よみものプロサイクリング

プロサイクリングチームのスポンサーについて偽善的なことを言うのをやめなさい(海外掲示板でのオピニオン観察)

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ブエルタ・ア・エスパーニャ2025でのチーム・イスラエル・プレミアテックへの抗議デモや、マドリード最終ステージの中止などで、プロサイクリングチームとそのスポンサーシップに関する議論が海外掲示板で活発化しています。今日は「(選手たちは)スポンサーのことで偽善的なことを言うのはやめろ」というオピニオン投稿を見かけたので、ご紹介します。

出典 Let’s Stop the Hypocrisy with the Teams sponsor

まずスレ主さんの投稿がこちら(抄訳)。

かなり以前から、スポンサーやチーム名が何らかの国と紐付けられているチームを私達はいくつも目にしてきました。しかしそうしたチームと契約するアスリートは、オーディエンスがそのチームを嫌っているからといって、表に出てきて泣いたりすべきではありません。あなたはバーレーンやUAEと契約する。それは彼らの政治をエンドースするということです。あなたはイスラエルと契約する。それは彼らの政治をエンドースするということです。「僕はスポーツをやっているだけなんです、政治は僕とは関係ありません」とライダーは言います。いいや、関係はあるのです。そういうチームと契約するのはやめなさい。あなたはお金を選んだ。よろしい。それは、あなたにとって良かったと思います。しかし、苦情を言うのはやめなさい。

こういうタイプのスポンサーを許容するワールドツアーのシステムにも問題があります。はっきり言っておきますが、ライダーの安全が何よりも大事なんです。ライダーを危険に曝すデモのいくつかは、受け入れられないものです。このスポーツはそんなことがなくとも、既に十分に危険なものなのです(180いいね)

これに対して支持率が最も高いコメントがこちらでした(抄訳)。

あなたが言いたいことは、とてもよくわかります。しかし、誰もがそのような選択をできるわけではないのです。

スポーツでは、残念ながらギャンブル関連のスポンサーシップは当たり前になっており、それはスポーツウォッシング(※筆者注・スポーツウォッシングとは「スポーツのポジティブなイメージを利用して企業活動のネガティブなイメージを洗い流す」といった意味合い)ではあります。大多数のライダーはポガチャルでも、ワウトでもレムコでもファンデルプールでもなく、今後もプロトン内に留まりたいのであれば、どんなチームでも構わないから来年も自分の居場所があることを祈っているだけです。

自分が左である、右である、そのように言うのは自由です。しかし現在のチームが新しいスポンサーを必要としていて、あなたがかつて批判したことのある企業や国家がその唯一の選択肢だとしたら? 大勢のドメスティクがその枠をあなたの代わりに喜んで取ることになるでしょう。

だから仕事を続けたいのなら、選択肢はいくらもないのです。私達の大部分も、これまでの人生のいくつかの節目で、怪しいことをやったことがある・いまもまだやっている会社で働いたり、そういう会社から買い物しなければならなかったことがあるはずです。

こういうタイプのスポンサーを許容するワールドツアーのシステムにも問題があります。

たくさんの会社がサイクリングに大金を注ぎ込めるような状況では、ないのです。大きいチームでさえスポンサーを確保したり、ただ存続することだけで精一杯です。ベルギーのワールドツアーチームのLottoは(ギャンブル、さらに国がスポンサー!)1985年以降、プロサイクリングにおける重要な存在でしたが、もう経済的にやっていけないので別のチームと合併せざるをえなくなるでしょう。マチューとヤスパー・フィリプセン、そしてCanyonとGCNのおかげの「ポップカルチャー」チームはまだ追加のスポンサーを探しています、というのもDeceuninck(小さい会社ではない)が去ることになり、私が知る限り新スポンサーはまだ見つかっていないからです。

ですから大きい会社が現れて、職員たちが自分の家族のためにテーブルに食べ物を置けるようなお金を出してくれるのなら… 選り好みなどできないのです。

残念ながら、私達が知っているようなプロサイクリングは、こうした大規模で、時には怪しげでもあるスポンサーなしにはもはや成り立たないのです。さもなくば、私達はより少数のライダーで、「タイタンの戦い」がより少ない、より国際的でない小さいレースをやる時代に戻るしかありません。

シクロクロスはなぜ「ローカル」なスポーツなのでしょう? 理屈の上ではもっとずっとテレビとの親和性があるのに(1時間で、ライダーは全力で戦うので常に何かおもしろいことが起こる)、主にベルギー・オランダ・フランスでのローカルスポーツになっています。理由は、スポンサーが小さいからです。チームはライダーを世界中に派遣することができません。また移動が必要なら(USのレースの場合)、大体は最も費用がかからないように計画されていて、チームやライダーはレースが終わったらすぐ帰宅してレースの間は家にいられるようになっています(するとチームにコストが全く発生しない)(192いいね)

ある国家がスポンサードするチームと契約することは、その国家の政治をエンドースすることだ、というスレ主さんの意見も、スター選手以外には選り好みする余地はない、というコメントも、個人的にはどちらも理解できます。すると渦中の選手達にとって、現状で最も良い選択肢は「沈黙する」以外にないような気もします。

またスレ主さんの意見は私もすごくよくわかるものの、その考え方を突き詰めていけば、私達は最終的に山の中で電力や文明を捨ててオフ・グリッドな生活を送らざるをえなくなります(程度の大小はあっても、私達はみんな同罪だろうと思います)。その意味でスレ主さんが原油とは無縁の生活を送っていないのなら、その意見もまた別の偽善になってしまうかもしれない、と私は思います。

ところで今回のブエルタの件でUCIとスペイン政府が現在お互いを批判している状態で、2026年のツール・ド・フランスのバルセロナスタートも危ぶまれており、そちらについても海外掲示板では活発に議論されています。

著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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