シマノ新型デュラエース(R9200)の姿がバロワーズ・ベルギー・ツアーで初めて確認された、というニュースを先日下の記事で紹介しました。目撃された新デュラについて、Cyclingtipsがスペックの考察記事を出しているので紹介します。
元記事は非常に長いのですが、新情報はあまり多くないのでおもしろそうな部分のみ抜粋してご紹介します。
出典 2022 SHIMANO DURA-ACE DI2 IN THE WILD: WHAT’S THERE, WHAT’S MISSING, AND HIDDEN SECRETS
レバーは大型化・リアディレイラーはミディアムゲージのみか?
- Team DSMが使用していた(新型と思われる)カセットの小コグ7枚はスチールで、残りの5枚はチタン製に見える。さらに大コグ7枚は3つのミニクラスターに分割されているように見え、素材は何らかのファイバー強化コンポジットであるように思われる。軽量化とスプロケット周縁部の剛性改善のためだろう
- Team DSMのカセットは11Tスタートではない。シマノがMTBのマイクロスプラインを転用した可能性は確かにありうるが、10Tオプションがないとしたらそうする理由は多くないと思う。現行の11スピードHGハブに装着できることを願うが、あそこにこれを詰め込むことは可能なのだろうか
- リアディレイラーはわずかに後方にシフトされ、パラレログラムリンクはこれまでよりも少し長くなったように見える
- ディレイラーボディが長くなっているため、現行11スピードよりも対応カセット幅も広がっていると思われる
- プーリーケージのクラッチがあるようには見えないことから、新型デュラエースはSRAM Red eTap AXSのようなマルチパーパスな製品ではなく、ピュアなロード用グループセットの立ち位置を維持するのだろう
- プーリーケージはカーボンコンポジット製に見える。私の推測ではミディアムゲージ1種類のみが提供されるのではないかと思う。プーリーは上下とも11Tで、アッパープーリーはケージのピボットと同軸に位置している
- フロントディレイラーのモーター部は現行製品のそれと比べてかなり小さい。羽は最初カーボンかと思ったが、よく見たところアルミ製であることを確信した。グループセット全体に合わせてアノダイズド加工されている
- Dura-Ace Di2の油圧ブレーキレバーがSRAMやCampagnoloのそれよりも小さいから好きだ、という方々には悲報だ。新型のレバーはかなりでかい。特にトップ側は大きくなった。実際、上側のふくらみはほとんどSRAMのようだが、個人的にこれは悪いことだとは思わない。エアロポジションで腕を伸ばす時によりしっかりしたグリップを与えてくれるからだ
- Team DSMのバイクにはスポーツサテライトシフトボタンがあったので、それも当然オプションとして用意されるだろう
- クランクは非対称の4アームレイアウトが継続されているが、BCDが変わったかどうかはわからない
- ホローピン・チェーンはひと目見ただけでは現行製品との違いが大きいようには思えないが、インナーリンクのプレートはこれまでよりずっと長くなっており、はっきりした面取り加工がなされているのが見える
- ブレーキキャリパーについてははっきりとした写真がないのでまだよくわからないが、ローターは今のところXTRが使用されているのは興味深いことだ
- リア・フロントともにディレイラーからワイヤーが出ているが、レバー回りのことはわからない。2つのディレイラーが新型バッテリーに接続され、2つのレバー(とサテライトシフター)が恐らくお互いに接続され、それらがワイヤレス通信をすると思われる。SRAM AXSに比べるとセットアップは煩雑になるが、現行のDi2に比べると改善だ。チャージャーをどこに差すかはまだわからない
- 新型デュラエースがディスクブレーキのみになるとは想像しにくい。メカニカル版は、あってほしいとは思うがシマノにはそうする経済的なモチベーションはないと考える。メカニカル対応のハイエンドバイクは少なくなってきている。シマノがメカニカルを継続したくともその市場は徐々に小さくなってきている
- Team DSMが使用しているホイールも新型デュラエースだろう。語るべきことは多くないが、50mmハイトのカーボンリム、ステンレスのブレードスポークでニップルは露出、アルミハブ、チューブラー及びチューブレス対応クリンチャーとなっている。シマノはスポークの2-to-1組みには興味がないようだ
個人的に大きい注目点と思えた箇所は、レバー(のツノの部分)が大型化していること、リアディレイラーがワイドレンジに対応し、恐らくミディアムゲージのみのラインナップになるのではないかということ、というあたりですが、最小コグが11Tになるのか、10Tになるのかが未だによくわからないですね。
トップが11Tスタートであれば既存のHGハブで使えるタイプになりそうですし、そうであれば多くのユーザーには歓迎されそうです。逆にマイクロスプラインが使用されるのであれば、Team DSMが使用していない10Tコグも準備されているのではないでしょうか。またカセットの素材を考えるとシステム全体の重量は現行製品と同程度か、さらに軽量化されている可能性もありますね。
新型デュラエースに合わせて新型アルテグラも同時発表されるという噂もあり、新型デュラエースはマイクロスプライン、新型アルテグラはHGハブ、という話もあります。だとしたらTeam DSMが使用しているカセットがHGタイプの12スピードのアルテグラという可能性もなきにしもあらず(?)
大型化されたフードは好みが分かれそうですが、縦には伸びたものの横幅はコンパクトなまま、とも言われています。通信についてはこれまでにリークされた特許文書通り、シフターとディレイラー間のみワイヤレスとなるセミワイヤレスとなるのは確実でしょう。
いずれにしてもツール・ド・フランスまで残り10日を切っていることと、情報解禁が6月末日という話があるので、もうすぐ新型デュラエースの全貌が明らかになりそうです。