フレーム・完成車

ANCHOR RNC7 Equipe 素敵な重量低剛性フレーム

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馬鹿野郎!

「現代のレースには対応できない」だの「剛性が足りない」だのクロモリのことをぼろくそに言いやがって!

ANCHOR RNC7 Equipe

確かにRNC7は追い込んだ走りをするには向いていない。

しかし、自転車乗りにとって追い込むことは確かに有用だが、追い込まれてはならないんだよ!

どうやらここは俺の体験談を通して、自転車の価値は数値だけでははかれないことを気付かせなければならない流れのようだな・・・

馬鹿野郎!物事の全ては、大なり小なり騙しなんだよ!

ANCHOR RNC7 Equipe

あれは2009年の3月30日のことだ。

身長170cm、体重59km、チェスト91cm、ウエスト73cmの自称クライマーの俺は、地元で開催されるヒルクライムレースでどうしても20位の壁を突破できず、悶々とした日々を送っていた。

細身のホリゾンタルかっこいいなぁ・・・でもCAAD8も2年ちょっとしか乗っていないし・・・

そんなことをぶつぶつ呟きながら、俺は当時よく一緒に走っていた職場の先輩に勧められたプロショップの門をくぐった。

ウイィィィーーーン!

古びたステッカーがたくさん張られた独特の雰囲気の自動扉が開閉する。

中ではちょうど、店主と思しき謎の初老の男と先客の商談が行われていた。

どんな店長なのかその素性を見抜いてやる。

俺はさり気なく展示品をチェックする振りをしながら、2人の会話に耳をすませた。

先客 「これいいですね・・・でも妻に値段がバレたら・・・」
店長 「・・・ですからそこは・・・もらったとか中古で安かったとか・・・店で預かることもできますし・・・」
先客 「そんな妻をだますようなことを・・・」

ドゴォォォーーーンッ!!

その瞬間、温厚そうだった謎の初老の男の表情が一変し、上腕二頭筋が荒々しく隆起するやいなや強烈な剛腕パンチで先客を吹っ飛ばしてこう言ったんだ。

謎の初老の男:

馬鹿野郎!物事の全ては、大なり小なり騙しなんだよ!

身もふたもない一言に俺は深い感銘を受けた。

この店主は信用できる。

先客が意識朦朧としながら店を出ていくのを確認すると、俺は思いのたけを謎の初老の男にぶつけた。

今は軽量アルミのCAAD8に乗っていること。

細身のホリゾンタルにあこがれていること。

ヒルクライムが好きなこと。

店長は、

ヒルクライムが好きならRFX(当時のANCHORのラインナップで、あまり剛性を追わず軽量性を重視したヒルクライム重視のカーボンフレーム)かキャノンデールのままがいいと思うけど・・・

と前置きしたうえで、クロモリらしさを味わいたいのなら、レイノルズの853(JAMISのバイクが該当したが、スローピングだったので却下した)か、アンカーのRNC7をすすめた。

RNC7に興味がわいたのでよく話を聞くと、オリジナルネーム、イリュージョンブルーといったオプションも魅力で、ほぼ決定した。

ちなみに、オリジナルネームには「maillot grimpeur」と入れた。

2009年6月14日、予定よりちょっと早く完成。

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ここからは、私の乗り方の変化によって大きく前期と後期に分けて印象の変遷を述べたいと思う。

なお、パーツはタイヤやサドルがときどき変わったくらいで、大きな変化はない。

ANCHOR RNC7 Equipe

【前期】 2009年6月14日~2013年4月13日 LOOK 586 UD 購入まで

ちょっとした小傷もつけないように、週末用・決戦用自転車として大切に大切に乗っていたころ。

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比較対象としてのカーボンフレームにほとんど乗ったことがなかったので、剛性に不満を持つことはなかった。

当時の私の乗り方はヒルクライムと160kmくらいまでのロングライドのみだったので髙い剛性を必要としなかったのもうなずける話だ。

おそらく、400wを超えるパワーをかけたことは数えるほどしかないだろう。

長崎県の鷹島を目指す「福岡→佐賀→長崎」の3県またぎライドをしたり、「ツール・ド・国東」などのロングライドイベントに参加したり、ヒルクライム以外にもロングライドによく出かけたりしていた。走行距離が今よりも長かったのがこの時期だ。疲れにくい特性のフレームが、良い相棒となってくれた。

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【後期】 2013年4月13日~現在に至る

LOOK 586 UD 購入してから、通勤用途にも使うように。

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不慮の事故(立てかけていたらズズってなってトップチューブに大きめの傷が)もこのころ。

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比較対象としてのLOOK 586 UD と、Azzurri Forza Elite Carbonを知り、「もしかしてRNC7って剛性低い?」って思うようになったのもこのころ。

しかしそれは購入時に精読したアンカーのパンフレットにも載っていて、わかっていたこと。

改めて「こんなにやわらかかったっけ?」と思うシチュエーションは、平地で下ハンダンシングで全力で加速するような場面。

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それと下り。

よく言われるように「しなりを感じる」のだが、自転車全体がよく動くと言った方が実感に近い。

下ハンダンシング加速で40km/hを超えるあたりから特にそれは顕著で、不安定さ、不安感を感じるほど。

いつの間にか、LOOK 586 UD のガッシリした安定感に慣れてしまっていたから、より顕著に感じるのだろう。

剛性が低い。

しかし私にとってそれをデメリットとして感じるのは非常に限られた場面だし、そもそも時速40km/hなんて単独で維持できるのはほんの数十秒だ。

マイペースでのぼるのであればヒルクライムでもそう大きなハンデではない。

  • 初心者である。
  • 体重が軽い。
  • 急加速、急制動をあまりしない。
  • 下りやコーナーを攻めない。
  • マイペースの上りが好き。
  • 身体に痛いところがある。
  • 時間を競わない。
  • 今乗っている自転車で、やわい、力が逃げる、という感覚がない。わからない。

これらの要素が多く当てはまる人ほど、剛性の低さがデメリットになりにくいだけでなく、メリットを多く享受できるだろう。

ANCHOR RNC7 Equipe

どうやら重量・低剛性の自転車は「やわい」「重い」「レースで使えない」と言って切り捨てられない魅力をいまだ持っているようだな・・・

RNC7 Q&A

Q1.RNC7ってレースで使える?

高速コーナー、アタック、スプリントのあるレースには向いていない。

ヒルクライムレースなら可。

でもそれは「アラが目立たない」という話であって、レース機材として積極的に選ぶものじゃない。

Q2.RNC7のいいところって何?

外見。

これは冗談でも皮肉でもなく、自転車乗りにとって自分の愛車に惚れこむ事ができるのは重要な性能。

「気に入っていれば走行距離が伸びる」と考えれば、長い目で見ると最重要性能かも。

逆に言えば、外見が気に入らないなら別の選択肢はたくさんある。

走行性能で言えば、レース機材として不利な要素を持つ鉄を素材に使いながら、走行性能をあまり犠牲にしていないところ。

犠牲にしている部分が、私にとってはあまり体感できない部分であるところ。その犠牲と引き換えに、乗り心地がよく疲れにくいところ。

Q3.もし時間を巻き戻せるとして、またRNC7を買う?

買います。

「鉄?時代遅れでしょ」「本当は欲しいフレームがあるんだけど、最後の思い切りができなくて購入に踏み切れない・・・」「いつか、良いタイミングの出会いがあれば・・・」などと思っている人の心に一石を投じることになれば、と思い今回の投稿に至りました。

最後に一言。

馬鹿野郎!「40歳から速くなる」だの「50代の生き方が人生を決める」だの、そんなのいつからでもいいんだよ!

今日という日は残された人生の中で一番若い日!そうやって躊躇しているうちにも、時間は刻一刻と過ぎ去っているんだぞ!

さあ、そこにある給料袋を握りしめて、今すぐ自転車屋に行くんだ!

ANCHOR RNC7 Equipe

【おまけ】

今となっては貴重?2009年当時のANCHORカタログ

ANCHOR RNC7 Equipe

ANCHOR RNC7 Equipe

スペックリスト

【今の私のRNC7の主なスペック】

  • フレーム・:ネオコットクロモリ プロフェッショナル スピニングバテッド
  • フロントフォーク・:カーボン クロモリコラム イタリアンサイズ
  • ハンドル・:NITTO アンカーオリジナル 400mm (パイプ径26.0mm)
  • サドル:SELLE ITALIA SLR
  • シートポスト:アンカーオリジナル アルミ φ27.2×300L
  • ホイール:Shimano Dura-Ace WH-7850-C24-CL
  • タイヤ:Continental Grand Prix 4000 S2
  • コンポ:シマノ105(5600)

ANCHOR RNC7 Equipe

当時のANCHOR開発陣も「剛性は高けりゃいいってもんじゃないんだよ!」と言っているような気がする。

また、RFXがRNC7の傾向をそのままに重量だけを軽くしたことにも注目したい。

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著者
自転車がこの先生きのこるには

つよしは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の気象庁を除かなければならぬと決意した。つよしには天気がわからぬ。つよしは高地民族である。軽量化に勤しみ、山の上の空模様を気にして暮して来た。けれども降る降る詐欺に対しては人一倍に敏感であった。つよしには女房は無い。内気なRNC7と二人暮しだ。

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