました。
これに対しDT Swissは公式サイトで、一部のRatchet EXPハブに問題があることを認めました。
公式 Ratchet EXP maintenance notice | DT Swiss
ラチェットの表面仕上げによっては早期摩耗の可能性も
同サイトによると、ラチェットの表面仕上げのバリエーションによっては、ラチェット部が早期摩耗する可能性があるそうです。その結果、ラチェットが嵌合しにくくなることがあります。
なお影響を受けているのはRatchet EXPシステムのみで、Ratchet及びRachet LNは問題ありません。
Ratchet EXPを搭載しているDT Swiss純正ホイールは次の通り。
- ARC 1100 / 1400 DICUT
- PRC 1100 DICUT Mon Chasseral
- XRC 1200 / 1501 SPLINE
- XMC 1200 / 1501 SPLINE
- EXC 1200 / 1501 SPLINE
- 180 Components hub
- 240 Components hub
- SERVICE KIT RATCHET 36T EXP W/O TOOL
- SERVICE KIT RATCHET 54T 180 EXP W. BEARINGS
- SERVICE KIT RATCHET 54T 240 EXP W. BEARINGS
- SERVICE KIT RATCHET 54T EXP W/O TOOL
しかしこれ以外にもRatchet EXPはFast ForwardやRoval, Bontrager等多くのホイールでも採用されています。
対策品かどうかの見分け方
DT Swissは既にこのラチェットの表面品質を改善した対策品を出していますが、対策品かそうでないかの違いはハブの型番を見るとわかるそうです。
上の画像の個体は「P2079940 308 DTP N 10027719」となっていますが、この中の「308」という3桁の数字(プロダクションコード)に注目。真ん中(2桁目)の数字が「1」であれば対策品で、それ以外の数字であればラチェットが早期摩耗する可能性があります。上の画像の個体は2桁目が「0」なので、問題が発生する恐れのある個体です。
影響を受けたRatchet EXPハブを使われている方は、DT Swiss公式サイトのフォームから連絡してみて下さい(英語。電話対応もしているそうです)。