プロロードレースでディスクロードが爆発的に普及していない理由は様々あるようですが、そのひとつに「パンク時のホイール交換作業の手間」が挙げられています。従来のリムブレーキホイールはクイックリリース式だけあって、さすがにホイールをクイックに(素早く)交換できる仕組みでした。
しかしスルーアクスルが標準仕様となったハイエンド・ディスクロードの場合、ホイール交換に要する時間は従来よりも増えてしまいます。ブレーキの性能自体は向上したものの、「クイックなホイール着脱」という面では完全に逆行してしまったところがなんとも興味深いところです。ディスクロードの普及は、クイックリリースという偉大な発明の否定でもあります。
もちろんスルーアクスルには、調整しなくても基本的にホイールのセンターが出る、そしてシャフトまわりの剛性向上によりディスクブレーキの性能を十分に活かせるという大きい長所があります。そのためロード用ディスクホイールはMTB同様、スルーアクスルが主流になりました。
電動ハンドツールがレースの現場で活躍することに
Cycling Newsの記事によると、Dimension Dataのヘッドメカニック・Klas Johansson氏はレース中のディスクホイールの交換に現在はこんなハンドツールを使うようになったそうです。ドイツのMetabo社によるPOWERMAXXというモデル。
「メタボ」は日本だと微妙なブランド名になってしまいますが、ヨーロッパではボッシュと並んでこのジャンルでは有名な会社のようです。この電動ドライバーにヘックスビットを装着し、11Nmのトルクに設定して運用するとのこと。
クイックリリース式のホイールの脱着をしているあいだ、7台のチームカーが通過していくそうです。その間およそ10秒。一方このパワーツールを使用してディスクブレーキホイールを交換した場合は14台のチームカーが通過。その間20秒。
このツールを使ってもなお従来の倍の時間がかかってしまうのか、と驚いてしまいますが、特にリアホイールをいかにはやく脱着できるかはこれまで以上にメカニックの手腕が試されることになりそうではあります。
将来、日本のチームがツールやジロ、ブエルタに出る日が来たら、使用すべきはやはりこのメーカーになるのではないでしょか。それはマキタ!
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