よみもの

日本で自転車旅行を満喫してきた、という旅の報告に多数の非難が浴びせられる(海外掲示板より)

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日本で長期のサイクリング旅行を楽しんできました、という投稿を海外掲示板で見かけました。数多くの写真が添付されており(※現在は削除済み)、スレ主さんは公園・川べり・運動場のように見える場所など、テントの設営や宿泊が禁止されていると考えられる場所に泊まること(=英語ではフリーダム・キャンピング、と呼ばれる)を選択したように見えます。

写真は筆者撮影(伊豆諸島・三宅島のキャンプ場での合法野宿)

以下、スレ主さんの投稿の概要です。

ニュージーランドからこんにちは。5月から7月にかけて、日本でのサイクリング大旅行を終えたばかりです。大部分の日程をフリーダム・キャンピングで過ごしたので、夜にテントを張ったところでキャンプしてはダメだとか、ここで寝泊まりしてはいけないと言われたことは一度もなかった、と自信を持って言えます。ただ一度だけ、小豆島で警察官に質問されました。しかしそれも翌朝になってからの話で、その時までには荷物もしまって出発しようとしていた時でした。その時の会話はポジティブなもので、お互いをレスペクトするような雰囲気でした。
(中略)
73夜のうち、お金を払って宿泊したのは7夜。無料でホストしてもらったのは4夜。道の駅、1夜。ネットカフェ、3夜。ステルスキャンピング、2夜。
(中略)
日本での私のフリーダム・キャンピング体験はポジティブなものだったと皆さんに知っていただきたい。全体的に期待を超えた体験で、本当に多くの心温かい、寛容で親切な人々に出会いました。…

出典 Freedom camping in Japan, my experience.

これに対してスレッドには次のようなコメントが続々と寄せられることになりました。

  • それは日本では合法なのですか?(15いいね)
  • (スレ主さん)いやー、その質問には自信を持って答えられません。しかし警察官とのやり取りを思うと、何の問題もなかったものと思います(マイナス16いいね)
  • ではあなたはこの旅行をする前に、日本でのフリーダム・キャンピングが合法かどうかを調べさえしなかったのですか? それは無責任で、敬意に欠けています(9いいね)
  • (上の質問に対して他の人が)一般的に、指定されたエリアの外では合法ではないですよ。ちょっとネット検索すればわかることです。私が思うに、日本の人々は親切すぎるし、真っ向からの対決を避ける(non-confrontational)ので、ルールを無視する人々に意義を唱えないのです(9いいね)
  • (スレ主さん)より明確にするために言うと、日本でフリーダム・キャンピングが合法か非合法か、100%の自信はありませんでした。しかしこの掲示板での他のユーザーからの投稿をリサーチした限りでは、明確な答えはないように思ったのです
  • 明確な答えは、ありますよ。日本でのワイルド・キャンピングは違法です。なぜなら大部分の地方自治体は無料のキャンプサイトを提供しているからです。東京でさえそうです。ホスト国をレスペクトしやがりなさい(respect your fucking host country)。あと法律を学んで、(他の旅行者である)私達に迷惑をかけないでください(12いいね)
  • 合法ではないですよ。スレ主さんはリサーチしなかったダメな人だし、あの投稿にいいねしている人たちは、日本の文化に敬意を払わない人がいてもどうでもいいと思っているのです。日本には僻地に、他に選択肢がない場合に私ならワイルドキャンピングを検討するかもしれない場所はあります、しかし写真を見る限り、スレ主さんは都会で整備が行き届いた公園で浮浪キャンピングをしていたように見えます。ひどく見えます(45いいね)
  • 日本では大部分の場所でそれは合法ではありません。ほとんどの人は真っ向から何か言ってくることはないでしょうし、ネットを見ていると「誰も何も言わなかった」イコール「誰も気にしない」と誤解してしまう人が多いように見えます。日本はパンデミック以降、多くの旅行者の問題への対応で大忙しです。あらかじめ許可を取らない状態でどこかでキャンプするのは無責任な行動だと思いますし、長期的にはより多くの衝突を生むことになると考えます。(スレ主さんが出会ったような)地元のキャンパーは、あなたが知らないルールに従っており、何が問題になるか・ならないかを、大体わかっているのです(…)日本の人がやっているからといってあなたもそれをやっていい、と考えるのは誤りです(65いいね)
  • 私は日本で多くの時間を過ごす者です。コロナの時以外は過去15年間、毎年訪れていました。この(スレ主さんの)写真の数々は本当にまずいと思いますし、他の人々が真似しないことを望みます(50いいね)
  • (スレ主さんは)真っ向からものを言ってこない(non-confrontational)日本の文化を自分の都合の良いように利用しているだけです。本当に迷惑だと思います(13いいね)

スレ主さんに対しては「2ヶ月以上にも及ぶ自転車旅の前にリサーチしないで出発するのは無責任である・注意されないイコールOKという意味ではない」という批判が続々と寄せられたのですが、それに対してスレ主さんは日本各地で出会ったという日本人サイクリスト・キャンパーとのツーショットを続々とアップしはじめました。

スレ主さんとしては、「現地の日本人も私と同じようにフリーダム・キャンピングをしていたんだ!」と自分の体験・主張を正当化したい願いがあったのだろうと思いますが、これに対してはさらに「現地で知り合った人とのツーショット記念写真を自己弁護のためにアップするのはおかしい、それに日本でのプライバシー意識をあなたはわかっていない」という別の批判が寄せられることになりました。

このスレッドを読みはじめた時、公園の休憩舎(雨宿りができる屋根付きのあずまや)に自転車を置いてテントを張っている写真を見て「ああ、このスレッドは荒れるかもしれない」と思いました。

スレ主さんは日本でとても良い時間を過ごされたようだったので、こんな結果(いわゆるフルボッコ状態)になってしまって気の毒になった反面、多くの外国の方が日本文化は「対決を避ける・正面からものを言わない(non-confrontational)」傾向があると感じており、それに付け込んではいけない、と書いているのを見て、日本を愛している外国のサイクリスト旅行者はこんなに多いのか、と驚かされもしました。

また、外国の方からのコメントには、日本では「不文律」(言葉にされていないルール)があるという指摘も多く、興味深く読みました。例としては、四国のお遍路さんが駅のベンチで寝たり、お金のない学生や夜釣りを楽しむ人々のオーバーナイトは「見逃し」てもらえる、といったものです。

その上で、それは現地の習慣や文化の深い理解を前提とする一種のスキルであり、簡単に真似していい(真似できる)ものではない、とでも読めそうな主張もありました。

このスレッドを読んで、どのような意見を持つかーーそれはあなた次第です!(関暁夫)

著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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