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Tips & How-toポンプ

自分のフロアポンプの数字は信用できるのか。専用空気圧ゲージの結果と比較してみました

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先日、ラテックスチューブって1日にどのくらい空気が抜けるんだろう、みたいな実験をやったのですが、その時に気付いたことがあります。

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家にあるLEZYNEのフロアポンプで7 BAR入れても、パナレーサーのアナログ式タイヤゲージではそれより少し低い数字が出るのです。

以前から「フロアポンプの数字は正確ではない」と聞いていたこともあり、ちょうど良い機会なので「自宅にある2つのフロアポンプが示す数字は、専用空気圧ゲージが示すそれに対してどの程度の誤差があるのか」を調べてみることにしました。

測定器具

フロアポンプで入れた空気圧を、単体の空気圧ゲージで測定します。測定用の空気圧ゲージは下の2つ、

  1. Panaracer タイヤゲージ BTG-F 仏式バルブ専用 アナログメーター
  2. Panaracer 空気圧計 デュアルヘッドデジタルゲージ 米式/仏式バルブ対応

です。

「Panaracer タイヤゲージ BTG-F 仏式バルブ専用 アナログメーター」と「Panaracer 空気圧計 デュアルヘッドデジタルゲージ 米式/仏式バルブ対応」

左側のアナログゲージはもう10年以上使っています。これ自体が狂っていてもおかしくないので、今回は新品のデジタル式ゲージ(写真右)を購入し、この2つで結果を測定することにしました。

LEZYNE CNC FLOOR DRIVEは正確か

まず我が家にあるフロアポンプのひとつ、LEZYNE CNC FLOOR DRIVEが示す数値がどの程度信用できるのかを調べてみます。

この記事では新品購入のPanaracerのデジタルゲージの数字を絶対的な基準(=普遍的に正しい数値)としました(ここを疑ったらきりがありませんw)

LEZYNE CNC FLOOR DRIVE

上の写真のように、まず7 BARまで空気を入れてみました(クリンチャータイヤ)。このあとヒラメのポンプヘッドを空気漏れがないように慎重に外し、パナのアナログゲージとデジタルゲージでこれまた慎重に空気圧を測定しました。

その結果が下のテーブルです。測定時の空気漏れ(測定誤差)などを考えて3回試したのですが、これはほぼ同じ結果に落ち着いたのでデータは1回分だけ載せてみます。また、7 BAR以外に5 BAR, 3 BARでの数字も取ってみました。

LEZYNEフロアポンプ Panaracerアナログ Panaracerデジタル
7 BAR 6.6kgf 6.6kgf (6.49 BAR)
5 BAR 4.8kgf 4.71kgf (4.62 BAR)
3 BAR 2.8 kgf 2.59kgf (2.54 BAR)

ぱっと見でわかるのは、やはりLEZYNEのフロアポンプよりも実際の空気圧(=パナの空気圧ゲージの数字がそうであると仮定する)のほうが低い数字が出ています。

じゃあどのくらい違うんだろう。パナのデジタルゲージの結果のBAR読みと比較して、差分を眺めてみます。

LEZYNEフロアポンプ Panaracerデジタル 差分
7 BAR 6.49 BAR 0.51 BAR
5 BAR 4.62 BAR 0.38 BAR
3 BAR 2.54 BAR 0.46 BAR

すると

我が家のLEZYNEフロアポンプは、どうも0.4〜0.5 BARほど多めの数字が出ている

と考えて良いようです。今後このポンプで空気を入れる時はこれを頭に入れて数字を見たほうが良さそうです。

ところでなぜこのLEZYNEフロアポンプは低い数字が出ているのでしょう。最初からこんな感じだったのか。それとも7〜8年経っているので、経年劣化したのか。それはわかりません。

その後、本記事をお読みいただいた複数の読者の方から、LEZYNEのフロアポンプはやはり空気圧が低めに表示される、という情報をいただきました。これはLEZYNE製品の傾向なのかもしれません

そしてパナレーサーのアナログゲージとデジタルゲージの差ですが、この2つはほぼ同じというか、かなり近い数字が出る印象を受けました。たまにヘンな数字も出ましたが、概ね測定誤差だと思います。

アナログゲージのほうは先にも書いたように10年以上使っているのですが、デジタルゲージと比較する限り全く狂っていないような気がします。丈夫で長持ち!

GIYO GF-94Tは正確か

さて、我が家のLEZYNE CNC FLOOR DRIVEの数字があまり信用できないことはわかりました。

しかし、これはフロアポンプに共通の傾向なのか。それとも他のフロアポンプはもっと正確なのか?

これを調べるべく、今年の春に購入したばかりの「GIYO GF-94T チューブレス対応アルミフロアポンプ」の数字を調べてみることにしました。

GIYO GF-94T チューブレス対応アルミフロアポンプ

ところでこのポンプ、私はチューブレスタイヤのビード上げ専用に使っています。この記事でも紹介しましたが、タイヤに普通に空気を入れることもできますが、空気がもれないよう口金を外すのがかなり難しいです。普通の空気入れとしてはあまり使い勝手は良くありません。

ただ、口金を外す時に毎回必ず「バシューッ」と派手なエア漏れの音がするのですが、その大部分はチューブではなくポンプのホースから漏れている音のようです。

いずれにしても3回測定してみました。これは面白い結果になったので3回分のデータを見ていきましょう。

実測1回目

まず最初の測定なのですが、フロアポンプのほうがやや高い数字が出ました。フロアポンプはやはりこういうものなのだろうか… とも思いましたが、口金を抜く時の「バシューッ」の件もあり、1回の測定結果だけでは信用できません。

GIYOフロアポンプ Panaracerアナログ Panaracerデジタル
7 BAR 6.8kgf 6.8kfg(6.73 BAR)
5 BAR 4.8kgf 4.8gkgf(4.73 BAR)
3 BAR 3kgf 2.93kgf(2.87 BAR)

とはいえ差分を見ると0.1〜0.3 BAR弱の違いなので、LEZYNEのフロアポンプよりは正確性が高いように思いました。

GIYOフロアポンプ Panaracerデジタル 差分
7 BAR 6.73 BAR 0.27 BAR
5 BAR 4.73 BAR 0.27 BAR
3 BAR 2.87 BAR 0.13 BAR

実測2回目

もう1回計測してみます。今度は口金のうまい外し方を何度か練習し、空気漏れが最も少なくなるよう、慎重に外してからパナのゲージをあてていきました。すると…!! アナログゲージではほぼ同じ数字が出ます!! デジタルゲージも近い数字。

GIYOフロアポンプ Panaracerアナログ Panaracerデジタル
7 BAR 7kgf 6.94kgf(6.81 BAR)
5 BAR 4.9kgf 4.92kg(4.82 BAR)
3 BAR 3kgf 2.93kgf(2.87 BAR)

BARで差分を眺めてみます。すると0.1〜0.2 BARの誤差に収まっていることがわかりました。これは… いつもこの結果が出るならこのGIYOのフロアポンプ、結構優秀かもしれません。

GIYOフロアポンプ Panaracerデジタル 差分
7 BAR 6.81 BAR 0.19 BAR
5 BAR 4.82 BAR 0.18 BAR
3 BAR 2.87 BAR 0.13 BAR

実測3回目

というわけで念のためもう1回測ってみました。同じように空気漏れがなるべくないよう、鬼の集中力でレバーをサクッと倒し、サッと口金を引き抜きます。そして実測…果たしてその結果は!?

おおっ!! 7 BAR, 5 BAR, 3 BARの3セットともパナのアナログゲージでは2回目の測定とほぼ同じ結果に!! 一方デジタルゲージの数字が若干おかしいところがありますが、これは測定誤差でしょうか。

GIYOフロアポンプ Panaracerアナログ Panaracerデジタル
7 BAR 7kgf 6.91kgf(6.78 BAR)
5 BAR 5kgf 4.85kgf(4.76 BAR)
3 BAR 3kgf 2.98kgf(2.92 BAR)

ただこれも差分を眺めるとGIYOフロアポンプの数字との差はやはり0.1〜0.2 BAR程度と言っていいのではないでしょうか。

GIYOフロアポンプ Panaracerデジタル 差分
7 BAR 6.78 BAR 0.22 BAR
5 BAR 4.76 BAR 0.24 BAR
3 BAR 2.92 BAR 0.08 BAR

まとめ

この実験で次のことがわかりました。

  • 我が家のLEZYNE CNC FLOOR DRIVE(7年以上使用)は0.4〜0.5 BARほど「盛った」数字が出ているらしい
  • 我が家のGIYO GF-94Tは0.1〜0.2 BAR程度盛った数字になっていると考えて良い

そして

  • フロアポンプの数字は一般的に信用できないものである、というわけでは、必ずしもなさそうだ

ということです。勿論GIYOのフロアポンプもパナレーサーのゲージが示す数字よりも少し大きいのですが、そもそもパナレーサーのデジタルゲージの測定誤差は0.1 BAR。それを考えると、このフロアポンプに限って言えば実用上は問題ない範囲の数字が出ているようにも感じます。

というわけで、自宅にあるフロアポンプの数字が専用空気圧ゲージのそれと比べてどのくらい違っているのか、1度試してみるのは面白いのではないでしょうか。

だがしかし。楽しんで運用することが目的であれば、自分の好みの空気圧を得るためには相対的な指標があればそれで済むので、ずれが大きかったからといって特に困ることはないかもしれません。

ただタイヤメーカーが指定する推奨空気圧の上限や下限に届いていない、いうこともありえるでしょうし、専門家のインプレで「このタイヤは3.5 BARと3.0 BARでは天と地ほどの違いがある」などといったセンセーショナルな記述を見かけた時、その方が言っていることを理解するためには正確な数字で試してみる必要があるでしょう。3 BARに落としたつもりが、実際は3.5 BARだった、くらいの誤差はあるようですから。

著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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