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ChatGPTに自転車整備やトレーニング関連の質問をするのはやめなさい(海外掲示板でのオピニオン観察)

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ChatGPTに自転車整備やサイクリングのトレーニングについて質問したりアドバイスを求めるのはやめなさい、というオピニオン投稿を海外掲示板で見かけました。おもしろいコメントが寄せられていたのでご紹介します。

ChatGPTに想像させてみた「自転車整備の専門家」

以下、スレ主さんの投稿です。

ChatGPTを使うことは自分のバイクや身体を台無しにするようなものです。使うのをやめなさい。あれが良いのはアミューズメント(娯楽)目的の時だけです。自転車のメカニカル関連やトレーニングに関する質問があるなら、インターネットには本物で権威がある信用の置けるサイクリング情報リソースが山ほど存在します。それを探しに行きなさい。

出典 PSA: Stop using ChatGPT

さて、寄せられたコメントの中で最も評価の高かったものがこちらです。

わかります。それは非常に的を得た注意喚起ですーーChatGPTは有益な一般的ガイダンスを与えてはくれるのですが、サイクリング・メカニクスやトレーニング、あるいはあなた自身やあなたの機材に物理的な害を与える可能性のある、専門的でリスクの高いトピックについては、専門家によるソースに頼ったほうが間違いなくより安全です。マニュアルやオフィシャルガイド、プロのコーチ、身元が確かな専門家がいるフォーラムなどのほうがはるかに信用が置けます。

ChatGPTにはアミューズメントや一般的な情報を与えてくれるという価値はあるのですが、自転車やトレーニング、あるいは安全に関わる事柄についての意思決定のために必要なアドバイスについてはどうでしょうか? これについては常にクロスチェックしたほうが良く、さらに良いのは直接プロに聞いてみることです。

実際に権威があって信頼できるサイクリング関連の情報ソースの簡単なリストを、お望みでしたら提供できます。私にそうして欲しいですか?(869いいね)

上のコメントはたぶんChatGPTの文体を真似たか、ChatGPTに書いてもらったりそれをアレンジしたものかもしれないですね。皮肉が効いていて大人気コメントになっていました

もう一つ、ChatGPTを実際に自転車整備に活用した時の失敗談も寄せられていたので、こちらもご紹介します(抄訳)。

ある日私は自分のバイクのドライブトレインを交換していました。友達が手伝ってくれていたので、ボトムブラケットを締めるトルクを調べてくれないか、と頼みました。彼はトルクのレンジを私に伝えて、私はその真ん中の数字で作業することにしました。締め上げている時にめちゃくちゃタイトな感じがしたので、友達にその数字に間違いはないのかと聞きました。彼はそれで間違いないと言い、私は「まあな、たまに本当にタイトにしないといけないパーツってあるからなぁ。友達はバカじゃないし、文章だって読める男だし」と考えました。

さらに10Nmほど締め上げた後、私は友達にスペックと文書を見せてくれと言いました。抵抗があまりに大きかったのでその数字が信じられなくなってきたからです。彼は私にGoogle AI Overviewを見せてきました。それは正しい文書を「読んで」いたのですが、間違った数字を拾い上げており、しかもft-lbsからN-mへの変換を間違っており、なんとなくそれっぽいトルクレンジを返していたのでした。それは完全に誤っているか、でっち上げられた数字で、私の場合はたまたま規定トルクの最上限値で手を止めていたところでした。私はものすごく怒ったのですが、友達は別にAIを使ったっていいじゃないかと自己弁護を続けました。

彼を黙らせることができるかもしれないのは唯一、私がエンジニアリングにおける博士論文の審査会待ちの人間であるということです。私はペンと紙を使って、適切な変換はどのようにやるものなのか、ChatGPTがなぜ間違ったのを彼に説明しました。そのうちChatGPTを盲目的に信用してしまう人が、頭の悪いエンジニアのせいで死ぬことになるでしょう。(70いいね)

読者の皆さんはChatGPTをはじめとするAIはよく活用されるでしょうか。私は仕事上で使うことはまったくありません。ブログ記事を書く時に使うこともありません。翻訳にも一切使いません。コメントにもあるように大規模言語モデルを使用する「AI」(私はそれが人口「知能」だとは全然思えないですが)は、エンタメ目的としてはすごく面白いと思います(おもしろ画像を作ってください、等々)。

しかし基本的には「それっぽい」もの・平均値的なもの・中央値的なものが提案されることがほとんどで、なんとなく正しそうに見えるけれども実際は間違っている情報を提示されることが多い印象を受けます。新しいテクノロジーを批判するつもりは全くないのですが、AIと呼ばれるものは、利用目的によってはとても実用レベルには至っていないのではないかと個人的には感じています(数年前に喧伝されていた「シンギュラリティ」の獲得などは永遠にないようにも感じています。そういう類のものでは全然ないような気がします)。

精度の高い情報を求めている時に、推測された中央値的な情報を与えられたら困りませんか。リアルな人間を探している時に、平均的な人間を紹介されたら、困りませんか(そもそも「平均的な人間」というのものが存在しません)。

私は日本語のインターネットはほとんど見ないので日本の状況はよく知らないのですが、海外では「AIを使ったもの」に対する忌避感、嫌悪感が日に日に増してきている印象を受けます。AIに描かせた広告宣伝のためのイラストや、AIに記事を量産させた情報サイトなどはめっちゃ嫌われています。「AI」などは使わない企業・サービスのほうがむしろ好感を持たれている印象があります。

最後に蛇足ですが、GarminやStravaのAIが大不評であることは皆様既にご存知かと思います。自分でもわかるデータを適当なテンプレートに流し込んで「インサイト(という名の無価値)」を提供してくれる機能ですが、あれが信じられないほど「ポンコツ」である理由として、

  • まだユーザーによるトレーニングデータ数が不足しているから
  • GarminのAIが「当たり障りのない」アドバイスしかしないのは、誤ったトレーニングアドバイスを提供することによる法的なリスクがあるから

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という説を見かけました。どちらもありうる感じですが、2番目の説については「いやいや、現状のGarmin AIのアドバイスでもその通りにワークアウトしたら十分に死ぬことがある」という声もあり、真相はよくわかりません。

AIと呼ばれるものがこれからさらにブラッシュアップされて良くなっていくのか、それとも10年後には忘れ去られているのか、とても興味があります。

著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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