このビットは何に使うものですか? はじめて見るのですが… という質問投稿を海外掲示板で見かけました。添付の写真には「縦長のヘックス・ビット」のようなものが見えています。確かにこんな形状のボルト穴は私も目にしたことがなく、へー何だろう? と思ってしまいました。さて、何に使うものなのか…
出典 What is this bit used for? First time seeing this.
以下、寄せられたコメントからいくつかピックアップ。
- マルチツールの内部で完全な六角ビットのかたちを必要とせずに、大サイズボルト用のヘックスビットの機能を持たせるためのものに見えるね(752いいね)
- 部分的な接触面のある8/10mmヘックスキーではないでしょうか。緊急時に「無事に帰る」シナリオでクランクのボルトとかを締めるものじゃないかな(114いいね)
- あくまで緊急用の8mmヘックス。普通の8mmヘックスレンチの代わりとしては使わないように(50いいね)
- 別名・ボルト穴ナメ太郎(a bolthead stripper)(759いいね)
- (上の人に)クランクボルトが緩んだ時、これでライドを終えられる程度には締められると思う。適切なトルクで締められたこのサイズのボルトならこのツールで緩めようとは思いません(55いいね)
- マルチツールの多くはどうしてもぎこちない使い方になるから、どれもボルトヘッドをナメがちにはなると思う。これは無事帰宅するためにクランクアームのボルトを締めるだけのものだよ(98いいね)
なるほど、「8mmヘックスビットの簡易版」ということで間違いなさそうです。写真をよく見ると”SWAT”という文字が見えるので、スペシャライズドの省スペース製品かと思われます。このヘッドのデザインは、初めて見ました。
8mmはどんな時に登場する?
奇遇ですが私もまさについ最近、出先で8mmヘックスレンチを使わなければならない状況に陥りました。ペダリング中に右のクランクが上死点で「コクッ、コクッ」という音を発しはじめました。MKS EZY Superiorのワッシャーがこのバイクでも潰れたのだろうか? と疑い、バイクから降りて観察しました。

しかし今回の原因は別でした。クランクをつかんで揺すると、ただ単にグラグラしています。今年の春に組み付けたばかりのフロントトリプル・クランクで、こうしたトラブルを経験するのは私の場合は滅多にないのですが(10年に1度レベル)、トルクレンチを使わずに締めたのを思い出して「しまったー」となりました。

8mmのレンチはその時、持っていませんでした!自宅でよく使っているHOZANの長いヘックスレンチセットの6mmに、出所不明の8mmヘックスビットをすぽっとかぶせてあるのですが、なぜあれをライド中に持っていないのか… 考えてみるとペダルはMKS Ezy Superiorなので8mmヘックスは必要なし。手持ちの他のバイクも右クランクはボルトがないものがほとんどなのです。
というわけでトラブル発生から約10km、今にも外れそうなクランクをおっかなびっくり回しつつ、後半は変速も避けてなんとか帰宅しました。あの時、まさにスレ主さんが持っているようなツールか、下の8mmビットを持っていたらより快適・安全に帰宅できたに違いありません。ツーリング中だったら深刻な事態になっていたと思います。
というわけで車体に8mmボルトがある皆さんは対応ツールの携行をお忘れなく。登場頻度はかなり低いと思われますが、持っていないと確実に詰むツールのひとつではないでしょうか。8mmは必要としない方も多いと思うので、路上で誰かに借りようと思っても誰も持っていないこともあるかもしれないですね。
▼ 8mmレンチ・8mmのあるマルチツールたち。単品で8mmだと1本サドルバッグに入れておくのも良さそうですね。