シマノがマイクロスプラインのライセンス供与基準を拡大 個別の質問には答えず

シマノがマイクロスプラインハブのライセンス供与基準を拡大する、とインスタグラム公式アカウントで9月13日に発表しました。

マイクロスプラインハブの製造にはライセンスが必要

この件についておさらいすると、まずシマノXTR M9100, XT M8100, SLX M7100で採用されている12スピードカセットを装着するには「マイクロスプライン」と呼ばれる専用フリーハブが必要です。下の画像の製品です。

シマノのマイクロスプラインハブ

MICRO SPLINE © SHIMANO

しかしこのマイクロスプラインはオープン規格ではないため、サードパーティーがこの規格のハブを独自に製造するためにはシマノにライセンスを供与してもらう必要がありました。

当初はDT Swiss, Mavic, Newmen, Industry Nineといった、MTB完成車に多く採用されるホイールやハブをOEM生産するメーカーに優先的にライセンスが与えられました。この件については下の記事で詳しく紹介してあります。

シマノの12スピードXTR, XT, SLXでは「マイクロスプライン」という新型ハブが採用されています。従来のHGカセットではトップ10Tに...

しかし北米で人気が高いHOPE, Chris King, White IndustriesやドイツのTuneなどはライセンスをもらえなかったので、HOPEなどはインスタで軽く愚痴っていたのでした。

シマノがライセンス基準の拡大(緩和?)を発表

この件について2日ほど前に新しい展開がありました。シマノがインスタで次のような発表をしたのです。

こんなことが書かれています。

2018年、私達は画期的なXTR M9100 12スピードMTBカセットを装着するためのマイクロスプライン・フリーハブテクノロジーを公開しました。今年のDEORE XT M8100とSLX M7100の登場にともない、マイクロスプラインのライセンスへの需要はますます増加しています。そこで私達はより多くのホイール及びハブブランドにマイクロスプライン・テクノロジーを使用する選択肢を提供すべく、ライセンス基準を拡大することになりました。

ただぱっと読むだけでは、全体的には明るい報告のようではありますが、具体的なことがよくわかりませんよね。

どういったメーカーがライセンスを受けられるようになるのか、また「ライセンス基準を拡大(緩和?)」の意味もはっきりしません(従来のライセンス基準は、まずOEMハブメーカーのみに提供され、ハブはバイクメーカーの名前でブランディングしなければならない、また、アフターマーケットのハブを生産するメーカーにはライセンスを提供しない、というものでした)。

このシマノの発表に対して海外の多くのユーザーが「HOPEも大丈夫? Chris Kingはどうなるの?」といったコメントを続々と寄せたため、シマノは次のような追加コメントを残しています。

私達の新型シマノハブとホイールに加え、DT Swiss, Mavic, Fulcrum, NewmenそしてIndustry Nineが独自のマイクロスプライン・フリーハブボディを製造するライセンスを得ています。(ライセンス供与を受ける)追加のハブブランドには彼等自身に近日中に発表していただくことにするので、私達は個別のケースについてはコメントいたしません。

確かにHOPEやChris Kingのようなメーカーがマイクロスプラインハブを製造するのかどうかについて、シマノが発表するのはビジネスパートナーシップを考えると適切ではないでしょうから、こう言うしかないのかもしれません。

「HOPEにもライセンスを供与しました!」などと発表したら、なんだこのやろう偉そうに、と海外のHOPEファンからバッシングを受けてしまうでしょう。

HopeやChris Kingからの公式発表はなし

しかし本記事執筆時点ではHopeからもChris Kingからも公式発表はありません。一部の海外サイトでは、ライセンスはすべてのメーカーに開放されるとシマノの担当者が言っていたのをイベントで聞いた、という話もあります。

近日中に明らかになると思いますが、シマノとしては完成車メーカー各社がMTBの2020年モデルの準備が終わったところで方向転換することに決めたのでしょうか。

マイクロスプラインフリーハブがSRAM XDドライバーのようにオープンなものになること自体は誰もが歓迎すると思いますが、海外のMTBフォーラムを眺めていると、シマノによる12スピードXTR発表後の排他的な動きを批判する声や、「(SRAMの)XX1 EAGLEに乗り換えたからもういいよ」というユーザーを多く見かけます。

シマノがMTB市場での勢いを取り戻すための新たな足固めのつもりだったのではないかと思われるこのライセンシング戦略が吉と出るのか、凶と出るのか。結果がわかるのは2〜3年後でしょうか。

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