海外掲示板のZwiftコミュニティで「みんなのFTPがスゴすぎてあなたが凹んでいるなら…」というタイトルの投稿を見かけました。スレ主さんが添付しているZwiftのFTP増加検知のスクリーンショットでは、FTPが109wから112wに向上しています。

image from reddit
出典 In case anyone was worried that everyone here has a great FTP…
寄せられた多数の応援コメントを観察していきます。
- 自分を「下げ」てはいけないよ!君は君、それに見ろよ、上がっているじゃないか!ライドオン!(198いいね)
- 自転車に全然乗ってない人よりもいいFTPだよ、自分を疑わないで(112いいね)
- 私は50年乗っていて、いつも集団の真ん中にいるような中堅のクラブライダーだと考えているけれど、Zwiftで測るFTPは131です。だから何だ(47いいね)
- 全く運動しない人の90%よりもよくやれているぞ!(90いいね)
- 大事なのは自分の基準と、自分を誰と比べるかなのさ。300wのFTPでも自分に自信を持てない人もたくさん知っているよ(9いいね)
- ズルしている人もたくさんいるのを忘れてはいけない、大事なのは正直さだ、僕のFTPは178だ。レッツゴー(32いいね)
- すごいじゃない!君だけではないです、僕も自分のを110以上にしようと頑張ってます、まだできてないけど、もう少しです!モチベーションをありがとう(24いいね)
- 自分の前回のFTPテストの結果と、ここで250-300以上のFTPの人たちや、Alpe de Zwiftを1時間切りとかそうした投稿を見ていて超落ち込んでいました。他人と比較するなと人は言うけれど、言うは易く行うは難し、です。現在のFTPをシェアしてくれているみんな、ありがとう。またやる気が出てきました(13いいね)
- 俺は118(10いいね)
- 私は120でスタートして、174まで来ました。健康問題を抱えているので、本当に進歩したと考えています。あなたもきっと上がると思います(9いいね)
- 去年は92ではじめて、いま124まで上がり、年末までには150になるといいなと思ってます(9いいね)
- スレ主さんのプロフィールを見て、あなたが女性であることを知りました。私も女性で、FTPはあなたよりそんなに高くありません。私の経験では、ズイフターの90-95%が男性です。ですから、他の人のFTPは気にしないようにしましょう(13いいね)
- 誰もが330wでゾーン2を5時間やれるわけではないよ。モーターサイクルの世界では、自分を他人と比較するな、マシンについての他人の意見は気にするな、ということがよく言われます。「自分のライドをやれ(自分らしく乗れ ride your own ride)」(6いいね)
- カッコいいぞ(Badass)。アルプのサブ60よりも感心するぜ(4いいね)
- 昨日の自分より良くなっているじゃないか(4いいね)
- 2.75%の増加は祝福する理由になる(4いいね)
ここで評価の低いコメント(海外掲示板Redditでは”downvote”=「下げ評価」されているもの)も2つ読んでみます。
- ここのコメント欄にいる奴らはみんな弱い。なぜみんなスレ主をおだてるんだ? 正直そのFTPは本当にひどいし、誰でも努力なしで上げられる数字だ。スレ主さん、あなたはもっと頑張って力を付けないといけない。みんな何もせずにソファに座ってポテチ食ってコーラ飲んでる人と自分を比べてるよね。マジで? 基準を高く持てよ(マイナス4いいね)
- 「すごいじゃない!」という人の声はもう十分だろ。いま必要なのは「ああ、それはめっちゃ低い。あんたが80歳でもだ」という声だ。練習しろ。本当に練習する方法を学ぶんだ。なぜ自分が109wになったのかを考えて、後戻りしないよう頑張るんだ。愛を込めて言う… そのFTPが何を意味するかは知ってるだろ。すぐ練習しろ(マイナス1いいね)
私は「他人と自分を比較しない」という考え方が好きです。比較するとしたら、対象はいつも過去の自分自身。また、他人から認められるために何かをやるのではなく、自分自身の成長のために何かをやるという考え方が好きです。
「方丈記」を書いた鴨長明の言葉に「我今、身のためにむすべり、人のために作らず。」というものがあります。これも同じ文脈で好きな言葉です。
インターネットの世界には、”Toxic positivity”(毒性のあるポジティブさ)や”Echo chamber”(自分と同じ意見だけが跳ね返ってくる空間)という言葉がありますが、私はこのスレッドでのスレ主さんとコメント欄の人々とのやり取りがそのようなものだとは思いません。
競技をやっている方の場合、必ず他人との比較が入ってくるのでポジティブになるのは確かに難しいでしょう。しかしローカルレースで1位になっても日本1位よりは劣っている。日本1位になっても世界の10人にも入れない。そうすると必然的にずっと「自分を下に見る」状態が続いてしまうと思います。
成績を他人と比較せざるをえない競技に取り組んでいる方の場合でも、自分の成長・向上を積極的に認めて評価していったほうがさらに成長できるのではないでしょうか。そしてそういう成長の過程にある人は、自分よりも能力の絶対値が低い方の進歩も同じように評価、レスペクトできるのではないかと思います。