ポンプ

一家に一本あるとみんな使える低価格フロアポンプ「GORIX GX-33P」のレビュー

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先日「ごっつ株式会社」さんからメールをいただきました。あっ知ってるぞ、「GORIX」ブランドで有名な大阪の会社だ、何だろう…

累計2万7000本売れている弊社の自信作、GX-33PをCBN Blogで取り上げていただけないでしょうか!

製品レビュー依頼だ! こんな面白い企画もないので早速乗ってみることにしました。こうやってお声がけいただけるのは嬉しいですね。

なお当ブログでの製品レビューは断りがない限り、筆者が興味を持ったものを完全自腹で購入して記事を書いていますが、本記事で取り上げるGORIX GX-33Pについては評価用に商品サンプルをご提供いただいていることをお伝えしておきます。

GORIX GX-33P

累計2万7000本売れているらしいGORIX GX-33P

さて前置きはこのくらいにして、この人気フロアポンプの実力は如何ほどか。どんな人に、どんな使い方が向いているのか。本記事では実際に使用した感想を書いていきます。

製品の特徴

まずこの「GORIX GX-33P」について軽く説明しておきましょう。実売価格¥2,699(本記事執筆時)の安価なフロアポンプです。大きい特徴としては「仏式・米式両方のバルブに対応していること」と「ママチャリで一般的な英式バルブ用アダプターも付属している」ところ。そして「カラーバリエーションが10色」用意されているところです。

GORIX GX-33P

GORIX GX-33P。実売価格は¥2,699の入門モデル

本記事で紹介するのは一番人気らしい「イエロー」。ブラックxイエローが蜂みたいで強そうです。Web画像は少しオレンジがかって見えますが、実際の商品はマスタードっぽいイエローという感じです。GORIXロゴも存在感があっていいですね。

GORIX GX-33P

英式用アダプターがあるのでママチャリにもOK

仏式(プレスタ)と米式(シュレーダー)に両対応するフロアポンプは珍しくありませんが、GX-33Pはアダプターを使わなくても良いところも大きい特徴のひとつです。

使用感

では実際に使いたおしてみた感想を書いていきます。

その前に、筆者が普段愛用しているメインのフロアポンプは、LEZYNE CNC FLOOR DRIVEという高級品で、現在13,000円くらいするものです。高圧に対応したレザインのフラッグシップモデルのひとつであり、さらにポンプヘッドを「クワハラのヒラメ」というマニアックな便利製品に換装してあります。

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つまり合計で15,000円は下らないフロアポンプを使用しているわけで、GORIX GX-33Pとの価格差は6倍くらいはあります。ポンプ単体で見ると5倍違います。そのため評価は自ずと辛口になる場合があるかもしれません。

ポンピング回数

フロアポンプではどのくらい回数で、どのくらい少ない力で目的の空気圧までポンピングできるかが大事です。

そこで最初に700x25Cという、ロードバイクではいま最も一般的と思われるサイズのタイヤに空気を入れてみました。その結果、9回のポンピングで3 BARに到達。17回で5 BARに、26回で7 BARにそれぞれ達しました。

700x25Cの場合

ポンピング回数 空気圧
9回 3 BAR
17回 5 BAR
26回 7 BAR

この時感じたのは、「このポンプは高圧で運用する人には不向きである」ということです。

3 BARまでは気持ちよくスコスコと空気が入るのですが、そこからはポンピングが重くなり、ストレスなく入れられる上限が5 BARという感じ。さらに7 BARまで上げるのは結構大変で、体重をかけないと厳しいものがありました。

しかしこれは低価格帯のフロアポンプに共通する特徴でもあります。空気圧ゲージの目盛りが「11 BAR/160 psi」まで書いてあっても、入門用製品は5 BARあたりから重くなる、という評価は他社製品でもよく目にします。

先述した私の愛用フロアポンプであるLEZYNE CNC FLOOR DRIVEはハイプレッシャー対応の製品で、8 BARまで入れても体重をかける必要はありません。しかしそこは5倍もの価格差。「軽い力で空気が入る」ようにするのは、きっとコストがかかるのかもしれません。

他のサイズのタイヤでも試してみました。まずロードプラスの650x47Cサイズ。この場合、3 BAR入れるのに必要なポンピング回数は30回。大ボリュームなので仕方ないですが、700x25C同様、3 BARまでなら入れるのは楽でした。

では小径車はどうだろう? ということで、ブロンプトンに空気を入れてみました。タイヤはシュワルベ・コジャック(32-349 16x 1 1/4)で、対応空気圧は5-8 Bar。私は乗り心地を良くするために下限の5 Bar〜6 Barで使うことが多いです。

下表が入れてみた結果です。エアボリュームが小さいだけあってわずか12回で5 BARまで入りました。そして5 BARであっても、ラクラクです。

16インチ(32-349)の場合

ポンピング回数 空気圧
12回 5 BAR
17回 7 BAR

私はブロンプトンを仏式バルブで運用していますが、このGX-33Pはヘッドの切り替えなしで米式バルブでも使えるので、これならデフォルトの米式のままでも良さそうです。ブロンプトンに限らず、小径車一般にはOKでしょう。

レバーとバルブヘッド

ブロンプトンの話が出ましたが、GX-33Pのレバーは大きくてごっついです(ごっつさんだけに…いやなんでもない)。そのためブロンプトンホイールの狭いスポークのあいだにうまく入れられるかどうか心配だったのですが、これはギリギリ大丈夫でした。というかそこまでギリギリでもありません。ロードは全然問題なし。

GORIX GX-33P

高級ポンプヘッドに慣れていると固さを感じるレバー。やや慣れが必要

しかしヒラメという超高級ポンプヘッドに慣れている身としては、固定レバーの固さは気になります。外す時もわりと慎重にやらないとスポークに指が当たって痛い思いをします。とはいえこれはほぼ全てのレバー式クランプに共通なので、この製品のレバーが特に悪いとは言えません。

バルブヘッドは取り外す時に「バシュー」とやや大きく空気が漏れる感じがしましたが、後述するようにこれはチューブのバルブからではなくホースから漏れていると思われるので、実使用で大きい影響はありません。

なおバルブヘッドは奥まで差し込む必要があります。ヒラメの場合はバルブ先端が1.5cmくらいでもクランプしてくれますが、これはそうは行かないのでその点はご注意。

空気圧ゲージは正確

このフロアポンプの空気圧ゲージは、信頼できるのでしょうか。「自分のフロアポンプの数字は信用できるのか。専用空気圧ゲージの結果と比較してみました」という記事でも紹介したのですが、フロアポンプの数字と専用空気圧ゲージの数字には誤差があることが多いです。特に私が使っているレザインの製品については誤差が大きいという意見が多いです(低めに出る)。

しかしGX-33Pの空気圧ゲージ、結構正確でした。このポンプの読みで7 BARまで入れて、パナレーサーのアナログ空気圧ゲージで測定しましたが、ぴったり7 BARです。他の空気圧でも試しましたが、毎回正確な結果でした。

GORIX GX-33P

わりと正確な空気圧ゲージ

ただしamazonの数年前のユーザーレビューには空気圧表示が正確でない、という声もあったので、最近になって改良されたのでしょうか、それとも個体差でしょうか。いずれにしても私の手元に届いた個体の空気圧ゲージは実用面で問題ない、というかここは私のレザインポンプが負けてしまいました!

レバーを外す時に「バシュー!」という盛大な音がしますが、ホース内に残ったエアがリリースされる音らしく、その後に単体空気圧ゲージで測定しても漏れている感じはありません。

フットベース

使い勝手でひとつ気になったのはコンタクトポイント。ハンドルは普通に持ちやすくて良いのですが、フットベースはアールが付いています。ここは正直、フラットな平面のほうが踏みやすく、安定感があるのでは、と思いました。

GORIX GX-33P

アールが付いた踏面。高圧ではやや安定感に欠ける

好みかもしれませんが、特に高圧を入れようとする場合はやや安定感が損なわれる印象。やはり低圧での使用が合っている製品だと思います。

誰におすすめできるか

さてこのGX-33P、どんな人にならおすすめできるでしょうか。どんな使い方が理想的でしょうか。

製品の特徴や実際の使用感は、あらためてまとめると次のようなものでした。

  • バルブに手を加えることなく仏式・米式に対応できる
  • 英式バルブ(ママチャリ・軽快車)でも使用できる
  • 3 BARまでならラクラク入る(ブロンプトンなら5 BARでもラクラク)
  • ちょっと頑張れば5 BARも行ける
  • 5 BARより上になると体重をかける必要があり、やや疲れる
  • 安い
  • 安い(2回目)

これらからどんなユーザーが、どんな使用シーンが見えてくるでしょうか。ここで私は目を閉じます。

どんな…どんな使用シーンにぴったりなのか…

見えた!

家族が住む家の玄関に

GX-33Pが最もよく似合う場所、それは家族が住む家の玄関です。

長男のあなたは自転車が好きで、ロードバイクに乗っている。そしてロード用には高圧対応の高価なポンプを持っている。当然、仏式バルブ専用だ。

だが問題は最近買ったばかりのブロンプトンだ。奴は米式バルブである。米式でも簡単に使えるポンプが欲しい。GX-33Pはロードにいつもの7 BAR入れるのには向かないが、ブロンプトンに5 BAR入れるのは余裕だ。

そしてあなたの妹はクロスバイクを普段使いしている。チューブは仏式である。空気は週に1度、5気圧入れればいい。4.5 BARから5 BARに上げるだけならポンピング回数も少ない。

さらにあなたの父は近所に出かけるとき、ママチャリで出かける。母は電動アシスト自転車に乗っている。どちらもチューブは英式バルブである。ママチャリは3〜4 BARも入れば十分である(※タイヤによる。あと電動アシストは重いのでもう少し入れる必要はあるかも)。

ついでに言うと現在は都会で働いている姉が帰省する時に乗っているビアンキのロード風ミニベロに空気を入れるのにも十分なスペックである。

あなた、妹、父、母、姉。家族全員がこのポンプを共用することができる。そう、つまり…

一家に一本、GORIX GX-33P!!

と、そういう感じの製品だと思います。

先にも書きましたが、もしロードバイクに「だけ」乗る方で7 BARや 8 BARで運用している方にとっては、不向きな製品です。その場合はやはり高圧対応の製品があったほうが良いです。

逆に5 BAR程度の低圧で運用する人であれば、問題なく使えるポンプです。クロスバイクだと5 BARで運用する人も多いでしょうから、はじめてのスポーツサイクルにGIANT ESCAPE R3を買ってみた、ひととおり必要なものを揃えたいけれどいまはお金がないし… という方にもピッタリでしょう。

このGX-33Pより高いポンプと値段を比べてみましょう。下表です。TOPEAK JoeBlow Sport IIIという製品も人気ですが、値段は2倍弱します。値段的にはこのあたりから高圧対応できるものが多いです。私のメインのポンプ、LEZYNE CNC FLOOR DRIVEは¥13,200とお値段跳ね上がります。

GORIX GX-33P ¥2,699
TOPEAK JoeBlow Sport III ¥4,224
LEZYNE CNC FLOOR DRIVE ¥13,200

お金に糸目をつけなければ、より良い製品はいくらでも存在します。でもあなたが念願のクロスバイクを買ったばかり、という場合、ヘルメットやグローブ、ちょっといいシューズ、サイクルコンピューターにライト、サドルバッグにパンク修理キット… と、揃えたいものがどんどん増えてくるでしょう。

その時々で使える予算には誰にも限りがありますから、どこかで工夫して費用を抑える必要が出てきます。そんな時、普通に使えて空気圧ゲージも正確なカッコいいポンプ、としてGX-33Pを購入候補に入れてみても良いでしょう。低価格で、基本性能は抑えた製品となっています。

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著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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