Canyon Grizl cf sl 1を1年前に購入したという方が、破損したフォークの交換品を自費で購入したいとCanyonに問い合わせたところ断られてしまった、というスレッドが海外掲示板で大きい話題になっています(約5時間でコメント数が307件)。

image from canyon.com
出典 Canyon won’t sell you replacement parts. They BRICKED my bike(Canyonが交換用パーツを売ってくれない。私の自転車を文鎮にしました)
経緯をまとめると、スレ主さんは
- 1年前に購入した当該バイクを輸送中、フォークを破損させてしまった(そのためスレ主さんはこの事例がCanyonの保証・クラッシュリプレイスメントの対象外であると判断した)
- 壊したのは自分のミスなので、自分で費用を払って交換用フォークを購入したいとCanyonに問い合わせた
- Canyonにはその交換用フォークの在庫があるとのことだった
- しかしCanyonによると「保証対象外であるなら、新しいフォークは売れません」とのこと
- Grizlには他社のどんなフォークも合わない(スレ主さん談。具体的には主流の1 1/8”ではなく1 1/4”フォークであり(それ自体はレデューサーを使うことで1 1/8”フォークを使えるだろうとの指摘がコメント欄で提案されている)、さらに採用されているベアリングのベベルが45°ではなく36°で互換性のあるフォークを見つけられないでいる
- Canyonのカスタマーサポート担当者は「新車を購入するか、中古のフォークを探してそれが壊れていないことを期待しなさい」と述べた
- 他の解決策はないかと問うと担当者は怒り、スレ主さんは彼に面倒な思いをさせている(annoying him)と答えた
- バイクは$3500で、交換用フォークは$250。そのフォークが入手できないので文鎮になった
という流れです。
スレ主さんによる報告以外のところでCanyon担当者とのあいだにトラブルがあった可能性も考えておく必要はあるのかもしれませんが、読む限り、スレ主さんは無償で何かを要求しているのではなく、フォークを破損させたのは自分のミスであると認めた上でフォークの代替品を購入したい、そしてCanyonにはその在庫がある。とのことなので、この事実だけを考えてみてもCanyonのこの対応は私も少しおかしいな、と思いました。
さて、これに対して寄せられているコメントで目立ったものをピックアップしてみます。
- 職階の高い人にエスカレーションしてみてはどうか。一次担当者の大部分は白か黒か判断するためだけに雇われているから(451いいね)
- それに続けてソーシャルメディアで炎上させるといい(219いいね)
- こういう投稿で不満を表明すれば(問題解決への)トラクションは得られるかもしれないが、肝心なのは普通そんなことをする必要が生じるべきではないということだ(58いいね)
- 話のわかる人に到達できるかどうかが問題(11いいね)
- スレ主さんがどこに住んでいるから知らないのですが、ヨーロッパには「修理する権利」というものがあります。Canyonはヨーロッパ(ドイツ)の企業ですからこのルールは彼らにも当てはまります。私ならこれを調べて消費者権利団体に問い合わせるかもしれません(11いいね)
- もうフレームセットは売らなくなったしなぁ。完成車だけ(103いいね)
- スレ主さんに担当になった人がマ○ケだったんだと思う。Canyonのバイクを2台持っている友達がいるけど(ドイツ在住だけど)サービスはこれまでのところトップノッチだと言っていたよ(5いいね)
- Canyonのクラッシュ・リプレイスメントは最初の所有者に与えられ、譲渡できない。購入後3年以内に1度使える、とある(127いいね)
- 3年に1回だけなの… それでもひどく詐欺みたいなものじゃないか(160いいね)
- (スレ主さん)でも私は輸送中に破損させてしまったんです。私のケースは保証・クラッシュリプレイスメントに該当しないのです(12いいね)
- (スレ主さんに他の方が)クラッシュ・リプレイスメントの説明には「不運な落車、または偶発的な(accidental)衝撃」とある。あなたのケースは偶発的な衝撃だと思いますよ。アクシデントが発生して、あなたは交換パーツが必要になったのです(57いいね)
- 下っている時に岩にヒットして吹っ飛ばされてフォークが割れた、と嘘をつけばよかったのに。するとクラッシュ・リプレイスメントの適用対象だ(66いいね)
- (上の人に)それは必要ないと思う。スレ主さんは自分で壊してしまったことを認めていて、フォークをタダで手に入れようとしたわけではない。フルプライスで交換品を買わせないというのは本当にひどい話だと思うよ(47いいね)
- もう一度電話してライド中にクラッシュしたと言ってみては(63いいね)
- (上の人に)スレ主さんは正直でありたくて、フォークを買いたいだけなんだ。それが選択肢にならないというのはバカげているよ(116いいね)
- Canyonからバイクを購入して、購入時に送料を支払った。配送された時に配送会社から追加の送料を払うように言われた。Canyonが着払いで送ったようだった。37通のメールと3回の電話のやりとりを経てようやく誤りを認めてくれたが、着払い費用は返してもらえなかった(14いいね)
- 私はフォークが壊れるほどではなかったけど、ヘッドセットのベアリング交換が必要になりました。Grizlを買った時、ベアリングが全部カスタムであることを知りませんでした。パーツとして$100で送ってくれる会社は1つありました。次に買うバイクはどこでも入手できるパーツに重点を置いて選びたい思います。Canyonは検討リストから外れます(3いいね)
Canyonのカスタマーサポートについては、良い経験談も見聞きしますが最近こういう報告を見かける機会が増えてきた気がします(※ネットにはポジティブな評価を積極的に上げる人は少なく、ネガティブな体験を共有する人のほうが多いのでその点は考慮する必要ありますけれども)。
多分、スレ主さんは品質の低い仕事をする、能力のない担当者に当たってしまったのかな、と思うのですが、ではなぜ「品質の低い仕事をする、能力のない担当者」がCanyonのカスタマーサービスに存在する(そして恐らくは増えている)のだろう、と考えてみると…
普通に考えつくのは(ここは私の考察です)
- 給料が安い(低賃金で働ける人を使っている)
- 従業員の教育・トレーニングにお金をかけていない
そこから考えられるのは
- Canyonは経費削減に力を入れており、その影響がカスタマーサポートの低品質化・混乱として現れている
ということです。
最近ドイツではCUBEがかなり躍進しているらしく、Canyonよりもコスパの高いバイクを出している、ドイツ国内でのディーラーネットワークも充実しておりもはやCanyonを買う意味がない、という投稿も他のスレッドで見かけました。
Canyonはもしかすると経営的にいま苦しい状況にあるのでしょうか。競合が躍進しているこういう状況でこそカスタマーサービスを充実させ、プロダクトも独自規格をやめて整備性を高める方向に振っていったほうが良いのになぁ、と個人的には思いましたが(余計なお世話か)、皆さんはどう思われるでしょうか。